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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z09 審判 一部取消 商標の同一性 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z09 |
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管理番号 | 1345010 |
審判番号 | 取消2017-300699 |
総通号数 | 227 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2018-11-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2017-09-14 |
確定日 | 2018-10-01 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4231341号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4231341号商標の指定商品中,第9類「電池,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4231341号商標(以下「本件商標」という。)は,「ブリッジ」の片仮名と「BRIDGE」の欧文字を上下2段に書してなり,平成9年6月10日に登録出願,第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品,ロケット,スロットマシン,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として,同11年1月14日に設定登録されたものである。 そして,本件商標の商標権については,商標登録の一部取消し審判(取消2007-301176号)が請求され,平成19年12月20日,その指定商品中の第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機」についての商標登録を取り消すとの審決がなされ,同20年3月4日にその審判の確定登録がなされているものである。 なお,本件審判の請求の登録日は平成29年9月29日である。 第2 請求人の主張 請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(枝番を含む。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,その指定商品中,第9類「電池,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)使用標章について 被請求人は,本件商標を使用している証拠として,乙第1号証,乙第4号証及び乙第5号証を提出していが,これらの書証に表示されている標章は,本件商標とは全く別異の商標である。 ア 本件商標について 本件商標は,上段に「ブリッジ」の片仮名を,下段に「BRIDGE」の欧文字を表した構成からなるところ,これより「ブリッジ」の称呼が生じ,「橋」の観念が生じる。 イ 乙第1号証について 乙第1号証に表示されている標章(以下「使用標章1」という。)は,「e-BRIDGE」の欧文字及び記号(ハイフン)とその「e-BRIDGE」を上下から囲む赤色の曲線図形から表されてなるところ,「e」の文字と「BRIDGE」の文字はハイフンで結合され,「e」の文字と下方の曲線図形は同じ赤色で繋がって表されており,全体が一体的にまとまりよく表されている。そうすると,使用標章1は,これに接する需要者に一体のものとして認識,把握されるとみるのが自然であり,使用標章1からは「イーブリッジ」の称呼が生じ,この称呼は,無理なく一連に称呼されるものである。 ウ 乙第4号証及び乙第5号証について 乙第4号証及び乙第5号証に表示されている標章(以下「使用標章2」という。)は,「e-BRIDGE Hybrid Document」の欧文字及び記号(ハイフン)と「e-BRIDGE」を上下から囲む赤色の曲線図形から表されてなるところ,「e」の文字と「BRIDGE」の文字はハイフンで結合され,「BRIDGE」と「Hybrid Document」は同じ書体,同じ色で表され,さらに,「e」の文字と下方の曲線図形は同じ赤色で繋がって表されており,全体が一体的にまとまりよく表されている。そうすると,使用標章2は,これに接する需要者に一体のものとして認識,把握されるとみるのが自然であり,使用標章2からは,「イーブリッジハイブリッドドキュメント」の称呼が生じ,この称呼は,やや冗長ではあるものの,よどみなく一連に称呼されるものである。 