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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W34
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W34
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W34
管理番号 1346177 
異議申立番号 異議2015-900253 
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-07-30 
確定日 2018-10-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5761226号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5761226号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5761226号商標(以下「本件商標」という。)は,「CLOUDS OF HOPE」の文字を標準文字で表してなり,2014年(平成26年)7月18日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,平成27年1月13日に登録出願,第34類「電子たばこのカートリッジに詰め替えて使用する液状の香料からなる電子たばこ用リキッド」を指定商品として,同年4月3日に登録査定,同月24日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は,以下の3件であり(これらをまとめていうときは,以下「引用商標」という。),その商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第829400号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲(1)のとおりの構成よりなり,昭和42年12月26日に登録出願,第27類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,昭和44年8月25日に設定登録され,その後,昭和55年6月27日,平成元年10月23日,平成11年8月3日及び平成21年8月4日に商標権存続期間の更新登録がされ,さらに,平成21年10月21日に,指定商品を第34類「フィルター付ロングサイズたばこ」とする指定商品の書換登録がされたものである。
2 登録第3165164号商標(以下「引用商標2」という。)は,「HOPE」の文字を横書きしてなり,平成5年2月26日に登録出願,第34類「たばこ,喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」を指定商品として,平成8年6月28日に設定登録され,その後,平成18年3月22日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
3 登録第4757894号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲(2)のとおりの構成よりなり,平成15年9月29日に登録出願,第34類「たばこ,喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」を指定商品として,平成16年3月19日に設定登録され,その後,平成25年10月8日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,登録異議の申立ての理由を要旨次のように主張し,証拠方法として甲第1号証ないし甲第62号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標を構成する「CLOUDS」の文字は,その指定商品との関係で識別力が乏しいため,当該文字部分は商標の類否判断の対象とはならない。
本件商標の要部は「HOPE」の文字部分であるから,本件商標からは引用商標と同一の「ホープ」の称呼が生じ,また,本件商標及び引用商標からは同一の観念が生じる。
本件商標と引用商標とは称呼及び観念を共通にする類似する商標であり,その指定商品においても類似することは明らかである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
引用商標は,申立人が製造・販売するたばこの代表的なブランドの一つである「HOPE(ホープ)」ブランドを表す商標として,たばこの取引者,需要者間で広く知られているものであるから,これと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合,その商品に接する取引者,需要者が,申立人の業務に係る商品の出所について混同を生じるおそれがある。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
3 むすび
上述のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものであるから,同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。

第4 取消理由通知
当審において,平成27年12月4日付けで,商標権者に対し通知した取消理由は,次のとおりである。
1 引用商標の著名性
申立人の提出した証拠(甲38ないし甲62)によれば,引用商標3を付したたばこ(時代の変遷とともに,パッケージのデザインも多少の変遷がみられるが,いずれも別掲(2)のとおりの構成よりなる商標と構成の軌を一にする。)は,日本初のフィルター付きのたばことして,1957年(昭和32年)に発売を開始して以来,今日まで約58年もの間継続して全国で販売され,その売上高は,少なくとも2010年(平成22年)以降,毎年60億円(税込)を越えていること,また,引用商標1を付したたばこは,1964年(昭和39年)に,引用商標3を付したたばこの姉妹品として発売され,長年継続して全国で販売されていること,さらに,申立人は,引用商標3を付したたばこの姉妹品として,1992年(平成4年)に「ホープ・ライト」,2003年(平成15年)に「ホープ・メンソール」,2004年(平成16年)に「ホープ・スーパーライト」を,それぞれ発売し,その他,期間限定の商品も販売したこと,申立人は,これらのたばこについて,カタログ等を作製・頒布し,あるいは,キャンペーンの実施をするなど広告を継続して行ってきたこと,また,引用商標3を付したたばこやその姉妹品は,様々な新聞や雑誌等の記事で取り上げられたこと,などを認めることができ,引用商標1及び引用商標3はいうまでもなく,引用商標3に含まれる「HOPE」の文字と同一の態様からなる引用商標2は,申立人の業務に係る商品「たばこ」を表示するものとして,「ホープ」と称呼され,本件商標の登録出願日(優先権主張の基礎となった2014年(平成26年)7月18日をいう。以下同じ。)には既に,我が国のたばこを取り扱う分野の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。そして,その著名性は,本件商標の登録査定日(平成27年4月3日)においても継続していたものと認めることができる。
2 本件商標と引用商標との類否
(1)本件商標について
本件商標は,前記第1のとおり,「CLOUDS OF HOPE」の文字を標準文字で表してなり,その指定商品を「電子たばこのカートリッジに詰め替えて使用する液状の香料からなる電子たばこ用リキッド」とするものであるところ,該文字は,「CLOUDS」,「OF」,「HOPE」の各文字の間に一文字程度の間隔を有するばかりでなく,構成文字全体より生ずると認められる「クラウズオブホープ」の称呼もやや冗長にわたるものである。さらに,本件商標は,構成文字全体より「希望の雲」なる意味合いが生ずるとしても,その意味合いは漠然としたものであり,明確な観念を伴うものではない。
また,「cloud」は,「雲」の意味を有するほか,「もうもうと立ちこめるもの,たばこの煙」などの意味を有する英単語(研究社 新英和中辞典)である。そして,本件商標の指定商品と密接な関係を有する「電子たばこ」は,「紙巻きたばこに似た大きさの筒の中に,液体入りのカートリッジとバッテリー,変霧器があり,吸い口で吸うと液体が霧状となり,吸い口に流れ出ていく装置」である(2015年1月1日,自由国民社発行「現代用語の基礎知識」794頁)ところ,近年,電子たばこを吸うことにより,その香りを楽しむのみならず,より多くの蒸気(煙)を発生させるかを競う愛好家が増え,蒸気(煙)を綺麗に,かつ,大量に出すかを競う大会を「クラウドチェイス(大会)」と称している事実があることを認めることができる(甲15,甲24)。
そうすると,本件商標は,その構成中の「CLOUDS」の文字部分が,指定商品との関係から考察すると,吐出される煙の意味合いを表したと理解される場合があることに加え,その構成中の「HOPE」の文字部分が,本件商標の登録出願日には既に,申立人の業務に係る商品「たばこ」を表示するものとして,我が国のたばこを取り扱う分野の取引者,需要者の間に広く認識されていた引用商標3に含まれる「HOPE」の文字及び引用商標2と同一の綴り文字よりなり,また,引用商標より生ずると認められる「ホープ」と同一の称呼を生ずるものであることからすれば,本件商標をその指定商品について使用した場合には,これに接する取引者,需要者は,その構成中の「HOPE」の文字部分に強く印象付けられ,当該商品が著名なたばこ「HOPE(ホープ)」とその生産者を同じくする商品,あるいは,その原材料や香り等の特徴において何らかの関連性のある商品であると想起又は連想する場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
してみると,本件商標は,これを常に構成全体をもって一体不可分の商標を表したと把握,認識されるものではなく,構成文字全体を称呼した場合の「クラウズオブホープ」の称呼のほか,強く支配的な印象を与える「HOPE」の文字部分より,単に「ホープ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。また,「HOPE」の文字部分からは「希望」の観念を生ずるものである。
(2)引用商標
引用商標1は,別掲(1)のとおりの構成よりなるものであるところ,その構成中,顕著に表された「hope」の文字部分に相応して,「ホープ」の称呼及び「希望」の観念を生ずるものである。
引用商標2は,前記第2(2)のとおり,「HOPE」の文字を横書きしてなるものであるから,これより「ホープ」の称呼及び「希望」の観念を生ずるものである。
引用商標3は,別掲(2)のとおりの構成よりなるものであるところ,その構成中,顕著に表された「HOPE」の文字部分に相応して,「ホープ」の称呼及び「希望」の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標との対比
上記(1)及び(2)によれば,本件商標と引用商標は,全体としての外観において相違するものの,「ホープ」の称呼及び「希望」の観念を同じくする類似の商標というべきである。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否
本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品中の「たばこ」と,商品の用途,性質を同じくし,また,販売場所,需要者等を同じくする場合が多い類似の商品と認められる。
(5)むすび
以上のとおり,本件商標は,引用商標と称呼及び観念を同じくする類似の商標であって,その指定商品も引用商標の指定商品と類似するものであるから,その登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものと認める。

第5 商標権者の意見
前記第4の取消理由に対し,商標権者は,何ら意見を述べるところがない。

第6 当審の判断
本件商標についてした前記第4の取消理由は,妥当なものと認められる。
したがって,本件商標は,上述した取消理由により,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたと認められるから,申立人のその余の申立理由について判断するまでもなく,同法第43条の3第2項の規定に基づき,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)引用商標1

(色彩については原本参照)

(2)引用商標3



異議決定日 2016-03-29 
出願番号 商願2015-2330(T2015-2330) 
審決分類 T 1 651・ 262- Z (W34)
T 1 651・ 263- Z (W34)
T 1 651・ 261- Z (W34)
最終処分 取消  
前審関与審査官 吉岡 めぐみ 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 中束 としえ
前山 るり子
登録日 2015-04-24 
登録番号 商標登録第5761226号(T5761226) 
権利者 スペース ジャム ジュース リミテッド ライアビリティ カンパニー
商標の称呼 クラウズオブホープ 
代理人 江成 文恵 
代理人 川崎 隆夫 
代理人 瀧野 秀雄 
代理人 今井 貴子 
代理人 瀧野 文雄 

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