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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W30
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W30
管理番号 1339318 
審判番号 不服2017-9482 
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-28 
確定日 2018-04-05 
事件の表示 商願2014-79794拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成26年9月22日に登録出願されたものである。
その後,原審における平成27年9月1日付けの手続補正書により,その指定商品は,第30類「牡蠣エキスを加味したしょうゆ」と補正された。

2 原査定の拒絶の理由
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性
本願商標は,筆文字風の書体で「かき」の平仮名を縦書きし,その左側に「き」の文字のあたりに揃えて,「醤油」の文字を縦書きしてなる。
本願商標の構成中,「かき」の平仮名は,その指定商品との関係において,「イタボガキ科の二枚貝の総称」の意味を有する「牡蠣」に通じる語であるから,本願商標をその指定商品に使用するときは,これに接する需要者は,全体として「かきのエキスを使用した醤油」であること,すなわち,単に商品の品質を表示したものと認識する。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)本願商標の商標法第3条第2項の該当性
出願人が提出した証拠によれば,出願人が「かき醤油」の文字の近くに「アサムラサキ」の文字からなる標章を配置した態様のものを,平成7年頃から使用していること,その他出願人による「かき醤油」の販売シェアや売上額,雑誌及び新聞記事における広告やテレビCMなどが確認できる。しかし,販売シェアが圧倒的に多いともいい難く,広告宣伝が長年にわたって,継続的に,全国的にされているともいえず,また,出願人以外の者によっても牡蠣から抽出したエキスを使用した醤油が製造,販売され,それらに「かき醤油」等の文字が使用されている実情があり,加えて,「かき醤油」の文字は多くが「アサムラサキ」の文字とともに使用されている。
したがって,本願商標は,使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるに至ったものとは認められず,商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。

3 当審における証拠調べ通知
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権により証拠調べをした結果,別掲2及び3に掲げる事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,その結果を請求人に通知し(平成29年10月19日付け証拠調べ通知書),意見を求めた。

4 職権証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は,上記3の通知に対して,要旨以下のとおり意見を述べた。
(1)請求人は,「かき醤油」なる語が,本願指定商品である「牡蠣エキスを加味したしょうゆ」を意味するものとして汎用されていることは否定しない。
(2)本願商標は,筆文字風の書体で「かき」の平仮名を縦書きし,その左側に「き」の中間部あたりに揃えて「醤油」の文字を縦書きしてなるもので,請求人は平成7年頃から現在に至るまで継続して使用しており,その特有な文字構成と外観上類似している第三者の使用は,わずか1件(別掲3(1))しかないのであるから,請求人提出の使用実績の証拠に示されているとおり,本願商標に接する需要者は何人かの業務に係る商品であることを認識できるものであって,商標法第3条第2項の要件を具備する。

5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性
本願商標は,「かき」及び「醤油」の文字を毛筆体で,2行に縦書きしてなるところ,別掲2に掲げる辞書の記載によれば,「かきじょうゆ」(かき醤油,牡蠣醤油)の語は「カキの煮汁に食塩を加え,さらに煮詰めてから貯蔵してならした調味料」の意味を有するものであり,別掲3のとおり,かき又はかきエキス及び醤油を原材料とするだししょうゆを,「かきしょうゆ」(かき醤油,牡蠣醤油など表記方法は漢字,平仮名,片仮名など様々である。)と称するような取引の実情もある。
また,本願商標に採択された書体(毛筆体)及び表記方法(縦書き,二行構成)も,商品ラベルの文字表記において広く一般的に採択されていることは,当審において顕著な事実であり,別掲3のとおり,調味料を取り扱う業界においても,広く一般的に採択されていることからすれば,商品の品質表示として,取引上普通に用いられる書体及び表記方法の範ちゅうに入るものである。
そうすると,本願商標は,その指定商品である「牡蠣エキスを加味したしょうゆ」との関係において,「かき又はかきエキス及び醤油を原材料とするだししょうゆ」の意味合いを認識させるにすぎず,その書体及び表記方法も普通に用いられる域を脱するものではないから,これをその指定商品に使用するときは,その需要者及び取引者をして,単に商品の品質(商品種別)を普通に用いられる方法で表示したものと認識,理解させるにすぎない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)本願商標の商標法第3条第2項の該当性
ア 使用による自他商品識別力の獲得
商標法第3条第2項の規定によれば,商標法第3条第1項第3項に該当する商標であっても,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては,同項の規定にかかわらず,商標登録を受けることができるところ,ある標章が同項の規定に該当するかは,出願に係る商標と外観において同一とみられる標章が指定商品又は指定役務とされる商品又は役務に使用されたことを前提として,その使用開始時期,使用期間,使用地域,使用態様,当該商品の販売数量又は売上高等,当該商品又はこれに類似した商品又は役務に関する当該標章に類似した他の標章の存否などの事情を総合考慮して判断されるべきである。(平成25年1月24日 平成24年(行ケ)第10285号 知的財産高等裁判所第4部判決参照)
イ 本願商標の使用実績
証拠(平成29年6月28日付けの審判請求書及び同年12月4日付けの意見書に添付された資料1ないし23は,甲第1号証ないし甲第23号証と読み替える。)及び請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(ア)請求人の関連会社である株式会社アサムラサキ(以下「請求人関連会社」という。)は,平成4年(1992年)に,濃厚つゆ「かき醤油」(以下「請求人商品」という。)を発売しており(甲1),請求人商品は,「広島牡蠣のだし入り濃厚つゆ」,「本醸造醤油に広島産のかきの旨味エキスを加え,かつお,昆布,しいたけなどの風味原料とみりん,砂糖で味を調え」たものである(甲3)。
(イ)請求人商品は,「かき醤油卓上用」(150ml),「かき醤油」(300ml,600ml,1000ml,1800ml)及び「白だしかき醤油」(600ml,1000ml)を含み,それら容器側面には,「かき」及び「醤油」の文字を,毛筆体で,2行に縦書きした標章(以下「使用商標」という。)が表示されている(甲2)。
そして,使用商標を表示した請求人商品は,古いものでは平成7年(1995年)1月25日付けの新聞広告において確認できる(甲16)。
(ウ)請求人商品関係の売上は,平成13年度には約4億3千万円(平成13年度)だったが,その後,平成21年までは毎年増加し,平成21年度から平成25年度の5年間は,約11億円から約12億円の間で推移している(甲11)。
(エ)請求人関係会社のパンフレットには「日本国内かき醤油部門/売上げNo.1」の記載があり(甲2),広島県のホームページにおいて,請求人関係会社は,「製品・技術」について,「かき醤油(生産量国内ナンバーワン)」と紹介されている(甲8)。
