ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 |
---|---|
管理番号 | 1338376 |
異議申立番号 | 異議2017-900247 |
総通号数 | 220 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2018-04-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-08-04 |
確定日 | 2018-03-01 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5947567号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5947567号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5947567号商標(以下「本件商標」という。)は、「MiSCAN」の欧文字を標準文字で表してなり、平成29年2月21日に登録出願、第9類「画像測定機,三次元座標測定機,その他の測定機械器具」を指定商品として、同年4月27日に登録査定、同年5月19日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由として引用する登録第5087227号商標(以下「引用商標」という。)は、「ViScan」の欧文字を標準文字で表してなり、平成18年6月30日に登録出願、第9類「測定機械器具」を指定商品として、平成19年10月26日に設定登録されたものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 (1)具体的理由 ア 商品の抵触について 本件登録の指定商品は、第9類「画像測定機,三次元座標測定機,その他の測定機械器具」であり、引用商標の指定商品は、第9類「測定機械器具」であるから、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似である。 イ 商標の類似について (ア)本件商標と引用商標の外観 本件商標と引用商標の外観を対比すると、本件商標は、標準文字を指定した小文字混じりの欧文字で「MiSCAN」と書してなり、引用商標は、標準文字を指定した小文字混じりの欧文字で「ViScan」と書してなる。 両商標は、語頭の1文字以外の全ての文字「i」、「S」、「C/c」、「A/a」及び「N/n」が一致する上に、2文字目に小文字の「i」と、3文字目に大文字の「S」を配置したものであることから、その全体構成が極めて近似している。 そのため、本件商標を一見したとき、共に欧文字のみで構成され、総文字数が同じ6文字であって、語頭の大文字の欧文字1字に続く2文字目が小文字の「i」があり、それに続く文字列「SCAN/Scan」が、大文字か小文字混じりかの違いでしかなく、これが指定商品との関係が深い「走査。スキャン。」を意味する英単語と認識できるために、引用商標の商標と同じ綴りの文字列であると錯覚して、両者を混同して認識するおそれが極めて高い。 つまり、本件商標と引用商標の商標とは、大文字の欧文字1字の後に小文字の「i」と「SCAN/Scan」が続くことで、その構成が視覚的に極めて近似しており、外観上相紛らわしい類似の商標である。 (イ)本件商標と引用商標の観念 本件商標と引用商標は、共に「走査。スキャン。」を意味する英単語「SCAN/Scan」を含むものの、前半の「Mi」及び「Vi」から特定の観念が想起できないため、いずれも全体として特定の観念を想起できない造語である。 したがって、本件商標と引用商標は、その観念において対比できない商標である。 (ウ)本件商標と引用商標の称呼 本件商標「MiSCAN」は、前半の「Mi」が、「ミ」、「マイ」又は「エムアイ」と発音でき、後半は、平易な英単語の「SCAN」(スキャン)と同じ綴りであることから、これらそれぞれの読みに相応して全体としては英語読みで「ミスキャン」、「マイスキャン」又は「エムアイスキャン」の称呼が生ずる。 一方、引用商標「ViScan」とは、前半の「Vi」が、「ヴィ/ビ」、「ヴァイ/バイ」又は「ヴァーアイ」と発音でき、後半は、「Scan」(スキャン)と同じ綴りであることから、これらそれぞれの読みに相応して全体としては英語読みで「ヴィスキャン/ビスキャン」、「ヴァイスキャン/バイスキャン」又は「ヴィーアイスキャン」の称呼が生ずるものと考えられる。 そうすると、本件商標から生ずる「ミスキャン」又は「マイスキャン」と、引用商標から生ずる「ヴィスキャン/ビスキャン」又は「ヴァイスキャン/バイスキャン」とは、後半の3音「スキャン」が共通し、語頭において母音(i)が共通する類似音である「ミ」と「ヴィ/ビ」、又は母音(a)が共通する類似音「マ」と「ヴァ/バ」の1音のみが相違する称呼上相紛らわしい類似の商標である。 (エ)したがって、本件商標と引用商標は、観念においては対比できず、その外観及び称呼が類似するものであるから、彼此相紛らわしい類似の商標とするのが相当である。 (オ)混同のおそれについて 申立人は、1846年にドイツ東部の都市、イエナに創業者カール・ツァイスにより開設された精密機器および光学部品の工房に始まり、現在は、半導体製造装置、測定機、顕微鏡、医療機械、眼鏡レンズ、カメラおよび映写機用レンズ、双眼鏡、プラネタリウム用装置など幅広い製品を開発・製造販売している世界有数の企業である。 そして、申立人は、その製造販売する工業用測定機に引用商標「ViScan」を使用している(甲3)。 