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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y03 |
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管理番号 | 1341189 |
審判番号 | 取消2017-300423 |
総通号数 | 223 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2018-07-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2017-06-19 |
確定日 | 2018-05-21 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5027339号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5027339号商標(以下「本件商標」という。)は、「Cimoa」の文字を標準文字で表してなり、平成18年8月17日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、同19年2月23日に設定登録され、その後、同28年11月8日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。 本件審判の請求の登録日は、平成29年7月3日である(以下、本件審判の請求の登録前3年以内である同26年7月3日から同29年7月2日までの期間を、「要証期間」という場合がある。)。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである旨述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 なお、請求人は、後記第3の被請求人の答弁に対し、弁駁していない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、平成29年8月7日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)及び同年12月12日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。 1 答弁書 (1)本件商標の使用について 本件商標権者(被請求人)は、商品名を「Cimoa assist gel(シモア アシストジェル)」とする業務用商品「マッサージ用ジェル」(以下「本件商品」という場合がある。)について、遅くとも平成21年(2009年)から本件商標の使用を開始し、現在まで継続して使用している。 本件商品のボトル本体中央には、「Cimoa」の表記があり、本件商標権者は、これを全国の美容室、美容サロンに販売しており、その累計販売数は、約2万本である。 本件商品は、手に取ったジェルを顔又はボディの気になる部分になじませてマッサージするようにしてすり込み使用するもので、本件商標の指定商品「化粧品」に相当する商品である。 (2)本件商品の販売について ア 本件商標権者は、本件商品を、岡山県岡山市所在のエクシードシステム株式会社(以下「エクシードシステム」という。)に、平成28年6月1日、同年9月8日、同月14日及び同年12月21日に、各1本(計4本)販売した。 上記販売の事実については、エクシードシステムのボーテ事業部長の陳述書(乙1)において証言を得ている。 また、平成28年9月及び同年12月の本件商標権者からの請求書(乙2)の内訳にも「C.アシストジェル」という記載があり、上記販売の事実と符合する。 イ 本件商品は、楽天の仮想店舗において、インターネット販売がなされている。乙第5号証の販売サイトにおいて、本件商品は、この商品の登録日として「平成28年12月22日」と明示されているように、審判請求日前からインターネット上でも販売されていた。 (3)本件商品の発注及び品質確認等に関する資料 本件商標権者は、上述のとおり、本件商品を遅くとも2009年(平成21年)以降、継続的に販売しているところ、その製品販売の継続性を裏付けるため、製造会社への発注書のFAXの控え及び製造会社からの発注書を受領した旨のFAX(乙3)、直近のロット(BQ及びBR)についての製造会社からの市場出荷可否判定報告書(納品通知)のFAXを示す(乙4)。 製品ロットBQの500本は、平成28年7月25日に製品検査され、納品されており(乙4-1)、また、続く製品ロットBRの500本は、平成29年5月23日に品質検査され、本件商標権者の倉庫に納品されている(乙4-2)。 なお、本件商標権者は、本件商品の発注があればいつでも出荷できるように、当該商品を配送棚に配置し、配送ルート下に置いている。 (4)まとめ 以上のとおり、本件商標権者は、本件審判の請求日前から、化粧品である本件商品を継続的に販売しており、当該商品のボトル本体中央には、本件商標が大きく表示されている。 したがって、本件商標権者は、要証期間に、化粧品について本件商標を使用している。 2 回答書 (1)被請求人は、要証期間の本件商標権者による本件商標の使用を示す事実として、以下の2点を挙げる。 