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審決分類 審判 一部無効 商8条先願 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W03
管理番号 1348792 
審判番号 無効2017-890041 
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-06-30 
確定日 2019-01-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5733567号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5733567号の指定商品中、第3類「せっけん類,歯磨き,入浴剤(医療用のものを除く。),化粧品,香料,薫料」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5733567号商標(以下「本件商標」という。)は、「マリーアントワネット」の片仮名を標準文字で表してなり、平成26年9月4日に登録出願、同年12月25日に登録査定、第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,歯磨き,入浴剤(医療用のものを除く。),化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同27年1月16日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標が商標法第8条第1項に該当するとして引用する国際登録第1238820号商標(以下「引用商標」という。)は、「Marie-Antoinette」の欧文字を横書きしてなり、2014年8月22日にBeneluxにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年(平成26年)12月5日に国際商標登録出願、第3類「Bleaching preparations [decolorants] for cosmetic purposes; perfumery, essential oils, cosmetics, hair lotions; dentifrices; cosmetic soaps, soaps for personal use; douching preparations for personal sanitary or deodorant purposes [toiletries].」並びに、第9類、第18類及び第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成29年2月10日に設定登録されたものである。

第3 手続の経緯
本件審判事件(以下「本件」という。)については、平成29年7月18日付けで、被請求人に対し、審判請求書副本を送付し、答弁があれば、答弁書を提出するように求めたところ、被請求人から、請求人と本件の取下げについて交渉中であり、答弁書の提出について猶予を願う旨の平成29年8月28日付けの上申書が提出された。
そこで、審判長は、請求人に対しては、被請求人との交渉の進捗状況の説明及び本件の審理の猶予の必要性についての意見を求める旨、また、被請求人に対しては、請求人から上記審尋に対する回答書の提出がされない場合は、本件の審理を進める旨を内容とする平成29年9月21日付けの審尋を送付したところ、請求人から、本件について請求人は被請求人と交渉は行っておらず、本件を取り下げる意思はないから、審理の猶予は不要である旨の同年10月16日付けの回答書が提出され、被請求人から、引用商標について無効審判(無効2017-680002)を請求しており、当該無効審判の審決が確定するまで審理の猶予を求める旨の同月19日付けの上申書が提出された。
その後、上記審判事件(無効2017-680002)は、引用商標の国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿の記載によれば、その指定商品中、第3類「Bleaching preparations [decolorants] for cosmetic purposes; perfumery, essential oils, cosmetics, hair lotions; dentifrices; cosmetic soaps, soaps for personal use; douching preparations for personal sanitary or deodorant purposes [toiletries].」についての登録を無効とするとの審決を求める審判請求について、不成立の審決が、平成30年9月10日に確定し、その確定審決の登録が同年10月26日にされている。

第4 請求人の主張(要旨)
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 本件商標
本件商標からは、その態様に照応して「マリーアントワネット」の称呼を生じ、当該文字は、フランス国王ルイ16世の妃であり、我が国おいても広くその名を知られていることから、「マリーアントワネット王妃」の観念を生じる。
2 引用商標
引用商標からは、その態様に照応して「マリーアントワネット」の称呼及びフランス国王ルイ16世の妃である「マリーアントワネット王妃」の観念を生じる。
3 本件商標と引用商標との類否
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念を共通にする類似の商標であるというべきである。
4 本件商標と引用商標の指定商品の類否
本件商標と引用商標の指定商品は、それぞれ前記第1及び第2のとおりであるところ、本件商標の指定商品中、第3類「せっけん類,歯磨き,入浴剤(医療用のものを除く。),化粧品,香料,薫料」が、引用商標の指定商品中、第3類「Bleaching preparations [decolorants] for cosmetic purposes; perfumery, essential oils, cosmetics, hair lotions; dentifrices; cosmetic soaps, soaps for personal use; douching preparations for personal sanitary or deodorant purposes [toiletries].」と同一又は類似であることは、特許庁の審査基準に照らしても明らかである。
5 まとめ
請求人の所有に係る引用商標の先願権発生日は、その国際登録の基礎となるベネルクス商標の登録出願日である平成26年8月22日であるところ、本件商標の登録出願日は、平成26年9月4日であり、引用商標の後願にあたる。
また、本件商標と引用商標とは、片仮名と欧文字という文字種の違いに起因する外観上の相違があるとはいえ、称呼及び観念を共通にする類似の商標である。
そして、本件商標は、引用商標の指定商品中の第3類の指定商品と同一又は類似の商品である、第3類「せっけん類,歯磨き,入浴剤(医療用のものを除く。),化粧品,香料,薫料」に使用するものである。
6 むすび
上記のとおり、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その指定商品中の第3類「せっけん類,歯磨き,入浴剤(医療用のものを除く。),化粧品,香料,薫料」について無効とすべきものである。

