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審決分類 審判 査定不服 商品と役務の類否 登録しない W12
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W12
審判 査定不服 観念類似 登録しない W12
審判 査定不服 外観類似 登録しない W12
管理番号 1340276 
審判番号 不服2017-10417 
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-13 
確定日 2018-04-27 
事件の表示 商願2016-23751拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「STARPARTS」の欧文字を標準文字で表してなり,2015年10月2日にドイツにおいてした商標登録出願に基づき,第12類「自動車の構成部品」を指定商品として,パリ条約第4条の規定による優先権を主張して,平成28年3月4日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりであり,いずれの商標権も現に有効に存続している。
(1)登録第5806961号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成26年9月30日登録出願,第35類「自動車並びにその部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行なわれる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として,同27年11月20日に設定登録されたものである。
(2)登録第5806962号商標(以下「引用商標2」という。)は,「Star」及び「Parts」の欧文字を「-」(ハイフン)の符号を介して「Star-Parts」と一連に普通に用いられる態様で表してなり,平成26年9月30日登録出願,第35類「自動車並びにその部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行なわれる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として,同27年11月20日に設定登録されたものである。
なお,以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)商標の類否判断について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号参照)。
この点に関し,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,経験則上,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合,取引の実際において,一部の構成部分のみによって称呼,観念されることも少なくないといえる。このことから,結合商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などは,当該構成部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号,最高裁平成3年(行ツ)第103号,最高裁平成19年(行ヒ)第223号参照)。
上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。
(2)本願商標
本願商標は,前記1のとおり,「STARPARTS」の欧文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は,特定の意味を有する既成の語ではないが,そのつづりによれば,我が国において慣れ親しまれた平易な英単語である「星,恒星;(名詞の前につけて)星の」を意味する「STAR」及び「(機械の)部品」を意味する「PART」の複数形である「PARTS」という2つの語(初級クラウン英和和英辞典第11版参照)を組み合わせてなるものと容易に看取,理解されるといえるから,その構成文字全体から,「星の部品」ほどの意味合いを想起させるものである。
したがって,本願商標からは,その構成文字に相応して,「スターパーツ」の称呼及び「星の部品」の観念が生じるというのが相当である。
(3)引用商標
ア 引用商標1
引用商標1は,別掲のとおり,やや太字で「Star」及び「Parts」の文字,並びに,やや細字で「自動車部品」の文字を上下三段に併記してなり,全体として「スターパーツジドウシャブヒン」の一連の称呼が生ずるものである。
そして,引用商標1は,その各構成文字の文字種及び文字の太さの相違から,「Star」及び「Parts」の文字部分と「自動車部品」の文字部分とに分離して看取され得ることに加え,「自動車部品」の文字部分は,引用商標1の指定役務中「自動車並びにその部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行なわれる顧客に対する便益の提供」との関係では,同役務の取扱商品を表す語であるから,役務の出所識別標識としての称呼及び観念が生じないものといえる。
してみれば,引用商標1の構成中の「Star」及び「Parts」の文字部分が,取引者,需要者に対し,役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきであるから,引用商標1は,その構成中の「Star」及び「Parts」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標(本願商標)と比較して商標の類否を判断することができるものである。
したがって,引用商標1からは,構成全体から生じる「スターパーツジドウシャブヒン」の称呼のほか,要部である「Star」及び「Parts」の文字部分から,「スターパーツ」の称呼及び「星の部品」の観念が生じるというのが相当である。
イ 引用商標2
引用商標2は,前記2(2)のとおり,「Star」及び「Parts」の欧文字を「-」(ハイフン)の符号を介して「Star-Parts」と一連に普通に用いられる態様で表してなるものであるところ,その構成中の「-」(ハイフン)は「2語を結び付けて1語にする時」に使う符号(上記辞典参照)であるから,引用商標2からは,「スターパーツ」の称呼及び「星の部品」の観念が生じるというのが相当である。
(4)本願商標と引用商標の類否
ア 外観について
本願商標と引用商標1の要部である「Star」及び「Parts」の文字部分とを対比すると,本願商標が大文字のみで一連に表記され,引用商標1の要部が語頭のみ大文字,それ以外が小文字で上下二段に併記されるという構成上の差異はあるものの,両者はつづりを共通にすることに加え,本願商標は態様上の特徴が認められない標準文字で表され,引用商標1の要部は一般的な太字で書されており,態様においても顕著な差異が認められないことからすれば,両者におけるこれらの相違が,看者に対し,出所識別標識としての外観上の顕著な差違として強い印象を与えるとはいえない。
次に,本願商標と引用商標2とを対比すると,本願商標が大文字のみ,引用商標2が語頭のみ大文字,それ以外が小文字で表記され,並びに,「-」(ハイフン)の有無という差異はあるものの,両者はつづりを共通にすることに加え,共に態様上の特徴が認められない文字で表されており,かつ,「-」(ハイフン)は上記(3)イのとおり,2語を結び付けて1語にする符号にすぎないことからすれば,両者におけるこれらの相違が,看者に対し,出所識別標識としての外観上の顕著な差違として強い印象を与えるとはいえない。
イ 称呼及び観念について
本願商標と引用商標は,「スターパーツ」の称呼及び「星の部品」の観念を共通にする場合がある。