ア 答弁書の2ページに掲載した写真のとおり、本件商標権者は、本件商品である内容量600gの業務用のマッサージジェル「シモアアシストジェル」(JANコード:4560266910865)のボトル前面中央に本件商標「Cimoa」を付して、2009年(平成21年)以降使用していることから、商標法第2条第3項第1号に該当する商標の使用があること。 イ 本件商標権者は、エクシードシステムに対し、平成28年6月、9月及び12月に計4回本件商品を販売したことから、商標法第2条第3項第2号に該当する商標の使用があること(乙1、乙2)。 (2)上記(1)に挙げた事実関係についての補足説明 ア 本件商品に本件商標を付すことに本件商標権者が関与していることは、当該商品のボトル裏面に「製造販売元 株式会社アジュバンコスメティック」、「発売元 株式会社アジュバンコスメジャパン」と記載されていることなどから明らかである。 株式会社アジュバンコスメティックは、本件商標権者の100パーセント子会社であり(乙7)、商品の製造品質を管理、記録している。 また、本件商品が継続的に製造されていたであろうことは、ロット番号の蓄積とロット数量から合理的に推認し得る(乙3、乙4)。 イ 乙第5号証及び乙第8号証は、インターネット上での本件商品の転売の事実を示すものであり、それぞれに取扱開始日が記載されていることから、平成28年にはウェブサイトで本件商品が転売されていたことが分かる。 また、乙第8号証には、2017年(平成29年)4月24日付けのカスタマーレビューがあることから、平成29年4月までには本件商品を購入した者が存在したと推認し得るところ、これは、本件商標権者が販売した本件商品が市場に存在し、実際に流通していることを端的に示すものであり、「その商品に本件商標権者が標章を商品に付して使用した」という事実を裏付ける資料となり得る。 そして、化粧品は、いわゆる「薬機法」(旧薬事法)との関係で、流通期間が長い商品ではなく、品質管理が非常に厳格になされるものであることからすれば、上記ウェブサイトに掲載されている本件商品は、直近に製造されたものであろうことは十分に推測できる。 そうすると、上記ウェブサイトでの転売の事実も、本件商標権者が本件商品に本件商標を付していた事実を間接的に立証する証拠であり、乙第3号証及び乙第4号証に示すように、大量に製造している事実が販売を前提にしていたこととも結びつくものであり、これらの販売を前提とした本件商品に本件商標権者が本件商標を付したことを強く推認させる。 ウ 乙第2号証及び乙第3号証に記載された「C.アシストジェル」について、その記載中の「C.」が「Cimoa」の頭文字であり得ることは、合理的に推認し得る。 すなわち、「Cimoa」は、5年ほど前まで主力ブランドとして多数の商品をそろえていたため、取引上、各商品の判別のためにサブネームを使用する必要があり、その表記に当たり、省略するならば、冠ブランドである「Cimoa」の方であったこと、また、伝票類での記載は、当事者同士が理解しあえれば不都合がないことから、省略表記がなされることが通常であり、これらの略号を合理的に意思解釈すること自体は許されるところ、本件商品は、「業務用のマッサージジェル 600g」であり、乙第2号証及び乙第3号証には、「C.アシストジェル」の文字に加え、業務用商品を意味する「業)」の記載及びボトルサイズを示す「600g」の記載がある。そして、乙第2号証及び乙第3号証におけるこれらの記載は、業務用商品のような通常より格段に大きなボトルサイズであることを示すものであり、「シモアアシストジェル600g」と符合するものであることは明らかである。 単純に「C.」と「Cimoa」の文字の違いに拘泥するのではなく、単位の「600g」や「業)」といった文字も併記されている点を勘案すれば、これを否定する他の合理的理由がない限り、「C.アシストジェル」は「シモアアシストジェル」と同一の商品に関する記載であると推認し得る。 エ 上記ウにおいて述べた「C.」が「Cimoa」のことであり、「シモアアシストジェル」と結び付くとの解釈が正しいことについては、以下のとおり、補足する。 乙第6号証は、本件商標権者が販売代理店に向けて配付した平成27年の商品別単価表であるところ、「業務用」の商品の欄に「Cアシストジェル 600g」との項目があり、当該項目と同じ行に、「JANコード」として、「4560266910865」との記載がある。 そして、本件商品のボトル裏面のバーコードの横にも同じ「4560266910865」のJANコードが印字されている。 そうすると、乙第2号証及び乙第3号証に「C.アシストジェル」と表記された商品は、「シモアアシストジェル」と同一の商品であることは明白である。 また、上記の商品別単価表どおりに発注された商品であれば、本件商標権者からの請求書(乙2)に記載されている商品名が略称である場合には、同様の意味に解するのが合理的であり、当該請求書に記載された商品とエクシードシステムのボーテ事業部長の陳述書(乙1)に係る商品とが対応関係にあることも明らかといえる。 そうすると、本件商標権者が本件商品をエクシードシステムヘ販売したという上記陳述書(乙1)に記載された内容は、乙第2号証の請求書の内容と矛盾しないものといえ、具体的な個々の販売事実も明確に説明がつく。 