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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2017300101 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z09
管理番号 1346085 
審判番号 取消2017-300687 
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-09-11 
確定日 2018-10-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第4376782号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4376782号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおり,「麒麟」の文字を横書きしてなり,平成10年10月7日に登録出願,第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,事故防護用手袋,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器,電動式扉自動開閉装置」及び第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形,運動用具,スキーワックス,釣り具」を指定商品として,同12年4月14日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,平成29年9月28日である。

第2 請求人の主張
請求人は,本件商標の指定商品中,第9類「電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取り消す,審判費用は,被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第9類「電子応用機械器具及びその部品」について継続して3年以上日本国内において使用されておらず,他人に専用使用権を設定又は通常使用権を許諾した形跡はなく,登録されていない通常使用権者が使用しているとの事実も見いだせない。また,本件商標を使用していないことについて何ら正当な理由が存することも認められないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人の答弁に対して弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第31号証を提出した。
1 被請求人の主張
本件商標権者又は通常使用権者は,本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に日本国内において,その請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしているものであるから,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。
(1)マウスパッドに係る使用
ア 本件商標の使用者及び本件使用標章について
(ア)本件商標権者について
本件商標権者は,キリンホールディングス株式会社の100%子会社であり,別掲2に示すとおりの構成からなる標章「KIRIN」(以下「本件標章」という。)を使用して,主として国内総合飲料事業の事業管理及び専門サービスの提供等を行っている(乙2)。
(イ)キリンアンドコミュニケーションズ株式会社について
キリンアンドコミュニケーションズ株式会社(以下「キリンアンドコミュニケーションズ」という。)は,本件商標権者及びキリンビール株式会社のグループ会社であり(乙2,3),本件標章を使用して,広報事業として,ブルワリーツアー事業,キリンビール工場見学運営のほか,ショップ事業として工場見学向けのキリンビール商品,キリンオリジナルグッズの商品開発,販売及びショップ運営等を行っている(乙3)。
(ウ)本件商標と本件標章について
「麒麟」の文字からなる本件商標と「KIRIN」の文字からなる本件標章は,それぞれの構成文字に相応して,いずれも「キリン」の称呼が生じるものである。
また,「麒麟」の文字は,「中国で聖人の出る前に現れると称する想像上の動物の麒麟」及び「哺乳類のキリン」の観念が生じ,本件標章の「KIRIN」の文字は,「麒麟」の文字をローマ字表記したものと容易に認識されるから,本件商標と本件標章は,いずれも同一の観念が生じるものである。
そうすると,本件標章は,本件商標と称呼及び観念を同一にするものであるから,本件商標と社会通念上同一と認められる商標である(乙4,5)。
(エ)商標権者及び通常使用権者について
キリンホールディングス株式会社及びそのグループ会社で構成されるキリングループは,本件標章を,キリングループのブランドシンボルとして位置付け,キリングループ各社は,これをウェブサイトの各ページ左肩あるいは右肩などに表示して,キリングループ及びその商品や役務を広く示すハウスマークとしても使用している(乙2?5)。そして,本件標章は,防護標章として登録されていることから(乙6),キリングループの商品又は役務を示すものとして取引者及び需要者の間で周知著名になっている。
そして,本件商標権者は,キリングループにおける本件標章の使用についての管理をし,本件標章を使用して,キリングループ各社の取扱商品及び取扱役務に関する広告をしている(乙2)。
また,同一グループ内において商標の使用を許諾することは一般に行われているところ(乙7?10),キリンアンドコミュニケーションズは,被請求人と同一グループの会社であり,本件標章は,キリングループ及びその商品や役務を広く示すハウスマークとしても使用されるものであって,本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
そうすると,キリンアンドコミュニケーションズは,本件商標について,本件商標権者から黙示の使用の許諾を受けていた通常使用権者である(乙4)。
イ マウスパッドの販売等について
(ア)販売等の事実1
a 価格表及び包装
キリンビール株式会社取手工場内のショップにおいて,マウスパッドが販売され,広告されていた(乙11)。
