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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W09
審判 査定不服 観念類似 登録しない W09
審判 査定不服 外観類似 登録しない W09
管理番号 1347831 
審判番号 不服2018-8300 
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-18 
確定日 2018-12-17 
事件の表示 商願2017- 41801拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおり構成からなり、第9類及び第38類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成29年3月28日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同年11月15日受付の手続補正書及び審判請求と同時に提出された同30年6月18日受付の手続補正書により、最終的に、第9類「ネットワーク用ルーター,無線ルータ?,スマートフォン,スマートフォンに取り付ける電波受信用アンテナ,スマートフォン用のカバー,スマートフォン用のケース,スマートフォン用保護フィルム,自撮り棒(手持ち用一脚),双方向タッチスクリーン端末機,腕時計型携帯情報端末,眼鏡型携帯情報端末,指輪型携帯情報端末,タブレット型携帯情報端末,光学式記録媒体,未記録の磁気記録媒体,SIMカード(未記録のもの),電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電子出版物,カメラ,カメラモジュール,虹彩認証装置用カメラモジュール,虹彩認証のためのアルゴリズムを含むコンピュータソフトウェア,光学機械器具」と補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5557340号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおり、「SHINSEI」の欧文字を横書きしてなり、平成24年6月14日に登録出願、第9類「オゾン発生器,電解槽,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気磁気測定器,電気通信機械器具」、第10類「医療用機械器具」及び第11類「暖冷房装置,冷凍機械器具,業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,業務用食器消毒器,電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。),アイスボックス,氷冷蔵庫,家庭用浄水器」を指定商品として、同25年2月15日に設定登録されたものである。
(2)登録第5968878号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおり、「Shinsei」の欧文字を横書きしてなり、平成28年11月10日に登録出願、第9類「インクジェットプリンター,サーマルプリンター,バーコードプリンター,その他の電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。)及びその部品」及び第16類「ハンドラベラー,ハンドラベラーの部品および付属品」を指定商品として、同29年8月4日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめて「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、青色のグラデーションが施された円形の図形(図形内に白抜きで「S」の文字を表している)と、その図形の右横に、紺色で「SHINSEI」及び「CORPORATION」の欧文字を上下二段に横書きした構成からなるものである。
そして、本願商標において、図形部分と文字部分とは、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいい難いものである。
そうすると、本願商標の図形部分は、我が国において特定の事物を表したもの又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、該図形部分からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
また、本願商標の文字部分は、「SHINSEI」及び「CORPORATION」の文字からなるところ、「SHINSEI」の文字は、辞書等に掲載されている語ではなく、特定の観念を生じるとはいえないものであり、「CORPORATION」の文字は、「法人、株式会社」等の会社の種類を表す語として広く使用されており、さらに、「SHINSEI」の文字がやや太く表されていることからすれば、「SHINSEI」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部として認識され、当該文字部分のみに着目し、その文字部分から生ずる称呼及び観念をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
してみれば、本願商標は、その構成中の「SHINSEI」の文字部分を要部として抽出し、引用商標と比較して、商標の類否を判断することができるものである。
したがって、本願商標は、全体から生じる称呼のほか、その構成中の「SHINSEI」の文字部分に相応して「シンセイ」の称呼をも生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標1は、別掲2のとおり、「SHINSEI」の欧文字を横書きしてなり、引用商標2は、別掲3のとおり、青色で「Shinsei」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、一般的な辞書に掲載がなく、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから、特定の観念を生じることのない一種の造語を表したものと理解されるものである。
したがって、引用商標は、該文字に相応して、「シンセイ」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標とを比較すると、外観においては、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、その全体の構成においては、両者は差異を有するものであるが、本願商標の要部である「SHINSEI」の文字部分と引用商標とを比較すると、これらは、書体、色の相違及び大文字と小文字の差異はあるものの、そのつづりを共通にするものであるから、外観上、近似するものである。
次に、称呼においては、両者は、「シンセイ」の称呼を同一にするものである。
