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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X30
管理番号 1339258 
審判番号 取消2017-300157 
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-03-06 
確定日 2018-03-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第5239125号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5239125号商標(以下「本件商標」という。)は、「ノアール」の片仮名と「noir」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成20年11月12日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆」を指定商品として、同21年6月12日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成29年3月21日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである旨述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
なお、請求人は、後記第3の被請求人の答弁に対し、弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
1 被請求人について
本件商標の商標権者である被請求人は、1947年(昭和22年)10月に創業し、兵庫県神戸市東灘区に本社を置く「tohoグループ」の持株会社として、各事業会社(株式会社トーホーフードサービス、株式会社トーホーキャッシュアンドキャリー、株式会社トーホーストア、株式会社トーホービジネスサービス、他)の経営管理、業務用食品の仕入・調達・開発、業務用コーヒーの製造を行う営業主体である(乙1、乙2)。
2 本件審判の請求に係る指定商品「コーヒー豆」についての本件商標の使用について
(1)被請求人は、自己の製造に係るコーヒー(toho coffee)のうち、最上位の品質に位置付けられる業務用コーヒー豆に「aria(アリア)」のブランドを付して製造、販売しており、平成20年頃より、濃厚でとろけるような甘味と芳醇なショコラの香りのするコーヒー豆(商品名:レギュラーコーヒー、内容量:300g)の名称に本件商標を採択し、ariaシリーズのコーヒー豆ブランドとして、現在まで継続して使用している。
そして、ariaシリーズのコーヒー豆「ノアール/noir」(以下「本件商品」という場合がある。)は、被請求人が製造する最上位ブランドの業務用コーヒーであって、外食産業向けに受注生産により販売しており、該コーヒー豆は、現在、本件商標を含めて3種類取り揃えている(ノアール、ルージュ、エスプレッソ)。
なお、本件商品は、本件審判の請求に係る指定商品中の「コーヒー豆」に該当する。
(2)乙第3号証は、本件商品の包装パッケージの写真であるところ、該パッケージの表面において、その中央上部には、「aria」の文字が大書され、その中央下部には、「noir」の文字が表示されている。
また、上記包装パッケージの裏面には、「アリア」の文字の横にスペースを空けて「ノアール」の文字が表示されている。
そして、乙第9号証は、上記包装パッケージが過去3年間(2014年から2016年まで)に5,000部制作(印刷)されたことを示す大日本印刷株式会社による印刷証明書である。
なお、上記包装パッケージの裏面に記載されている製造者の住所(番地:10番)が被請求人の住所(番地:9番)と異なるが、これは、本社に隣接する六甲アイランドコーヒー工場の住所を記載したことによるものである(乙4)。
(3)被請求人が製造し、請求人(審決注:「被請求人」の誤記と認める。)の事業会社である株式会社トーホーフードサービス(以下「トーホーフードサービス」という。)が販売するコーヒー豆(toho coffee)の商品チラシである「2009 BEANS GUIDE」(乙5)及び「COFFEE BEANS GUIDE」(乙6)には、やや苦味のある深煎りのテイストとして、3種類のariaシリーズが掲載されており、本件商品は、濃厚でとろけるような甘味と芳醇なショコラの香りと紹介されている。
上記チラシに掲載されている本件商品の包装パッケージの表面には、「ノアール」の文字が表示されている(乙5、乙6)。
(4)乙第7号証及び乙第8号証は、いずれも被請求人の事業会社であるトーホーフードサービスが、大阪でケーキサロンを営む「カカオティエ ゴカン」に対し、本件商品を販売したことを示す「納品書兼物品受領書」の控えである。
上記受領書の控えには、納品した商品の「商品名」として、「トーホーコーヒー aria ノアール 豆 300g」と記載されており、また、その日付(発行日及び配送日)は、それぞれ、「2017年1月19日」及び「2017年2月13日」となっており、いずれも本件審判の請求の予告登録日前3年以内に該当する。
(5)上記した使用事実及び証拠資料(乙1ないし乙9)から明らかなとおり、被請求人及びトーホーフードサービスは、本件審判の請求に係る指定商品中の「コーヒー豆」と同一の商品に関する包装パッケージ、チラシ、納品書兼物品受領書に、本件商標を構成する片仮名「ノアール」又は欧文字「noir」を出所表示として認識される態様により付して、平成20年2月頃から現在まで継続して使用している。
そして、上記チラシ、納品書兼物品受領書が、本件商品に関する取引書類及び広告に該当することは明らかであり、これらにおける本件商標の表示が、商標法第2条第3項第8号にいう商標の使用に該当することは明白である。
また、上記納品書兼物品受領書に係る使用時期(2017年の1月19日及び2月13日)が、いずれも本件審判の請求の予告登録日前3年以内に該当することも明白である。
