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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X10
管理番号 1344051 
審判番号 取消2014-300508 
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-07-08 
確定日 2018-09-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第5393665号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5393665号商標の指定商品中、第10類「手動式人工呼吸器,医療用吸引器,医療用チューブ,医療用チューブのコネクタ,カテーテル,駆血帯,医療用まくら,医療用マットレス,リハビリテーション用医療用機械器具,その他の医療用機械器具」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5393665号商標(以下「本件商標」という。)は、「トライフィット」の片仮名を標準文字で表してなり、平成22年6月9日に登録出願、第10類「水まくら,おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,手動式人工呼吸器,医療用吸引器,医療用チューブ,医療用チューブのコネクタ,カテーテル,駆血帯,医療用まくら,医療用マットレス,リハビリテーション用医療用機械器具,その他の医療用機械器具,医療用手袋」及び第28類「リハビリテーション用器具,運動用具,愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,釣り具,昆虫採集用具」を指定商品として、同23年2月25日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成26年8月4日である。

第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、審判事件弁駁書等において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
2 請求の理由
(1)本件商標は、その指定商品のうち第10類「手動式人工呼吸器,医療用吸引器,医療用チューブ,医療用チューブのコネクタ,カテーテル,駆血帯,医療用まくら,医療用マットレス,リハビリテーション用医療用機械器具,その他の医療用機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)弁ばく
ア 使用の事実について
(ア)乙第1号証について
乙第1号証は、2010年1月15日作成の書類であり、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)における本件商標の使用を立証する証拠でない。
(イ)乙第2号証について
乙第1号証記載の「高齢者又は術後患者等の運動機能回復用器具」(以下「使用商品」という。)と、乙第2号証記載のサンプル品との関係が不明であるから、2010年6月頃に乙第1号証記載の使用商品のサンプル品をタイ国企業に発注し、同年8月頃に当該サンプル品をタイ国から輸入した旨の被請求人主張には合理的理由がない。
また、乙第2号証の1は、2010年6月発行の書類であり、本件商標の使用を立証する証拠でない。
(ウ)乙第4号証について
乙第4号証には、標章が付された商品及び商品包装の存在が示されておらず、また、標章が付された取引書類も存在していないことから、懇意にしている取引業者の担当者など4?5名に乙第1号証に記載の使用商品のサンプル品を無償で配布しているから商標法第2条第3項第8号の使用に該当する旨の被請求人主張には合理的理由がない。
また、被請求人は、使用商品のサンプル品を配付する際には「トライフィット」という商品名であることを明示することは当然であり、商品名をサンプル受取人に認識させることあったことは明かである旨を主張するが、仮に当該サンプル品を無償配布しているとしても、本件商標が使用されているか否かについて、乙第4号証から客観的に明らかでない。
イ 使用していることについて
(ア)被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証が示す商標と本件商標とが、社会通念上同一であると主張するが、乙第1号証及び乙第2号証は、要証期間内における本件商標の使用を立証する証拠でないため、かかる主張は無用である。
(イ)被請求人は、乙第5号証ないし乙第14号証に基づき、乙第1号証記載の使用商品が「医療用機械器具」に属すると主張するが、上記アのとおり、乙第1号証記載の使用商品のサンプル品を無償配布することによって本件商標を使用しているとはいえないため、かかる主張は無用である。
(ウ)乙第1号証記載の使用商品のサンプル品を無償配布することによって本件商標を使用しているとはいえないため、被請求人の「近年、本件商標を使用している」との主張については妥当でない。
(工)本件商標が継続的に使用されているとすれば、被請求人の商品カタログ(乙12)には、本件商標が付された使用商品が掲載されているものと思料するが、乙第12号証を見る限り、そのような掲載を確認することができないから、本件商標を使用(商標法第2条第3項第8号)しているとの主張は妥当でない。
(オ)被請求人は、要証期間外に製造された商品であっても、要証期間内に当該商品が取引されている事実がある以上、要証期間内おいて商標の使用があったと評価されるべきと主張するが、かかる主張には合理的理由がない。

第3 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書等において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証(枝番を含む。)等を提出した。
