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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W03
管理番号 1349831 
審判番号 不服2018-8319 
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-18 
確定日 2019-03-07 
事件の表示 商願2017- 34200拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「KARATSU」の欧文字及び「唐津」の漢字を二段に書してなり,第3類,第5類,第29類,第32類,第35類及び第41類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成29年3月14日に登録出願され,その後,指定商品及び指定役務については,原審における同年12月12日受付及び当審における同30年6月18日受付の手続補正書により,最終的に,第3類「化粧品,せっけん類」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,『KARATSU』(下段の漢字部分『唐津』の欧文字表記)及び『唐津』の文字を上下二段に表してなるところ,その構成中の『唐津』の文字は,『株式会社岩波書店 広辞苑第六版』によれば『佐賀県北西部,唐津湾に臨む市。』との記載があり,また,コンサイス日本地名事典によれば,『からつ 唐津 佐賀県北西部の市名』との記載があることから,地名を表す語といえる。また,『KARATSU』の文字は,『唐津』の欧文字表記と認められる。そして,『唐津』『KARATSU』の文字が,唐津市を指称する語として普通に使用されている実情が認められる。 してみれば,本願商標をその指定商品・指定役務に使用しても,単に商品の産地・販売地又は役務の提供の場所を普通に用いられる方法で表したもので自他商品・役務の識別機能を果たさないものとみるのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋
当審において,平成30年10月22日付けで通知した審尋により,使用例等の事実を新たに示した上で,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の見解を示し,相当の期間を指定して,請求人に意見を求めた。

4 審尋に対する請求人の意見
請求人は上記審尋に対し,所定の期間を経過するも何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は,上記1のとおり,「KARATSU」の欧文字及び「唐津」の漢字を二段に書してなるところ,その構成中「唐津」の文字は「佐賀県北西部,唐津湾に臨む市。」の意味を有する語(「広辞苑第六版」 株式会社岩波書店)であり,「KARATSU」の文字はその欧文字表示と認められるものである。
そして,以下のインターネット情報によれば,「唐津」を含む日本各地の地名が,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,商品の産地・販売地を表す語あるいは商品の原材料の産地を表す語として,普通に使用されている実情を確認することができる。
ア 「唐津」が,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,原材料の産地を表す語として使用されている例(下線は合議体による。以下同じ。)(ア)Yahoo!Japanショッピング内のコスメティックYOKO・JAPANのウェブサイト
「スキンケア GO FOR MEN 30mL」という商品の紹介ページにおいて,「成分」の項に「トマト果実エキス(唐津産),酒粕エキス(唐津産)」との記載がある。
(https://store.shopping.yahoo.co.jp/yokojapan/goformen2.html)
(イ)PRTIMESのウェブサイト
「女子大生による化粧品企画・開発 佐賀県唐津産の『白イチゴ』を使用したコスメが新登場」の見出しの下,「ジャパン・コスメティックセンター(佐賀県唐津市)のサポートで福岡女学院大学(福岡県福岡市)の学生たちが佐賀県唐津市産の希少な『白イチゴ』を使用した化粧品を企画・開発しました。」との記載がある。
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000012788.html?utm_source=antenna)
(ウ)ORICON NEWSのウェブサイト
「自社栽培の唐津産『白いきくらげ』の保湿成分を使用したプルプル洗顔石鹸が初登場」の見出しがある。
(https://www.oricon.co.jp/pressrelease/95730/)
(エ)Rakuten内のBlanc・Lapinのウェブサイト
「Lunaルーナ 洗顔石鹸 90g[537414]」という商品の紹介ページにおいて,「商品説明」の見出しの下,「江戸時代から続く佐賀 唐津の,ざる豆腐発祥の店・川島豆腐店の石けんです。九州で育った上質な大豆だけを使った豆腐から作られる豆乳発酵液(保湿成分)や唐津・加唐島に自生する椿からとれる椿種子油などを配合。もっちり弾力性のあるきめ細かい泡が,汚れだけをしっかりと落とし,豆腐のような白くてキメ細かな肌へと導きます。」との記載がある。
(https://item.rakuten.co.jp/blanc-lapin/lnabs0000001/)
イ 「唐津」を含む日本各地の地名が,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,商品の産地を表す語として使用されている例
(ア)佐賀6次産業化サポートセンターのウェブサイト
「さがんものたち 大人のナチュラルオリーブ化粧品」の見出しの下,「大人のナチュラルオリーブ化粧品?唐津の潮風に吹かれて?」の項に,「お肌に優しい植物由来成分を配合し,オリーブ素材の力を最大限に引き出した,唐津産の大人のナチュラルオリーブ化粧品です。」との記載がある。
(https://www.saga-6sapo.jp/saganmonotachi/harvest.html)
(イ)日本経済新聞のウェブサイト