そうすると、被請求人が、自ら又は事業会社であるトーホーフードサービスを通じて、本件審判の請求の予告登録日前3年以内に、その請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を使用した事実は、十分に証明されたものと判断されるべきである。
3 結語
以上によれば、被請求人及び被請求人の事業会社は、本件審判の請求の予告登録日前3年以内に、その請求に係る指定商品に属する同一の商品の販売を行っており、該商品の包装パッケージ、取引書類及び広告に本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を表示することにより、本件商標をその指定商品の包装又は取引書類及び広告に付して頒布する使用をしている。
したがって、本件商標は、商標法第50条第2項の規定により、その登録を取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)被請求人である本件商標権者は、1947年(昭和22年)10月に創業(食品卸売事業を開始)、その後、1953年(昭和28年)に本社を神戸市に設置、1983年(昭和58年)に社名を「株式会社トーホー」に変更などして、2008年(平成20年)8月に持株会社へ移行した者であり、2017年(平成29年)2月現在、本件商標権者のほか、「トーホーフードサービス」、「株式会社トーホーキャッシュアンドキャリー」、「株式会社トーホーストア」、「株式会社トーホービジネスサービス」等の各社とともに「トーホーグループネットワーク」を形成している(乙1、乙2)。
(2)本件商標権者及びそのグループ会社であるトーホーフードサービスは、遅くとも2009年(平成21年)8月には、焙煎した各種コーヒー豆を製造、販売しており、その中には、「アリア(aria)」というブランドに係るシリーズ商品として、「ルージュ」、「ノアール」及び「エスプレッソ」と称する3種類の商品が含まれている(乙5、乙6)。
そして、上記「アリア(aria)」ブランドに係る「ノアール」と称する商品は、外食産業向けの業務用コーヒーとされるものであって、その包装袋の表面には、「aria」、「noir」、「ROASTED COFFEE」の文字等がそれぞれ分離して観察されるような態様で配置されており、同じく、裏面には、「アリア ノアール」の商品名及び「業務用」の表示があるほか、品名として「レギュラーコーヒー」、原材料名として「コーヒー豆」、内容量として「300g」、製造者として「株式会社トーホー」とその住所(ただし、本件商標権者の本社に隣接する六甲アイランドコーヒー工場の住所)の各表示等がある(乙3、乙4)。
なお、上記包装袋は、本件商標権者からの依頼を受けた大日本印刷株式会社が印刷し、2014年(平成26年)に3,000枚、2016年(平成28年)に2,000枚が納品されている(乙9)。
(3)本件商標権者のグループ会社であるトーホーフードサービスは、2017年(平成29年)の1月19日及び2月13日に、大阪市に所在する「カカオティエ ゴカン」と称する者に対し、商品名を「トーホーコーヒー aria ノアール 豆 300g」とする商品を配送し、納品した(乙7、乙8)。
2 上記1において認定した事実によれば、本件商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内である2016年(平成28年)に、自己の製造に係る焙煎したコーヒー豆の包装について、「noir」又は「ノアール」の文字からなる標章を付していたといえる。
また、本件商標についての通常使用権者といえるトーホーフードサービスは、本件審判の請求の登録前3年以内である2017年(平成29年)の1月19日及び2月13日に、本件商標権者の製造に係る焙煎したコーヒー豆の包装に「noir」又は「ノアール」の文字からなる標章を付したものを譲渡したことが推認される。
そして、本件商標は、前記第1のとおり、「ノアール」の片仮名と「noir」の欧文字とを上下二段に横書きしてなるところ、その構成態様によれば、上段に位置する片仮名は、下段に位置する欧文字の読みを表したものと看取、理解されるから、上記包装袋に付された「noir」又は「ノアール」の各標章は、それぞれ、本件商標の上段又は下段に位置する文字と同一のつづりからなるものであって、同一の称呼を生じるといえるものであり、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
さらに、上記本件商標権者の製造に係る焙煎したコーヒー豆は、本件審判の請求に係る指定商品中の第30類「コーヒー」に属するものと認められる。
してみれば、本件商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、その請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用(商標法第2条第3項第1号)をしていたと認められ、また、本件商標についての通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、その請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用(商標法第2条第3項第2号)をしていたと認められる。
3 むすび
以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標権者又は本件商標についての通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-10-18 
結審通知日 2017-10-24 
審決日 2017-11-08 
出願番号 商願2008-91577(T2008-91577) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 黒磯 裕子 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 尾茂 康雄
田中 敬規
登録日 2009-06-12 
登録番号 商標登録第5239125号(T5239125) 
商標の称呼 ノアール 
代理人 田畑 千絵 
代理人 笠原 智恵 
代理人 三上 真毅 

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