そうしたところ、申立人が「測定機」について使用している商標「ViScan」と極めて近似する「MiSCAN」なる本件商標を、申立人の引用商標と同一又は類似の商品「画像測定機,三次元座標測定機,その他の測定機械器具」について使用されたときは、申立人の業務と混同を生ずるおそれが極めて高い。 (2)むすび 以上から、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 当審の判断 (1)本件商標 本件商標は、上記1のとおり、「MiSCAN」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、辞書等に載録のないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。 そして、欧文字からなる造語の場合は、我が国で一般に普及した英語の読みに倣って称呼されるのが自然であるから、構成文字に相応して「ミスキャン」又は「マイスキャン」の称呼が生ずるものである。 してみれば、本件商標は、「ミスキャン」又は「マイスキャン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標 引用商標は、上記2のとおり、「ViScan」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、辞書等に載録のないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。 そして、欧文字からなる造語の場合は、我が国で一般に普及した英語の読みに倣って称呼されるのが自然であるから、構成文字に相応して「ビスキャン」又は「バイスキャン」の称呼が生ずるものである。 してみれば、引用商標は、「ビスキャン」又は「バイスキャン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標の類否 ア 外観について 本件商標と引用商標の構成は、前記(1)及び(2)のとおり、比較的看者の注意をひきやすい先頭の文字である第1文字目において「M」と「V」が相違し、さらに、後半の3文字において大文字と小文字の差異を有するものであるから、外観上、明確に区別できるものである。 イ 称呼について 本件商標から生ずる「ミスキャン」の称呼と、引用商標から生ずる「ビスキャン」又は「バイスキャン」の称呼とを比較すると、「ミスキャン」と「ビスキャン」の称呼においては、称呼の識別における重要な語頭音において「ミ」と「ビ」の相違を有するものであり、共に全体で4音の比較的短い音構成であることからすれば、該差異がこれらの称呼に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、これらを称呼するときは、語調、語感が異なり、互いに聞き誤るおそれはないものである。 また、「ミスキャン」と「バイスキャン」との称呼の比較においても、語頭音における相違に加え、構成音数も異なるものであって、互いに聞き誤るおそれのないものであるから、何れの称呼における比較においても、明確に聴別できるものである。 次に、本件商標から生ずる「マイスキャン」の称呼と引用商標から生ずる「ビスキャン」又は「バイスキャン」の称呼とを比較すると、「マイスキャン」と「ビスキャン」との称呼の比較においては、語頭音における相違に加え、構成音数も異なるものであって、互いに聞き誤るおそれはないものである。 さらに、「マイスキャン」と「バイスキャン」との称呼の比較においては、語頭音において「マ」と「バ」の相違を有するものであり、共に全体で5音の比較的短い音構成であることからすれば、該差異がこれらの称呼に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、これらを称呼するときは、語調、語感が異なり、互いに聞き誤るおそれはないものである。 したがって、本件商標と引用商標とは、称呼において明らかに聴別し得るものである。 ウ 観念について 観念においては、本件商標及び引用商標ともに、特定の観念を生じないものであるから、観念においては比較することができない。 エ そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において明らかに相違するものであるから、これらを総合的に勘案すれば、取引者、需要者に与える印象、記憶が異なり、両商標を同一又は類似の商品に使用した場合においても、商品の出所について混同を生ずるおそれのない、非類似の商標というべきである。 オ 以上のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、指定商品が同一又は類似するものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきでものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2018-02-21 |
出願番号 | 商願2017-20976(T2017-20976) |
審決分類 |
T
1
651・
263-
Y
(W09)
T 1 651・ 261- Y (W09) T 1 651・ 262- Y (W09) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 森山 啓 |
特許庁審判長 |
田中 幸一 |
特許庁審判官 |
大森 友子 今田 三男 |
登録日 | 2017-05-19 |
登録番号 | 商標登録第5947567号(T5947567) |
権利者 | 株式会社ミツトヨ |
商標の称呼 | ミスカン、ミスキャン、ミ、エムアイ |
代理人 | 山崎 和香子 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |