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審決分類 審判 一部取消 商標の同一性 無効としない Y09
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09
管理番号 1340329 
審判番号 取消2017-300037 
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-01-16 
確定日 2018-05-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第5001002号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5001002号商標(以下「本件商標」という。)は、「リング」の片仮名と「RING」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成18年3月10日に登録出願、第9類及び第28類に属する別掲のとおりの商品を指定商品として、同年11月2日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成29年2月13日である。
また、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成26年2月13日から同29年2月12日までの期間を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「ダウンロード可能な移動体電話用コンピュータプログラム・待ち受け画像・着信音用音楽・着信音用音声,コンピュータ用プログラムを記憶させた電子回路・同磁気テープ・同磁気カード・同磁気ディスク・同光ディスクその他の電子応用機械器具及びその部品(マウスパッド,キーボードカバーその他の周辺機器を含む。),ダウンロード可能なコンピュータ用プログラム及びコンピュータ用ゲームの追加データ,電気通信機械器具(携帯電話用ストラップその他の電気通信機械器具の部品及び附属品を含む。)」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次のように述べている。
本件商標は、その指定商品中、上記の指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである旨述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
なお、請求人は、後記第3の被請求人の答弁に対し、弁駁していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判事件答弁書及び審尋に対する回答書において要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。証拠番号は、平成29年8月31日付け回答書による振り直し後のものとする。)を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は、本件審判請求に係る指定商品中、第9類「ダウンロード可能な移動体電話用コンピュータプログラムその他の電子応用機械器具及びその部品,ダウンロード可能なコンピュータ用プログラム,電気通信機械器具」について使用されており、その事実を登録商標の使用説明書について提出の証拠により、以下のとおり立証する。
(1)登録商標の使用説明書(乙1)
ア 本件商標の使用に係る商品
本件商標の使用に係る「ダウンロード可能な移動体電話用コンピュータプログラムその他の電子応用機械器具及びその部品,ダウンロード可能なコンピュータ用プログラム,電気通信機械器具」は、「指輪型のウェアラブル電子応用機械器具、指輪型のウェアラブル電気通信機械器具」(以下「本件使用商品」という。)である。
イ 本件商標の使用
本件商標と社会通念上同一と認められる商標「Ring」が、被許諾者が販売する本件商品について使用されていることは明らかである。
ウ 本件商標の使用許諾の事実
本件登録商標の使用許諾の事実は、株式会社ログバーヘの商標使用許諾契約書(乙2)により立証する。
2014年4月17日締結の商標使用許諾契約書の写しにより、本件商標が株式会社ログバーに対し、2014年7月1日から2015年6月30日までの期間、許諾されている事実を示す。なお、当該契約については自動更新され、2017年6月30日まで延長している。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権の使用許諾を与えた株式会社ログバーにより、本件審判請求に係る指定商品中、本件使用商品について使用されているものであるから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものではない。
2 審尋とそれに対する被請求人の回答書
(1)審尋
当合議体は、被請求人に対し、本件商標の使用について、審尋し、意見を求めた。
(2)被請求人からの回答書
ア 本件商品が本件審判請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品であることについて