「沖縄県産化粧品,中国へ今夏輸出 くに企画現法に許可」の見出しの下,「貿易業のくに企画(沖縄県与那原町)は沖縄県産化粧品の中国への輸出を始める。中国に化粧品を輸出する際には,現地企業が『責任業者』として国家食品薬品監督管理局の許可を得る必要があるが,同社は現地法人の上海尚肌貿易公司(上海市)が許可を取得。沖縄の企業が独自に県産化粧品の輸出許可を得たのは初めてという。」との記載がある。
(https://www.nikkei.com/article/DGXLZO14114390V10C17A3LX0000/)
ウ 日本各地の地名が,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,商品の原材料の産地を表す語として使用されている例
(ア)mikan-hadamaroのウェブサイト
「商品説明」の項に「和歌山県『有田』で生まれたみかんの果皮から抽出したチンピエキスを配合した化粧水です。みかんジュースをしぼる際に出る有田みかんの皮に着目し,龍谷大学経営学部藤岡ゼミと早和果樹園で長い期間をかけ遂に完成しました。」との記載がある。
(https://www.sowacosme.jp/SHOP/500-001.html)
(イ)チュフディ ナチュールのウェブサイト
「自然の贈り物 青パパイア石鹸100g」という商品の紹介ページにおいて,「強い日差しを受けて育った沖縄産青パパイアのエキスに,パパイン酵素も配合した石鹸です。」との記載がある。
(https://www.chufudi.jp/products/detail.php?product_id=9)
(ウ)Ready forのウェブサイト
「【せっけん成分】」の見出しの下,「・イチゴ果汁 : 佐賀産イチゴ果汁100%使用 美白,ピ-リング効果 」との記載がある。
(https://readyfor.jp/projects/verizza)
(エ)SPUR.JPのウェブサイト
「進化したイグニスの『サニーサワー デュオ』アイテムでザラつきのないなめらかな肌に!」の見出しの下,「イグニスの『サニーサワー』アイテムが,佐賀産グレープフルーツのエキスを新配合してパワーアップ!」及び「瀬戸田産レモンがキー成分の『サニーサワー』アイテムに,今回新たに国内初品種の佐賀産グレープフルーツのエキスを配合。」との記載がある。
(https://spur.hpplus.jp/beauty/news/201706/18/MgCVABc/)
これらの記事によれば,商品に地名を表示した場合には,一般的に商品の産地等を認識させるものであるといえるところ,本願商標は「佐賀県北西部,唐津湾に臨む市。」の地名を理解,認識させるものであるから,商品の産地等を意味する文字として理解されるものである。
そうすると,本願商標は,これをその指定商品に使用したときは,その商品に接する需要者,取引者は,本願商標が「唐津で生産された商品」であるという商品の産地あるいは「唐津で生産されたものを原材料とする商品」であるという商品の品質を表したものとして理解するにとどまり,自他商品の識別標識としては認識し得ないものといわざるを得ない。
してみれば,本願商標は,その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「佐賀県唐津市は,窯業及び観光業だけでなく,農畜産物の産地でもある。一方,本願商標で表される『KARATSU』及び『唐津』が,指定商品『化粧品』及び『せっけん類』の生産若しくは販売の際に商標として用いられている事実については確認できなかった。このため,需要者・取引者は,本願商標で表される『KARATSU』及び『唐津』を,指定商品『化粧品』及び『せっけん類』の産地若しくは販売地としては把握することは困難であると考える。」旨及び「取引者・需要者が、地域名が指定商品『化粧品』『せっけん類』の産地若しくは販売地を表すものと認識するのは困難であることから、化粧品やせっけん類を識別する標識として認識するので、本願商標は自他商品識別力を有する。」主張している。
しかしながら,上記(1)のとおり,本願商標の構成文字の意味及び本願商標の指定商品を取り扱う業界における取引の実情からすれば,本願商標がその指定商品に使用されるときは,その商品に接する需要者,取引者は,本願商標が「唐津で生産された商品」であるという商品の産地あるいは「唐津で生産されたものを原材料とする商品」であるという商品の品質を表したものとして理解するにとどまり,自他商品の識別標識としては認識し得ないものといわざるを得ない。
イ 請求人は,過去の登録例及び審決例を挙げて,本願商標も登録されるべき旨を主張している。
しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは,当該商標の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と指定商品,指定役務との関係や,その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて,個別具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の挙げた登録例及び審決例は,商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点及びその指定商品も異なる点において,本願とは,事案を異にするものというべきであり,また,過去の登録例や審決例が存在することをもって,本願商標の上記判断が左右されるものではない。
したがって,請求人の上記主張はいずれも採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-12-21 
結審通知日 2019-01-08 
審決日 2019-01-22 
出願番号 商願2017-34200(T2017-34200) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 正和大島 康浩 
特許庁審判長 薩摩 純一
特許庁審判官 須田 亮一
大森 友子
商標の称呼 カラツ 
代理人 筒井 宣圭 
代理人 遠藤 聡子 
代理人 森田 靖之 
代理人 梶原 圭太 
代理人 有吉 修一朗 

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