そして、観念においては、両者は特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができないものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できず、全体の外観において相違するものの、本願商標の要部である「SHINSEI」の欧文字部分と引用商標とは、外観上、近似するものであって、「シンセイ」の称呼を同一にするものであるから、これらを総合的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
エ 本願の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
本願の指定商品中「ネットワーク用ルーター,無線ルータ?,スマートフォン,スマートフォンに取り付ける電波受信用アンテナ,スマートフォン用のカバー,スマートフォン用のケース,スマートフォン用保護フィルム,自撮り棒(手持ち用一脚),双方向タッチスクリーン端末機,腕時計型携帯情報端末,眼鏡型携帯情報端末,指輪型携帯情報端末,タブレット型携帯情報端末,光学式記録媒体,未記録の磁気記録媒体,SIMカード(未記録のもの),電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,カメラモジュール,虹彩認証装置用カメラモジュール,虹彩認証のためのアルゴリズムを含むコンピュータソフトウェア」と引用商標1の指定商品中「電気通信機械器具」及び引用商標2の指定商品中「インクジェットプリンター,サーマルプリンター,バーコードプリンター,その他の電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。)及びその部品」とは、生産、販売部門、需要者の範囲などが一致するものであるから、本願の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似するものである。
オ 小括
以上によれば、本願商標と引用商標とは、類似の商標であって、かつ、その指定商品も同一又は類似の商品であるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「本願商標は請求人のハウスマークとして広く使用された結果、請求人自身又は請求人の業務に係る商品を表示するものとして一定の認知を獲得しているものであるので、本願商標の構成中から『SHINSEI』部分のみを敢えて分離抽出して各引用商標と対比しなければならない明白な事情はないというべきであり、本願商標は常に一体不可分の識別標識と捉えられるものであるから、これからは『シンセイコーポレーション』の称呼のみが生じ、その構成中の『SHINSEI』の文字部分が自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得る要部として認識されるものではなく、称呼、外観及び観念のいずれもが引用商標1及び2とは非類似である。」旨主張する。
そこで、請求人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を徴するに、請求人は、各種の電子機器を製造販売するメーカーであり、請求人が製造販売するルーター等のネットワーク関連機器のパンフレットとマニュアルには、本願商標と同一又は類似の標章が表示されていることが確認される(甲8の1?24)。そして、ネットワーク関連製品については、2008年から現在に至るまでの10年間の累計で100万台を超える商品を出荷していること(甲9)、また、「RBB TODAY」が主催する「モバイルアワード2013」において、モバイルWi-Fiルータ部門で最優秀賞を受賞したことがうかがえる(甲10)。
しかしながら、上記商品の出荷台数(甲9)は、請求人が数値のみをリスト化したもので、そこに記載の数値を裏付ける具体的な証拠の提出はなく、また、同業他社の出荷台数等は立証されていないからその台数の多寡について評価することはできないし、該商品の市場占有率(シェア)やパンフレット等の作成枚数、作成日、配布方法、宣伝広告の範囲と回数等についても不明である。そして、「RBB TODAY」が主催する「モバイルアワード2013」での最優秀賞受賞にしても、わずか1回のことであり、かつ、多数ある部門のうちの一にすぎないものであって、その受賞によって飛躍的に取引量が増えているような事実も見受けられない。
そうすると、本願商標は、請求人の提出に係る甲各号証によっては、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。
その他、提出された証拠からは、本願商標が、常にその全体を一体不可分のものとしてのみ捉えなければならないとみるべき特段の事情は見いだすことができない。
そして、本願商標は、その図形部分と文字部分とが視覚上、分離して看取されること、文字部分の「CORPORATION」の文字が、識別力が弱いことから、「SHINSEI」の文字が要部として認識され、これを他の商標と比較して、その類否を判断することは許されるものであることは、前述のとおりである。
したがって、本願商標が常に一体不可分のものとしてのみ認識されるとはいえず、簡易迅速性を重んずる商取引の実際において、取引者、需要者は、本願商標の構成中の「SHINSEI」の文字部分を要部として認識し、その部分によって取引に資される場合も決して少なくないというべきであるから、上記請求人の主張は採用することができない。
イ 請求人は、過去の審決例等を挙げて、本願も同様に判断して商標登録されるべき旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断は、過去の登録例、審決例等の判断に拘束されることなく、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される商品の取引の実情等を考慮し、本件の事案に即して本願商標と引用商標との対比により、個別具体的に判断されるべきものであって、過去の登録例、審決例等の判断に拘束されるものではないから、係る請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標(色彩は、原本参照。)


別掲2 引用商標1


別掲3 引用商標2(色彩は、原本参照。)



審理終結日 2018-10-18 
結審通知日 2018-10-19 
審決日 2018-10-31 
出願番号 商願2017-41801(T2017-41801) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W09)
T 1 8・ 262- Z (W09)
T 1 8・ 261- Z (W09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安達 輝幸 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 木住野 勝也
小俣 克巳
商標の称呼 シンセイコーポレーション、シンセーコーポレーション、シンセー、エス 
代理人 特許業務法人 有古特許事務所 

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