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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W29 審判 全部申立て 登録を維持 W29 審判 全部申立て 登録を維持 W29 審判 全部申立て 登録を維持 W29 審判 全部申立て 登録を維持 W29 審判 全部申立て 登録を維持 W29 |
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管理番号 | 1348943 |
異議申立番号 | 異議2018-900035 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-02-02 |
確定日 | 2019-01-25 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5995552号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5995552号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5995552号商標(以下「本件商標」という。)は、「MONSTER CHOWDER」の文字を標準文字で表してなり、2017年(平成29年)3月13日にカナダにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条の規定による優先権を主張し、平成29年4月7日に登録出願、第29類「スープ」を指定商品として、同年10月30日に登録査定され、同年11月10日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下の3件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの商標をまとめていうときは「引用商標」という。)。 1 登録第5379390号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:「MONSTER」(標準文字) 登録出願日:平成22年7月8日 設定登録日:平成22年12月24日 指定商品:第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」 2 登録第5057229号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲のとおり 登録出願日:平成18年6月9日 設定登録日:平成19年6月22日 指定商品:第32類「エネルギー補給用清涼飲料,スポーツ用清涼飲料,その他の清涼飲料,果実飲料,エネルギー補給用のアルコール分を含有しない飲料,スポーツ用のアルコール分を含有しない飲料,ビール風味の麦芽を主体とするアルコール分を含有しない飲料,その他のアルコール分を含有しない飲料」 3 登録第5393681号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:「MONSTER ENERGY」(標準文字) 登録出願日:平成22年7月8日 設定登録日:平成23年2月25日 指定商品:第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品である第29類「スープ」について、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第15号について 申立人の引用商標は、申立人の業務に係る商品に使用されるものとして、広く一般に知られていることから(甲5?14)、引用商標と全体として相紛れる本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。 2 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「MONSTER CHOWDER」の欧文字を表してなるところ、その構成中の「MONSTER」の欧文字に照応する「モンスター」の称呼が生じる一方、引用商標は、その構成より、「MONSTER」の欧文字が看取され、当該欧文字に照応して「モンスター」の称呼が生じるから、両商標は、「モンスター」の称呼を共通にする全体として類似の商標である。 また、本件商標と引用商標とは、その指定商品において類似である。 3 商標法第4条第1項第19号について 本件商標は、申立人を指称するものとして我が国の需要者、取引者に広く一般に知られている「MONSTER」の顧客吸引力にフリーライドする目的をもって出願されたものである。 4 商標法第4条第1項第7号について 上記1ないし3において述べた各号に該当しない場合であっても、本件商標の登録は、その出願経緯等に照らして、著しく社会的妥当性を欠き、公序良俗に反するものである。 第4 当審の判断 1 申立人の使用に係る商標の周知性について (1)申立人の主張及び同人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。 