エ 使用標章について 使用標章にあっては,被請求人は,「BRIDGE」の文字を独立した態様で使用することなく,常に「e」の文字と「BRIDGE」の文字をハイフンで結合し,「e-BRIDGE」又は「e-BRIDGE Hybrid Document」を「イーブリッジ」又は「イーブリッジハイブリッドドキュメント」の称呼をもって使用しているのであるから,使用標章から「BRIDGE」の文字のみが独立して認識されるとする被請求人の主張は失当である。 また,乙第1号証に表示されている「Driven by」の文字は,「?によって動かされる」の意味であることから,その直下に表示されている使用標章1と併せて,「『イーブリッジ』によって動かされる」程度の意味で需要者に認識されるとみるのが自然であり,この点からも,使用標章1から「BRIDGE」の文字のみが独立して認識されるとする被請求人の主張は失当といわざるを得ない。 さらに,乙第2号証によると,「Driven by」の文字も含めて,縦「30±1」,横「50±1」の長方形に収まるよう使用標章1を表示することが定められており,このことは,「e-BRIDGE」とこれを囲む曲線図形の全体をもってひとつの標章として被請求人自身が認識していることを示すに他ならず,使用標章1から「BRIDGE」の文字のみが独立して認識されるとする被請求人の主張は失当という他ない。 また,使用商標2にあっては,被請求人は,「BRIDGE」を独立した態様で使用することなく,常に「e-BRIDGE Hybrid Document」を一体的に使用しているのであるから,使用標章2から「BRIDGE」の文字のみが独立して認識されるとする被請求人の主張は失当である。 オ 小括 以上より,使用標章は,本件商標とは,その外観,称呼及び観念のいずれにおいても明らかに相違するものであるから,使用標章と本件商標は,社会通念上同一ということはできないのはもちろんのこと,全く別異の標章である。 (2)本件審判請求の登録前三年以内の使用について 被請求人の提出した乙号証は,作成目がすべて不明であり,本件審判の請求の登録日前三年以内(平成26年9月29日から平成29年9月28日まで。以下「要証期間」という。)の使用を立証するものではない。 ア 乙第1号証の1及び2は,複合機の写真と思われるが,いつどこで誰によって撮影されたのか不明であり,これらの書証は,本件商標の要証期間内の使用を立証するものではない。 イ 乙第1号証の3は,被請求人のウェブサイトの写しと思われるが,当該書証からは,複合機の発売が2016年5月12日に発表されたであろうことが推認されるのみであり,本件商標の要証期間内の使用を立証するものではない。 ウ 乙第1号証の4ないし6は,複合機のパンフレットと思われるが,これらの書証には,要証期間内であることを示す日付が一切記載されておらず,本件商標の要証期間内の使用を立証するものではない。 エ 乙第2号証には,作成年月日欄に「2015/7/10」と記載されているが,そもそも,当該書証は単なる内部資料であって,本件商標の使用の事実を何ら立証するものでないことは,答弁書において,被請求人自身も認めているところである。 オ 乙第3号証は,単にコピー機が2017年に販売されたことが推認されるだけのものであって,本件商標の要証期間内の使用を立証するものではない。 カ 乙第4号証に表示されている「Ver05 2016-04」について,被請求人は「これは2016年4月の第5版であると理解するのが,商取引の経験則に従えば自然である」と述べるにとどまり,この表示が「2016年4月の第5版」であるとする証拠を一切提出していない。 キ 乙第5号証は,「e-BRIDGE Hybrid Document」のパンフレットと思われるが,当該書証には,要証期間内であることを示す日付が一切記載されておらず,本件商標の要証期間内の使用を立証するものではない。 (3)使用に係る商品について 被請求人の主張によれば,本件商標が付されたソフトウェアが複合機に搭載された状態で,その複合機が顧客に納品されていると考えられ,このことは,乙第3号証が複合機の取引書類であることからも裏付けられるところであるところ,商取引の目的となっているのは,あくまでも複合機であり,ソフトウェアではない。即ち,「ソフトウェア」について,本件商標を使用したことの立証は一切されていないというべきである。 次に,「複合機」については,答弁書において被請求人が挙げている「複写機」,「プリンター」,「スキャナ」には,類似群コード(11C01)が付されているようであるが,「ファクシミリ」は(11B01)の類似群コードが付される商品であり,「電子応用機械器具及びその部品」ではない。