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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W30 |
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管理番号 | 1348942 |
異議申立番号 | 異議2018-900033 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-02-01 |
確定日 | 2019-01-24 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5995414号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5995414号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5995414号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、平成29年3月7日に登録出願、第30類「菓子,おはぎ,だんご,米を主原料とする菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,ぬか漬の素,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,うまみ調味料,穀物の加工品,乾燥米,強化米,人造米,米飯の缶詰,乾燥飯,ぬか床用ぬか,ぬか床,おにぎり,レトルトパウチされたおこわ,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,米粉」を指定商品として、同年10月30日に登録査定、同年11月10日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下の3件であり、いずれも登録商標として現に有効に存続しているものである(以下、これらの商標をまとめていうときは「引用商標」という。)。 1 登録第5044896号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成18年6月9日 設定登録日:平成19年5月11日 指定商品:第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 2 登録第5868986号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:平成28年2月4日 設定登録日:平成28年7月22日 指定商品:第33類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 3 登録第5939477号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲4のとおり 登録出願日:平成28年8月8日 設定登録日:平成29年4月14日 指定商品:第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、第30類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第354号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 申立人の使用に係る商標の著名性 (1)申立人による商標の使用 申立人の使用に係る爪の図柄(引用商標1及び引用商標2並びに引用商標3の図形部分。以下「申立人図形商標」という。)は、申立人が2002年に創設したエナジードリンクの新ブランド「MONSTER」シリーズ製品の出所識別標識として、当該ブランドの創設時から現在に至るまでの長年にわたり継続して使用されているものである。 「MONSTER」エナジードリンクは、2002年に米国で「MONSTER」シリーズ最初の製品である「MONSTER ENERGY」の販売開始後、我が国では2012年5月から販売を開始し、現在では我が国を含む世界100以上の国及び地域で販売中である。2002年以降、現在まで継続して、申立人の上記ブランドから発売されるエナジードリンクには、「MONSTER」の文字を基調とする個別商品名に加えて、常に爪の図柄がドリンク缶の中央に最も大きく目立つ態様で付されている。この爪の図柄と「MONSTER」の文字を用いた申立人のエナジードリンク事業の成功は、経済界でも高い評価を受けている(甲2?33、51?58)。 これまでに国内発売された製品は、「MONSTER ENERGY」、「MONSTER KHAOS」、「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」、「MONSTER ENERGY M3」、「MONSTER COFFEE」、「MONSTER ENERGY ULTRA」、「MONSTER ENERGY THE DOCTOR」であり、これら各製品全てに爪の図柄が付されている(甲5?7、10、12?15、59?62、101?103、118、127?131、252?264、291)。 (2)広告及び販売促進活動 申立人による「MONSTER」エナジードリンクの広告及び販売促進活動は、世界の有名アスリート、レーシングチーム、スポーツ競技会、アマチュアスポーツ選手、音楽祭及びミュージシャンに対するスポンサー提供、スポーツ、音楽、ゲームなどの娯楽イベントの開催、米国ラスベガスの公共交通機関モノレールの「モンスター列車」の走行、これらのイベント開催などと関連して頻繁に実施されるエナジードリンク販売キャンペーン、各イベント会場におけるサンプリング(サンプル配布)、2013年2月から2018年3月までの約5年の期間に国内で実施されたプロモーションイベント及びキャンペーンの参加者及び応募当選者に対する様々な「モンスター限定グッズ」(爪の図柄を付したTシャツ、帽子、キーホルダー、ステッカー、ギター、バッグパック、エナジードリンク、クーラーボックス、冷蔵庫、自動車など、総計70万点を超えるアイテム)の提供、爪の図柄を付した広告宣伝用ポスター・商品ネームプレート・チラシ・陳列棚・冷蔵庫などの店舗用什器の使用及び展示、遅くとも2013年から現在に至るまで約1?2月の頻度で定期的に発行されている新商品発売・懸賞キャンペーン・イベント開催情報などを掲載したプレスリリース、申立人ウェブサイト並びにソーシャルメディアを通じた情報発信を介して、2002年から現在まで世界規模で継続的に実施されており、これらの広告物及び販売促進物には極めて顕著な表示態様で爪の図柄が継続的に使用されてきた(甲7?17、34?91、101?133、136?168、225?256、265?274、279?296、別紙2)。 また、申立人は、2002年から、ブレスレット、ラペルピン、キーホルダー、Tシャツ、スウェットシャツ、帽子、レーシングジャケット、手袋などのアパレル製品、運動用ヘルメット、バッグ類、ステッカー等の文房具、傘、ビデオゲームソフトといった「MONSTER」ライセンス商品の製造販売を第三者に使用許諾している。当該ライセンス商品のカタログやオンラインショッピングサイトは、ブランド名及び個別商品名として、「MONSTER」「Monster」の文字の表示に加えて、爪の図柄を大きく表示して販売及び宣伝広告している。これらのライセンス商品は、国内の実店舗のほか、オンラインショップや通信販売を介して国内の一般消費者にも販売されている(甲47、48、58、92?100、134、135)。 (3)国内の需要者における「MONSTER」ライセンス商品の人気の高さに便乗して、海外で製造された申立人の商標権侵害物品が我が国の税関で輸人差止される事案が、遅くとも平成25(2013)年7月から現在に至るまで、継続して度々発生している(甲169?224、別紙1)。 (4)爪の図柄は、申立人の創作に係る独創的構成からなる創造標章である。申立人は、爪の図柄の世界的規模での継続的使用に基づき、エナジードリンク等の飲料製品及び上記ライセンス商品等について、引用商標を始め、爪の図柄を基調とする様々な構成の商標を我が国及び諸外国で商標出願し、登録を取得しており、また、米国では、爪の図柄の図案画の作品について著作権登録も行っている(甲323?354)。 (5)第三者による市場調査報告書やエナジードリンクの市場に関する記述によれば、2013年時点で申立人の「MONSTER」エナジードリンクの国内市場占有率は、既に25%を超えており、それ以降も着実に売上げを伸ばし、男子若年層を中心とした従来の主要需要者層にとどまらず、美しいカラフルな色使いのボトル缶に大きく表示された爪の図柄のロゴマークが、人目を惹きつけ、女性層にも知名度、人気を拡大している。この爪の図柄を付した申立人の「MONSTER」エナジードリンクは、実際の市場で、「モンスター」と呼ばれ、「モンスター」の表記で認知されている(甲311?322)。 (6)以上の事柄に照らせば、申立人図形商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の製造、販売に係る商品及び役務の代表的出所識別標識として、国内外の取引者、需要者の間で広く認識されていた。 2 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について (1)本件商標の構成中の図形部分は、縦方向に細長い帯様図形3本を互いに平行かつ均等間隔で並べて構成されている点で申立人図形商標と基本的構造を共通にし、また、構成全体がアルファベットの13番目の文字「m」(エム)の観念を容易に喚起させる点でも申立人図形商標と外観印象が近似し、商品の出所識別標識として類似する印象を需要者に与える。当該図形部分は、赤色でごく小さく表示された「MITSUHASHI」の英文字から独立した自他商品識別標識として機能し得る。 これに加えて、上記図形部分は、爪の図柄に類似する図形に緑の色彩を組み合わせている点で、申立人の現実の使用に係る緑色の爪の図柄と一致する。 引用商標2及び引用商標3に示されているように、申立人は、2002年の「MONSTER」エナジードリンクのブランド創設以来、現在に至るまで、爪の図柄とともに、緑色をシンボルカラーとして採択、使用している。2002年発売の「MONSTER」シリーズ製品のオリジナル版「MONSTER ENERGY」の缶に付されている緑色で表示した爪の図柄を始めとして、申立人ウェブサイト、商品のラベル、パンフレット、販売小売店用什器などの販売促進物、広告、ポスター、スポンサー契約アスリート及びチームのユニフォーム・ヘルメット・スノーボードなどの運動用具・バイクや自動車の車体、プロモーションイベント会場の施設、販売キャンペーンの懸賞賞品「MONSTER」グッズ、申立人商標のライセンス商品及びそのカタログなどの至る所に、爪の図柄に加えてブランドカラーの緑が継続的に使用されている。 爪の図柄と緑色の組合せは、申立人の業務に係る商品及び役務の代表的出所識別標識として広く認識、理解されており、申立人を直感させる(甲2、4?107、109?168、225?251、258?261、263?274、276、279?298)。 したがって、本件商標の構成中の図形部分と申立人図形商標は、類似性の程度が極めて高い。 (2)本件商標の指定商品は、上記のとおりの加工食品であり、申立人が爪の図柄を使用しているエナジードリンクと製造部門、販売部門、用途、効能、需要者の範囲が一致ないし重複し、また、エナジードリンクと同時に購入、消費される食品を多く含んでおり、密接に関連する。 (3)本件商標の指定商品の最終的な需要者は一般消費者であるから、通常の需要者の注意力の程度は、高いものとはいえない。 (4)上記(1)ないし(3)によれば、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接した取引者、需要者は、申立人図形商標及び申立人を想起、連想し、申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に関係を有する者の取扱いに係るもの(例えば、申立人商標のライセンシーの取扱いに係る商品)であると誤信し、その出所について混同を生じるおそれがある。また、本件商標の使用は、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている爪の図柄の出所識別力を希釈化するおそれがある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審の判断 1 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について (1)申立人の使用に係る商標の周知性について ア 申立人の主張及び同人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。 (ア)申立人は、米国の飲料メーカーであり、2002年にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し、米国において販売を開始した(甲7)。 (イ)申立人のエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)は、我が国においては、2012年5月8日から「Monster Energy」(モンスターエナジー)及び「Monster KHAOS」(モンスターカオス)の販売が開始され(甲7、8)、その後、2013年5月7日から「モンスター アブソリュートリー ゼロ」(甲10)、2014年8月19日から「モンスターエナジー M3」(甲59)、同年10月7日から「モンスターコーヒー」(甲60)、2015年7月21日から「モンスター ウルトラ」(甲101)が販売されている。そして、上記各商品のうち、「Monster KHAOS」は、「果汁入り飲料(炭酸ガス入り)」、「モンスターコーヒー」は、「コーヒー飲料」であり、そのほかの商品は、全て「炭酸飲料」である。また、上記各商品の容器の側面には、飲料の種類により色彩が相違し(緑色、赤色、青色、黄土色、白色が確認できる。)、一部構成要素が追加されているものがあるものの(「モンスターエナジー M3」には爪の図柄の右上に「3」の数字が表示されている。)、申立人図形商標と構成上の特徴を共通にする爪の図柄が、顕著に表されている。 (ウ)申立人商品は、我が国において、2012年5月の発売開始以降、2012年末までの約8か月で157万箱販売された(甲9)。 (エ)申立人の最高経営責任者の宣誓供述書(甲58)によれば、申立人商品は、我が国において、2012年5月の販売開始から2015年6月30日までの約3年間で、約2億3,600万缶が販売され、その総販売額は、1億7,500万米ドル以上、日本円で170億円以上であるとされる。 (オ)上記供述書(甲58)によれば、申立人は、申立人商品の広告、マーケティング及び販売促進活動のために、全世界では、2002年以来、30億米ドル以上を支出しているが、「モンスター社のマーケティング戦略は、従来の方法とは異なり、MONSTER商標及び爪の図柄を広めるための広告を、直接テレビやラジオで行わない」とされ、広告などの予算の多くは、「競技選手への支援及び競技大会やその他イベントへのスポンサー活動」に当てている。特に、マーケティングの焦点は、「主要なターゲットとする若年成人層、主に男性が多くの時間を費やすインターネット上で、ネット配信されるイベント」であり、具体的には、ロードレース世界選手権グランプリ(MotoGP)、MotoGPレーシングチーム、F1レーシングチーム、モトクロスチーム、アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)、音楽祭、音楽イベント、ミュージシャン及びビデオゲームチームへのスポンサー活動及び促進活動などである。 ただし、我が国においては、2012年5月及び6月に申立人商品の販売開始を支援するために、主要テレビ局のテレビ広告枠を購入し、視聴者にウェブサイトで更なる情報を得るように促す広告を行い、それに190万米ドル以上を支出したとされる。 (カ)2016年3月31日付けのアサヒ飲料株式会社のニュースリリース(甲129)によれば、申立人商品につき、「『モンスターエナジー』ブランドは・・・ブランド力とファッション性で世界中の若者からの圧倒的な支持を背景に、急成長しているエナジードリンクです。」と紹介し、「エナジードリンク市場は、『モンスターエナジー』などの海外ブランドの浸透により、最近では10代、20代が『炭酸の刺激を楽しみたい』や『気分転換』を目的に飲用する傾向」との記載がある。 イ 上記アの認定事実によれば、申立人図形商標は、2012年5月から我が国においても販売されている申立人商品に係る容器に表示されており、その販売額は、約3年間(2012年5月?2015年6月)で約170億円以上とされ、その販売期間は、発売から本件商標の登録出願時までは約5年間程度と長期にわたるものではないが、ある程度継続した販売実績があることがうかがえる。 しかし、申立人は、テレビなどの一般的なメディアを通じた広告宣伝をそもそも行わない方針であることもあり、我が国におけるテレビCMは、2012年の発売当初の1か月程度の短期間であって、その費用も約1億5,000万円(190万米ドル;80円/米ドルで計算)程度のものであり、また、継続的に行われているスポンサー活動や販売促進キャンペーンについても、我が国における広告宣伝費は明らかではない。そして、その広告宣伝の多くは、主に比較的若い世代が集まるようなモータースポーツ、格闘技、音楽イベントやミュージシャン、ビデオゲームなどと関連したスポンサー活動やプロモーション活動であり、申立人商品の紹介に当たっても、10代や20代の需要者層における支持が言及されていることからすると、申立人商品の主要な需要者層や、広告などを通じて申立人商品を目にする需要者層の範囲も、自ずと若年層を中心としたものとみるのが相当である。 さらに、申立人商品は、エナジードリンクと称されるものではあるが、その実態は専ら「炭酸飲料」又は「コーヒー飲料」であって、清涼飲料の一種というべきものであるところ、我が国で販売されるこれらの飲料における申立人商品のシェアは、明らかとはいい難い。 