オ 化粧品は、いわゆる薬機法上の扱いで、行政当局に販売商品名を事前に届け出ており、「Cimoaアシストジェル」がその商品名であるところ、化粧品において、「アシストジェル」を含む製品は、「Cimoa」以外に存在していないことを付言する。 第4 当審の判断 1 被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、以下のとおりである。 (1)エクシードシステムのボーテ事業部取締役部長のA氏は、平成29年8月1日付け陳述書において、当該陳述書に掲載された写真の商品は、本件商標権者が販売しているサロン向けの業務用化粧品(マッサージ用ジェル)のCimoa assist gel 600g入の本体ボトルであり、エクシードシステムが平成28年6月1日、同年9月8日、同年9月14日及び同年12月21日に、当該写真の商品を本件商標権者から1本ずつ購入した旨陳述した。本件商品の本体ボトル前面中央には、「Cimoa」の欧文字(以下「使用商標」という場合がある。)が付され、当該欧文字の下には「assist gel」の文字が付されている(乙1)。 (2)乙第2号証は、本件商標権者が2016年(平成28年)9月21日及び同年12月21日付けでそれぞれ発行したエクシードシステム宛ての請求書の写しであるところ、その請求に係る平成28年9月7日、同月13日及び同年12月20日の明細項目において、「業)C.アシストジェル 600g」及びその数量としての「1」の記載があることからすれば、本件商標権者が、当該各日に、エクシードシステムへ「業)C.アシストジェル 600g」と称する商品を1本販売(掛売)したことが推認できる。 なお、本件商標権者は、上記請求書の写しにある「業)C.アシストジェル 600g」の記載について、伝票類に記載する商品名は、省略表記されるのが通常であるところ、当該記載のうち、「業)」の文字は、当該取引に係る商品が業務用商品であることを、「C.」の文字は、「Cimoa」の頭文字を表したものであって、上記(1)でいう「業務用化粧品『Cimoa assist gel 600g入』」を省略表記したもので、結局、本件商品に相当するものである旨主張している(回答書4ページ、乙6)。 (3)乙第5号証は、「Web Shop」と題する通販用ウェブサイトの出力物であるところ、当該ウェブサイトには、本件商品と同一のボトル容器に入った商品が掲載されており、また、当該商品が平成28年12月22日に登録された旨の記載がある。そして、当該商品については、「サロン専売品」である旨の記載があるほか、「肌疲れをやさしく癒すボディフェイシャル両用の洗い流し不要のマッサージジェル。」、「内容量 600g」、「メーカー アジュバンコスメジャパン」、「商品名 シモアアシストジェル(マッサージジェル)」及び「区分:化粧品」等の記載がある。 2 上記1によれば、本件商標の使用についての当審の判断は、以下のとおりである。 (1)本件商標権者は、要証期間である平成28年9月及び同年12月に、エクシードシステムに対し、「業)C.アシストジェル 600g」と称する商品、すなわち、使用商標を付したボトル容器入りのサロン向けの業務用化粧品(マッサージ用ジェル、600g)を販売した。 (2)上記(1)の販売に係る商品は、通販用ウェブサイトの商品画像や商品説明等を併せ見れば、本件商標の指定商品である第3類「化粧品」の範ちゅうに属する商品であると認められる。 (3)使用商標は、「Cimoa」の欧文字からなり、「Cimoa」の文字を標準文字で表してなる本件商標と同一の文字構成であることから、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。 (4)上記(1)ないし(3)のとおりであるから、本件商標権者は、要証期間に、本件審判の請求に係る指定商品である第3類「化粧品」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して譲渡したと認められ、その行為は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」に該当する。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標権者が、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-03-27 |
結審通知日 | 2018-03-30 |
審決日 | 2018-04-10 |
出願番号 | 商願2006-76872(T2006-76872) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Y03)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
田中 敬規 |
特許庁審判官 |
松浦 裕紀子 中束 としえ |
登録日 | 2007-02-23 |
登録番号 | 商標登録第5027339号(T5027339) |
商標の称呼 | シモア |
代理人 | 横井 健至 |
代理人 | 佐藤 大輔 |
代理人 | 横井 宏理 |
代理人 | 横井 知理 |
代理人 | 橘 哲男 |