株式会社ログバーの「Ring ZERO」は、人さし指にはめて空中ジェスチャーをすることで、スマートフォンを操作して写真を撮影したり音楽を再生したり、スマート家電と連携させることで、照明やテレビのON/OFF等の操作ができる指輪型ウェアラブル端末である(乙3)。
そのユーザーズガイド(乙4)の6葉目には、「お使いになる前に Ring専用アプリをダウンロードする」とあり、Ring専用アプリをインストールすることにより、スマートフォンと接続し機能することについての記載があり、10葉目からは、「タッチセンサーの操作方法(ホールド、タップ)」、「ジェスチャーの操作方法」などスマートフォンの入力装置としての操作方法が記載されていることから、本件商品が、「第9類 ダウンロード可能な移動体電話用コンピュータプログラムその他の電子応用機械器具及びその部品,ダウンロード可能なコンピュータ用プログラム,電気通信機械器具」に属する商品であることは明白である。
イ 本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む)を本件商品について使用したことについて
ホームページ(乙5)が示すとおり、株式会社ログバーは、2015年3月16日付けで「Ring ZERO」の予約注文の受付を開始した旨を発表している。
また、通信販売サイトAmazon.co.jpには、これに対応する商品が掲載され、現在も販売されている(乙6の1)。
当該Amazon.co.jpのウェブページには、乙第5号証に掲載されている商品写真と同じものが掲載されており、以下の事実が記載されている。
(ア)「Ring ZERO」の商品名
(イ)色が「White」であること
(ウ)サイズにS、L、Mがあること
(エ)Amazon.co.jpでの取扱い開始日が2015年3月15日であること
(オ)2015年5月2日ないし2017年2月18日にかけて、8件のカスタマーレビューが存在していること(乙6の2)
以上の事実から、乙第5号証で予約受注を受け付けたのと同一の商品が実際に販売されたことは明らかである。
ところで、乙第5号証の1葉目には、商品の写真とともに「Ring」(小さく「ZERO」の添え書きあり)の商標が、また、乙第3号証の2葉目及び乙第5号証の3葉目(審決注:2葉目の誤記と認める。)には、商品の包装に「Ring」(小さく「ZERO」の添え書きあり)の商標が表示されている。
したがって、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む)を本件商品について、商標法第2条第3項第1号、同項第2号及び同項第8号に該当する態様で使用したことは明らかである。
ウ 乙第1号証の4のホームページに記載された株式会社ログバーと乙第2号証の商標使用許諾契約書に記載された株式会社ログバーが同一人であることについて
株式会社ログバーは、平成25年2月25日に東京都渋谷区三丁目1番9号Yazawaビル4階を本店住所として設立され、平成26年5月1日に本店住所を現住所の東京都港区恵比寿四丁目7番6号へ移転しているが(乙7)、未登記であるが、現住所へ本店住所を移転する直前のごく短い期間、商標使用許諾契約書(乙2)に記載された住所に移転していた事実がある。
この事実を示す証拠方法である、平成25年12月10日付け締結の株式会社ログバーと日本土地建物株式会社との定期建物賃貸借契約書の写し(乙8)には、借主の株式会社ログバーの住所として「東京都渋谷区三丁目1番9号Yazawaビル4階」の記載があり、これは、株式会社ログバーの履歴事項全部証明書(乙7)記載の従前の本店所在地である。
また、株式会社ログバーが借り受けた建物の所在地は、「東京都南青山一丁目2番6号」であり、商標使用許諾契約書(乙2)記載の住所と同一である。
そして、その賃貸借期間は、平成25年12月10日から平成26年5月13日である。
商標使用許諾契約書(乙2)は、平成26年4月17日に締結し、株式会社ログバーの実質的な住所が、「東京都南青山一丁目2番6号」であった当該賃貸借期間中に契約されたものである。
したがって、乙第1号証の4に記載された株式会社ログバーと商標使用許諾契約書(乙2)に記載された株式会社ログバーとが同一人であることは明確である。
エ 本件商標の使用が要証期間内のものであることについて
商標使用許諾契約書(乙2)に基づく契約は、当該契約書第12条及び別紙1-3の条項に基づき、2017年(平成29年)6月30日まで延長されている。
これにより、本契約に定めるとおりの対価の請求を行っている(乙9)。
以上から、乙第1号証の2及び第1号証の4として提出した証拠は、要証期間に本件商標が株式会社ログバーに使用されていたことを示すものである。なお、株式会社ログバーは、2015年3月16日付けで「Ring ZERO」の予約注文の受付を開始した旨発表し、この事実は、2015年3月17日付けの日本経済新聞にて報道されている(乙10)。
オ 乙第1号証の3及び乙第1号証の4に示されている商標が本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む)の使用といえるかどうかについて
乙第1号証の3及び乙第1号証の4の株式会社ログバーの商品等を紹介したホームページにおいて、「Ring ZERO」の欧文字が、本件商品の写真とともに表示されており、また、日本国内における販売やグッドデザイン賞を受賞した旨の記載が「Ring ZERO」の欧文字とともに掲載されていることから、同社のホームページを見た需要者は、請求人(審決注:被請求人の誤記と認める。)の使用に係る商標は「Ring ZERO」であると認識するものといえるとのことであるが、当該商標は、「Ring」の欧文字は、1文字目のみが大文字で表され、その他の文字が小文字で表されている一方、「ZERO」の欧文字は、全て大文字で表されており、外観上必ずしも一体的に表されているとはいえない。
また、「ZERO」 等の数字の表記は、コンピュータ用プログラム、電子応用機械器具の分野で、同一シリーズに属する商品や型番表記として広く使用されていることは顕著な事実である。
したがって、当該商標に接した消費者は、「Ring」の部分を抽出し、実際使用されている商標は「Ring」で、「ZERO」は単なる型番若しくは商品シリーズを表す付加的な表示としてのみ認識するはずである。
さらに、取引の実情として、提出した証拠において、商品の包装の写真に、「Ring」の欧文字が著しく大きく書され、「ZERO」の欧文字が非常に小さいサイズで添えられているデザインのロゴが採用されていることや、「Ring ZERO」が、「Ring」の最新版として発売されるものであるとの説明がなされていることからも、消費者、需要者は、単に一連一体の「Ring ZERO」の使用ではなく、商標「Ring」の使用と認識することは疑いがない。
カ その他の本件商標の使用事実について
株式会社ログバーは、「Ring ZERO」の以前のバージョンである「Ring」について、2014年10月30日から受注販売を開始し、同日から2014年11月3日まで、表参道ヒルズにおいて、製品の体験ができる期間限定店舗を開設し、商標「Ring」を使用した商品の宣伝広告を行った(乙11)。
また、2014年10月29日に報道機関に向けた製品発表会及び当該期間限定店舗の内覧会を行っている(乙12)。
乙第12号証(審決注:乙第11号証の誤記と認める。)に表示されている写真から明らかなとおり、当該店舗の内装には商標「Ring」が表示されている。
これは、本件商標と社会通念上同一の商標を商品に関する広告に付して展示をしており、商標法第2条第3項第8号に該当する使用を要証期間に行っている証明となる。

第4 当審の判断
1 使用の事実について
提出された証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標の登録原簿を徴するに、被請求人である本件商標権者の株式会社バンダイナムコエンターテイメントは、設定登録された平成18年11月2日から、登録名義人の表示の変更を受け付けた同28年3月2日までは、「株式会社バンダイナムコゲームス」の名称であった(甲1)。
(2)平成26年4月17日に、株式会社バンダイナムコゲームスは、株式会社ログバー(東京都港区南青山1-2-6ラティス青山306)と、本件商標を本件使用商品等について使用することを内容とする通常使用権を許諾する旨の契約を締結した。使用許諾期間は平成26年7月1日から同27年6月30日までの1年間であるが、当事者のいずれかが予め反対の意思表示をしない限り、許諾期間はさらに1年間延長され、以後も同様とされる(乙2)。
(3)株式会社ログバーは、平成25年2月25日に、東京都渋谷区渋谷三丁目1番9号Yazawaビル4階を本店所在地として設立され、同26年5月1日に、本店所在地を東京都渋谷区恵比寿四丁目7番6号へと移転している(乙7)。
また、同人(借主)は、日本土地建物株式会社(貸主)と、東京都港区南青山一丁目2番6号(住居表示)のLattice aoyamaの306号室について、平成25年12月10日付けで、同26年5月13日までを期間とする定期建物賃貸借契約を締結している(乙8)。この住所は、上記(2)の商標使用許諾契約を締結した当時の株式会社ログバーの住所と一致する。
(4)株式会社ログバーは、2014年10月吉日として、「『世界を変える10のプロダクト(米CNN発表)』に選出された指輪型ウェアラブルデバイス」、「『Ring』日本上陸発表会のご案内」及び「『Ring』が体験できる<期間限定店舗>が表参道ヒルズにオープン! 開催期間:10月30日(木)?11月3日(月・祝)」との見出しの報道関係者に対する案内状(INVITATION)を作成した。当該案内状には、指輪型ウェアラブルデバイスの画像とその上に「Ring」の欧文字からなるロゴが記載されているとともに、それらの横には、「株式会社ログバー(本社:東京都渋谷区 代表取締役:吉田卓郎)は、世界初指輪型ウェアラブルデバイス『Ring』が体験できる期間限定店舗を2014年10月30日(木)より表参道ヒルズにオープンいたします。」との案内文の記載がある(乙12)。
(5)プレスリリース・ニュースリリース配信サービスのPR TIMESは、2014年10月29日付けで、東京都渋谷区恵比寿四丁目7-6所在の株式会社ログバーのプレスリリースを、同人のウェブサイトに掲載しており、そこには、「『世界を変える10のプロダクト(米CNN発表)』に選出された指輪型ウェアラブルデバイス『Ring』を体験できる<期間限定店舗>が表参道ヒルズにオープン!」との見出しの下、「株式会社ログバー(本社:東京都渋谷区 代表取締役:吉田卓郎)は、世界初の指輪型ウェアラブルデバイス『Ring』が体験できる期間限定店舗を、表参道ヒルズに2014年10月30日(木)から2014年11月3日(月・祝)までの5日間限定でオープンいたします。」と記載されており、また、当該指輪型ウェアラブルデバイスの画像とその上に「Ring」の欧文字からなるロゴも記載されている(乙11)。
(6)GIGAZINEのウェブサイトの2015年5月7日付けの記事において、「指を空中で動かすだけでスマホを操作できる指輪型ウェアラブル端末『Ring ZERO』レビュー」の見出しの下、「人さし指にはめて空中ジェスチャーすることで、スマートフォンを操作して写真を撮影したり音楽を再生したり、さらにはスマート家電と連携させることで照明やテレビのON/OFFまでできる指輪型ウェアラブル端末『Ring』が、より軽量になり認識精度も大幅にアップさせた『Ring ZERO』にバージョンアップした」との記載があり、当該商品の画像として、指輪型ウェアラブル端末の画像とその包装箱の蓋部に「Ring」の文字が大きくその右に「ZERO」の文字が小さく表示されている画像が掲載されている(乙3)。
(7)プレスリリース・ニュースリリース配信サービスのPR TIMESは、2015年3月16日付けで、東京都渋谷区恵比寿4丁目7-6所在の株式会社ログバーのプレスリリースを、同人のウェブサイトに掲載しており、そこには、「指輪型ウェアラブルデバイスRingの最新モデル『Ring ZERO』白・黒の2カラーで先行予約開始!発送開始予定は2015年4月30日より」との見出しの下、「株式会社ログバー(本社:東京都渋谷区 代表取締役:吉田卓郎)は指輪型ウェアラブルデバイスRingの最新版『Ring ZERO』をアメリカテキサス州オースティンで開催しているSXSW(サウスバイサウスウェスト)にて発表いたしました。」及び「2014年に発表した世界初の指輪型ウェアラブルデバイス『Ring』から、急激な進化をとげたRing ZEROでは自社開発のジェスチャー認識エンジン”Maestro”(マエストロ)を搭載。第1世代よりも、格段にジェスチャー認識精度が向上」との記載とともに、当該指輪型ウェアラブルデバイスの画像が記載されている(乙5)。
(8)乙第4号証は、表表紙及び裏表紙に「Logbar」の文字が表示された「Ring ZERO User’s Guide ユーザーガイド」である。その6葉目には、「お使いになる前に」の見出しの下、「RingはスマートフォンとBluetooth Low Energyで接続することにより機能いたします。」との記載があり、また、11葉目には、「操作方法」の見出しの下、「ジェスチャー操作について」、「ジェスチャーの描き方」との記載があり、ジェスチャーの描き方を図とともに説明しており、タッチセンサーをホールドしている間の軌跡をジェスチャー認識する旨の記載がある。
2 判断
上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用者について
上記1(1)ないし(3)によれば、本件商標権者は、契約締結時の名称である株式会社バンダイナムコゲームズの名義にて、株式会社ログバーと、本件商標について、平成26年7月1日から同27年6月30日までの間通常使用権を許諾する旨の契約を締結しているから、株式会社ログバーは、上記期間中、本件商標の通常使用権者であったと認められる。
(2)使用商標及び使用時期について
乙第12号証によれば、本件商標の通常使用権者である株式会社ログバーは、平成26年10月に、本件使用商品を体験することができる期間限定店舗を同年10月30日(木)から11月3日(月・祝)までの間オープンする旨を報道関係者に知らせる案内状を作成し、そこには、指輪型ウェアラブルデバイスについての画像と、その上に「Ring」の欧文字からなるロゴを付していたといえる。
また、乙第11号証によれば、プレスリリース・ニュースリリース配信サービスのPR TIMESは、そのウェブサイトにおいて、上記案内状とほぼ同内容のプレスリリースを、平成26年10月29日付けで、株式会社ログバーの名義にて掲載しているところ、通常、プレスリリース等の配信サービスは、プレスリリース等を行う者がその内容を作成し、配信者がその発表を代行するサービスであり、実質的にプレスリリース等を行うのはその内容の作成者であるといえるため、上記プレスリリースは、実質的に通常使用権者である株式会社ログバーが行ったものということができる。
そして、本件商標は、前記第1のとおり、「リング」の片仮名と「RING」の欧文字とを上下二段に横書きしてなるところ、その構成態様によれば、上段に位置する片仮名は、下段に位置する欧文字の読みを表したものと看取、理解されるから、上記案内状及びプレスリリースに掲載された、「Ring」の欧文字からなるロゴは、書体の違いや、語頭の「R」以外を小文字で表しているか、全て大文字で表しているかの違いはあるものの、本件商標の下段に位置する文字と同一のつづりからなるものであって、同一の称呼を生じるといえるものであり、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
以上のことからすれば、本件商標の通常使用権者である株式会社ログバーは、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる「Ring」のロゴを付した案内状及びプレスリリース記事を、報道関係者を含めた取引者・需要者に頒布したと推認でき、その時期は、要証期間におけるものである。
