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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y09
管理番号 1338285 
審判番号 取消2016-300781 
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-11-02 
確定日 2018-02-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第4958672号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4958672号商標の指定商品及び指定役務中、第9類「コンピュータ用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・その他の記録媒体,コンピュータ操作用プログラムを記憶させた記憶媒体,電子計算機用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるものを含む),光学式記録媒体,録音用記録媒体,電気磁気測定器,携帯電話用ストラップ,その他の電気通信機械器具,電子計算機用マウスパッド,その他の電子応用機械器具及びその部品」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4958672号商標(以下「本件商標」という。)は、「C-ZONE」の欧文字を書してなり、平成16年12月21日に登録出願、第9類「録音済み又は録画済みのコンパクトディスク,レコード,コンピュータ用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・その他の記録媒体,コンピュータ操作用プログラムを記憶させた記憶媒体,電子計算機用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるものを含む。),光学式記録媒体,録音用記録媒体,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,携帯電話用ストラップ,その他の電気通信機械器具,電子計算機用マウスパッド,その他の電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,業務用テレビゲーム機,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知機,ガス漏れ警報器,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防車,消防艇,スプリンクラー消火装置,盗難警報器,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,磁心,自動車用シガーライター,抵抗線,電極,溶接マスク,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,潜水用機械器具,アーク溶接機,家庭用テレビゲームおもちゃ,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,メトロノーム」及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として、平成18年6月9日に設定登録されたものであり、その後、同28年6月21日に商標権の存続期間の更新登録がされ、その商標権は現に有効に存続している。
そして、本件審判の請求の登録は、平成28年11月16日にされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類「コンピュータ用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・その他の記録媒体,コンピュータ操作用プログラムを記憶させた記憶媒体,電子計算機用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるものを含む。),光学式記録媒体,録音用記録媒体,電気磁気測定器,携帯電話用ストラップ,その他の電気通信機械器具,電子計算機用マウスパッド,その他の電子応用機械器具及びその部品」(以下「本件取消請求指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の内容
(1)本件商標の使用者について