そもそも,類似群(11C01)が付与されるというのは,審査において,「電子応用機械器具及びその部品」と一応類似と推定されるだけなのであって,「複合機」が「電子応用機械器具及びその部品」に属する商品であるということにはならない。この点,被請求人は,「複合機」が「電子応用機械器具及びその部品」に属する商品であることの書証を一切提出しておらず,本件商標が「電子応用機械器具及びその部品」に使用されたことの立証はされていないというべきである。 (4)むすび 上記のように,乙各号証からは,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標が要証期間内に使用されていた事実を見出すことができない。 第3 被請求人の主張 被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 被請求人の事業等について 被請求人は,電気通信機器メーカーであり,その主要製品は,複合機等の事務機器やレジ等に使用されるPOSシステム等である。被請求人は「e-STUDIO」という名称の複合機を製造・販売している。 本件商標は,被請求人の複合機「e-STUDIO」専用のソフトウェアの名称であり,全ての被請求人の複合機には「BRIDGE」ソフトウェアが搭載されている。 2 本件商標の使用について 商標権者は,要証期間内に,本件商標を「電子応用機械器具及びその部品」に使用している。 (1)複合機の写真 写真の各複合機本体正面に,本件商標のラベルが貼付されている(乙1の1,2)。本件商標の上部には,「Driven by」の語が付記的に表示されていることから,上記複合機には,「BRIDGE」ソフトウェアが搭載されており,このソフトウェアによって操作される。 上記複合機の写真に表された商標は,その周囲に赤い図形が配されているが,図形部分と使用商標「BRIDGE」とは色彩も異なることから,「BRIDGE」とは分離観察することが不可能又は困難というほどに一体不可分にされている,又は,どちらか一方だけを取り出して識別認識することができない等の格別の事情は認められないので,取引者及び需要者は,使用商標「BRIDGE」に着目して独立した商標として認識するものである。 また,使用商標は,「ブリッジ」の片仮名文字を欠いているが,本願商標と使用商標は,「ブリッジ」の称呼及び「橋」の観念を共通にする。 したがって,使用商標と本件商標とは,社会通念上同一の商標といえるものである。 なお,上記複合機は,2016年7月に発売されたものである(乙1の3)。2016年7月の発売開始以降,現在に至るまで継続的に,本件商標は専用ソフトウェアを搭載する複合機に使用されている。 (2)本体ラベル/梱包ラベル指示書(乙2) 本件商標は,複合機本体に直接印刷されているのではなく,上記(1)のとおり,本件商標のラベルを複合機に貼付している。この指示書は,被請求人の設計部門が作成したものであり,この指示書に従い,完成した複合機の定められた位置に本件商標のラベルを貼付することになっている。 指示書は,需要者や取引者の目に触れることのない内部資料であるので,これにより直ちに本件商標が使用されていた事実が立証されるものではないが,ほかの乙各号証とりわけ,乙第1号証の1及び乙第1号証の2の写真を総合的に見れば,本件商標の使用事実を裏付けるものということができる。 (3)取引書類(乙3) 乙第3号証に記載があるのは,複合機の品番「e-STUDIO6508A」である。上記1のとおり,「BRIDGE」ソフトウェアは,被請求人の複合機の専用品であり,複合機には必ず「BRIDGE」ソフトウェアが搭載されているという性質上,複合機の取引があれば,必ず「BRIDGE」商標も使用されることになるのである。 乙第3号証より,被請求人は,「複合機」及び「ソフトウェア」について本件商標を使用し,需要者に譲渡したことが推認できる。 (4)システム管理者ガイド(乙4) 「システム管理者ガイド」の表紙には本件商標と社会通念上同一の「BRIDGE」が付されている。また,その裏表紙には「Ver05 2016-04」と記載があり,これは2016年4月の第5版であると理解するのが,商取引の経験則に従えば自然であるから,「システム管理者ガイド」に付された本件商標は要証期間内に使用されたと見ることが可能である。 (5)2016年6月 BRIDGE Hybrid Document カタログ(乙5) 被請求人は,本件商標を「ソフトウェア」にかかる商品カタログに使用しており,上記の使用行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当するものである。 