2 答弁の理由
(1)はじめに
本件商標は、被請求人が要証期間内に日本国内において、請求に係る指定商品「医療用機械器具」等について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用している。
(2)本件商標の使用事実について
ア 被請求人について
被請求人は、医療機器メーカーであり、特にゴム製の医療機器や関連商品を中心に製造・販売している。
イ 被請求人は、2010年1月頃に使用商品を製造することを企画した(乙1)。使用商品は、ゴム製のチューブの両端にグリップを付けており、当該グリップの一方にカラビナを備えている等の構造からなる商品であって、指定商品「医療用機械器具」に属する「リハビリテーション用医療用機械器具」に相当する商品といえる。
ウ 被請求人は、使用商品のサンプルの製造を2010年6月にタイ国にあるThai Centri(1995) Co.,Ltd.(乙3)に発注し、その後、同年8月末に日本に輸入した。発注書に「TRYFIT」と明記している(乙2の1)。また納品書にも商品名「TRYFIT」が明記されている(乙2の2)。
エ 使用商品のサンプル品(以下「本件サンプル品」という。)の顧客の反応を調査するために、懇意にしている取引業者の担当者や個人的な知人4?5名に対して、これまで本件サンプル品を無償で配布している。この事実は被請求人の代表者である今村清氏の陳述書により立証する(乙4)。
請求人は、本件サンプル品に標章が付されていない旨を主張するが、サンプル品の配付が、顧客の反応を見るという市場調査という意味合いも含んでいる以上、被請求人が本件サンプル品を配付する際には、それが「トライフィット(TRYFIT)」という商品名であることを明示したり、乙第1号証などの設計図を見せて商品の内容を説明しながら配付することは当然である。
オ 使用に係る標章と本件商標の同一性について
乙第1号証の設計図中と乙第2号証の取引書類に記載の「トライフィット」及び「TRYFIT」が本件商標と社会通念上同一である。
上記書証中には「トライフィット マスターチューブ」、「TRYFIT MUSTERTUBE」及び「TRYFIT Mustertube」の記載があるが、これより生ずる称呼「トライフィットマスターチューブ」は、促音・長音等の弱音を含めて15音と、極めて冗長であり、これを常に一連に称呼できるものとは考えられず、通常、スペースのある「トライフィット」と「マスターチューブ」とに分離されて称呼される場合も相当にある。
また、「トライフィット」及び「TRYFIT」と、「マスターチューブ」、「MUSTERTUBE」及び「Mustertube」が常にスペースを空けて表記されていることから、両語は、視覚上分離して看取され得る、加えて、両語は共に観念の生じない造語であるから、観念上も全体で一連と見るべき特段の事情もない。
そうすると、「トライフィット」、「TRYFIT」の部分も独立して看取、把握されるというべきである。
さらに、「マスターチューブ」、「MUSTER TUBE」は、本件商標と同様に、被請求の商品「高齢者又は術後患者等の運動機能回復用器具」又は「筋力トレーニング用運動用具」に使用される商標であり(乙16)、商品は実際に被請求人により製造・販売されている(乙17)。
このような状況からすれば、「マスターチューブ」等の部分は、被請求人の取扱いに係る商品の系列表示と理解され、「トライフィット」等の部分は、個別商品を識別するための商標、いわゆるペットネームとして認識されるというべきである。
以上より、「トライフィット」、「TRYFIT」の部分は、分離・独立して認識されるため、本件商標と社会通念上同一の商標である。
カ 使用商品が本件商標の指定商品「医療用機械器具」に属する商品に該当することについて等
使用商品は、医療や福祉の現場で使用される機器を製造・販売している者が製造・販売する商品(乙12)であって、主として高齢者又は術後患者等の運動機能を回復させるという用途・機能を持った商品である(乙10)。そして、そのような用途・機能から、実際の使用の現場においては、病院等の医療機関において理学療法士や作業療法士などの医療従事者の指導のもとで高齢者又は術後患者等が使用する場合も多く、使用商品等の取引者・需要者には必然的に医療機関も重要な需要者といえる(乙11、乙14)。
使用商品は、「医療用機械器具」に属する「リハビリテーション用医療用機械器具」に相当する商品といえる。
キ 審判請求の登録前3年以内の使用について
乙第2号証の取引書類に「TRYFIT」が表示されており、このような取引書類への商標の使用は、商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。
本件サンプル品は2010年8月に輸入され、この輸入行為は要証期間内ではないが、被請求人が、近年においても本件サンプル品を宣伝のために配布していることは乙第4号証から明らかである。本件サンプル品を無償配布する行為は商標法第2条第3項第8号の使用に該当するというべきである(乙15)。
(3)まとめ
以上のとおり、披請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品「医療用機械器具」に属する商品について本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることを証明した。
よって、答弁の趣旨どおりの審決を求める。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用事実について
(1)事実認定
被請求人の主張及び提出した乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証について
乙第1号証は、商標権者が2010年1月頃に使用商品製造の企画内容を掲載したとされる2枚の書面であり、これらの書面には、1枚目及び2枚目の左上部には「商品名 トライフィット マスターチューブ」と記載されていること、1枚目及び2枚目の右上部には書面作成日と推認される「2010(H22)1/15現在」と記載されていること、1枚目には、使用商品の構成が図及び写真とともに記載され、商品構成中のチューブには端から約15 cmの範囲内に「TRYFIT MASUTERTUBE」のロゴを付すること、1枚目左下部には、「仕様:長さ50cm/鐙(アブミ)のアナの間隔25cm/グリップ2個/カラビナ1個」などと記載されていること、2枚目上部「規格」の一覧表には、最上部の行には左から順に、コードNo.レベル、カラー、長さ、内径・外径、定価、JANコードの項目が記載され、レベルから定価までのそれぞれの項目欄には、数字、色彩名の記載があること、2枚目右下部の四角形の枠内には「商品名:MUSTER TUBE」、「サイズ:1.2m」のほか申立人会社の名称や住所表示等が記載されていることが認められる。
イ 乙第2号証の1について
乙第2号証の1は、商標権者が2010年6月28日付けでタイ国の「THAI CENTRI(1995)CO.,LTD.」に宛てた「PURCHASE ORDER(No.2228-0628)」(注文書)と題する書面であり、同書面には、「-As Sample-/TRYFIT MASUTERTUBE/5/125 Yellow 10pcs/ 5/015 Orange 10/ 5/175 Green 10/ 5/020 Purple 10/ Length:50cm Glip:2pcs Karabner:1pc」などと記載されている。
ウ 乙第2号証の2について
乙第2号証の2は、タイ国の「THAI CENTRI(1995)C0.,LTD.」が2010年8月23日付けで商標権者に宛てた「INVOICE」(送り状)と題する書面であり、同書面には 「ORDER No.2228-0628 AND 2232-0805」(Your PO#2228-0628/ 5)TRYFIT Mustertube/ 5125Yellow 10/ 5150Orange10/ 5175Green 10/ 5200 Purple 10」などと記載されている。
工 乙第4号証について
乙第4号証は、株式会社イマムラ代表取締役今村氏の平成26年10月14日付け「陳述書」であり、同書面には、本件サンプル品の写真が表示されており、同氏は「本件サンプル品を、過去、取引関係のある取引業者の担当者や個人的な知人4、5名に譲り渡していること及び2年ほど前にも、株式会社イマムラと取引関係にある東京都町田市に所在する株式会社Tリバースの高橋氏にも本件サンプル品を譲り渡していること」を述べている。
なお、乙第4号証中の写真によっては、本件サンプル品のチューブに「TRYFIT MUSTERTUBE」のロゴが付されている事実は認められない。
オ 乙第19号証について
乙第19号証は、株式会社イマムラ代表取締役今村氏の平成28年2月3日付け「陳述書(2)」であり、乙第4号証の記載内容と同趣旨の記載に加え、サンプル品を譲る渡す際に、「商品の説明をするため乙第1号証に示したような商品の企画書・設計図面を見せて、その商品名が『トライフィット』という名称であることをサンプル受取人に伝えながら、商品を譲り渡したこともあります。」旨を陳述している。
(2)認定事実の評価
ア 乙第1号証は、その記載内容から申立人が平成22年(2010年)1月15日に作成した使用商品の企画概要を記載した書面であり、同書面には、1枚目及び2枚目の左上部には商品名として「トライフィット マスターチューブ」と記載され、1枚目の図面のチューブには「TRYFIT MUSTERTUBE」のロゴを付することとしている点並びに1枚目の図面及び2枚目の規格においてチューブの長さを50cmとしている点において統一性があるが、これらに対して2枚目右下部の四角形の枠内には商品名として「MUSTER TUBE」、サイズとして「1.2m」と記載されている点において統一性がなく不自然である。そして、これらの書面は申立人会社の内部資料として作成されたと推認されるものであり、該書面が要証期間内に展示し又は頒布するなどされた事実も立証されていないから、乙第1号証は、要証期間内に、商品の取引のために作成され、展示し又は頒布するなどされた取引書類とは認められないものである。
イ 乙第2号証について
乙第2号証の1は、サンプル品作成の注文書であり、商標権者がタイ国の企業に対し使用商品のサンプル品作成を依頼する平成2010年(22年)6月28日付け注文書に「-As Sample- TRYFIT MUSTERTUBE」などと記載したものであり、乙第2号証の2は、「注文を受けたサンプル品の送り状」であり、サンプル品作成の注文を受けたタイ国の企業が商標権者に対しサンプル品を納品する2010年(平成22年)8月23日付け送り状に「TRYFIT Mustertube」などと記載したものであるが、これらの書類は要証期間内の書類でも無く、商標権者が、使用商品のサンプル品の作成のため、タイ国の企業への注文し、その商品の納品のための書類であり、自己の業務に係る商品の作成のための書類にすぎないことから、これらの書類は商標法第2条第3項各号に規定する商標の使用ための取引書類とはいえないものである。
したがって、乙第2号証の1および2によっては、要証期間内に本件商標の使用をしたとは到底認められるものではない。
ウ 乙第4号証及び乙第19号証について
乙第4号証は、本件サンプル品の写真が表示された陳述書であるが、本件サンプル品の写真には、商品に本件商標が付されていることは確認できず、平成28年1月22日に行われた口頭審理において、被請求人は、本件サンプル品には商標が付されていないことを陳述している。
乙第4号証及び乙第19号証の陳述書の記載によれば、申立人代表取締役は、本件サンプル品を、過去、取引関係のある取引業者の担当者や個人的な知人4、5名に譲り渡している旨述べているが、本件陳述書は要証期間内に本件商標の使用があったことを立証するために作成されているにもかかわらず、配布時期が「2年ほど前」と陳述するのみで、要証期間内の日付を明示しておらず、また配布した「2年ほど前」が要証期間内である証拠資料も提出していないこと及び本件サンプル品には使用標章が付されておらず、本件サンプル品を譲渡する際に、乙第1号証に示したような商品の企画書・設計図面を見せて、その商品名が「トライフィット」という名称を伝えた旨の陳述についても、上記アのとおり、乙第1号証は取引書類とは認められず、さらに、商品の機能、使用方法、効能等の記載も無いことから、商品の広告ともいえない。そして、口頭で商品の名称を伝えることは商標法第2条第3項に規定する商標の使用に該当しない。
(3)判断
ア 本件商標と使用に係る標章について
乙第1号証及び乙第2号証には「トライフィット マスターチューブ」、「TRYFIT MUSTERTUBE」及び「TRYFIT Mustertube」の標章が確認できるが、これらの標章は、一連に記載されていること、「トライフィット」と「マスターチューブ」の文字、また、「TRYFIT」と「MUSTERTUBE」あるいは「Mustertube」の文字が有する自他商品の識別標識としての機能において、両文字の間に軽重の差は認められないこと、さらに、使用に係る標章から「トライフィット」及び「TRYFIT」の文字部分のみを抽出し、これを要部として認識すべき理由も認められないことから、両標章は一連一体の標章と見るべきである。
そうすると、本件商標と使用に係る標章とは、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の呼称及び観念を生ずるものには該当せず、これより使用に係る標章は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められないものである。
イ 使用商品及び本件サンプル品について
使用商品及び本件サンプル品は、ゴム製のチューブの弾性を利用した、高齢者又は術後患者等の運動機能回復用としての機能、目的を有する商品であり、病院やリハビリテーションの場等で使用されることも多く(乙11、乙14)、商品の販売においても、医療用の器具として販売されている(乙12、乙13)ことから、当該商品は本件審判請求に係る「医療用機械器具」の範ちゅうに属する商品といえる。
しかしながら、「TRYFIT MUSTERTUBE」及び「TRYFIT Mustertube」の標章を記載した注文書及び送り状(乙2)により、平成22年6月28日に本件サンプル品40個をタイ国企業に注文、同年8月23日にタイ国企業より納品があった事は推認できるものの、それ以後、上記標章を使用した使用商品の製造、販売に関する証拠の提出は無い。
そうすると、「TRYFIT MUSTERTUBE」及び「TRYFIT Mustertube」の標章を使用したと主張する使用商品が要証期間内に、販売された事実を確認することができない。
加えて、本件商標とは全く別異な「マスターチューブ」及び「MUSTERTUBE」の商標を使用した使用商品(乙12、乙17)の販売が確認できることからすれば、「TRYFIT MUSTERTUBE」及び「TRYFIT Mustertube」の標章については、商品の企画、無償配付されたサンプル品の作成段階において、企業内で使用された可能性は否定できないものの、市場において独立して商取引の対象として流通に供されていたことは立証していない。
してみれば、本件サンプル品は市場おいて取引されている商品とはいえないから、商標法第2条第3項における商品ということができないと評価されるべきものである。
そして、「TRYFIT MUSTERTUBE」及び「TRYFIT Mustertube」の標章についても、本件商標と社会通念上同一の商標と認められないものであることは、上記アのとおりである。
(4)小括
以上(3)によれば、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、商標権者により本件商標を本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明したと認められない。
2 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品についてのいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明しておらず、また、同指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中第10類「手動式人工呼吸器,医療用吸引器,医療用チューブ,医療用チューブのコネクタ,カテーテル,駆血帯,医療用まくら,医療用マットレス,リハビリテーション用医療用機械器具,その他の医療用機械器具」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-07-05 
結審通知日 2018-07-09 
審決日 2018-07-26 
出願番号 商願2010-45695(T2010-45695) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X10)
最終処分 成立  
前審関与審査官 瀬戸 俊晶 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
田中 幸一
登録日 2011-02-25 
登録番号 商標登録第5393665号(T5393665) 
商標の称呼 トライフィット、トライ 
代理人 出山 匡 
代理人 ▲高▼見 良貴 
代理人 土橋 編 
代理人 山田 朋彦 
代理人 杉本 勝徳 
代理人 酒井 俊尚 
代理人 西浦 ▲嗣▼晴 

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