そして,「商品別ランキングレポート【月次/2014年9月/全国】」(日経新聞社集計)によれば,全国のスーパーにおける「だし入りしょうゆ」を対象とした販売金額における市場シェアは,「アサムラサキ かき醤油」(600ml)は8.7%で1位,その他の同商品(1L,300ml,150ml)はそれぞれ0.9%,0.9%,0.3%で,「アサムラサキ 白だしかき醤油」(600ml)は0.2%である(甲10)。
また,「商品別ランキングレポート【月次/2015年1月/全国】」(日経POSデータ)によれば,全国の大手スーパーなどの売上統計における「だし入りしょうゆ」の部門での販売金額は,「アサムラサキ かき醤油」(600ML)は第1位,「アサムラサキ かき醤油」(1L)は第23位である(甲14)。
加えて,「食品速報」(平成27年9月4日)における「“注目カテゴリー”のPOSランキング(13)『醤油』」によれば,全国における「醤油」の売上げにおける販売シェア(2014年7月?2015年6月)において,「アサムラサキ」の「かき醤油」(600ml)は,第22位(0.95%)である(甲15)。
(オ)請求人商品は,2004年以降,継続的に雑誌,書籍又は広告において,その商品紹介記事が掲載されており,多数の紹介記事では,使用商標を表示した請求人商品の写真又は画像も併せて掲載されている(甲6:「サライ 増刊」(2004年7月1日,小学館発行),「備後発オンリーワンナンバーワン」(2004年11月29日,中国新聞備後本社発行),「Elegancia」(2006年8月10日,ぴあ発行),「クロワッサン 特大号」(2007年9月10日,マガジンハウス発行),「VERY」(2008年7月1日,光文社発行),「あんふぁん東京版」(2008年9月12日,サンケイリビング新聞社発行),「SPA!」(2009年7月28日,扶桑社発行),「Domani」(2010年4月1日,小学館発行),「マンスリーよしもとPLUS」(2010年7月1日,ヨシモトブックス発行),「MORE」(2010年7月28日,集英社発行),「PS/PRETTY STYLE」(2011年1月1日,小学館発行),「おとりよせ王子飯田好美(第1巻)」(2011年12月10日,徳間書店発行),「特上カバチ!!カバチタレ!2(第28巻)」(2012年1月23日,講談社発行),「VERY」(2012年3月7日,光文社発行),「女性自身」(2012年4月17日,光文社発行),「サンキュ!」(2012年6月2日,ベネッセコーポレーション発行),「Precious」(2012年12月7日,小学館発行),「女性セブン」(2013年8月8日,小学館発行),「Mart」(2013年7月28日,光文社発行),「LEE」(2013年9月7日,集英社発行),「Mart」(2014年3月28日,光文社発行),「nina’s」(2014年7月1日,祥伝社発行),「aene」(2014年8月28日,学研マーケティング発行),「食は“いのち”と“こころ”の糧」(2014年11月20日,日本食料新聞社発行),「菅田さんちのぴーかんレシピ」(2014年12月29日,宝島社発行),「JAF Mate」(2015年3月1日,JAF MATE社発行);甲19:「オレンジページ」(2017年9月2日,オレンジページ発行))。
なお,請求人商品の紹介記事において,「特薦かき醤油」及び「特薦白だしかき醤油」の商品写真を表示する雑誌もあり,その容器側面には,「かき醤油」の筆文字風の文字の表示はあるものの,本願商標とは異なり,1行で縦書きした構成よりなる(甲6:「ロイヤル・グルメ」(2005年11月15日,成美堂出版発行),「SPUR」(2009年5月1日,集英社発行),「VOGUE NIPPON」(2010年5月1日,コンデナスト・パブリケーションズ・ジャパン発行),「『クチコミで超人気!』『ワケあり!』ネット通販BOOK」(2010年5月7日,セブン&アイ出版発行),「美人百花」(2014年5月1日,角川春樹事務所発行);甲19:「女性自身」(2005年12月13日,光文社発行))。
(カ)請求人商品のテレビCMは,2015年2月放送分で,広島テレビ放送株式会社において22回,山陽放送株式会社において30回放送された(甲9)。
また,請求人商品の広告として,使用商標又はそれを表示した請求人商品を掲載した,広島の路線バス及び営業車輌(共にラッピング広告),屋外広告もある(甲9,20)。
(キ)請求人商品は,他社のキャンペーン商品や景品として,2009年7月10日発行の「milklnavi(ミルクルナビ)名古屋版」(応募締切:2009年8月9日),広島県空港振興協議会主催の「JALひろしま宝しまキャンペーン2013」(キャンペーン期間:2013年10月1日?2014年3月31日),ゆうちょ銀行主催の「ゆうちょでお得に/ごちそうサマーキャンペーン」(中国地方5県限定。キャンペーン期間:平成26年6月30日?同年8月29日)に採択されたり,他社とのコラボレーション商品として,「ポテトチップス かき醤油味」,「じゃがりこ かき醤油」,「セブンイレブン かき醤油を使った焼おにぎり」なども発売された(甲7,18)。
(ク)請求人商品は,2017年までに9年連続して,モンドセレクションの最高金賞を受賞した(甲1,3,5,21)。
また,請求人関係会社は,「広島県産カキをベースとした高付加価値製品化に貢献」したとして,日本食料新聞社の平成29年度「地域食品産業貢献賞」を受賞した(甲21)。
ウ 本願商標と使用商標の同一性及びその指定商品と請求人商品の同一性
本願商標及び使用商標ともに,「かき」及び「醤油」の文字を,毛筆体で,2行に縦書きしており,その構成文字,書体及び表記方法において共通するもので,外観において同一の商標である。
そして,請求人商品は,しょうゆ及びかきのエキスを主な原材料とする「かき醤油」であるところ,本願商標の指定商品「牡蠣エキスを加味したしょうゆ」とは,主な原材料において共通し,しょうゆの一種である点で共通するため,両者は実質的に同一の商品といえるから,請求人商品は,本願の指定商品とは実質的に同一又はそれに含まれる商品である。
エ 第三者の製造,販売に係るかきしょうゆ
別掲3のとおり,かきしょうゆ(かき醤油,カキ醤油,牡蠣醤油,牡蛎醤油又は牡蠣しょうゆとも表記する。)と称する,かき又はかきエキス及び醤油を原材料とするだししょうゆが,請求人以外の多数の事業者により製造,販売されており,当該だししょうゆは,本願指定商品である「牡蠣エキスを加味したしょうゆ」とは,その原材料及び用途などにおいて共通する,実質的に同一の商品といえる。
そして,これらの商品容器には,「かき醤油」,「カキ醤油」,「かきしょうゆ」,「牡蠣醤油」,「牡蛎醤油」又は「牡蠣しょうゆ」の文字が,多様な文字種(漢字,平仮名,片仮名),書体(毛筆体又はその他の書体)及び表記方法(縦書き又は横書き,2行構成又は1行構成)を採用して表示されているところ,これら文字部分からは,本願商標と共通する「カキショウユ」の称呼及び「かき又はかきエキス及び醤油を原材料とするだししょうゆ」の観念が生じ,外観上も単に表記方法の相違があるにすぎないから,これらは相互に類似する標章といえる。
このように,本願の指定商品と実質的に同一の商品が,請求人以外の多数の事業者により,かきしょうゆとして製造,販売されており,本願商標と類似する標章を表示する商品が,市場に多数存在することが認められる。
オ 判断
上記の認定事実によれば,平成4年に発売された請求人商品は,本願の指定商品とは実質的に同一又はそれに類似する商品であり,遅くとも平成7年以降は,本願商標と外観において同一である使用商標をその容器側面に表示している。そして,請求人商品の売上げは,年間で約11億円から約12億円程度で(平成21年?平成25年),全国における市場シェアは「醤油」市場では1%以下にすぎないが,「だし入りしょうゆ」の分野においては1位で,市場の1割程度を占めた月があることを示す調査結果もある。また,雑誌及び書籍等における商品紹介や広告も継続して行われ,各種賞の受賞などもしている。そのため,請求人商品は,かきしょうゆを代表するような商品として,一定程度の周知性を獲得していたことがうかがえる。
しかし,調味料の市場においては,かきしょうゆ又はそれに相当する商品を製造,販売する事業者は,請求人以外にも多数存在しており,そのような中で,「かき醤油」の文字が付された商品に接する需要者は,単に当該商品が「かきしょうゆ」の分野の一商品と理解・認識するというのが相当である。
また,本願商標に用いられている書体(毛筆体)及び表記方法(縦書き,2行構成)は,調味料を取り扱う業界における商品ラベルの文字表記として,広く一般的に採択されているばかりか,第三者の製造,販売する「かきしょうゆ」の商品容器に表示される文字にも,本願商標に用いられている毛筆体,縦書き又は2行構成が採択されている。
加えて,請求人による使用商標について,外観において一貫した使用実績があるとしても,その書体及び表示態様を殊更強調するような宣伝広告がなされていたことを示す証拠もなく,需要者の間において,その書体及び表記方法を含めて,自他商品識別標識として認識,理解されていたことを具体的に示す証拠はない。
以上のとおり,本願商標は,請求人商品が需要者の間で一定程の周知性を獲得していたとしても,かきしょうゆ又はそれに相当する商品を製造,販売する事業者が,請求人以外にも多数存在しており,そのような中では,あくまで請求人商品が「かきしょうゆ」の分野の一商品として認知されていることを示すにすぎず,その書体及び表記方法も広く一般に採択されているもので,その他,請求人の使用商標がその書体及び表記方法を含めて,自他商品の出所識別標識として認識されていたことを具体的に示す証拠はないのだから,その使用の結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとはいえない。
カ 請求人の主張について
(ア)請求人は,請求人商品に係る本願商標の使用に際して,請求人のハウスマークが併記されているとしても,本願商標の周知性の判断にあたっては,本願商標そのものの使用実績を評価し,使用による識別性に至っているか否かを判断すべきである旨を主張する。
しかし,上記オのとおり,本願商標とは,外観において同一である使用商標が,請求人商品と関連して使用されていることを前提に検討したとしても,第三者による「かきしょうゆ」の使用に係る取引の実情などを総合的に勘案すれば,本願商標について,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるに至ったものとはいえない。
(イ)請求人は,本願商標は特有の文字構成よりなるもので,請求人以外の製造,販売する「かきしょうゆ」の容器には,「牡蠣しょうゆ」や「かきしょうゆ」など本願商標とは異なる文字種が使用されており,その文字デザインも本願商標とは顕著に異なるものであり,また,一部の第三者の商品は請求人商品を模倣したものであるから,本願商標は,使用による識別性を獲得するに至っている旨を主張する。
しかし,上記オのとおり,本願商標の書体及び表記方法は,広く一般的に採択,採用されており,それ自体に出所識別標識としての特徴はなく,第三者の製造,販売する「かきしょうゆ」に表示された標章にも,同様の書体及び表記方法が採択されているのであるから,本願商標と同一の使用商標が継続して使用されていたとしても,本願商標の書体及び表記方法をもって,自他商品の識別標識としての機能を獲得したものとはいえない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項の要件を具備しないから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 (本願商標)



別掲2 「かき醤油」(かきじょうゆ,牡蠣醤油)の辞書及び書籍における記載
(1)「大辞林 第3版」(2006年10月27日,三省堂発行)において,「かきじょうゆ」(牡蠣醤油)の項に,「カキの煮汁に食塩を加え,さらに煮つめてから貯蔵してならした調味料。」の記載がある。
(2)「大辞泉 第2版」(2012年11月7日,小学館発行)において,「かきじょうゆ」(牡蠣醤油)の項に,「カキの身を煮た汁に塩を加え,さらに煮てから保存して味を熟らしたもの。スープ・調味料などに用いる。」の記載がある。
(3)「お醤油の来た道」(嵐山光三郎・鈴木克夫著,1990年1月31日,徳間書店発行)において,「日本の魚醤油は,かつては各地で盛んにつくられていたが,大豆の醤油の発達によって次第に姿を消していった。・・・その他,『はまぐり醤油』『あさり醤油』『かき醤油』『いわし醤油』などが細々とつくられている。」の記載がある。
(4)「しょうゆ 世界への旅」(大塚滋著,昭和62年7月9日,東洋経済新報社発行)において,「・・・『醤』類の発達に結びついたのであろう。日本には現在,前述の秋田の『しょっつる』のほか・・・『はまぐり醤油』『あさり醤油』『かき醤油』『鰯醤油』などがある。」の記載がある。

別掲3 請求人以外が製造,販売する「かき醤油」(カキ醤油,かきしょうゆ,牡蠣醤油,牡蛎醤油,牡蠣しょうゆ)の例
(1)「盛田株式会社」のウェブサイトにおいて,「トップページ>商品紹介>しょうゆ>だししょうゆ」の項に,「かき醤油 減塩仕立て」及び「かき醤油」の見出しの下,それぞれ「広島県産のかきの旨みに,かつおの風味と魚醤で味に深みをあたえました。」,「広島県産のカキの旨みをメインに,かつおの風味を加え魚醤で味に深みをあたえました。」の記載とともに,商品の写真が掲載されており,それぞれのラベルには,「かき醤油」の文字を1行に並びに「かき」及び「醤油」の文字を2行に分けてずらして配置して,いずれも縦書きの毛筆体で表されている。
http://moritakk.com/products/syouyu/dashishoyu
(2)「ふくびし 広島牡蠣・カキ大将」のウェブサイトにおいて,「牡蠣醤油」の項に,「減塩カキ醤油」の見出しの下,「牡蠣エキス入りで栄養価が高く,煮物や茶碗蒸し等,和風料理全般にお使い頂けます。塩分を40%カットし,塩分7.4%と減塩牡蠣醤油です。」の記載とともに,商品及び包装箱の写真が掲載されており,その商品ラベルには「カキ」及び「醤油」の文字が上下二段の横書きで,その包装箱には「カキ醤油」の文字が縦書きで表されている。
http://www.fukubisi.com/shouyu.html
(3)「福山醸造」のウェブサイトにおいて,「TOP>商品紹介>北海道こだわりシリーズ しょうゆ」の項に,「厚岸かきしょうゆ」の見出しの下,「北海道産の大豆・小麦で仕込み,じっくりと熟成させた丸大豆しょうゆに北海道厚岸の豊かな海で育ったかきのうまみを合わせた贅沢なだししょうゆです。」の記載とともに,商品の写真が掲載されており,そのラベルには「厚岸」,「かき」及び「しょうゆ」の文字が縦書き様の毛筆体で表されている。
http://www.tomoechan.co.jp/product/kodawari_soy_sauce/
(4)「厚岸漁業協同組合直売店 エーウロコ」のウェブサイトにおいて,「かきしょうゆ」の項に,「厚岸産カキを使用したお醤油です。」の記載とともに,商品の写真が掲載されており,そのラベルには「かきしょうゆ」の文字が縦書きの毛筆体で表されている。
https://www.a-uroko.or.jp/products/detail/47
(5)「相生かき右衛門 かきしょうゆ」のウェブサイトにおいて,「相生の特産品である牡蠣のうまみを凝縮 牡蠣エキスなどの加工品を使用せず,牡蠣そのものをたつのの伝統ある醤油と一緒に数時間煮出して作り上げた一品。」の記載とともに,商品の写真が掲載されており,そのラベルには「かきしょうゆ」の文字が縦書きの毛筆体で表されている。
http://www.jibasan-gp.jp/item/111601/index.html?TB_iframe=true&width=600&height=550
(6)「YAHOO!ショッピング」の「厚岸味覚ターミナルコンキリエ」のウェブサイトにおいて,「金のかき醤油 金’S Oyster」の項において,「牡蠣の煮汁を使い深い旨味のある『金のかき醤油』濃厚なかき醤油が食卓のお料理を引き立てます。」の記載とともに,商品の写真が掲載されており,そのラベルには「金のかき醤油」の文字が,縦書きの毛筆体で表されている。
https://store.shopping.yahoo.co.jp/conchiglie/kinnnokaki01.html
(7)「広島かき直売店 オイスタークィーン」のウェブサイトにおいて,「かき醤油3本セット」の項において,「宮島周辺海域で採れた牡蠣(カキ)を長時間かけて煮込んだ『かきエキス』を作り,有機醤油とブレンドした,広島ならではの醤油です。」の記載とともに,商品の写真が掲載されており,そのラベルには「宮島かきの」及び「しょうゆ」の文字が,2行に分けて縦書きの毛筆体で表されている。
http://oysterqueen.jp/?pid=14419902
(8)「鳥羽・浦村 牡蠣の国」のウェブサイトにおいて,「牡蠣醤油」の見出しの下,「鳥羽・浦村産の牡蠣から抽出したエキスを使用した醤油です。」の記載とともに,商品の写真が掲載されており,そのラベルには「牡蠣醤油」の文字が縦書きで表されている。
http://toba.or.jp/kaki/
(9)「伊勢醤油本舗」のウェブサイトにおいて,「トップ>牡蛎醤油 115ml」の項に,「牡蛎醤油 115ml」の見出しの下,「伊勢志摩を代表する海の幸『牡蛎』を使っただし醤油です。牡蛎エキスを使った牡蛎醤油が多いなかで,伊勢醤油本舗では牡蛎そのものを発酵させてできた牡蛎醤『かきびしお』を使用し,伊勢醤油と巧みに調和させた逸品です。」の記載とともに,商品の写真が掲載されており,そのラベルには「牡蛎醤油」(かきしょうゆ)の文字が縦書きの毛筆体で表されている。
https://www.isesyoyu.co.jp/products/detail/104
(10)「キッコーマン」のウェブサイトにおいて,「トップ>商品情報>しょうゆ>だし入りしょうゆ類>キッコーマン いつでも新鮮旨みあふれる牡蠣しょうゆ」の項に,「キッコーマン いつでも新鮮旨みあふれる牡蠣しょうゆ」の見出しの下,「牡蠣の生産量日本一の広島産牡蠣エキス100%使用」の記載とともに,商品の写真が掲載されており,そのラベルには「牡蠣」(かき)及び「しょうゆ」の文字が,横書きの毛筆体で上下二段に表されている。
https://www.kikkoman.co.jp/products/product/K054027/index.html
(11)「矢木醤油株式会社」のウェブサイトにおいて,「ホーム>商品一覧>しょうゆ加工品等>牡蠣しょうゆ>牡蠣しょうゆ 300mlビン(かきしょうゆ)」の項に,「牡蠣しょうゆ 300mlビン(かきしょうゆ)」の見出しの下,「播州・室津産牡蠣を使用した牡蠣しょうゆ。兵庫県たつの市の室津産牡蠣をエキス化し,当社のしょうゆとブレンドしています。」の記載とともに,商品の写真が掲載されており,そのラベルには「牡蠣しょうゆ」の文字が,縦書きの毛筆体で表されている。
http://www.yagishouyu.co.jp/shopdetail/003010000001/
(12)「M Pantry」のウェブサイトにおいて,「Home>Product>牡蠣 醤油」の項に,「牡蠣 醤油」の見出しの下,「三陸の牡蠣をたっぷり使ったエキスを入れた牡蠣しょうゆ。」の記載とともに,商品の写真が掲載されており,そのラベルには「牡蠣」及び「しょうゆ」の文字が,2行に分けて縦書きの毛筆体で表されている。
http://mpantry.jp/product/%e7%89%a1%e8%a0%a3%e3%80%80%e9%86%a4%e6%b2%b9/
(13)「宮城県松島町◆かき松島こうは◆牡蠣の通販」のウェブサイトにおいて,「ホーム>調味料はコレ!牡蠣しょうゆ オリジナル黒酢たれ かき鍋味噌たれ 伊達の旨塩>松島逸品!牡蠣しょうゆ1本」の項に,「松島逸品!牡蠣しょうゆ1本」の見出しの下,「この『牡蠣しょうゆ』は,昆布とかつおを超えた牡蠣エキスを豊富に含んだ究極のお醤油です。」の記載とともに,商品の写真が掲載されており,そのラベルには「牡蠣」及び「しょうゆ」の文字が,2行に分けて縦書きの毛筆体で表されている。
http://kakikouha.shop-pro.jp/?pid=9983862


審理終結日 2018-01-31 
結審通知日 2018-02-06 
審決日 2018-02-19 
出願番号 商願2014-79794(T2014-79794) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (W30)
T 1 8・ 13- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 守屋 友宏川崎 萌未清川 恵子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 阿曾 裕樹
田村 正明
商標の称呼 カキショーユ 
代理人 森 寿夫 

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