被請求人は、乙第2号証ないし乙第6号証を提出し、被請求人と株式会社ユニオンミュージックジャパンとの間で、本件商標の使用に関する黙示の合意や口頭の契約があり、株式会社ユニオンミュージックジャパンは、本件商標の事実上の使用権者であると主張する。
請求人は、被請求人が株式会社ユニオンエンタテイメントに対して、本件商標の使用を許諾したことは認める(乙6)。しかしながら、「商標貸与契約書」(乙6)中の(3)において、「乙は予め甲からの書面による許諾を得た場合以外は、第三社に屋号を再許諾しないものとする。」とあり、「書面による許諾」が提示されていない以上、株式会社ユニオンミュージックジャパンがその関連会社と主張する株式会社ユニオンエンタテイメントに対して本件商標の使用を許諾することは当該契約に違背するものであるから、被請求人が株式会社ユニオンミュージックジャパンとの間に本件商標について黙示の使用許諾があったと認めることはできない。
(2)本件商標の使用について
被請求人は、株式会社ユニオンエンタテイメントが本件商標を本件取消請求指定商品について使用していることを証する書面として、乙第1号証の1及び2を提出し、(a) 乙第1号証の1は、インターネット動画サイト「YouTube」に投稿された動画の一場面を切り取ったものであり、その画面の上部及び動画外に「C-ZONE『Future Blue』PV」とある。乙第1号証の2は、同じ動画の別場面を切り取ったものであり、場面中央に「C-ZONE」、動画外に「C-ZONE『Future Blue』PV」とある。そして、当該PV(プロモーションビデオ)商品が、C-ZONE「Future Blue!」PVと表示されていることと相まって、UNION MUSIC JAPANから供され、その商品の出所表示機能を果たしており、その結果、商標法第2条第3項で規定する「商品に標章を付する行為」に当たることは明白であり、仮に、「商品に標章を付する行為」に当たらなくとも、上記は「電気通信回路を通じて提供する行為」に当たることは明白である、(b)さらに、当該プロモーションビデオが動画編集ソフトウェアを使用して作成されたものであることをもって、「C-ZONE」が本件取消請求指定商品に使用している、旨主張する。
しかしながら、乙第1号証の1及び2にある「プロモーションビデオ」は、本件取消請求指定商品には該当しない。また、「プロモーションビデオ」の作成に当たり動画編集ソフトが使用されていたとしても、乙第1号証の1及び2に表れる「C-ZONE」は、プロモーションビデオが女性アイドルグループ「C-ZONE」による「Future Blue」を内容とするものであることを示したものであり、いわば、当該動画の内容を記述しているにすぎず、動画編集ソフトの出所を表示するものではない。
したがって、本件取消請求指定商品における本件商標の使用はなく、被請求人の主張はその正当な理由がない。
(3)まとめ
以上のとおり、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが本件取消請求指定商品について本件商標の使用をしていないものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用について
(1)乙第1号証の1及び2について
乙第1号証の1には、C-ZONE「Future Blue」PVが、UNIONMUSIC JAPANから提供されていることが示されている。また、当該乙号証には、2008.12.3リリース「SEASON」収録曲C-ZONE「Future Blue」PVとも示されていて、更に、2014/10/10に公開とも示されている。
これらの意味するところは、第一に、2008.12.3に、リリースされた「SEASON」の収録曲のC-ZONE「Future Blue」PVであることを示しており、当該リリースとは、音楽用語でレコードやCD(DVD)を発売したことを意味している、すなわち、2008年12月3日に、セカンドアルバム「SEASON」が発売されたことを意味する。
第二に、当該収録曲のC-ZONE「Future Blue」を基にして、PV(プロモーションビデオ)が作成され、そのPV(プロモーションビデオ)が、電気通信回線を介して、2014/10/10からYouTubeを介してダウンロードできることを示している。当該2014/10/10は、本件取消審判の請求日の平成28年(2016年)11月2日の3年前の平成25年(2013年)11月2日との間の日付を示している。
