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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W06 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W06 審判 査定不服 観念類似 登録しない W06 審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない W06 |
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管理番号 | 1342105 |
審判番号 | 不服2017-14399 |
総通号数 | 224 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2018-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-09-28 |
確定日 | 2018-06-22 |
事件の表示 | 商願2016-45770拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,「Dan SIDING」の欧文字を横書きしてなり,第6類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成28年4月21日に登録出願され,その後,指定商品については,当審における,同29年10月31日付け手続補正書により,第6類「金属製壁用外装材,金属製サイディング材」と補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は,以下の(1)及び(2)のとおり認定,判断し,本願を拒絶した。 (1)本願商標は,その構成中に「(建物の外壁に使用する)板状の外壁材」を意味するものとして使用されている「SIDING」の文字を,その構成中に有するものであるから,本願の指定商品中「金属製壁用外装材,金属製サイディング材」等の,当該「SIDING」の文字に照応する商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。よって,商標法第4条第1項第16号に該当する。 (2)本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである(以下まとめて「引用商標」という場合がある。)。 ア 登録第470656号商標(以下「引用商標1」という。)は,「DAN」の欧文字を横書きしてなり,昭和29年10月8日登録出願,第7類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同30年9月17日に設定登録され,その後,5回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,また,平成19年8月29日に指定商品を,第6類「金属製水道管,金属製天井板,金属製棚板,金属製シャッター,金属製ちょうつがい,金属製ばね,金属製管継ぎ手,金属製いかり,金属製ボルト,金属製ナット,金属製錠前,金属製鍵,ワイヤロープ,金網,金属製壜用栓,金属製標札,金属製貯金箱,金属製又は琺瑯製の家庭用水槽,金属製金庫,つえ用金属製石突き,金属製あぶみ,金属製拍車,銅はく,すずはく」とする指定商品の書換登録がされたものである。 イ 登録第2659002号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲1の構成よりなり,平成3年3月26日登録出願,第7類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同6年5月31日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,また,同17年7月6日に指定商品を,第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料」とする指定商品の書換登録がされたものである。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本願商標について 本願商標は,前記1のとおり「Dan SIDING」の文字からなるものであるところ,その構成文字は「Dan」と「SIDING」の文字との間に半角程のスペースを有するものであることに加え,その構成が,大文字と小文字とが混在するものと,大文字のみからなるものと異なるため,「Dan」と「SIDING」は視覚上分離して観察される。 そして,本願商標構成中の「Dan」の欧文字部分は,「ダン(男性名:Danielの愛称),(深海漁業・掃海作業用の)標識浮標,ダン(ブイ)」等の意味があるものの,我が国で親しまれた英語ということはできないものであるから,直ちに特定の意味合いを理解することができない一種の造語と認識されるものである。 次に,「SIDING」の欧文字部分は,「(建物の外壁の)下目張り,壁板」(いずれも株式会社研究社 新英和中辞典)程の意味を表す「siding」であることから,当該語は本願の指定商品「金属製壁用外装材,金属製サイディング材」との関係においては,商品の普通名称を表示するものであって,自他商品の識別標識として機能を有さないものである。 さらに,本願商標が,構成全体として,なんらかの特定の意味合いを看取させる等,これらを常に不可分一体のものとしてのみ観察されなければならないとすべき特段の事情は認められない。 そうすると,本願商標は,その構成中,「Dan」の欧文字部分が自他商品の識別標識としての機能を有する部分といえ,当該部分を要部として抽出し,他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである。 したがって,本願商標は,その構成文字全体から生ずる「ダンサイディング」の称呼のほか,「Dan」の欧文字部分に相応した「ダン」又は「ディーエーエヌ」の称呼が生じ,特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標について (ア)引用商標1について 引用商標1は,前記2(2)アのとおり,「DAN」の欧文字よりなるところ,その構成文字に相応して「ダン」又は「ディーエーエヌ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。 (イ)引用商標2について 引用商標2は,前記2(2)イのとおり,黒塗りの正方形内に,デザイン化されているものの無理なく「dan」の欧文字を表したものと認識される態様の白抜き文字を横書きしてなるものであることから,引用商標2からは,「dan」の欧文字に相応して「ダン」又は「ディーエーエヌ」の称呼を生じるものであり,特定の観念を生じないものである。 ウ 本願商標と引用商標の類否について (ア)本願商標の要部と引用商標1の類否についてみるに,外観については,大文字と小文字の構成の相違点はあるものの,そのつづりを共通にするものであるから,両者は,外観上,近似した印象を与えるものである。次に称呼については,本願商標の要部と引用商標1は,「ダン」又は「ディーエーエヌ」の称呼を共通にするものである。そして,観念については,本願商標の要部と引用商標1は,ともに特定の観念を生じないものであるから,両者は,観念上,比較することができないものである。 してみれば,本願商標の要部と引用商標1とは,観念については比較できないとしても,外観上類似するものであって,「ダン」又は「ディーエーエヌ」の称呼を共通にするものであるから,これらを総合的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。 (イ)本願商標の要部と引用商標2の類否についてみるに,外観については,大文字と小文字の構成の相違点はあるものの,そのつづりを共通にするものであるから,両者は,外観上,近似した印象を与えるものである。次に称呼については,本願商標の要部と引用商標2は,「ダン」又は「ディーエーエヌ」の称呼を共通にするものである。そして,観念については,本願商標の要部と引用商標2は,ともに特定の観念を生じないものであるから,両者は,観念上,比較することができないものである。 してみれば,本願商標の要部と引用商標2とは,観念については比較できないとしても,外観上類似するものであって,称呼については「ダン」又は「ディーエーエヌ」の称呼を共通にするものであるから,これらを総合的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。 エ 指定商品の類否について 本願商標に係る指定商品は,前記1のとおりであるところ,その指定商品「金属製壁用外装材,金属製サイディング材」と,引用商標1に係る指定商品中の「金属製水道管,金属製天井板,金属製棚板,金属製シャッター,金属製ちょうつがい」及び引用商標2に係る指定商品「建築用又は構築用の金属製専用材料」とは,共に建築又は構築に使用される金属製の材料であり,同一又は類似する商品である。 オ 小括 以上によれば,本願商標は,引用商標と類似する商標であって,その指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似する商品であるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 本願商標は,1983年の使用開始以来,業界全体の金属サイディング材の約20%を占める請求人商品に30年以上の長きわたり使用され,本願商標の態様及び商品カタログには,常に一体的なまとまりある態様で継続して使用している実情からすれば,本願商標は構成全体で不可分一体の造語商標として,これに接した取引者・需要者間に広く認識・記憶されていたと判断するのが合理的である。また,商品「サイディング材,壁用外装材」を取り扱う分野において,商標の構成中に含まれる「サイディング(SIDING)」の文字を殊更に省略することはなく,全体で一体的に理解するのが通常であることから,かかる取引の実情を考慮しても,本願商標が構成全体で一体の商標として理解・認識されている旨主張する。 しかしながら,請求人は主張するのみで,本願商標が,その取引者・需要者において,構成全体で不可分一体のものとしてのみ認識されている事実を立証する資料の提出もない。そして,本願商標は,その構成態様及び構成中の「SIDING」の文字と,本願商標の指定商品との関係において,本願商標構成中の「Dan」の欧文字部分が商品の出所識別標識としての機能を有し,該部分が要部として抽出し,他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されることは上記(1)アのとおりである。 イ 商標の一部に商品の普通名称・品質表示と解される「サイディング(SIDING)」が含まれている場合においても,商品「サイディング材,壁用外装材」の取引では,「サイディング(SIDING)」を含めた「〇〇〇サイディング」のように商標が一体で使用される登録例及び使用例を5件あげ,本願商標も,常に全体をもって一体不可分のものとして需要者等に認識,把握されるとみるのが相当といえる旨主張する。 しかしながら,請求人が挙げる事例(平成29年11月1日付手続補足書資料第53号証ないし62号証)は,いずれも本願商標とその構成態様を異にするものである。また,商標の類否判断は,登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において,個別具体的に判断されるものであるから,請求人の挙げた商標登録の例などがあるからといって,本願商標も必ず登録されるものであるということにはならない。 ウ よって,請求人の上記主張はいずれも採用できない。 (3)まとめ 以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は,妥当であって,取り消すことはできない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 引用商標2(登録第2659002号商標)![]() |
審理終結日 | 2018-04-19 |
結審通知日 | 2018-04-25 |
審決日 | 2018-05-08 |
出願番号 | 商願2016-45770(T2016-45770) |
審決分類 |
T
1
8・
263-
Z
(W06)
T 1 8・ 262- Z (W06) T 1 8・ 261- Z (W06) T 1 8・ 264- Z (W06) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 箕輪 秀人 |
特許庁審判長 |
薩摩 純一 |
特許庁審判官 |
田中 幸一 網谷 麻里子 |
商標の称呼 | ダンサイディング、ダン、デイエイエヌ、サイディング、シディング |
代理人 | 川渕 健一 |
代理人 | 眞島 竜一郎 |
代理人 | 棚井 澄雄 |