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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) W09 |
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管理番号 | 1348938 |
異議申立番号 | 異議2018-900063 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-03-13 |
確定日 | 2018-12-10 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6005734号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6005734号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6005734号商標(以下「本件商標」という。)は,「袋HP」の文字を標準文字で表してなり,平成29年4月5日登録出願,第9類「保険薬局システム用プログラムを記録した磁気ディスク,電子計算機用プログラムを記録した記録媒体,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路,磁気ディスク,磁気テープその他の周辺機器を含む。)」を指定商品として,同年11月14日に登録査定,同年12月22日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4380494号商標(以下「引用商標」という。)は,「HP」の欧文字を書してなり,平成3年10月31日に登録出願,第11類の商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,同12年4月28日に設定登録,その後,同23年10月19日に指定商品を第9類「電気磁気測定器,ローカルエリアネットワークを構成する電子計算機及びその周辺機器並びにそれらの部品,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路,磁気ディスク,磁気テープその他の周辺機器を含む。)」とする書換登録がされ,現在有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第39号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)申立人及び関連法人の沿革 申立人は,米国法人「Hewlett-Packard Company」(以下「旧HP社」という。)が2015年11月1日(米国時間)をもって,エンタープライズ事業を中心とする「Hewlett Packard Enterprise Co.」(以下「米HPE社」という。)と,主にパーソナル・コンピュータ(PC)・プリンティング事業を展開する申立人に分社化されたことにより,誕生した(甲3-1,甲3-2)。 かかる分社化に伴い,日本においては,旧HP社の日本法人であった「日本ヒューレット・パッカード株式会社」(以下「旧HP社日本法人」という。)が,米HPE社の日本法人としてエンタープライズ事業を承継し,新設会社である「株式会社日本HP」(以下「日本HP社」という。)が,申立人の日本法人としてPC・プリンティング事業を承継した(甲3-1,甲3-2)。 (2)HP社及びその略称「HP」のコンピュータ関連分野における著名性 旧HP社及び旧HP社日本法人,また申立人及び日本HP社(以下,これら4社を合わせて「HP社」という。)は,その世界的なシェアの高さが物語る商品役務の品質力,全国に有する販路の活用,多数の宣伝広告により,我が国においてコンピュータ関連の商品役務を提供する会社として著名となっている。 またHP社は,1939年の創業以来,「HP」の文字を,社名の「Hewlett-Packard」の略称及び同社の商品役務を表すものとして継続的に広告宣伝し,また,その商品役務について使用してきた。その結果,「HP」の文字は,コンピュータ関連業界の取引者・需要者のみならず,我が国の一般的な取引者・需要者にも広く浸透し,HP社の略称及びHP社の商品役務を表すものとして,広く知られている著名な商標となるに至っている。 ア 業界におけるシェア HP社は,世界のPC市場において,中国のLenovo社と1位,2位を争っている(甲4)。また,世界のプリンター市場においては,長年首位のシェアを維持しており(甲5-1,甲5-2),インクジェットプリンターに至っては,21年連続の首位を達成している(甲6)。 国内PC市場においては,HP社の2016年のシェアは3位(甲7)となっており,シェアを拡大しつつある。また,国内プリンター(インクジェットプリンター/複合機)市場においても,HP社は2016年時点でシェアを4位につけている(甲9)。 イ 我が国におけるHP社のコンピュータ関連事業 HP社は,上記のプリンターやPCの他にもモニター,マウス,キーボード,ソフトウェア等の多数のコンピュータ関連商品を取り扱っている。 これらの商品は,全国の家電量販店やパソコンショップで販売されるのみならず,公式オンラインストア「HP Directplus」や国内コールセンター,日本全国に広がる約4000社の販売店・ビジネスパートナーを通して販売され,商品の配送,設置,保守サービスも行っている(甲10?甲12)。 