乙第1号証の2は、上記乙第1号証の1の画面の冒頭の進行を捉えたもので、「C-zone」なる標章が画面に表示され、本件商標である「C-ZONE」が視認されるように電磁的な情報が組み込まれている。これは、当該PV(プロモーションビデオ)商品が、C-ZONE「Future Blue」PVと表示されていることと相まって、UNION MUSIC JAPANから供され、その商品の出所表示機能を果たしていることを示している。その結果、商標法第2条第3項で規定する「商品に標章を付する行為」に当ることは明白であり、仮に、「商品に標章を付する行為」に当たらなくとも、上記は「電気通信回路を通じて提供する行為」に当たることは明白である。
(2)乙第7号証について
乙第7号証は、PV(プロモーションビデオ)に関するインターネット上のフリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」の記事(抜粋)である。
PV(プロモーションビデオ)を作成するには、音楽ファイルや画像ファイルや動画ファイル等の素材ファイルとして必要であり、また、当該素材ファイルを基にしてPV(プロモーションビデオ)を作成するには、不要な画面のカットや動画と動画の連結等の操作ができる動画編集ソフトが必要である。
また、乙第1号証の2に示すように、乙第1号証の1の画面の冒頭の進行中に「C-ZONE」なる標章を画面に表示し、本件商標である「C-ZONE」が視認され、電磁的な情報が組み込まれ、PV(プロモーションビデオ)のその商品の出所表示機能を果たようにするには、動画編集ソフトが必要である。
その点、乙第7号証には、当該PV(プロモーションビデオ)の作成には、音楽ファイル等の素材ファイル及び動画編集ソフトが必要であることが示されており、当該動画編集ソフトの一つのAviUtlというソフトは、不要な画面のカットや動画と動画の連結等の各種操作ができることが記載されている。
当該動画編集ソフトとは、プログラミングされた電子計算機用プログラムを意味していて、電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されたり、コンピュータ操作用プログラムを記憶させた記憶媒体として供されるものである。
当該PV(プロモーションビデオ)は、C-ZONE「Future Blue」の音楽ファイル等の素材ファイルと上記電子計算機用プログラムよりなる動画編集ソフトを使用して作成されたものである。
すなわち、前記UNION MUSIC JAPANから提供されたC-ZONE「Future Blue」PV商品は、C-ZONEなる標章が付せられて、電気通信回線を通じて提供されているとともに、電子計算機用プログラムよりなる動画編集ソフトにより「C-ZONE」なる標章が画面に表示されていて、本件商標である「C-ZONE」が視認されるように電磁的な情報を組み込むことが行われている。
したがって、電子計算機端末による通信を用いて行う音楽ファイル等の素材ファイルの提供がなされているとともに、電子計算機用プログラムが併存して組み込まれたPV(プロモーションビデオ)商品に、「C-ZONE」なる標章が付されて電気通信回線を通じて提供されていることになる。
このように、電子計算機用プログラムが組込まれたPV(プロモーションビデオ)商品に、その起動時や視聴覚時のインターフェイスに、本件商標である「C-ZONE」なる標章が表示され視認されるように商標の電磁的な情報が組み込まれていることは、商品の出所表示機能を有し、商標法第2条第3項第1号で規定する商品に標章を付する行為となることは明らかである。
また、上記は、電子情報財を「電気通信回線」を通じで送信して流通に置く行為に当たり、商標法第2条第3項第2号に規定する商品に標章を付したものを電気通信回線を通じて提供する行為となることは明らかである。
(3)請求人の弁駁に対して
請求人は、「プロモーションビデオ」と本件審判請求の対象について、電子計算機用プログラムに関して否定しているが、乙第1号証の1及び2に示すように、「C-ZONE」標章が「プロモーションビデオ」画面及びYouTube画面に表示され、本件商標である「C-ZONE」が視認され、電磁的な情報が組み込まれていて、更に、「C-ZONE」が株式会社ユニオンミュージックジャパンのUNION MUSIC JAPANから提供されていることが示されていて、その商品の出所表示機能を果たしているのである。
