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審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W33 審判 査定不服 外観類似 登録しない W33 審判 査定不服 観念類似 登録しない W33 |
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管理番号 | 1349796 |
審判番号 | 不服2017-17406 |
総通号数 | 232 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-04-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-11-24 |
確定日 | 2019-02-26 |
事件の表示 | 商願2016-78220拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第33類「ワイン」を指定商品として、平成28年7月21日に登録出願されたものである。 2 引用商標 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第2144784号商標(以下「引用商標」という。)は、「ALTO」の欧文字を横書きしてなり、昭和62年2月26日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成1年6月23日に設定登録され、その後、同21年9月2日に指定商品を第33類「アルコール飲料(「薬用酒,ビール」を除く。)」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否について 本号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものである(最高裁判決:昭和39年(行ツ)第110号)。 そして、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されないが、他方、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも、許されるものである(最高裁判決:昭和37年(オ)第953号、平成3年(行ツ)第103号、平成19年(行ヒ)第223号)。 そこで、上記の観点から本願商標と引用商標との類否を検討する。 (2)本願商標 ア 本願商標は、別掲のとおり、矩形灰色グラデーション図形を背景として、装飾的枠図形内に、上段から黒色で大きく「ALTO」の文字、やや小さく「Los Romeros」の文字、及び、さらに小さく「-DESDE 1936-」の文字を3段にそれぞれ異なる書体で表してなるものである。 そして、本願商標の構成中、「DESDE 1936」の文字部分は、請求人もいうように年を表したものと理解されるのが自然であるから、商品の出所識別標識としては機能しないものといえ、商品の出所識別標識としての称呼及び観念は生じないものである。 また、本願商標の構成中、「ALTO」の文字は、「(音楽用語の)アルト」「(スペイン語の)高い」などの意味を有する語であり、「Los Romeros」の文字は、スペイン語で「巡礼者」ほどの意味を有する語であるとしても、これらは、我が国で親しまれた語とはいえないから、それぞれの文字部分からは、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 してみると、本願商標を構成する各文字部分は、それぞれが観念上の結びつきを有するものではなく、外観上も異なる書体及び大きさで表されているものであるから、各構成文字部分を分離して観察することが、取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているということはできない。 さらに、本願商標は、その構成態様から、中央に大きく顕著に表された「ALTO」の文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとみるのが自然である。 そうすると、本願商標は、その構成中「ALTO」の文字部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものといえ、該文字に相応し「アルト」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 イ なお、請求人は、本願商標は一見してワインラベルと認識できるものであるところ、ワインを取り扱う業界ではワインラベルのデザインが重要であり、さらに、ワインの商標として「ALTO」の文字を含むものが多数採択され商標登録されている旨、また、本願商標は構成全体がまとまりよく一体的に表されているなどとして、本願商標は構成全体で把握、認識され、取引者、需要者が「ALTO」の文字部分のみを取引に資することはない旨、及び仮に本願商標を分離して観察することがあるとすれば、「ALTO Los Romeros」の文字部分である旨主張し、甲各号証を提出している。 しかしながら、ワインラベルがワインを識別する際に重要な要素であることは認められるものの、請求人提出の甲各号証によっては、本願商標の構成中「ALTO」の文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとの上記判断を覆すに足る事情があるものとは認められない。 したがって、請求人の上記主張は採用することができない。 (3)引用商標 引用商標は、上記2のとおり「ALTO」の文字からなり、該文字に相応し「アルト」の称呼を生じ、上記(2)アと同様の理由により特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 (4)本願商標と引用商標の類否 本願商標と引用商標の類否を検討すると、本願商標の構成中、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「ALTO」の文字部分と引用商標との比較において、両者は、外観において「ALTO」の構成文字を、称呼において「アルト」の称呼を共通にするものであり、観念において比較できないものである。 そして、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、観念において比較できないものの、外観において構成文字を共通にし、かつ、称呼も共通にするものであるから、相紛れるおそれのある類似のものと判断するのが相当である。 してみれば、本願商標と引用商標は類似する商標といわなければならない。 (5)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否 本願商標の指定商品は上記1のとおり第33類「ワイン」であり、引用商標の指定商品は上記2のとおり第33類「アルコール飲料(「薬用酒,ビール」を除く。)」であるから、前者は後者の範ちゅうに含まれる商品であり、両者は同一又は類似の商品である。 (6)まとめ 以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本願商標) |
審理終結日 | 2018-09-26 |
結審通知日 | 2018-10-01 |
審決日 | 2018-10-15 |
出願番号 | 商願2016-78220(T2016-78220) |
審決分類 |
T
1
8・
263-
Z
(W33)
T 1 8・ 261- Z (W33) T 1 8・ 262- Z (W33) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 太野垣 卓、守屋 友宏、川崎 萌未、駒井 芳子 |
特許庁審判長 |
大森 健司 |
特許庁審判官 |
石塚 利恵 小松 里美 |
商標の称呼 | アルトロスロメロス、アルト、ロスロメロス、ロス、エルオオエス、ロメロス |
代理人 | 黒川 朋也 |
代理人 | 魚路 将央 |
代理人 | 工藤 莞司 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |