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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W0942 |
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管理番号 | 1339345 |
異議申立番号 | 異議2017-900334 |
総通号数 | 221 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2018-05-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-10-31 |
確定日 | 2018-03-30 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5975798号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5975798号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5975798号商標(以下「本件商標」という。)は,「オンライン自習室」の文字を標準文字で表してなり,平成28年6月21日に登録出願され,第9類「インターネット等の通信ネットワークを介し、パソコン・携帯電話・タブレット端末等の通信端末の付属カメラ及びWEBカメラを利用した、相互監視及び運営者の監視による学習支援用及び在宅ワーク支援用アプリケーションソフトウェア」及び第42類「コンピューターネットワークを介し、パソコン・携帯電話・タブレット端末等の通信端末の付属カメラ及びWEBカメラを使用した相互監視・運営者の監視による学習支援用及び在宅ワーク支援用アプリケーションソフトウェアの提供」を指定商品及び指定役務として,同29年7月3日に登録査定,同年9月1日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号によりその登録は取り消されるべきであると申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。 1 本件商標について 近年の「オンライン自習室」を取り扱う業界において,「オンライン自習室」の語は,「オンライン自習室」に関連した商品やサービスを表示するものとして普通に使用されている事実がある(甲1?甲17)。 具体的には,「オンライン自習室」というキーワードでのGoogle検索結果(甲1)のほとんどに「オンライン自習室」という言葉が含まれており,本件商標の指定商品及び指定役務に用いられた「通信端末の付属カメラ及びWEBカメラを利用した,相互監視及び運営者の監視による学習支援及び在宅ワーク支援」ということを表す言葉として「オンライン自習室」という語が普通に使用されている。 2 商標法第3条第1項第3号について 上述のように,「オンライン自習室」という語は,「オンライン自習室」の提供に関連する商品・サービス分野において,広く普通に用いられている称呼・文字である。 したがって,「オンライン自習室」という語は,オンライン自習室に関連する当該商品・サービスを流通過程におく場合に必要な表示であるから何人も使用をする必要があり,かつ,何人も使用を欲するものであるから,たとえ第9類及び第42類の指定商品及び指定役務に使用されるとしても,「オンライン自習室」の文字を一私人に独占を認めるのは妥当ではない。 また,本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,単に商品の用途,使用の方法やその他の特徴などを表示した語と認識するに止まるから,該文字は自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。 すなわち,本件商標を「オンライン自習室用アプリケーションソフトウェア」に使用した場合,単に商品の用途(オンライン自習室で使用する用途),使用の方法(オンライン自習室で使用)などを表示したに過ぎないと考えるのが至極妥当であり,本件商標は自他商品の識別標識としての機能を有していない。 また,「オンライン自習室用アプリケーションソフトウェア」で識別性を持たせる際には,例えば「オンライン自習室用アプリ○○○」という「○○○」の部分で自他商品の識別性を持たせるのが至極適切である。 また,本件商標をその指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者は,単に役務の質(内容),用途,効能,提供の方法やその他の特徴などを表示した語と認識するに止まるから,該文字は自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。 すなわち,本件商標を「オンライン自習室用アプリケーションソフトウェアの提供」に使用した場合,需要者は役務の質,用途(オンライン自習室で用いるアプリのネット上での提供)などを単に表示したに過ぎないと考えるのが至極妥当である。すなわち,この場合,本件商標は自他役務の識別標識としての機能を有していないのは明確である。 また,「ネット上でのオンライン自習室用アプリケーションソフトウェアの提供」で識別性を持せる際には,例えば「オンライン自習室用アプリの提供〇〇〇」という「○〇〇」の部分で自他役務の識別性を持たせるのが至極適切である。 したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。 なお,本件商標は,商標法第3条第2項に規定する使用による特別顕著性の発生もない。 第3 当審の判断 1 「オンライン自習室」の文字の使用状況について (1)申立人の提出に係る甲各号証によれば,「オンライン自習室」の文字の使用状況につき,以下の事実を認めることができる(掲載日が,本件商標の登録査定日より後のもの及び不明なものを除く。)