このように、申立人商品の販売期間は、比較的短く、また、申立人商品について、幅広い需要者層が目にする機会の多い一般的なメディアを通じた広告宣伝の実績は乏しい上、その広告宣伝などを通じた申立人図形商標の露出も、比較的若年層に向けた活動を通じて行われていることから、申立人商品と関連して使用されている申立人図形商標は、本件商標の登録出願日前までには、その取引者や若い世代を中心とした需要者の間では、ある程度知られていたものということができても、幅広い需要者層を有する清涼飲料の分野一般においては、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。 そのため、申立人図形商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の取引者、需要者において、申立人商品を表示する商標として、広く認識されているものということはできない。 (2)本件商標と申立人図形商標との類似性 ア 本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、上段に平行した3本の太い緑色の縦線(左側及び右側の上部の外側の角は、丸みを帯びている。)よりなる図形を、下段に赤色の「MITSUHASHI」の文字を、それぞれ表してなるところ、その図形部分と文字部分とは、色彩や段の相違もあいまって、視覚上、分離して看取、把握されるものである。 そして、本件商標の図形部分は、その構成上、特定の事物を表してなるものと直ちに認識されるとはいい難いため、これより特定の称呼及び観念は生じない。 イ 申立人図形商標について 申立人図形商標は、別掲2ないし4のとおり、下向きに幅が徐々に細くなる不規則な凹凸状の輪郭を有するかぎ裂き状の線状図形であって、その上端に左向きの突起を設けてなるものを3本縦方向に平行に配置(中央に位置するものは、その左右に位置するものよりやや長めに描かれている。)してなるものであり、その構成態様には独創性があるとはいえるものの、特定の事物を表してなるものと認識されるとはいい難いため、これより特定の称呼及び観念は生じない。 ウ 本件商標と申立人図形商標との比較 本件商標の図形部分と申立人図形商標を比較すると、両者は、平行する3本の縦線様のものからなるという点を共通にするとしても、その形状や太さといった態様が顕著に相違するため、外観上、明瞭に区別し得る。また、両者はいずれも特定の称呼及び観念を生じないため、称呼及び観念において比較できない。 したがって、本件商標の図形部分と申立人図形商標とは、その色彩にかかわらず、外観が明らかに異なる上、称呼及び観念において比較することができないものであるため、相紛れるおそれがあるとはいい難く、また、本件商標と申立人図形商標とを比較するときは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのないこと明らかであるから、両商標は、これらに接する者が受ける印象において、明らかに異なるというのが相当であり、互いに別異の商標というべきである。 (3)本件商標の指定商品と申立人商品との比較 申立人商品は清涼飲料の一種である一方、本件商標の指定商品は食品や調味料等の一種であって、いずれも最終的に飲食料品店を通じて一般消費者に向けて流通する商品であることから、両商品は、販売部門や流通経路に関連性があるもので、需要者層も一部重複するものといえる。 (4)出所の混同について 申立人図形商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示する商標として、若い世代を中心とした需要者の間ではある程度知られていたといえるとしても、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていた商標とはいえないばかりか、上記(2)のとおり、独創的な図形よりなるとしても、本件商標とは互いの印象が明らかに異なる別異の商標であるから、上記(3)のとおり、本件商標の指定商品と申立人商品とが、その販売部門や流通経路、需要者層において、一定程度の関連性があるとしても、本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標をその指定商品に使用したときに、これに接する取引者、需要者が、申立人図形商標又は引用商標ないしは申立人を連想又は想起するようなことは考え難い。 そのため、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、その取引者、需要者をして、当該商品が申立人の業務に係る商品であると誤信させるおそれがある商標ではなく、また、当該商品が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信させるおそれがある商標ともいえないから、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じるおそれがある商標ではない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 2 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標。色彩は原本を参照。) 別掲2(引用商標1) 別掲3(引用商標2。色彩は原本を参照。) 別掲4(引用商標3。色彩は原本を参照。) |
異議決定日 | 2019-01-16 |
出願番号 | 商願2017-29400(T2017-29400) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W30)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 押阪 彩音、菅沼 結香子 |
特許庁審判長 |
田中 敬規 |
特許庁審判官 |
阿曾 裕樹 小松 里美 |
登録日 | 2017-11-10 |
登録番号 | 商標登録第5995414号(T5995414) |
権利者 | 株式会社ミツハシ |
商標の称呼 | ミツハシ、エム |
代理人 | 柳田 征史 |