また、乙第7号証に示すように、PV(プロモーションビデオ)には、音楽ファイルや画像ファイルや動画ファイル等の素材ファイルだけではなく、動画編集ソフトも必要であり、当該動画編集ソフトは、電子計算機用プログラムのはずであるから、当該PV(プロモーションビデオ)は、素材ファイルと共に当該電子計算機用プログラムよりなる動画編集ソフトを使用しなければ作成できず、また、「C-ZONE」なる標章を画面に表示するには当該電子計算機用プログラムの助けを借りなければ作成できない。
それゆえ、当該PV(プロモーションビデオ)の提供に関しては、「C-ZONE」標章による電子計算機端末による通信を用いて行う音楽ファイル等の素材ファイルの提供がなされているとともに、電子計算機用プログラムが併存して組み込まれているので、電子計算機用プログラムについても「C-ZONE」なる標章が付されて電気通信回線を通じて提供されていることになり、電子計算機用プログラム(電気通信回路を通じてダウンロードにより販売されるものを含む。)についても、「C-ZONE」が株式会社ユニオンミュージックジャパンのUNION MUSIC JAPANから提供されていることが示されていて、その商品の出所表示機能を果たしているのである。
2 本件商標の使用者について
(1)乙第2号証の1ないし3及び乙第3号証について
乙第2号証の1に示すように、UNION MUSIC JAPAN(ユニオンミュージックジャパン)は、株式会社ユニオンミュージックジャパンが正式名であることが示されている。当該株式会社ユニオンミュージックジャパンの登記簿謄本写し(乙2の2)には、当該株式会社ユニオンミュージックジャパンの本店の所在地が、東京都渋谷区代々木1-57-2ドルミ代々木604であることが示されている。前記乙第2号証の1には、当該株式会社ユニオンミュージックジャパンの関連会社として、株式会社ユニオンエンタテイメントが示されている。
乙第2号証の3には、当該株式会社ユニオンミュージックジャパンにより、レーベル(取扱)部門の一つとして、本件商標である「C-ZONE」が取扱われていることが示されている。また、これには、当該株式会社ユニオンミュージックジャパンが、株式会社ユニオンエンタテイメントと関連していて、「C-ZONE」の名称のグループが、当該株式会社ユニオンミュージックジャパンの系列会社の当該株式会社ユニオンエンタテイメントに所属していることが示されている。
これらの意味するところは、株式会社ユニオンミュージックジャパン及び株式会社ユニオンエンタテイメントの両社が、本件商標である「C-ZONE」の使用に関わっていることを示している。
この点、乙第3号証には、「C-ZONE」が、事務所として、株式会社ユニオンミュージックジャパン及び株式会社ユニオンエンタテイメントにより取扱われていることが示されている。なお、これには、2008年12月3日に、セカンドアルバム「SEASON」が発売されたこともが示されている。
(2)乙第4号証の1ないし4について
乙第4号証の1に示すUNION ENTERTAINMENTの乙第4号証の4に示すその会社概要によれば、当該株式会社ユニオンエンタテイメントの所在地は、東京都渋谷区代々木1-57-2ドルミ代々木6Fで、前記株式会社ユニオンミュージックジャパンの本店の所在地の東京都渋谷区代々木1-57-2ドルミ代々木604と共通し、乙第4号証の3(登記簿謄本写し)によれば、当該株式会社ユニオンエンタテイメントの所在地は、東京都渋谷区代々木1-57-2ドルミ代々木604で、前記株式会社ユニオンミュージックジャパンの本店の所在地と一致することが示されている。また、株式会社ユニオンエンタテイメントの取締役の佐川知之(乙4の3)は、乙第2号証の2に示すように、当該株式会社ユニオンミュージックジャパンの取締役の佐川知之と共通している。
さらに、乙第4号証の2には、当該UNION ENTERTAINMENT、すなわち株式会社ユニオンエンタテイメントは、UNION MUSIC JAPAN、すなわち株式会社ユニオンミュージックジャパンとGROUPを形成していることが示されている。また、乙第4号証の2には、当該UNION ENTERTAINMENT、すなわち株式会社ユニオンエンタテイメントは、nextともGROUPを形成していることが示されている。その点、乙第4号証の4でも、株式会社ユニオンエンタテイメントは、株式会社ユニオンミュージックジャパン及び株式会社ネクストとグループ会社を形成していることが示されている。そして、当該乙第4号証の4によれば、当該株式会社ユニオンエンタテイメントの千葉オフィスは、千葉県千葉市中央区富士見2-9-19であることが示されていて、当該乙第4号証の4に示す当該株式会社ユニオンエンタテイメントの千葉オフィスの住所(居所)、すなわち千葉県千葉市中央区富士見2-9-19は、本件の商標権者の株式会社ネクストの住所(居所)の千葉県千葉市中央区富士見二丁目9番19号に一致するものである。