。 ア 「【オンライン自習室】」の見出しの下,「効果」として「●WEBカメラをつないで自分の学習状況をカメラで映しながら勉強するというもの。参加者はそれぞれ自分の学習の様子をカメラで撮影し,サイト上でリアルタイムで公開する。」及び「登録日2010/11/03」の記載がある(甲2)。 イ 「オンライン自習室【司法書士受験等勉強に】」の見出しの下,「スティッカムを利用した個人サイトで参加は無料となっています。(要WEBカメラ)」及び「2010年11月に登録」の記載がある(甲3)。 ウ 「独学で合格!WEBカメラでオンライン自習室」の見出しの下,「2013年9月16日より運営開始しました!!」及び「■利用を開始するには」として「1.iVisitをインストールし,ユーザーIDを決める必要があります。<必須>」の記載がある(甲5)。 エ 「スゴ集中!【オンライン自習室】」の見出しの下,「公開日2017/1/28」及び「本日はオンライン自習室に1時間だけ参加。WEB会議ツール【Zoom】を使っています。ワタシはiPadで参戦しました。」の記載がある(甲8) オ 「アメブロ復帰&オンライン自習室参加」の見出しの下,「2010-10-23」及び「その試みとは,WEBカメラをつないで,自分の学習状況をカメラで映しながら勉強するというもの。参加者はそれぞれ自分の学習の様子をカメラ撮影し,サイト上でリアルタイムで公開する。」の記載がある(甲10) (2)前記(1)によれば,「オンライン自習室」の文字は,本件商標の登録査定時において,Webカメラ,スマートフォン,ライブチャット用のWebサイト,ビデオ会議用コンピュータープログラム等を使用し,勉強している互いの映像を見せ合うことで学習効果を高めることを目的としたビデオチャットルームサービス又は電子会議等の名称として,一部の者により使用されていたことがうかがえる。 2 商標法第3条第1項第3号該当性について 本件商標は「オンライン自習室」の文字を標準文字で表してなるところ,その文字構成からは「オンライン上の自習室」,「オンラインによる自習室」程度の意味合いを理解させるものである。 また,上記1のとおり「オンライン自習室」の文字が,ビデオチャットルームサービス又は電子会議等の名称として,一部の者により使用されていたことはうかがえる。 しかしながら,「オンライン自習室」の文字及び該文字の意味合いが,本件商標の指定商品及び指定役務との関係において,商品及び役務の用途,機能(品質,質)等を具体的に表しているとはいい難い。 また,職権を持って調査するも,本件商標の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において,「オンライン自習室」の文字が,商品及び役務の用途,機能等を表すものとして,使用されている事実は見いだせない。 してみれば,本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者は,商品及び役務の具体的な用途,機能(品質,質)等を表示するものとして認識していたということはできないから,本件商標は,自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当である。 したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当しない。 3 申立人の主張について 申立人は,「『オンライン自習室』の文字は,本件商標の指定商品及び指定役務に用いられた『通信端末の付属カメラ及びWEBカメラを利用した,相互監視及び運営者の監視による学習支援及び在宅ワーク支援』ということを表す言葉として使用されている。」旨,及び「本件商標を『オンライン自習室用アプリケーションソフトウェア』及び『オンライン自習室用アプリケーションソフトウェアの提供』に使用した場合,需要者は,単に商品の用途(オンライン自習室で使用する用途),使用の方法(オンライン自習室で使用)及び役務の質,用途(オンライン自習室で用いるアプリのネット上での提供)などを単に表示したに過ぎないと考える。また,上記商品及び役務で識別性を持たせる際には,例えば『オンライン自習室用アプリ○○○』及び『オンライン自習室用アプリの提供〇〇〇』という『○○○』の部分で自他商品及び役務の識別性を持たせるのが適切である。」旨主張している。 しかしながら,前記1のとおり,申立人が提出した証拠からは,「オンライン自習室」の文字がビデオチャットルームサービス又は電子会議等の名称として一部の者に使用されていることはうかがえるが,請求人の主張する意味を具体的に表した証拠の提出はない。 また,前記2のとおり,「オンライン自習室」の文字及び該文字の意味合いが,本件商標の指定商品及び指定役務との関係において,商品及び役務の用途,機能(品質,質)等を具体的に表わすものとして,普通に使用されている事実も認められない。 したがって,申立人の主張は採用できない。 4 まとめ 以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第3号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2018-03-22 |
出願番号 | 商願2016-72133(T2016-72133) |
審決分類 |
T
1
651・
13-
Y
(W0942)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 太野垣 卓、高橋 幸志、川崎 萌未、箕輪 秀人 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
大森 友子 冨澤 武志 |
登録日 | 2017-09-01 |
登録番号 | 商標登録第5975798号(T5975798) |
権利者 | 中西 信博 |
商標の称呼 | オンラインジシューシツ |