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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X33 |
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管理番号 | 1348914 |
審判番号 | 取消2018-300151 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2018-03-15 |
確定日 | 2019-02-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5409850号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5409850号商標(以下「本件商標」という。)は、「UMECHAM」の文字と「梅シャン」の文字を2段に書してなり、平成22年9月10日に登録出願、第33類「梅を原料とするリキュール」を指定商品として、同23年4月28日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、平成30年4月2日である。 なお、本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成27年4月2日ないし同30年4月1日である(以下「要証期間」という場合がある。)。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。 本件商標は、継続して3年以上日本国内においてその指定商品について使用された事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきである。 なお、請求人は、被請求人提出の審判事件答弁書に対して、何ら弁駁していない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。 1 審判事件答弁書における主張 (1)被請求人について 被請求人は、明治41年に創業の、鹿児島県南九州市に本店を置く酒造メーカーである。昭和55年に有限会社佐多宗二商店へ商号変更を行い現在に至る。被請求人は、伝統を重んじながらも、新規商品開発を積極的に行っており、最近では「温もりと輝き」をコンセプトとしたリキュールブランド「セッシキャラット」なども立ち上げている(乙2?乙5)。 また、自社商品として多数の銘柄を擁する被請求人は、自社及び自社商品のブランドの価値や重要性を強く認識しており、その維持・向上のための取り組みの一環として、本件商標の他、消滅したものを含めると、これまでに38件もの商標を登録している(乙6)。 (2)被請求人商品と被請求人使用商標 ア 乙第7号証 乙第7号証の1は、被請求人が製造販売する梅を使ったリキュール商品「梅シャン」(以下「被請求人商品」という。)を写真に撮ったものである。 乙第7号証の2は、乙第7号証の1の右3本をメインに写したものである。 被請求人は、被請求人商品を平成22年10月の発売開始以降、現在も販売している。 乙第7号証の1に表示された被請求人商品のうち、右3本には、横書きの「梅シャン」と「Ume-cham」を2段併記した商標(以下「被請求人使用商標」という。)が表示されている。 イ 乙第8号証 乙第8号証の1は、インターネット総合ショッピングモール「楽天」内の「酒のいまむら」のショップサイトの画面キャプチャーを印刷したものである。 乙第8号証の2は、乙第8号証の1と同じ画面を拡大した画面のキャプチャーを印刷したものである。 「酒のいまむら」は、焼酎を中心に扱う酒屋であり、当該ショッピングサイトで被請求人商品の販売を行っている。乙第8号証では、乙第7号証の1のうち、左から2番目の商品「角玉梅酒&シャルドネ葡萄ワイン」が販売されている。 当然のことながら、乙第8号証において販売される被請求人商品にも被請求人使用商標が表示されている。 乙第8号証の1の下方には、「佐多宗二商店[リキュール]梅シャン250ml5度」の表示がある。また、製造元として「佐多宗二商店」の表示がある。 したがって、乙第8号証で販売されている商品が佐多宗二商店の、即ち被請求人のものであることがわかる。 また、乙第8号証の1は、右下の表示から明らかなとおり、2018年6月3日時点の表示である。 さらに、乙第8号証の2には「2011年より容量が250mlと小さくなりました。」の表示がある。 したがって、被請求人商品が、遅くとも2012年1月から2018年6月3日に至るまで販売されていることがわかる。 加えて、乙第8号証の商品紹介には、「角玉梅酒&シャルドネ葡萄ワイン\白ワインの定番シャルドネ種のスパークリングワインと角玉梅酒の奇跡のマリアージュが絶妙な味わいと新しい世界をかもし出しました。」とある。 また、乙第7号証の1のうち、右3本の商品ラベルには、「プレミアム梅リキュール」の表示がある。 