マウスパッドの価格表,包装用紙,包装用袋,工場の外に設置されている看板,工場内ショップ入口ドア,陳列台,買い物かご及びショップ店員のネームプレートには本件標章が使用されている。
b 取引書類
要証期間内である平成27年1月21日には,前記ショップで陳列されていたマウスパッドが販売された(乙12)。
(イ)販売等の事実2
a 広告(ウェブサイト)
本件商標権者のウェブサイトである「キリンファクトリーショップ」の「工場限定アイテムラインナップ!」のページにおいて,マウスパッドの写真とともに「マウスパッド・しずく 750円(税込)」の表示がされている(乙2)。
本件商標権者のウェブサイトの各ページ左肩には,本件標章が使用されている(乙2,3)。
そして,「キリンファクトリーショップ」のウェブサイトにおいて「マウスパッド・しずく 750円(税込)」が表示されるようになったのは,平成27年8月31日作成の請求書(乙14)のとおり,平成27年8月21日であり,要証期間内である。
b 取引書類
要証期間内である平成27年9月5日,同28年1月9日,同29年1月20日に,キリンビール株式会社仙台工場内のショップにおいてマウスパッドが販売された(乙2,15?17)。
ウ 商品との具体的関係における使用について
(ア)指定商品に含まれること
マウスパッドは,本件審判の請求に係る指定商品に含まれるものである(乙18,19)。
(イ)指定商品についての使用であること
a 価格表・取引書類及び包装
本件標章は,マウスパッドに係る価格表及び取引書類に具体的に表示されているから(乙11,12,15?17),マウスパッドとの具体的関係において使用されている(商標法第2条第3項第8号)。
また,包装用紙及び包装用袋(乙11)は,マウスパッドを購入した際,商品の包装に用いられるものであるところ,当該包装用紙及び包装用袋に使用された本件標章は,マウスパッドとの具体的関係において使用されているといえる(商標法第2条第3項第1号,同項第2号)。
b 広告(ウェブサイト)
本件商標権者及びキリンアンドコミュニケーションズの各ウェブサイトの各ページ左肩には,本件標章が使用されているが(乙2,3),これは,キリングループ及びその商品や役務を広く示すハウスマークとして使用しているものであるから(乙4,5),各ウェブサイトに掲載されている各種商品について,それらに付されている個別商標が果たしている機能とは別に,本件商標権者及びキリンアンドコミュニケーションズが取り扱うすべての商品についての識別標識(代表的出所標識)としての機能を果たしているものということができる。
したがって,本件商標権者及びキリンアンドコミュニケーションズのウェブサイトの各ページ左肩に表示される本件標章は,マウスパッドとの具体的関係において使用されているといえる(商標法第2条第3項第8号)。
エ 小括
以上より,本件商標権者は,要証期間内に,本件商標と社会通念上同一と認められる本件標章を使用して,その請求に係る指定商品に含まれるマウスパッドに関し,広告しているものである。
また,本件商標の通常使用権者であるキリンアンドコミュニケーションズは,要証期間内に,本件商標と社会通念上同一と認められる本件標章を使用して,その請求に係る指定商品に含まれるマウスパッドを販売し,同商品に関し,広告しているものである。
(2)「画像処理装置を利用した自動検査機械器具」に係る使用
ア 本件商標の使用者及び使用商標について
キリンテクノシステム株式会社(以下「キリンテクノシステム」という。)は,被請求人及びキリンビール株式会社のグループ会社であり(乙9,21),本件標章を使用して,包装容器の検査機の製造及び販売等を行っている(乙21)。
,キリンテクノシステムは,キリンアンドコミュニケーションズと同様の理由により,本件商標について,本件商標権者から黙示の使用の許諾を受けていた通常使用権者である(乙22)。
イ 画像処理装置を利用した自動検査機械器具の販売等について
(ア)広告(ウェブサイト)
キリンテクノシステムのウェブサイト(乙21)の「製品紹介」のページにおいて,画像処理装置を利用した自動検査機械器具(以下「空PETボトル外観検査機」という。)が紹介されている。
そして,キリンテクノシステムのウェブサイトの各ページ右肩には,本件標章が使用されている。
当該ウェブサイトの更新は,業務委託会社により要証期間内の平成26年12月18日になされた(乙23)。
(イ)取引書類
平成28年1月29日及び平成29年2月13日に空PETボトル外観検査機が販売された(乙25,26)。
ウ 商品との具体的関係における使用について
(ア)指定商品に含まれること
本件標章が使用されている空PETボトル外観検査機は,「画像処理用コンピュータープログラム及びソフトウェア」(乙27),「データ処理用ソフトウェア,データ処理用プログラム」(乙28)が組み込まれた「データ処理装置」(乙29)であり,電子の作用を応用したもので,電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものであるから,「電子応用機械器具」に含まれる商品である。
(イ)指定商品についての使用であること
キリンテクノシステムのウェブサイトの各ページ右肩には,本件標章が使用されているが(乙21),これは,キリングループ及びその商品や役務を広く示すハウスマークとして使用しているものであるから(乙5),各ウェブサイトに掲載されている各種商品について,それらに付されている個別商標が果たしている機能とは別に,キリンテクノシステムが取り扱うすべての商品についての識別標識(代表的出所標識)としての機能を果たしているものということができる。
したがって,キリンテクノシステムのウェブサイトの各ページ右肩に表示される本件標章は,空PETボトル外観検査機との具体的関係において使用されているといえる(商標法第2条第3項第8号)。
エ 小括
以上より,本件商標の通常使用権者であるキリンテクノシステムは,要証期間内に,本件商標と社会通念上同一と認められる本件標章を使用して,その請求に係る指定商品に含まれる空PETボトル外観検査機を販売し,広告しているものである。
2 結語
以上の次第で,本件商標に係る商標権者又は通常使用権者は,要証期間内に日本国内において,その請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしているものである。