ア 申立人は、米国の飲料メーカーであり、エナジードリンクの企画・創出・開発・製造・マーケティング及び販売をする事業を行っており(甲5)、2002年にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し、米国において販売を開始した(甲7)。 イ 申立人のエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)は、我が国においては、2012年5月8日から「Monster Energy」(モンスターエナジー)及び「Monster KHAOS」(モンスターカオス)の販売が開始され(甲7の1葉目)、本件商標の登録出願前までには、「モンスター アブソリュートリー ゼロ」(甲8)、「モンスターエナジー M3」、「モンスター ウルトラ」(甲7の3葉目及び5葉目)が発売されている。 そして、上記各商品のうち、「Monster KHAOS」(モンスターカオス)は、「果汁入り飲料(炭酸ガス入り)」であり、その他の商品は、不明の「モンスター アブソリュートリー ゼロ」を除き、全て「炭酸飲料」である。 ウ アサヒ飲料株式会社のニュースリリースには、申立人商品の発売及び販売と関連して、「アサヒ飲料 国内独占販売権取得!・・・『Monster Energy(モンスターエナジー)缶355ml』『Monster KHAOS(モンスターカオス)缶355ml』・・・アサヒ飲料株式会社(本社 東京、・・・)は・・・エナジードリンク『モンスターエナジー』ブランドの日本国内における独占販売権を取得しました。」(甲7の1葉目)、「『モンスターウルトラ』をラインアップに加えることにより、・・・更に『モンスターエナジー』ブランドの強化を図ってまいります。」(甲7の3葉目)の記載がある。 エ 申立人商品の容器の側面には、以下のような表示がある。 (ア)「Monster Energy(モンスターエナジー)缶355ml」の容器下部には、「MONSTER」の文字(「O」の文字部分には、それを貫く縦線が描かれている。以下、申立人商品の容器上の表示をいうときは、同じ。)、その下には「ENERGY」の文字が表されている(甲7の1葉目)。 (イ)発売当初の「Monster KHAOS(モンスターカオス)缶355ml」の容器下部には、「MONSTER」の文字、その下には「KHAOS」の文字、さらにその下には「ENERGY」及び「+果汁」の文字が表されている(甲7の1葉目)。そして、2016年にリニューアル発売された同商品の容器には、上部に「KHAOS」の文字、その下に図形を配し、下部に「MONSTER」の文字、その下に「ENERGY」の文字が表されている(甲7の7葉目)。 (ウ)「モンスター アブソリュートリー ゼロ」の容器下部には、「MONSTER」の文字、その下には「ENERGY」の文字、さらにその下には「ABSOLUTELY ZERO」の文字が表されている(甲8)。 (エ)「モンスターエナジー M3 ワンウェイびん150ml」の容器下部には、「MONSTER」の文字、その下には「ENERGY」の文字、さらにその下には「M-3 SUPER CONCENTRATE」の文字が表されている(甲7の3葉目)。 (オ)「モンスターウルトラ 缶355ml」の容器下部には、「MONSTER」の文字、その下には「ENERGY」の文字、さらにその下には「ULTRA」の文字が表されている(甲7の3葉目)。 オ 申立人の最高経営責任者の宣誓供述書(甲5の2)によれば、申立人商品は、我が国において、2012年5月の販売開始から2017年12月までの間で、約6億1,200万缶以上販売され、その販売総額は日本円で460億円以上(4億2,300万米ドル以上)であるとされる。 カ 上記供述書(甲5の2)によれば、申立人は、我が国における申立人商品の広告、マーケティング及び宣伝活動のために、2012年5月の販売開始から2017年12月までの約5年7月の間で、7,680万米ドル以上の費用を支出しており、その「マーケティング戦略は・・・直接的にテレビやラジオの広告を使用せず」、「広告及び宣伝予算の大半をアスリートの支援やアスリートの競技会や他のイベントのスポンサー活動に割り当てて」いるとされる。特に、「マーケティングの焦点は、国際的なイベントを含み、そのイベントには、我々がターゲットとしている市場の若い男性が多くの時間を費やすインターネット上のウェブ放送で行われるイベント」、具体的には、MotoGPイベント、MotoGPレーシングチーム、F1レーシングチーム、モトクロスチーム、アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)、音楽フェスティバル、音楽イベント、ミュージシャンのスポンサー及び宣伝活動などを含むとされる。 キ 申立人商品について、業界誌などにおいて、以下のように紹介されている。 (ア)「飲料総合専門誌ビバリッジジャパン」(2014年7月号)においては、「新たな成長期を迎えたエナジードリンク」の見出しの下、「『モンスター』ブランドは、昨年は260万函を販売」、「『モンスター』のコアユーザーは10代後半から20代が中心となっており、加えて『アブソリュートリーゼロ』で30代の獲得に成功できたという。」の記載がある(甲8)。 (イ)「Chain Store Age」(2014年7月15日号)においては、「エナジードリンク」の見出しの下、「レッドブル・エナジードリンク」や「モンスターエナジー」などについて、「いずれも20?30代の若年層をメーンターゲットとしてとらえ、スタイリッシュなパッケージデザインを採用している。」の記載がある(甲9)。 (ウ)「H・Bフーズマーケティング便覧2017 No.1?健康志向食品編?」(株式会社富士経済発行)において、「滋養・強壮」の項に、「レッドブル エナジードリンク」や「モンスターエナジー」について、「両ブランドが若年層を中心に需要を獲得し拡大が続いている。」の記載がある(甲12)。 ク 「2016年清涼飲料マーケティング要覧-横断分析編-」(株式会社富士経済発行)の「機能性飲料」の項には、2015年の機能性飲料(食系ドリンク、健康サポート飲料、機能性清涼飲料、パウチゼリー飲料のほか、スポーツドリンク及びエナジードリンクを含む。)の販売箱数が約2億4,440万箱及び販売額が約5,694億円、「エナジードリンク」の販売箱数が約1,470万箱及び販売額が約480億円、「モンスターエナジー」の販売箱数が約460万箱及び販売額が約145億円との記載がある(甲10)。 (2)上記(1)の認定事実によれば、申立人の使用に係る商標の使用と関連して、以下のような実情がうかがえる。 ア 申立人商品は、2012年5月の我が国における発売以降、その販売額は、約5年7月の間(2012年5月?2017年12月)で約460億円以上、広告宣伝費は約86億円以上(7,680万米ドル、112円/米ドルで試算。)とされ、その販売期間は、発売から本件商標の登録出願時までは約5年間程度と長期にわたるものではないが、ある程度継続した販売実績があることがうかがえる。 しかし、申立人は、テレビやラジオなどの一般的なメディアを通じた広告宣伝をそもそも行わない方針であることもあり、その広告宣伝の多くは、主に比較的若い世代が集まるようなモータースポーツ、格闘技、音楽イベントやミュージシャンなどと関連したスポンサー活動やプロモーション活動であり、さらに、申立人商品の紹介に当たっても、10代から30代の需要者層における支持が言及されていることからすると、申立人商品の主要な需要者層や、広告などを通じて申立人商品を目にする需要者層の範囲も、自ずと若年層を中心としたものとみるのが相当である。 イ 申立人商品の我が国における市場シェアは、2015年の販売箱数及び販売額に基づく試算をすれば、エナジードリンクの分野においては約30%程度を占めるが、清涼飲料全体の中では一部にすぎない機能性飲料という分野においても約1?2%程度にすぎない。 ウ 我が国で販売されている申立人商品の容器の側面には、文字配置のレイアウトにバリエーションはあるものの、その商品のいずれについても、概ね「MONSTER」の文字の下に「ENERGY」の文字を、比較的近接して配置しており、これら一連の商品を指称する際は、「モンスターエナジー」ブランドと総称されている。 (3)上記(2)において述べた実情を踏まえると、申立人商品は、エナジードリンク分野において、ある程度継続した販売実績があるとしても、その販売期間は比較的短く、また、幅広い需要者層が目にする機会の多い一般的なメディアを通じた広告宣伝の実績は乏しい上、広告宣伝などを通じた商品名の露出も、主に若年層に向けた活動を通じて行われているにすぎず、さらに、清涼飲料の分野全般における市場シェアも決して高くはない。そうすると、申立人商品は、本件商標の登録出願日前までには、その取引者や若い世代を中心とした需要者の間では、ある程度認知されていたということができても、幅広い需要者層を有する清涼飲料の分野一般においては、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。 そして、申立人商品は、その容器には「MONSTER」及び「ENERGY」の各文字が比較的近接して表示されており、また、当該商品が「モンスターエナジー」ブランドと総称されている実情があることも踏まえると、申立人商品の獲得した上記認知度は、「Monster Energy」(モンスターエナジー)を中心とした「モンスターエナジー」ブランドのエナジードリンクとして、集合的に生じているというべきである。 なお、「MONSTER」の語については、申立人又は申立人商品の略称として統一的に使用されていることを示す証拠がなく、また、申立人商品については、上記のとおり、「モンスターエナジー」ブランドと総称することもある。 以上によれば、申立人が周知著名と主張する「MONSTER」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の取引者、需要者において、申立人を指称するもの又は申立人商品を表示する商標として、広く認識されているものということはできない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標と引用商標との比較 ア 本件商標について 本件商標は、前記第1のとおり、「MONSTER CHOWDER」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「MONSTER」の文字は、「怪物。化け物。」