(3)使用商品について
上記1(6)ないし(8)によれば、本件商標がその包装又は広告に付されている「指輪型ウェアラブルデバイス」及び「指輪型ウェアラブル端末」は、人さし指にはめて空中で特定の動きをする(ジェスチャー操作する)ことで、スマートフォンを遠隔操作する機器であり、ジェスチャー操作を認識する電子応用機械器具としての機能と、そのジェスチャー操作を無線(Bluetooth Low Energy)によりスマートフォンと通信し伝える電気通信機械器具としての機能を合わせ持つ商品というべきである。
そうすると、本件使用商品と、上記の「指輪型ウェアラブルデバイス」及び「指輪型ウェアラブル端末」とは、いずれも、電子応用機械器具及び電気通信機械器具の範ちゅうに属する商品であると考えられるため、本件使用商品は、本件審判の請求に係る指定商品中の第9類「ダウンロード可能な移動体電話用コンピュータプログラムその他の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」の範ちゅうに属するものと認められる。
(4)小括
以上を総合すると、平成26年10月に、本件商標の通常使用権者である株式会社ログバーは、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判の請求に係る指定商品「ダウンロード可能な移動体電話用コンピュータプログラムその他の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」について、その商品の広告に付して、日本国内で頒布していたというべきである。
そして、通常使用権者である株式会社ログバーの上記行為は、「商品・・・に関する広告・・・に標章を付して・・・頒布・・・する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
3 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品「ダウンロード可能な移動体電話用コンピュータプログラムその他の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(本件商標に係る指定商品)
第9類 スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,ダウンロード可能な移動体電話用コンピュータプログラム・待ち受け画像・着信音用音楽・着信音用音声,コンピュータ用プログラムを記憶させた電子回路・同磁気テープ・同磁気カード・同磁気ディスク・同光ディスクその他の電子応用機械器具及びその部品(マウスパッド,キーボードカバーその他の周辺機器を含む。),ダウンロード可能なコンピュータ用プログラム及びコンピュータ用ゲームの追加データ,電気通信機械器具(携帯電話用ストラップその他の電気通信機械器具の部品及び附属品を含む。),家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用テレビゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた読出し専用のカートリッジ式電子回路・同磁気テープ・同磁気カード・同磁気ディスク・同光ディスク・その他の記憶媒体,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム及び同追加データ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROMその他の記憶媒体,ダウンロード可能な携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラム及び同追加データ,レコード(録音済みコンパクトディスクを含む。),電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROMその他の記憶媒体,ダウンロード可能な音楽,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,ダウンロード可能な画像,自動販売機,遊戯用メダル貸出機
第28類 遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,かるた,トランプ,花札,遊戯用カード,マージャン用具,ボードゲーム用具,おもちゃ(携帯用液晶画面ゲームおもちゃ・携帯用液晶画面ゲームおもちゃの部品及び附属品・娯楽用ロボットおもちゃ・教育用ロボットおもちゃを含む。),人形

審理終結日 2017-11-30 
結審通知日 2017-12-05 
審決日 2017-12-21 
出願番号 商願2006-21799(T2006-21799) 
審決分類 T 1 32・ 11- Y (Y09)
T 1 32・ 1- Y (Y09)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 青木 博文
尾茂 康雄
登録日 2006-11-02 
登録番号 商標登録第5001002号(T5001002) 
商標の称呼 リング 
代理人 明石 憲一郎 
代理人 明石 昌毅 

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