第4 当審の判断
1 証拠及び被請求人の主張によれば,以下のとおりである。
(1)本件商標権者等について
ア 本件商標権者は,キリンホールディングス株式会社の100%子会社であり,本件標章を使用して,主として国内総合飲料事業の事業管理及び専門サービスの提供等を行っている(乙2)。
イ キリンアンドコミュニケーションズは,本件商標権者及びキリンビール株式会社のグループ会社であり(乙2,3),本件標章を使用して,広報事業として,ブルワリーツアー事業,キリンビール工場見学運営のほか,ショップ事業として工場見学向けのキリンビール商品,キリンオリジナルグッズの商品開発,販売及びショップ運営等を行っている(乙3)。
(2)「マウスパッド」に係る使用について
ア 本件商標権者は,平成27年8月21日,その左上部に大きく本件標章を表示した自社のウェブサイトにおいて,商品「マウスパッド」の販売に係る広告を掲載し,当該広告においては,「マウスパッド・しずく 750円(税込み)」の見出しの下,しずく型のマウスパッド(以下「本件使用商品」という。)の写真を掲載するとともに,当該写真の下部に「一番搾りのシンボル,しずく型のマウスパッドです。/パソコン周りをオシャレに演出します。/光化学式マウス対応」の記載をし,さらに最下部に,本件使用商品につき「※インターネットでの販売は行っておりませんのでご了承ください。」などの注意書きをした(乙2の28葉目,乙13,14)。
イ 上記アの広告掲載後である平成27年9月5日,同28年1月9日及び同29年1月20日には,それぞれ,本件商標権者のグループ会社であるキリンアンドコミュニケーションズが運営するキリンビール仙台工場内のショップにおいて,本件使用商品が各1個販売された(乙15?17,請求人の主張)。
2 上記1によれば,次のとおり認めることができる。
(1)使用者について
本件商標権者は,平成27年8月21日,自社のウェブサイトにおいて,本件使用商品に関する広告を内容とする情報に本件標章を付したものと認められる。したがって,本件標章の使用者は,本件商標権者である。
(2)使用時期について
本件商標権者のウェブサイトにて上記広告が掲載された平成27年8月21日は,要証期間内である。
(3)使用商品について
本件使用商品である「マウスパッド」は,本件審判の請求に係る指定商品である第9類「電気応用機械器具及びその部品」に含まれるものと認められる。
(4)本件商標と本件標章の社会通念上の同一性について
「麒麟」の文字からなる本件商標と「KIRIN」の文字からなる本件標章は,それぞれの構成文字に相応していずれも「キリン」の称呼が生じるものである。
そして,「麒麟」の語は,「1 中国で聖人の出る前に現れると称する想像上の動物。2 哺乳類のキリン」の双方の意味を有する語として一般に親しまれているものであるから,本件商標は「中国で聖人の出る前に現れると称する想像上の動物」及び「哺乳類のキリン」の観念を生ずるというべきである。一方,本件標章を構成する「KIRIN」の文字は,英語等における既成の語とは認められないこと,「麒麟」の語以外に「キリン」の読みを生じる既成語はないこと,及び漢字により構成された商標をローマ字で表すことは,一般に行われていることから,本件標章に接する需要者は,親しまれた「麒麟」の語をローマ字表記したものと認識し,これよりは,本件商標と同様に「中国で聖人の出る前に現れると称する想像上の動物」及び「哺乳類のキリン」の双方の観念が生じるというべきである。
そうすると,本件商標と本件標章とは,称呼及び観念を同一にする社会通念上同一の商標というのが相当である。
(5)小括
以上によれば,本件商標権者は,要証期間内である平成27年8月21日に,自社のウェブサイトにおいて,本件審判の請求に係る指定商品である第9類「電気応用機械器具及びその部品」に含まれる本件使用商品(マウスパッド)に関する広告を内容とする情報に,本件商標と社会通念上同一と認められる本件標章を付したものと認められる。
そして,本件商標権者による上記行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において,本件商標権者が,その請求に係る指定商品である第9類「マウスパッド」について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したというべきである。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により取り消すべきではない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本件商標


別掲2 本件標章(色彩は,原本参照。)



審理終結日 2018-06-06 
結審通知日 2018-06-08 
審決日 2018-06-20 
出願番号 商願平10-85892 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 平澤 芳行
田村 正明
登録日 2000-04-14 
登録番号 商標登録第4376782号(T4376782) 
商標の称呼 キリン 
代理人 久保 怜子 
代理人 飯島 紳行 
代理人 藤森 裕司 
代理人 行田 朋弘 

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