の意味を、「CHOWDER」の文字は、「チャウダー(ハマグリなど魚介類と野菜を牛乳で煮込んだ濃いスープ)」(参照:「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)の意味を、それぞれ有する平易な英語であるが、両語は、それを結合したときに、特定の意味を有する熟語や既成の語となるものではないから、直ちに特定の観念を認識させるものとはいえない。また、両語の間には1文字分の間隔が設けられているが、両語は、同じ書体及び大きさの文字をもって横書きしてなるため、視覚上、その構成全体がまとまりのよい印象を与えるものといえ、さらに、その構成全体から生じる「モンスターチャウダー」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。 そうすると、本件商標は、全体として不可分一体の造語を表してなるものと看取、理解されるものであり、その構成文字に相応する「モンスターチャウダー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標について (ア)引用商標1は、前記第2の1のとおり、「MONSTER」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、既述のとおり、「怪物。化け物。」の意味を有する平易な英語である。 したがって、引用商標1は、「モンスター」の称呼及び「怪物。化け物。」の観念を生じるものである。 (イ)引用商標2は、別掲のとおり、図形と、その下方に特徴のある書体の太字で表された「MONSTER」(「O」の文字部分には、それを貫く縦線が描かれている。)の文字及び角張った書体で比較的小さく表された「ENERGY」の文字を二段に近接して表してなるところ、当該図形部分と文字部分とは、重なりなく間隔を大きく空けて配置されているため、視覚上、一見して分離して看取されるばかりでなく、当該図形部分については、特定の称呼及び観念を生じるとはいい難く、当該文字部分との間に称呼及び観念上のつながりがあるとはいえないことから、それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。 そうすると、引用商標2に接する取引者、需要者は、その構成中の図形部分と文字部分のそれぞれを出所識別標識としての機能を有する要部として認識、理解するというのが相当であるから、これら要部をもって他人の商標と比較することにより、対比する商標間の類否を判断することも許されるというべきである。 そして、引用商標2の構成中、「MONSTER」と「ENERGY」の二段の文字部分は、それぞれの文字の書体や大きさは相違するものの、近接して配置されていて、視覚的にまとまりのよい印象を与えるものであり、また、その全体から生じる「モンスターエナジー」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。さらに、「MONSTER」の文字は、「怪物。化け物。」の意味を、「ENERGY」の文字は、「力。精力。」の意味を、それぞれ有する平易な英語であるが、両語を結合して熟語や既成の語となるものではなく、いずれかの語が、引用商標2の指定商品との関係において、出所識別標識としての称呼、観念を生じないというものでもない。 以上を踏まえると、引用商標2の構成中、「MONSTER」と「ENERGY」の二段の文字部分は、そのいずれかの文字部分が強く支配的な印象を与えるものではなく、その構成全体をもって出所識別標識としての機能を発揮するものというべきであるから、これより「モンスターエナジー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 (ウ)引用商標3は、前記第2の3のとおり、「MONSTER ENERGY」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「MONSTER」と「ENERGY」の各文字の間に1文字分の間隔が設けられているが、いずれの文字も同じ書体及び大きさの文字をもって横書きしてなるため、視覚上、その構成全体がまとまりのよい印象を与えるものといえ、さらに、その構成全体から生じる「モンスターエナジー」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。加えて、「MONSTER」の文字は、「怪物。化け物。」の意味を、「ENERGY」の文字は、「力。精力。」の意味を、それぞれ有する平易な英語であるが、両語を結合して熟語や既成の語となるものではなく、いずれかの語が、引用商標3の指定商品との関係において、出所識別標識としての称呼、観念を生じないというものでもない。 そうすると、引用商標3は、全体として不可分一体の造語を表してなるものと看取、理解されるものであり、その構成文字に相応する「モンスターエナジー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標との比較 (ア)本件商標と引用商標1とは、称呼において、「チャウダー」の音の有無により、全体の音の構成及び数に明らかな差異があるから、これらを一連に称呼するときは、それぞれ容易に聴別できる。また、両商標は、外観において、文字構成に明らかな差異があるから、相互に容易に見分けることができる。さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標1は、「怪物。化け物。」の観念を生じるものであるから、両商標は、観念において、相紛れるおそれがない。 そうすると、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても明らかに異なるものといえるから、同一又は類似の商品について使用するときでも、互いに誤認、混同するおそれのない非類似の商標というべきである。 (イ)本件商標と引用商標2とは、称呼において、「チャウダー」の音と「エナジー」の音との相違により、全体の音構成に明らかな差異があるから、これらを一連に称呼するときは、それぞれ容易に聴別できる。また、両商標は、外観において、図形の有無や文字構成において明らかな差異があるから、その構成全体についての比較はもとより、その構成中の図形部分又は文字部分の比較によっても、一見して明瞭に見分けることができる。さらに、両商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において、比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標2とは、観念においては比較することができず、外観及び称呼においては明らかに異なるものといえるから、それぞれを同一又は類似の商品について使用するときでも、誤認、混同するおそれのない非類似の商標というべきである。 (ウ)本件商標と引用商標3とは、称呼において、「チャウダー」の音と「エナジー」の音との相違により、全体の音構成に明らかな差異があるから、これらを一連に称呼するときは、それぞれ容易に聴別できる。また、両商標は、外観において、文字構成に明らかな差異があるから、一見して明瞭に見分けることができる。さらに、両商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において、比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標3とは、観念においては比較することができず、外観及び称呼においては明らかに異なるものといえるから、それぞれを同一又は類似の商品について使用するときでも、誤認、混同するおそれのない非類似の商標というべきである。 (2)小括 本件商標は、上記(1)のとおり、引用商標とは類似しない商標であるから、両商標の指定商品を比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の独創性及び周知性 引用商標1である「MONSTER」は、既成の語であって、独創性が高いものとはいえず、また、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の取引者、需要者において、申立人を指称するもの又は申立人商品「エナジードリンク」を表示する商標として、広く認識されているものでもない。 また、引用商標2の構成中及び引用商標3を構成する「MONSTER ENERGY」の文字は、特定の観念を生じるものではないが、「MONSTER」及び「ENERGY」のいずれも既成の語であるから、独創性が高いものとはいえず、さらに、上記1のとおり、申立人商品を総称するものなどとして、その取引者や若い世代を中心とした需要者の間においては、ある程度認知されていたといえるが、清涼飲料の分野一般においては、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものではない。 (2)本件商標と引用商標との類似性 本件商標と引用商標1ないし引用商標3とは、それぞれ、上記2(1)ウ(ア)ないし(ウ)のとおり、いずれの比較においても、非類似の商標であるから、互いの印象が明らかに異なる別異の商標というべきものである。 (3)本件商標の指定商品と申立人商品との関連性 申立人の使用に係る申立人商品「エナジードリンク」は、清涼飲料の一種である一方、本件商標の指定商品「スープ」(以下「本件申立商品」という。)は、食品の一種であり、いずれも最終的に飲食料品店を通じて一般消費者に向けて流通する商品であるから、両商品は、販売部門や流通経路に関連性があるものであり、需要者層も一部重複するものといえる。 (4)出所の混同のおそれについて 引用商標1は、上記3(1)のとおり、独創性が高いものとはいえず、また、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の取引者、需要者において、申立人を指称するもの又は申立人商品を表示する商標として周知、著名とはいえない上、上記3(2)のとおり、本件商標とは、互いの印象が明らかに異なる別異の商標であるから、上記3(3)のとおり、本件申立商品が、申立人商品と販売部門や流通経路及び需要者層において一定程度関連があるものであるとしても、本件申立商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標を本件申立商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、申立人又は引用商標1を連想又は想起するようなことは考え難い。 