乙第4号証及び乙第5号証に使用された商標は,その周囲に赤い図形が配されており,また,「Hybrid Document」の語が付加されている。 しかしながら,図形部分と使用商標「BRIDGE」とは色彩も異なり,「BRIDGE」とは書体が相違すること,また,「Hybrid Document」の語は「合成した文書」の如き意味を有する記述的な語である上,分離観察することが不可能又は困難というほどに一体不可分に結合されていないので,需要者及び取引者は,「BRIDGE」部分に着目して,これを独立した商標として認識するものと認められる。 また,使用商標は,「ブリッジ」の片仮名文字を欠いているが,本願商標と使用商標は,「ブリッジ」の称呼及び「橋」の観念を共通にする。 したがって,使用商標と本件商標とは,社会通念上同一の商標といえるものである。 3 以上のとおり,本件商標は,「電子応用機械器具及びその部品」について,本件審判請求の登録前から,商標権者により使用されている。 第4 当審の判断 1 本件商標の使用 (1)被請求人の提出した証拠及びその主張によれば以下の事実を認めることができる。 ア 乙第1号証の1及び2は,「e-STUDIO7506AC」及び「e-STUDIO6508A」旨の文字が付された機器全体の写真とその機器に貼り付けられたラベル部分を拡大したものである。 そして,そのラベルの態様は,別掲1のとおり,赤色で表された「e」の欧文字と該「e」よりも小さく白色で表された「BRIDGE」の欧文字とを赤色の「-(ハイフン)」で連結し,該「e」の文字から「D」及び「G」の文字を上下に囲むように赤色の円弧を配置した構成からなるもの(以下「使用商標1」という。)である。 イ 乙第1号証の3は,「4機種14モデルを一新/フルモデルチェンジした東芝複合機『e-STUDIO』シリーズを発売」の見出しがある2016年5月12日付けの被請求人の「プレスリリース」である。 ウ 乙第1号証の4ないし6は,複合機のカタログであり,それらの表紙には,「e-STUDIO6508A/8508A」(乙1の4),「e-STUDIO4505AC/5005AC」(乙1の5)「e-STUDIO2505AC/3505AC」(乙1の6)の表示がある。 エ 乙第2号証は,デジタル複合機(FC-7506AC,OP-6508A等)についての「TB 製品技術資料」の標題の資料である。 そして,その2葉目及び3葉目は,別掲1と色彩は異なるが同一の態様のラベルについての規格及び貼付位置を定める指示書である。 オ 乙第3号証は,「e-STUDIO6508A」に係る「御見積書」(乙3の1),「納品書」(乙3の2)「物品受領書」(乙3の3)である。 カ 乙第4号証は,「e-BRIDGE Hybird Document/システム管理者ガイド」の標題の資料である。 そして,その標題の一部は,別掲2のとおり,左側に,赤色で表された「e」の欧文字と該「e」よりも小さく黒色で表された「BRIDGE」の欧文字とを赤色の「-(ハイフン)」で連結し,該「e」の文字から「D」及び「G」の文字を上下に囲むように赤色の円弧を配置し,右側の黒色の「Hybrid Document」の文字の上に灰色の直線を配置した構成からなるもの(以下「使用商標2」という。)である。 キ 乙第5号証は,「e-BRIDGE Hybird Document/レスペーパー会議システム」の標題のカタログである。 そして,その標題の一部及び2葉目に表示されている商標は,別掲3のとおり,使用商標2の「BRIDGE」及び「Hybrid Document」の欧文字部分を白色で表しているものの,使用商標2と同じ構成からなるもの(以下「使用商標3」という。)であり,1葉目の左側には,使用商標2が小さく表示されている。 (以下,使用商標1ないし使用商標3をまとめて「使用商標」ということがある。) 2 判断 (1)被請求人は,乙第1号証の1及び2の写真の複合機のラベルに表示されている使用商標1,乙第4号証の表紙に表示されている使用商標2及び乙第5号証に表示されている使用商標3の使用をもって,本件商標の使用と主張する。 なお,提出された証拠においては,「ブリッジ」及び「BRIDGE」の文字がそれぞれ単独でかつ独立して商標として使用されている事実は見当たらない。 (2)使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標であるかについて 本願商標は,前記第1のとおり「ブリッジ」の片仮名と「BRIDGE」の欧文字を上下2段に書してなるものである。 これに対し,上記(1)のとおり,使用商標1は,別掲1のとおり,赤色で表された「e」の欧文字と該「e」よりも小さく白色で表された「BRIDGE」の欧文字とを赤色の「-(ハイフン)」で連結し,該「e」の文字から「D」及び「G」の文字を上下に囲むように赤色の円弧を配置した構成からなるものである。 そして,使用商標2及び使用商標3は,別掲2及び別掲3のとおり,「BRIDGE」及び「Hybrid Document」文字部分の色彩は異なるものの,左側に,赤色で表された「e」の欧文字と該「e」よりも小さく表された「BRIDGE」の欧文字とを赤色の「-(ハイフン)」で連結し,該「e」の文字から「D」及び「G」の文字を上下に囲むように赤色の円弧を配置し,右側の「Hybrid Document」の文字の上に灰色の直線を配置した構成からなるものである。 そうすると,使用商標は,その構成中に本件商標の欧文字部分と同じつづりの「BRIDGE」の欧文字が含まれているとしても,本件商標とはその構成が大きく相違するものであって,その書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標,その欧文字の表示を平仮名や片仮名に変更して同一の称呼及び観念を生じる商標,外観において同視される図形からなる商標などとは違って,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標ということはできないものである。 3 被請求人の主張について 被請求人は,「使用商標1は,『BRIDGE』の文字の周囲に赤い図形を配している構成からなるものであるから,『BRIDGE』の文字部分に着目して,これが独立した商標となっている。使用商標2及び使用商標3は図形部分と使用商標『BRIDGE』とは色彩も異なり,『BRIDGE』とは書体が相違すること,また,『Hybrid Document』の語は『合成した文書』の如き意味を有する記述的な語である上,分離観察することが不可能又は困難というほどに一体不可分に結合されていないので,需要者及び取引者は,『BRIDGE』部分に着目して,これを独立した商標として認識するものであるから,使用商標と本件商標とは,社会通念上同一の商標といえるものである。」旨主張する。 しかしながら,上記2のとおり,本件商標と使用商標とは社会通念上同一の商標とはいえないものであるから,被請求人の主張は採用できない。 4 まとめ 以上によれば,被請求人が提出した証拠から認定できる使用商標は,いずれも,本件商標とは相違するものであって,社会通念上同一の商標ということはできない。 その他,商標権者(被請求人)が,本件商標の取消請求に係る商品について,本件商標を使用したことを認めるに足りる証拠の提出はない。 してみれば,商標の使用商品,使用時期等に言及するまでもなく,商標権者及び使用権者が,本件商標の取消請求に係る商品について,本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を使用したものと認めることはできない。 5 むすび 以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,その請求に係る指定商品について,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。 また,被請求人は,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,その指定商品中,第9類「電池,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取り消すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 使用商標1(色彩については乙第1号証の1を参照。) 別掲2 使用商標2(色彩については乙第4号証を参照。) 別掲3 使用商標3(色彩については乙第5号証を参照。) |
審理終結日 | 2018-08-03 |
結審通知日 | 2018-08-07 |
審決日 | 2018-08-21 |
出願番号 | 商願平9-125612 |
審決分類 |
T
1
32・
11-
Z
(Z09)
T 1 32・ 1- Z (Z09) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 池田 光治 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
榎本 政実 大森 友子 |
登録日 | 1999-01-14 |
登録番号 | 商標登録第4231341号(T4231341) |
商標の称呼 | ブリッジ |
代理人 | 林 栄二 |
代理人 | 篠田 貴子 |
代理人 | 特許業務法人 清水・醍醐特許商標事務所 |