(3)乙第5号証について
乙第5号証は、本件商標権者である株式会社ネクストのインターネットホームページであり、その会社概要によれば、商標権者の本社所在地は、千葉県千葉市中央区富士見2-9-19で、前記株式会社ユニオンエンクティメントのその千葉オフィスの住所(居所)の千葉県千葉市中央区富士見2-9-19に一致していることが示されている。また、商標権者の東京事務所の東京都渋谷区代々木1-57-2ドルミ代々木6Fは、株式会社ユニオンミュージックジャパンの本店所在地及び株式会社ユニオンエンタテイメントの本店所在地と共通している。
その関係で、商標権者が、前記UNION MUSIC JAPAN(ユニオンミュージックジャパン)及びUNION ENTERTAINMENT(ユニオンエンタテイメント)との間でLINKSを形成していることが示されている。
上記のとおり、商標権者とUNION MUSIC JAPAN、すなわち株式会社ユニオンミュージックジャパンとの間、商標権者と当該UNION ENTERTAINMENT、すなわち株式会社ユニオンエンタテイメントとの間及びUNION MUSIC JAPAN、すなわち株式会社ユニオンミュージックジャパンと当該UNION ENTERTAINMENT、すなわち株式会社ユニオンエンタテイメントとの間では、密接なグループを形成しており、密接に関連していることは明らかである。
(4)乙第6号証について
乙第6号証は、平成27年4月10日付けで、商標権者と株式会社ユニオンエンタテイメントとの間で交わした「商標貸与契約書」の写しであり、当該「商標貸与契約書」では、商標権者から株式会社ユニオンエンタテイメントに対して通常使用権を許諾する旨の契約が締結されている。
当該「商標貸与契約書」は、商標権者と株式会社ユニオンエンタテイメントとの間のものであり、商標権者と株式会社ユニオンミュージックジャパンとの間のものではないが、前述のとおり、商標権者、株式会社ユニオンミュージックジャパン、株式会社ユニオンエンタテイメントの3社の聞には密接な関係があり、特に、株式会社ユニオンミュージックジャパンと株式会社ユニオンエンタテイメントとの間には、本店所在地が一致し、また、取締役の一員が共通する等の密接な関係があり、商標権者と株式会社ユニオンミュージックジャパンとの間には、こうした「商標貸与契約書」はなくても、3社間には黙示の合意や口頭の契約があり、商標法第50条第1項で規定する通常使用権者になり得ると解せられる。
こうした場合、商標権者と株式会社ユニオンミュージックジャパンとの間で、特に、特許庁での通常使用権の設定登録をしていなくても、また、本件商標である「C-ZONE」についての使用契約書が存在しなくても、本件商標権者から通常使用権を許諾する旨の黙示の合意や口頭の契約があれば、商標法第50条第1項で規定する通常使用権者になり得ることは、例えば、不使用取消審判の「取消2006-30417」、「取消2006-30956」及び「取消2006-30444」に照らして明らかである。
(5)請求人の弁駁に対して
請求人は、「商標貸与契約書」(乙6)中の(3)において「乙は予め甲からの書面による許諾を得た場合以外は、第三者に屋号を再許諾しないものとする。」とあるのを盾に、「書面による許諾」が提示されていない以上、株式会社ユニオンミュージックジャパンがその関連会社と主張する株式会社ユニオンエンタテイメントに対して本件商標の使用を許諾することは当該契約に違背するものであるから、商標権者と株式会社ユニオンミュージックジャパンとの間に本件商標について黙示の使用許諾があったと認めることはできない旨主張した。
当該「商標貸与契約書」の(3)項の「乙は予め甲からの書面による許諾を得た場合以外は、第三者に屋号(C-ZONE)を再許諾しないものとする。」は、「甲は予め乙からの書面による許諾を得た場合以外は、第三者に屋号(C-ZONE)を再許諾しないものとする。」の誤りであると思われる。それは、再許諾とは、当該「商標貸与契約書」の(1)項で、甲の本件商標権者から乙の株式会社ユニオンエンタテイメントに対して通常使用権を許諾したが、甲が乙以外の第三者には再許諾しないとの意であろうと思われる。
しかし、ここにいう第三者に、株式会社ユニオンミュージックジャパンも含まれるのか否か疑問があるので、それについて論じる。