第5 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の主張に対し何ら答弁していない。

第6 当審の判断
請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有する者であることについては、当事者間に争いがないので、本案に入って審理し、判断する。
1 商標法第8条第1項該当性について
(1)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本件商標の指定商品中、第3類「せっけん類,歯磨き,入浴剤(医療用のものを除く。),化粧品,香料,薫料」は、引用商標の指定商品中、第3類「Bleaching preparations [decolorants] for cosmetic purposes; perfumery, essential oils, cosmetics, hair lotions; dentifrices; cosmetic soaps, soaps for personal use; douching preparations for personal sanitary or deodorant purposes [toiletries].」と、同一又は類似の商品である。
(2)本件商標と引用商標との類否について
ア 本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「マリーアントワネット」の片仮名を標準文字により表してなるものであるところ、我が国においても広く知られた「(ルイ16世の妃)マリーアントワネット」を表す語と認められるから、本件商標は、その構成文字に相応して「マリーアントワネット」の称呼及び「(ルイ16世の妃)マリーアントワネット」の観念を生じるものである。
イ 引用商標について
引用商標は、前記第2のとおり、「Marie-Antoinette」の欧文字を横書きしてなるものであるところ、当該文字からは、「マリーアントワネット」の称呼及び「(ルイ16世の妃)マリーアントワネット」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、「マリーアントワネット」の片仮名からなるのに対し、引用商標は、「Marie-Antoinette」の欧文字を横書きしてなるものであるから、両者は外観上、相違するものの、本件商標と引用商標は、「マリーアントワネット」の称呼及び「(ルイ16世の妃)マリーアントワネット」の観念を同じくするものであるから、これらを総合勘案すれば、両商標は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
(3)本件商標と引用商標の商標登録出願日について
本件商標は、前記第1のとおり、平成26年9月4日に登録出願されたものであり、引用商標は、前記第2のとおり、2014年(平成26年)8月22日にBeneluxにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、平成26年9月16日に登録出願されたものであるから、本件商標よりも引用商標が先願である。
(4)本件商標及び引用商標に係る商標登録出願人について
引用商標に係る商標登録出願人と本件商標に係る商標登録出願人(本件商標権者)とは同一人ではない。
(5)小括
以上のとおりであるから、同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があつたときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができるところ、最先の商標登録出願人ではない者(本件商標権者)が商標登録を受けたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第8条第1項の規定に違反してされたものである。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の指定商品中、第3類「せっけん類,歯磨き,入浴剤(医療用のものを除く。),化粧品,香料,薫料」についての登録は、商標法第8条第1項に違反してされたものであるから、商標法第46条第1項の規定に基づき、無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-11-14 
結審通知日 2018-11-16 
審決日 2018-11-30 
出願番号 商願2014-74836(T2014-74836) 
審決分類 T 1 12・ 4- Z (W03)
最終処分 成立  
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 中束 としえ
金子 尚人
登録日 2015-01-16 
登録番号 商標登録第5733567号(T5733567) 
商標の称呼 マリーアントワネット 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 アクシス国際特許業務法人 
代理人 石田 昌彦 
代理人 田中 克郎 
代理人 右馬埜 大地 

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