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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W11
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W11
管理番号 1343186 
審判番号 不服2017-18764 
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-18 
確定日 2018-08-10 
事件の表示 商願2016-82751拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「プッシュ水栓」の文字を標準文字で表してなり,第11類「便所ユニット,浴室ユニット,水道用栓,パイプライン用栓,電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。),加熱器,調理台,流し台,シャワー器具,洗面器(衛生設備用品の部品),浴槽類,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用いす」を指定商品として,平成28年8月2日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,『プッシュ水栓』の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の『プッシュ』は『押すこと』を意味する語であり,『水栓』は,『水道の水を出したり止めたりする栓と弁の総称』の意味を有するから,構成全体として『押すことで水道の水を出したり止めたりする栓と弁の総称』ほどの意味合いを容易に理解させるものである。そうすると,本願商標をその指定商品中『押すことで水道の水を出したり止めたりする水道用栓・パイプライン用栓,水道の水を出したり止めたりする栓と弁を有する便所ユニット・浴室ユニット・流し台・シャワー器具・洗面器(衛生設備用品の部品)・浴槽類・洗浄機能付き便座・便器』に使用しても,単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,商標法第3条第1項第3号に該当し,前記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は,上記1のとおり「プッシュ水栓」の文字からなるところ,構成中の「プッシュ」の文字は,「押すこと。おし進めること。」の意味を,また,「水栓」の文字は,「水道を開閉したり,水量調節したりするための栓」(いずれも株式会社岩波書店 広辞苑第七版)の意味を有する平易な日常語であることから,これらの語を一連に結合してなる本願商標からは,全体として「押す水栓」程の意味合いが理解されるものである。
そして,本願商標の指定商品を取り扱う分野においては,ボタン等を「押す」ことにより開閉可能な「水栓」が存在することや,そのような「水栓」を「プッシュ式水栓」などと称している同業他社が存在することが,原審で示した使用例に加え,以下のインターネット情報において認められる。

ア 水栓における「プッシュ」の文字の使用について
(ア)株式会社KVKのウェブサイトにおいて,「パブリック向 自閉式サーモスタットシャワー」の見出し下,「ワンプッシュで自動止水」「大きな操作表示のプッシュボタンを,使いやすい中央に配置。1回押せば,吐水口側・シャワー側とお湯を一定量吐水し自動的に止水。ムダ水を防ぎ,節約にもつながります。」と記載され,商品写真のボタンに「PUSH」と大きく表示されている。
http://www.kvk.co.jp/e_catalog/tokusyuu/KF3040.html
(イ)ダイワ化成株式会社のウェブサイトにおいて,「壁掛け手洗器HW壁に掛けるだけの簡単設置!」との見出しの下,「水栓金具のバリエーション」の項には,「プッシュ式」「軽く押すだけで吐水し自動で止水します。ダイヤフラムバルブ構造です。」との記載がある。
http://www.daiwakasei.co.jp/product/flushtoilet/lineup/hw.html
(ウ)株式会社竹村製作所のウェブサイトにおいて,「不凍水栓柱 ワンプッシュ不凍栓 D-AU(ステンレス製)」の見出しの下,「・操作が簡単。押すだけで水道の凍結を防止できます。・・・」との記載がある。
http://www.takemura-ss.com/products/kyusui/d-au.html
(エ)大和重工株式会社のウェブサイトにおいて,「ワンプッシュ排水栓」の見出しの下,「・・・どなたでもボタンをワンプッシュ。貯水・排水がラクラクです。・・・」との記載がある。
https://www.daiwajuko.co.jp/products/enameled_cast_iron_bathtub/index.cgi/products/others/o2-01-one-push.html
イ 水栓における「プッシュ式」等の文字の使用について
(ア)永野設備工業株式会社のウェブサイト「住建ドットコム」において,「洗面・洗濯」の項には,「ワンホシングル混合水栓(プッシュ式)」の見出しのもと,複数の商品が掲載されている。
https://jyusetu.com/search/list.asp?shopcd=7079&itemgrp1cd=02&itemgrp2cd=05&itemgrp3cd=03&makercd=&kwd=&kwd2=&unitprice_fm=&unitprice_to=&deli=&line=3&line2=5&temp=&andor=1&kwdall=0&sort=unitprice
(イ)amazonのウェブサイトにおいて,住宅用設備・製品中の「キッチン用水栓金具」のカテゴリには,「吐水方式」の見出しの下,「プッシュ式」と記載があり,商品の検索が可能となっている。
https://www.amazon.co.jp/s/s/ref=sr_nr_p_n_feature_seven_br_2?fst=as%3Aoff&rh=n%3A2033791051%2Ck%3A%E3%82%AD%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%B3%E7%94%A8%E6%B0%B4%E6%A0%93%2Cp_n_feature_seven_browse-bin%3A5360096051&keywords=%E3%82%AD%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%B3%E7%94%A8%E6%B0%B4%E6%A0%93&ie=UTF8&qid=1527506114&rnid=5360092051
(ウ)株式会社大都のウェブサイト「DIY FACTORY」において,「カクダイ/KAKUDAI 湯屋カラン(プッシュ式)400-540-25B1」の見出しの下,「カクダイ湯屋カラン(プッシュ式)(400-540-25B)1・・・●ハンドルを押すと吐水し,はなすと止水します。」との記載がある。
http://www.diy-tool.com/fs/diy/k01-11281
(エ)足立石灰工業株式会社のウェブサイト「といれたす岡山店」において,「プッシュ型シングルレバーの立水栓716-227-13」の見出しの下,「使いやすいプッシュ型のシングルレバー立水栓。カクダイ,SAYATORA/招杜羅(シャトラ)シリーズ。・・・レバーを押し戻しで吐水,止水できます。・・・」との記載がある。
http://www.toiletas.jp/?pid=95918579
(オ)公益財団法人日本デザイン振興会のウェブサイト「GOOD DESIGN AWASRD 2003」において,「受賞対象名」の見出しの下,「浴室洗面金具 [プッシュ水栓]」の記載があり,さらに以下の記載がある。
「受賞対象の概要」概要(主な機能)・吐水/止水:プッシュ式ボタン
「審査委員の評価」「押す」だけの動作で吐水/止水ができる。しかもそのプッシュボタンが非常に見やすく分かりやすい絵表示だ。
http://www.g-mark.org/award/describe/28897

以上によれば,これらのウェブサイトにおいては,蛇口の水栓を開閉する際の「押す」動作を表す語として「プッシュ」の語が取引上普通に使用されている事実や,水栓に「プッシュ式」の文字が水栓の機能表示として使用されている事実が確認できるものである。
そうすると,「プッシュ水栓」の文字からなる本願商標は,その構成文字全体から,「プッシュ式水栓」程の意味合いを容易に理解させるものである。
よって,「プッシュ水栓」の文字からなる本願商標をその指定商品中「便所ユニット,浴室ユニット,水道用栓,パイプライン用栓,流し台,シャワー器具,浴槽類,洗浄機能付き便座,洗浄機能付き便器」に使用した場合は,これに接する取引者,需要者は,本願商標について「プッシュ式水栓」,あるいは「プッシュ式水栓を備えた商品」であることを表示したものと理解,認識させるにとどまるというのが相当である。
してみれば,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,また,その指定商品中,「プッシュ式水栓を備えた商品」以外の上記商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「プッシュ水栓」の文字が一般的に使用されていることを示す事実も見当たらない旨主張している。
しかしながら,商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断については,「商標法3条1項3号は,取引者,需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき,それ故に登録を受けることができないとしたものであって,該表示態様が商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか,現実に使用されている等の事実は,同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである。」(平成12年(行ケ)第76号,平成12年9月4日 東京高等裁判所判決参照)と判示されている。
そして,上記(1)のとおり,本願商標の構成文字の有する語意及び本願商標の指定商品を取扱う業界における取引の実情から,本願商標は,「プッシュ式水栓」の意味合いのもと,商品の品質を表示するものとして理解されるものというべきであるから,たとえ,「プッシュ水栓」の文字が本願の指定商品の品質を表すものとして一般的に使用されていないとしても,それによって直ちに,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当しないとすることはできない。
イ 請求人は,平成29年12月18日付け審判請求書において,本願商標は,2006年から現在に至るまで,長年継続使用しているから,取引者,需要者間に相当程度浸透し識別力を発揮する旨を述べていることから,これは,本願商標は商標法第3条第2項の規定に基づき登録されるべきである旨の主張とも解される。
しかしながら,請求人は,上記主張を証明するものとして,手続補足書において第1号証から第7号証を提出し,宣伝広告等行っていること,賞を受けたこと,出荷数量を主張するのみであって,本願商標の使用の開始時期,本願商標を使用した商品の販売量,流通範囲,宣伝・広告の状況等が把握できる証拠の提出はなく,さらに,上記(1)に記載した,本願商標の指定商品を取り扱う分野において,蛇口の水栓を開閉する際の「押す」動作を表す語として「プッシュ」の語が取引上普通に使用されている事実や,水栓に「プッシュ式」の文字が水栓の機能表示として使用されている事実が存在する実情からすれば,需要者が,請求人の使用する「プッシュ水栓」の文字を,自他商品の識別標識としての商標の使用と認識しているかについても不明であるから,請求人が提出する証拠によっては,本願商標が使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったということはできない。
ウ 請求人は,商標の一部に「プッシュ」及び「水栓」が含まれている登録例を4件あげ,本願商標は記述的とはいえないと考えるのが相当である旨主張する。
しかしながら,請求人が挙げる事例は,いずれも本願商標とその構成態様を異にするものである。また,商標の類否判断は,登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において,個別具体的に判断されるものであるから,請求人の挙げた商標登録の例などがあるからといって,本願商標も必ず登録されるものであるということにはならない。
よって,請求人の上記アないしウの主張は,いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-05-31 
結審通知日 2018-06-06 
審決日 2018-06-27 
出願番号 商願2016-82751(T2016-82751) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (W11)
T 1 8・ 13- Z (W11)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 滝口 裕子 
特許庁審判長 薩摩 純一
特許庁審判官 網谷 麻里子
田中 幸一
商標の称呼 プッシュスイセン、プッシュ 
代理人 棚井 澄雄 
代理人 川渕 健一 
代理人 眞島 竜一郎 

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