上記「商標貸与契約書」中の甲である本件商標権者は、乙第5号証及び乙第8号証の履歴事項全部証明書に示すように、平成5年2月8日には会社が成立しており、また、乙第2号証の2に示すように、株式会社ユニオンミュージックジャパンの会社設立年月日は平成21年1月5日で、更に、「C-ZONE」のPV(プロモーションビデオ)がYouTubeを介してダウンロードできるように公開されたのは、乙第1証の1によれば、2014年(平成26年)10月10日であり、更にまた、株式会社ユニオンエンタテイメントの会社設立年月日は、乙第4号証の3によれば、平成27年4月10日で、上記「商標貸与契約書」の締結日は、同じ日の平成27年4月10日である。
しかして、本件商標権者は、乙第5号証及び乙第8号証の履歴事項全部証明書に示すように、テレビ・ラジオ番組の企画・制作や音楽著作権の管理、コンパクトディスク、ミュウージックビデオ、ビデオ等の音楽録音物原盤の企画・製作及び販売等を手がけていて、その代表取締役の泉水一路は、乙第5号証にも示すように、番組制作会社の他に、タレントマネジメント会社や音楽レーベル会社等の設立に携わっている。また、株式会社ユニオンミュージックジャパンは、乙第2号証の2の定款(目的)に示すように、テレビ、ビデオ等の映像及び音楽等の制作、販売に携わっている。更に、株式会社ユニオンエンタテイメントは、乙第4号証の3の定款(目的)に示すように、芸能プロダクション等の経営に携わっている。すなわち、本件商標権者は、株式会社ユニオンミュージックジャパンや株式会社ユニオンエンタテイメントの成立に関係していて、商標「C-ZONE」については、「C-ZONE」のグループがテレビなりに出演するときに、その番組の企画を担当し、一方、株式会社ユニオンミュージックジャパンは、番組制作会社や音楽レーベル会社として「C-ZONE」に関係したビデオ等の映像及び音楽等の制作、販売を担当し、更に、株式会社ユニオンエンタテイメントは、「C-ZONE」のグループの活動のマネジメントをする芸能プロダクションとしての役割を果たしている。
そして、乙第2号証の2に示すように、株式会社ユニオンミュージックジャパンは、その取締役の一員として佐川知之の名前が挙がっており、当該佐川知之の住所は、乙第9号証の住民票に示すように、「東京都板橋区前野町二丁目45番10-406号」で、これは、乙第4号証の3の株式会社ユニオンエンタテイメントの代表取締役の佐川知之の住所の「東京都板橋区前野町二丁目45番10-406号」に一致するものである。すなわち、株式会社ユニオンミュージックジャパンの取締役の佐川知之が、株式会社ユニオンエンタテイメントの会社設立年月日の平成27年4月10日と同じ日の平成27年4月10日に、上記「商標貸与契約書」に、株式会社ユニオンエンタテイメントの代表取締役佐川知之として締結したものであり、当然本件商標権者と株式会社ユニオンミュージックジャパンと株式会社ユニオンエンタテイメントとの密接な関係は承知しており、株式会社ユニオンミュージックジャパンは第三者ではなく、むしろ、株式会社ユニオンミュージックジャパンを除外すれば、「C-ZONE」についての上記のような各々の役割分担やそれらの一体関係が崩れてしまうことになる。
そうであるからして、本件商標権者から株式会社ユニオンエンタテイメントに対して、株式会社ユニオンミュージックジャパンについての第三者としての特別な書面は必要がなく、商標権者は、株式会社ユニオンエンタテイメントに対しては、「C-ZONE」のグループの活動のマネジメントをする芸能プロダクションとしての役割を担わせ、その会社設立の平成27年4月10日に、念の為、上記「C-ZONE」についての「商標貸与契約書」を締結したものであって、商標権者と株式会社ユニオンミュージックジャパンとの間には、こうした「商標貸与契約書」はなくても、「C-ZONE」についての黙示の使用許諾があったことは明白である。
商標権者と株式会社ユニオンミュージックジャパンと株式会社ユニオンエンタテイメントとの間に密接な関係があることは、商標権者の東京事務所の東京都渋谷区代々木1-57-2ドルミ代々木6Fは、株式会社ユニオンミュージックジャパン及び株式会社ユニオンエンタテイメントの本店所在地の東京都渋谷区代々木1-57-2ドルミ代々木6Fに一致するものであることが、これを明白に示している。また、これら三者間に密接な関係があることは、2016年(平成28年)10月17日に三者が一堂に会して管理者会議を開催した議事録からも明らかである(乙10)。
上記のように、「C-ZONE」のPV(プロモーションビデオ)がYouTubeを介してタウンロードできるように公開されたのは、2014年(平成26年)10月10日であり(乙1の1)、また、当該乙号証の作成年月日は、2017年(平成29年)1月2日である。すなわち、当該PV(プロモーションビデオ)がYouTubeを介してタウンロードできるように公開されて、当該乙号証の作成年月日の2017年(平成29年)1月2日にもダウンロードできるようになっており、当該経緯は、株式会社ユニオンエンタテイメントの会社設立の平成27年4月10日や上記「商標貸与契約書」の締結日の平成27年4月10日を通過しており、商標権者は株式会社ユニオンミュージックジャパンの存在を知っており、また、「C-ZONE」のPV(プロモーションビデオ)の存在も知っていたのであり、黙示の使用許諾があり、上記特別な再許諾の書面は必要がないことは明白であり、むしろ、株式会社ユニオンミュージックジャパンの番組制作や音楽レーベルとしての役割上「C-ZONE」商標の使用は必要であったことは明白である。さらに、株式会社ユニオンミュージックジャパンが商標権者に隠れて黙示の許諾なく「C-ZONE」を使用していたとは到底考えられないことも明白である。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標については、平成25年(2013年)11月2日と本件取消審判の請求日の平成28年(2016年)11月2日との間において、日本国内において、通常使用権者が指定商品についての登録商標を使用しており、本件の不使用による取消審判の請求には理由がないことは明白である。

第4 当審の判断
1 認定事実
被請求人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)「株式会社ユニオンミュージックジャパン」(以下「UM社」という場合がある。)は、「テレビ、映画、ビデオ、写真等の映像及び音楽、音響の企画、制作、販売」等を目的として平成21年1月5日に設立された法人であり、同22年4月以降の本店所在地が「東京都渋谷区代々木1-57-2ドルミ代々木604」であって、同25年10月1日に「佐川知之」が取締役に就任している(乙2の2)。また、UM社のインターネットホームページにおける会社概要には、上記と同趣旨の所在地及び設立年月日のほか、事業内容として「音楽、映像ソフトの企画、制作、発売及びプロモーション。アーティストマネージメント」、関連会社として「株式会社ユニオンエンターテインメント」(以下「UE社」という場合がある。)の記載がある(乙2の1)。さらに、フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」において、UM社は日本の音楽制作会社であり、所属アーティストとしてレーベル部門に「C-ZONE」がいること、及び「C-ZONE」の所属事務所が系列のUM社であることが記載されている(乙2の3)。
(2)UE社は、「芸能プロダクション・モデルプロダクションの経営、芸能タレントのマネジメント及びプロモート業務」等を目的として平成27年4月10日に設立された法人であり、本店所在地が「東京都渋谷区代々木1-57-2ドルミ代々木604号」であって、代表取締役は「佐川知之」である(乙4の3)。また、UE社のインターネットホームページにおける会社概要には、上記と同趣旨の所在地のほか、千葉オフィスの住所が「千葉県千葉市中央区富士見2-9-19」であること、「ユニオンエンターテインメントは、タレント、歌手、俳優、パフォーマー等の才能溢れる方の発掘と育成から、デビュー後のプロモーション全般においてトータルにマネジメントしております」、グループ会社として「株式会社ユニオンミュージックジャパン」及び「株式会社ネクスト」の記載がある(乙4の1・4)。さらに、UE社のインターネットホームページには、UE社は、UM社とGROUPを形成していることが示されている(乙4の2)。
(3)本件商標権者である株式会社ネクストのインターネットホームページには、その会社概要に、所在地として、本社が「千葉県千葉市中央区富士見2-9-19」、東京事務所が「東京都渋谷区代々木1-57-2ドルミ代々木6F」であり(乙5)、前者は、UE社の千葉オフィスの住所と符合し、後者は、UM社及びUE社の本店所在地と符合する。同じく、その事業内容として「テレビ・ラジオ番組の企画・制作、テレビ・ラジオCMの企画・制作、各種イベントの企画・運営・キャスティング」等が記載されている(乙5)。