ウ 小括
以上から,本願商標と引用商標は,「スターパーツ」の称呼及び「星の部品」の観念を共通にする場合がある一方,その外観において,称呼及び観念の共通性を凌駕するほどの顕著な差異があるとはいえないことから,これらの外観,称呼及び観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合勘案すれば,両者は,相紛れるおそれのある類似するものであるというべきである。したがって,本願商標と引用商標は,類似する商標であるというのが相当である。
(5)本願商標の指定商品と引用商標の指定役務の類否
本願商標の指定商品は,引用商標の指定役務に含まれる「自動車並びにその部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行なわれる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品である「自動車並びにその部品及び附属品」に含まれるものである。そして,商品の販売と,その商品を取り扱う小売等役務の提供とが同一の者によって行われることは,商取引上,しばしば見受けられるものであり,そのような場合,該商品の販売場所や需要者の範囲が,該役務の提供場所や需要者の範囲と一致することも,少なからずあるとみるのが相当であるから,本願商標の指定商品及び引用商標の上記指定役務は,それらに同一又は類似する商標が使用された場合,その出所について混同を生ずるおそれのある,互いに類似するものというべきである。
(6)まとめ
以上によれば,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標であり,また,本願商標の指定商品と引用商標の指定役務も類似するものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(7)請求人の主張について
ア 請求人は,(ア)本願商標が構成上渾然一体であることから「星」,「部品,部分」及びこれに関連した観念は生じない旨,(イ)引用商標1は構成全体がまとまりよく一体不可分であり,また,その構成中の「自動車部品」の識別力が弱いとしても,「Star」及び「Parts」の各文字部分も極めて平易な語であるから,構成上の一体性より,需要者等は「自動車部品」を記述的な語として捉えず,構成全体をもって役務の出所識別標識として認識し,これより「スターパーツジドウシャブヒン」の称呼のみが生ずる旨(資料1,資料2),(ウ)引用商標2はハイフンを介して「Star」と「Parts」の語が結合しているから,視覚上,ハイフンの前後で「Star」と「Parts」とに分離して看取され,引用商標2からは,「スター」又は「パーツ」の称呼のみが生ずる旨主張する(資料3)。
しかしながら,(ア)については,本願商標は,その構成文字のつづりによれば,我が国において慣れ親しまれた「STAR」及び「PARTS」という2つの平易な英単語を組み合わせてなるものと容易に看取,理解されるといえることから,それら平易な英単語の有する意味により「星の部品」ほどの観念が生じることは,上記(2)で述べたとおりである。(イ)については,引用商標1は,その構成文字において,欧文字と漢字の文字種の違いや,文字の大きさや線の太さの違いから,視覚上,「Star」及び「Parts」の文字部分と,「自動車部品」の文字部分とに分けて観察されるばかりでなく,「自動車部品」の文字部分は,その指定役務中の「自動車並びにその部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行なわれる顧客に対する便益の提供」との関係では,当該役務の取扱商品を表すものと認められ,出所識別標識としての称呼及び観念が生じないことから,「Star」及び「Parts」の文字部分が,引用商標1の要部といえるものであり,構成全体から生じる称呼のほか,当該要部より「スターパーツ」の称呼及び「星の部品」の観念をも生じるというのが相当であることは,上記(3)アで述べたとおりである。また,引用に係る資料1及び資料2は本件と異なる事例であり,本件の判断に当たって参考とはならない。そして,(ウ)については,引用商標2の構成中の「-」(ハイフン)は「2語を結び付けて1語にする時」に使う符号であるから,引用商標2の構成からは,「スターパーツ」の称呼及び「星の部品」の観念が生じるというのが相当であることは,上記(3)イで述べたとおりである。また,引用に係る資料3は本件と異なる事例であり,本件の判断に当たって参考とはならない。
イ 請求人は,本願商標の指定商品と引用商標の指定役務の分野においては,それぞれ商標が用いられる場面,態様が全く異なり,各商品・役務の取引者,需要者もかかる相違を十分に認識しているから,これらに同一又は類似の商標を使用したとしても,混同が生ずるおそれを想定することはない旨主張し,引用商標権者も,引用商標を自己の運営するオンラインストアの名称(店舗名)として使用し(資料4),商品の商標として使用していない旨主張する。
しかしながら,本願商標の指定商品は,引用商標の指定役務に含まれる「自動車並びにその部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行なわれる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品である「自動車並びにその部品及び附属品」に含まれるものである。そして,例えば,自動車及びその部品を製造する者が,その正規販売店を通じて,当該部品を純正部品などと称して販売することは一般的に行われており,その際,商品の販売と,その商品を取り扱う小売等役務の提供とが同一の商標を使用して行われることは,商取引上しばしば見受けられ,そのような場合,該商品と該役務の販売あるいは提供場所や需要者の範囲が一致することも,少なからずあるとみるのが相当である。そうすると,本願商標の指定商品及び引用商標の上記指定役務は,それらに同一又は類似する商標が使用された場合,その出所について混同を生ずるおそれのある,互いに類似する商品及び役務というべきであることは,上記(5)で述べたとおりである。また,引用商標権者が引用商標を自己の運営するオンラインストアの名称としてのみ使用していたとしても,このような個別的事情は,商品及び役務の類否の判断において参酌される一般的・恒常的な取引の実情に該当するということはできない。
ウ したがって,請求人の主張は,いずれも採用できない。
(8)むすび
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するから,登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(引用商標1)




審理終結日 2017-11-21 
結審通知日 2017-11-30 
審決日 2017-12-14 
出願番号 商願2016-23751(T2016-23751) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W12)
T 1 8・ 265- Z (W12)
T 1 8・ 261- Z (W12)
T 1 8・ 262- Z (W12)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 有水 玲子豊田 純一久木田 俊 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 冨澤 武志
大森 友子
商標の称呼 スターパーツ、スター 
代理人 岩瀬 吉和 
代理人 横川 聡子 
代理人 城山 康文 
代理人 永岡 愛 
代理人 北口 貴大 

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