したがって、被請求人商品が、「梅を原料とするリキュール」であることは明らかである。 (3)本件商標の使用 本件商標の使用が認められるために必要な5つの要件に沿って、本件商標の使用の事実について説明する。 ア 「継続して3年以上」について 上述のとおり、乙第8号証の表示から、被請求人は被請求人商品を遅くとも2012年1月から2018年6月3日に至るまで販売していることは明らかである。 そして、当該期間には要証期間が含まれるから、被請求人使用商標が、要証期間に使用されていたことは明らかである。 イ 「日本国内において」について 乙第8号証のサイトで用いられている言語は日本語であり、また、酒のいまむらは、宮崎県えびの市所在の酒屋であるから、被請求人使用商標が日本国内で使用されていたことは明らかである。 ウ 「商標権者等が」について 上述のとおり、乙第8号証には、「佐多宗二商店[リキュール]梅シャン250ml5度」及び「製造元 佐多宗二商店」の表示があり、被請求人商品が被請求人の商品であることがわかる。 したがって、被請求人使用商標が、被請求人、即ち本件商標権者によって使用されていたことは明らかである。 エ 「指定商品について」について 本件商標の指定商品は、第33類「梅を原料とするリキュール」である。 そして、上述のとおり、乙第7号証及び乙第8号証の表示から、被請求人商品は「梅を原料とするリキュール」であることがわかる。 したがって、被請求人商品と本件商標の指定商品は同一であり、被請求人使用商標が、本件商標の指定商品に使用されていることは明らかである。 オ 「登録商標を使用していること」について 被請求人使用商標は、上述のとおり、横書きの「梅シャン」と「Ume-cham」を2段併記したものである。 そして、本件商標は、上段に「UMECHAM」を、下段に「梅シャン」を配してなるものである。 本件商標と被請求人使用商標は、上段と下段の入れ替えや書体などの違いはあるものの、「UMECHAM」と「梅シャン」を2段併記した態様であることに変わりはないから、書体のみに変更を加えた同一の文字からなるものであるといえる。 また、被請求人使用商標の英文字部分は「Ume」と「cham」の間に小さなハイフンが表示されているが、これはあくまで付記的な表示である。 その他、英文字部分における大文字と小文字の違いなど、本件商標と被請求人使用商標には細かい相違点があるものの、いずれも、本件商標との社会通念上同一性を否定するほどその識別性に影響を与えるものではない。 上記のとおり、本件商標と被請求人使用商標は完全に同一ではないものの、商標本来の機能である自他商品識別標識としての実質的な差異はない。 したがって、本件商標と被請求人使用商標は、社会通念上同一の商標と判断されてしかるべきものである。 また、被請求人使用商標は、被請求人商品のボトルに貼付されたラベルに表示されており、当該行為は、商標法上の「商品の包装に標章を付する行為」(商標法第2条第3項第1号)に該当する。 すなわち、被請求人使用商標は、被請求人商品(本件商標の指定商品)に使用されている。 以上より、本件商標が使用されていることは明らかである。 2 平成30年8月31日付け上申書(1)における主張 乙第9号証及び乙第10号証は、被請求人の売上伝票を写した写真の一部をマスキングしてコピーしたものである。 乙第9号証の商品名欄の上から4段目、また、乙第10号証の商品名欄の上から2段目には、「梅シャン 角玉梅酒&マスカット」の表示がある。 当該商品名は、乙第7号証中、右端に写った商品「梅シャン\Ume-cham\角玉梅酒&マスカットブランデー\プレミアム梅リキュール」を指す。 当該商品は「梅を原料とするリキュール」であり、また、当該商品には「梅シャン\Ume-cham」が表示されている。当該「梅シャン\Ume-cham」が本件商標と社会通念上同一であることは、審判事件答弁書において詳述したとおりである。 また、乙第9号証の伝票日付は2015/12/24であり、乙第10号証の伝票日付は2015/04/21であって、いずれも本件審判の要証期間のものである。 さらに、乙第9号証の左上に表示された取引先の住所は熊本県熊本市である。同様に、乙第10号証に表示された取引先の住所は神奈川県藤沢市である。よって、乙第9号証及び乙第10号証に係る取引は日本国内で行われたものである。 上記を勘案すると、要証期間に、本件商標を付した梅を原料とするリキュール「梅シャン\Ume-cham\角玉梅酒&マスカットブランデー\プレミアム梅リキュール」が日本国内において販売されたことは明らかである。 よって、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標の指定商品「梅を原料とするリキュール」について本件商標を使用していることは明らかである。 第4 当審の判断 1 事実認定 (1)被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。 ア 乙第8号証の2は、インターターネットのショッピングモール「楽天」内の「酒のいまむら」のウェブページ(以下「本件ウェブページ」という。)のキャプチャー画像であり、2018年6月4日にプリントアウトされたものと認められる。 イ 本件ウェブページには、上部中央に「正午までのご注文は当日発送可能!」の記載があり、中央にラベルの付された瓶入り商品の上半分の画像及び該ラベル部分の拡大写真が掲載され、該ラベルには中央にややデザイン化された「Ume-cham」の文字を表し、その右上には小さく「梅シャン」の文字、下に「角玉梅酒&シャルドネ葡萄ワイン」及び「プレミアム梅リキュール」の文字が配されている。 ウ 本件ウェブページの「味わい香り」欄の下部には「※2011年より容量が250mlと小さくなりました。」の記載があり、「商品データ」欄には「製造元 佐多宗二商店」の記載がある。 (2)上記(1)からすれば、本件ウェブページに掲載されているラベルの付された瓶入りの商品(以下「本件使用商品」という。)は、そのラベルの「角玉梅酒&シャルドネ葡萄ワイン」及び「プレミアム梅リキュール」の記載から、「梅酒入りのリキュール」と認められ、また「商品データ」欄の「製造元」として記載された「佐多宗二商店」は、本件商標権者の名称と一致することから、本件使用商品は本件商標権者の製造に係る商品といえる。 そして、本件ウェブページがショッピングモール「楽天」内のものであること、及び「正午までのご注文は当日発送可能!」の記載があることを併せみれば、本件使用商品は本件ウェブページにおいて広告され、販売されているものと認められる。 また、本件ウェブページの「味わい香り」欄に「※2011年より容量が250mlと小さくなりました。」の記載があることから、本件ウェブページは2011年(平成23年)頃から2018年(平成30年)6月4日まで継続して掲載されていたとみて差し支えない。 そうすると、本件商標権者の製造に係る本件使用商品「梅酒入りのリキュール」は、本件ウェブページにおいて、平成23年頃から平成30年6月まで継続して広告、販売されていたということができる。 2 判断 (1)使用商標について 本件商標は、上記第1のとおり「UMECHAM」と「梅シャン」の文字を2段に書してなるものである。 本件使用商品のラベルには、上記1(1)イのとおり「梅シャン」及び「Ume-cham」の文字が2段に記載されている(以下「本件使用商標」という。)。 そこで、本件商標と本件使用商標を比較すると、両者は上段と下段が入れ替わり、欧文字部分の「-(ハイフン)」の有無、大文字と小文字の差異などがあるものの、「梅シャン」の文字と「UMECHAM(Ume-cham)」の欧文字の綴りを共通にするから、本件商標と本件使用商標は社会通念上同一と認められる。 (2)使用商品について 本件使用商品は「梅酒入りのリキュール」であり、これは、本件審判の請求に係る指定商品「梅を原料とするリキュール」の範ちゅうに含まれる商品である。 (3)使用時期について 本件使用商品が本件ウェブページで広告、販売されていた平成23年頃から平成30年6月の期間は、要証期間を含んでいること明らかであるから、本件使用商品に本件使用商標が記載されたラベルを付した時期も要証期間を含んでいることが推認できる。 (4)使用者について 本件使用商標が記載されたラベルが付されている本件使用商品の製造元として本件商標権者と同一の名称が記載されていることから、本件使用商標の使用者は本件商標権者であると推認できる。 (5)小括 上記(1)ないし(4)からすれば、本件商標権者は、要証期間に、日本国内において本件審判の請求に係る指定商品「梅を原料とするリキュール」の範ちゅうに含まれる商品に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した(商標法第2条第3項第1号に該当。)と認められる。 3 まとめ 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標権者が本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したといわなければならない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-12-04 |
結審通知日 | 2018-12-06 |
審決日 | 2018-12-27 |
出願番号 | 商願2010-71596(T2010-71596) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(X33)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 早川 真規子、深田 彩紀子 |
特許庁審判長 |
大森 健司 |
特許庁審判官 |
小松 里美 中束 としえ |
登録日 | 2011-04-28 |
登録番号 | 商標登録第5409850号(T5409850) |
商標の称呼 | ウメシャン、ウメチャム、シャン、チャム |
代理人 | 山野 有希子 |
代理人 | 勝見 元博 |
代理人 | 松尾 憲一郎 |
代理人 | 市川 泰央 |
代理人 | 鮫島 睦 |