また、引用商標2の構成中及び引用商標3を構成する「MONSTER ENERGY」の文字部分は、上記3(1)のとおり、独創性が高いものとはいえず、また、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品である「エナジードリンク」の取引者や若い世代を中心とした需要者の間においては、ある程度認知されていたといえるとしても、清涼飲料の分野一般においては広く認識されていたものではなく、さらに、上記3(2)のとおり、本件商標とは、互いの印象が明らかに異なる別異の商標であるから、上記3(3)のとおり、本件申立商品が、申立人商品と販売部門や流通経路及び需要者層において一定程度関連があるものであるとしても、本件申立商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標を本件申立商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、申立人又は引用商標2及び引用商標3を連想又は想起するようなことは考え難い。 そのため、本件商標は、これを本件申立商品について使用しても、その取引者及び需要者をして、当該商品が申立人の業務に係る商品であると誤信させるおそれがある商標ではなく、また、当該商品が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信させるおそれがある商標ともいえないから、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じるおそれがある商標ではない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標は、上記2(1)のとおり、引用商標と非類似の商標である上、申立人からは、本件商標の使用と関連して不正の目的があったことを具体的に示す証拠の提出はない。 したがって、引用商標の日本国内又は外国における需要者の間における周知、著名性について言及、検討するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は、上記2(1)アのとおり、「MONSTER CHOWDER」の文字を標準文字で表してなり、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。 また、本件商標は、これをその指定商品に使用することが社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するものではなく、さらに、その使用が他の法律によって禁止されているもの、外国の権威や尊厳を損なうおそれがあって、国際信義に反するものでもない。 加えて、本件商標の商標登録出願の経緯について、社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合等、その出願経緯などに公序良俗に反するおそれがあることを具体的に示す証拠の提出もない。 なお、申立人は、本件商標が申立人及び引用商標の存在を十分に認識した上で出願されていると想定されることに鑑みると、これを商標登録することは社会の一般的道徳観念に反する旨の主張をするが、本件商標の登録出願時に、本件商標の商標権者において、申立人又は引用商標が認識されていたかは、提出された証拠からは明らかでなく、仮に、その認識がされていたとしても、そのことのみをもって、直ちに本件商標の出願経緯について、社会的相当性を欠くとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 6 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、本件申立商品について、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号のいずれにも該当せず、同項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (引用商標2) |
異議決定日 | 2019-01-17 |
出願番号 | 商願2017-46836(T2017-46836) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W29)
T 1 651・ 262- Y (W29) T 1 651・ 222- Y (W29) T 1 651・ 22- Y (W29) T 1 651・ 261- Y (W29) T 1 651・ 263- Y (W29) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 保坂 金彦 |
特許庁審判長 |
田中 敬規 |
特許庁審判官 |
阿曾 裕樹 小松 里美 |
登録日 | 2017-11-10 |
登録番号 | 商標登録第5995552号(T5995552) |
権利者 | グローバル グルメ フーズ インク. |
商標の称呼 | モンスターチャウダー、モンスター |
代理人 | 鈴木 行大 |
代理人 | 宗助 智左子 |
代理人 | 松井 宏記 |
代理人 | 岡部 讓 |
代理人 | 金成 浩子 |
代理人 | 高見 香織 |
代理人 | 田中 景子 |