また,HP社のプリンターやPC,PC周辺機器,ソフトウェア等を活用したビジネスソリューションにも定評があり,全国各地の多数の企業,学校,地方公共団体,個人事業主が,HP社のコンピュータ関連商品を利用している(甲13?甲16)。 ウ 広告・宣伝 HP社は,自己の販売・提供する商品役務の広告に「HP」の文字を付して展示,頒布し続けてきた。 (ア) テレビコマーシャル HP社は,「HP」の文字を付してこれまで多くのテレビコマーシャルを放送してきた(甲17?甲22)。 (イ) 雑誌・新聞広告 HP社は,「HP」の文字を付してこれまで多くの雑誌及び新聞に,広告及びタイアップ記事を掲載してきた(甲23,甲24)。 エ 「HP」の文字の商品役務への継続使用 HP社は創業以来,ハウスマークである「HP」の文字を冠した商標を使用してきた(甲19,甲20,甲25?甲34)。 オ 「HP」の文字に関する一般の認識 上述の業界におけるHP社商品の圧倒的なシェアと,我が国における幅広いコンピュータ関連商品役務の品揃え,広範な販売エリア,多数の広告宣伝,及びハウスマーク「HP」を冠した商標の継続的使用の結果,「HP」の文字は,コンピュータ関連商品の分野において,HP社の略称及びHP社のコンピュータ関連商品役務を表すものとして,著名な商標として,我が国のコンピュータ関連商品の需要者・取引者に広く一般に認められるに至っている甲10,甲35,甲36)。 カ 審決等における著名性の認定 「HP」の文字が,HP社の略称として,また,HP社のコンピュータ関連商品の識別標識として,我が国において広く一般に知られていることは,特許庁の審決及び決定においても認められている(甲37,甲38)。 キ 以上の事実及び証拠に基づけば,本件商標の出願時(平成29年(2017)4月5日)及び登録査定時(平成29年(2017)11月14日)において,「HP」の文字が,コンピュータ関連商品の分野において,HP社の略称及びHP社の商品を表すものとして広く知られる著名な商標であることは明らかである。 (3)引用商標と本件商標が類似する理由 ア 引用商標について 引用商標は,HP社の略称及びHP社の商品を表すものとして広く知られる「HP」の欧文字からなるものである。したがって,引用商標からは,「エイチピー」の称呼及び「HP社の略称」又は「HP社がPC及びプリンター等のコンピュータ関連商品に使用するブランド」の観念が生じる。 イ 本件商標について 本件商標は,漢字の「袋」と欧文字の「HP」を横一連に表してなるところ,これらは,漢字と欧文字という異なる種類の文字とを組み合わせてなるため,外観上,「袋」と「HP」の2つの部分からなるものと認識され,常に一連一体のものとは認識されない。 また,本件商標の全体から何らかの意味が生じるものと理解されるものではなく,「袋」と「HP」の2つの部分に観念上のつながりは認められない。 よって,本件商標は,常に一連一体のものとは認識されない。 さらに,本件商標の指定商品は,コンピュータ関連商品である。よって,本件商標が,その指定商品に使用された場合,これに接する取引者・需要者は,本件商標の「HP」の文字に着目し,これがHP社の略称及びその商品を表す識別標識として認識する可能性が極めて高い。したがって,本件商標は,その構成文字全体に相応する「フクロエイチピー」との称呼を生ずるほか,その構成中の「HP」の文字部分に相応する「エイチピー」との称呼及び「HP社の略称」又は「HP社がPC及びプリンター等のコンピュータ関連商品に使用するブランド」の観念を生ずる。 ウ 引用商標と本件商標の類否について 上述のとおり,引用商標と本件商標からは,「エイチピー」との称呼及び「HP社の略称」又は「HP社がPC及びプリンター等のコンピュータ関連商品に使用するブランド」の観念が生じるので,両者は,称呼及び観念において互いに類似する。 (4)小括 本件商標と引用商標は,称呼及び観念を共通にする類似の商標であり,また,その指定商品も同一又は類似する。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号該当性について 上述のとおり,「HP」の文字は,コンピュータ関連の分野において,HP社の略称及び商標を表すものとして著名性を有している。また,引用商標は,HP社のハウスマークであり,HP社の商品役務に付される商標の多くは,ハウスマークである「HP」と何らかの文字との結合からなる。 このような状況において,「HP」の文字と「袋」の文字とを結合した本件商標を,その第9類の指定商品,すなわち,コンピュータ関連商品に使用されると,これに接した取引者,需要者は,HP社及びその商品役務を表す強い識別標識として機能する「HP」の文字から,HP社を容易に連想又は想起し,本件商標を付した商品があたかもHP社の商品であるか,あるいはHP社との間にいわゆる親子会社又は系列会社等の緊密な営業上の関係がある者の商品であると誤認し,商品の出所混同が生じるおそれが極めて高い。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審における取消理由 当審において,平成30年8月24日付けの取消理由通知書によって,商標権者に対し,「本件商標は,その指定商品に使用した場合,これに接する需要者が引用商標を想起,連想し,当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならないから,商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨の取消理由を通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。 第5 商標権者の意見 上記第4の取消理由に対し,本件商標権者は,何ら意見を述べていない。 第6 当審の判断 1 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の周知著名性について 申立人の提出した証拠及び申立ての理由を総合すると,以下のとおりである。 ア 申立人及び日本HP社(以下,これらの2社を「HP社」という。)は,パーソナルコンピュータ及びプリンターを製造,販売する企業であって,その市場において,2017年は,世界第1位のシェアであり(甲6,甲8),我が国においても2016年のシェアは,第3位である(甲7)。 そして,「HP」の文字は,HP社の略称又は申立人の業務に係るパーソナルコンピュータ及びプリンター(以下「申立人商品」という。)を表すものとして,本件商標の登録出願前の各種雑誌や新聞等の広告に多数掲載されている(甲23,甲24)。 以上を総合すると,「HP」の文字は,HP社の略称又は申立人商品を表すものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時には,我が国のコンピュータ関連商品を取り扱う分野の取引者,需要者の間に相当程度知られていることが認められる。 イ そうすると,引用商標は,本件商標の登録出願の日(平成29年4月5日)前から,登録査定日はもとより現在においても継続して,HP社の略称又は申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであり,周知著名性の程度は,極めて高いものとみるのが相当である。 (2)本件商標と引用商標の類似性の程度 本件商標は,前記第1のとおり,「袋HP」の文字からなるところ,全体として特定の熟語的意味合いを看取させるような事情は見いだし得ないから,「袋」の漢字と「HP」の欧文字を結合したものと容易に看取される。 そうすると,本件商標は,外観及び観念において,「袋」の文字部分と「HP」の文字部分とに分離して把握されやすいものである。 さらに,本件商標の構成中の「HP」の文字は,上記(1)イのとおり,本件商標の登録出願時には既に,申立人商品又は申立人の略称を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた「HP」の文字と同じ文字であることを考慮すると,本件商標に接する需要者は,その構成中の「HP」の文字部分に注意を強く惹かれ,印象付けられるとみるのが相当である。 以上からすると,本件商標と引用商標は,その構成全体を比較すれば,構成を異にするものの,本件商標の構成中,注意を強く惹かれ,印象付けられる「HP」の文字部分と引用商標とは,その綴りを共通にするものであるから,両者の類似性は高いものといえる。 (3)引用商標の独創性の程度 引用商標は,ローマ字2字を普通に書したものであり,その構成自体は,独創的なものとはいえない。 (4)本件商標の指定商品と申立人商品間の関連性の程度 本件商標の指定商品は,前記第1のとおり,コンピュータ関連の商品であり,申立人商品と同一又は類似の商品であるから,その関連性の程度が高いものであること明らかである。 (5)取引者,需要者の共通性等 本件商標の指定商品と申立人商品は,上記(4)のとおり同一又は類似の商品であり,その関連性の程度が高いものであるから,取引者,需要者は共通するといえる。 (6)出所の混同のおそれ 以上のとおり,本件商標の構成中の「HP」の文字は,その独創性の程度は高いとはいえないものの,申立人商品に使用され著名となった引用商標と同じ文字であり,その著名性の程度は本件商標の登録出願時及び査定時において極めて高いこと,また,本件商標の指定商品と申立人商品との関連性の程度が高いこと,及び取引者,需要者が共通することに照らし,本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品に使用した場合,これに接する需要者がその構成中の周知著名性が極めて高い「HP」の文字部分に着目し引用商標を想起,連想することが少なくないものと判断するのが相当である。 してみれば,本件商標は,その登録出願時及び査定時において,商標権者がこれをその指定商品に使用した場合,これに接する需要者が引用商標を想起,連想し,当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。 2 むすび 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから,その他の登録異議の申立ての理由について判断するまでもなく,同法第43条の3第2項の規定により,その登録は取り消すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2018-10-30 |
出願番号 | 商願2017-53663(T2017-53663) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(W09)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 森山 啓 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
榎本 政実 大森 友子 |
登録日 | 2017-12-22 |
登録番号 | 商標登録第6005734号(T6005734) |
権利者 | 株式会社マルエム・システムクリエート |
商標の称呼 | フクロエッチピイ、フクロエイチピイ |
代理人 | 鈴木 康仁 |
代理人 | 小林 浩 |
代理人 | 瀧澤 文 |