(4)「C-ZONE」について、フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」において、「C-ZONE(シーゾーン)は、かつてチバテレビのテレビ番組『なりギャル.TV』から誕生し、主に千葉県を中心に活動していた日本の女性アイドルグループである。2012年3月に一度解散したが、2013年に、千葉美少女図鑑のモデルから選出された4名が7期生として加入したのを機に、ユニット名をC-ZONE7(シーゾーンセブン)に改称し、後継ユニットとして活動を開始した。」との記載があり、また、事務所として「ユニオンエンタテイメント」及び「ユニオンミュージックジャパン」、来歴として「2008年12月3日、セカンドアルバム『SEASON』を発売。」との記載がある(乙3)。
(5)被請求人は、「商標権者は、UM社やUE社の成立に関係していて、商標『C-ZONE』については、『C-ZONE』のグループがテレビなどに出演するときに、その番組の企画を担当し、一方、UM社は、番組制作会社や音楽レーベル会社として『C-ZONE』に関係したビデオ等の映像及び音楽等の制作、販売を担当し、更に、UE社は、『C-ZONE』のグループの活動のマネジメントをする芸能プロダクションとしての役割を果たしている。」旨主張している。
(6)乙第1号証の1は、UM社のC-ZONE「Future Blue」のプロモーションビデオ(PV)に係るインターネットホームページとするものであるところ、「C-ZONE『Future Blue』PV-YouTube」、「C-ZONE『Future Blue』PV」、「UNION MUSIC JAPAN CHANNEL」、「2014/10/10に公開」、「2008.12.3 リリース『SEASON』収録曲 C-ZONE『Future Blue』PV」が表されている。
乙第1号証の2は、乙第1号証の1のインターネットホームページの冒頭画面とするものであるところ、乙第1号証の1に表されている文字等のほか、画像が映し出されるエリアの中央に「C-ZONE」の文字が表されている。
2 判断
(1)本件商標の使用者について
上記1(1)ないし(5)によれば、商標権者、UM社、UE社の3社の聞には密接な関係があって、「C-ZONE」のグループに対する3社の役割分担について、被請求人が上記1(5)のとおり主張しており、また、通常使用権者の許諾は口頭もしくは黙示の意思表示でも足りると解されていることからすれば、UM社、すなわち株式会社ユニオンミュージックジャパンは、本件商標の通常使用権者であるとみて差し支えない。
(2)本件商標の使用について
上記1の(1)、(4)及び(6)によれば、乙第1号証の1及び2は、女性グループである「C-ZONE」が演奏等する2008年12月3日に発売されたセカンドアルバム「SEASON」の収録曲である「Future Blue」を基にして、PV(プロモーションビデオ)が作成され、そのPV(プロモーションビデオ)が、YouTubeを介して見ることができることを示していると認められる。そして、その画像は、本件取消審判の請求の登録前3年以内である2014年(平成26年)10月10日に公開されたものと認められる。
乙第1号証の1及び2に係る「C-ZONE」の使用について、被請求人は、当該プロモーションビデオが動画編集ソフトウェアを使用して作成されたものであることをもって、「C-ZONE」が該ソフトウェアを含む本件取消請求指定商品に使用している旨主張する。
しかしながら、乙第1号証の1及び2に表れる「C-ZONE」の文字は、上記認定、判断からすれば、プロモーションビデオが女性アイドルグループ「C-ZONE」による「Future Blue」を内容とするものであることを示しているにすぎないといわざるを得ないものである。
本件商標と社会通念上同一といえる「C-ZONE」の文字が通常使用権者によって日本国内において本件取消審判の請求の登録前3年以内に使用されたとしても、それはあくまで女性アイドルグループの名称である「C-ZONE」と直接関係する役務等の出所識別標識として機能しているものであって、動画編集ソフトウェア等の本件取消請求指定商品の出所を表示するものとはいえない。
したがって、本件取消請求指定商品について本件商標の使用をしていたということはできない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品及び指定役務中「結論掲記の指定商品」について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2017-12-27 
出願番号 商願2004-116460(T2004-116460) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高橋 幸志 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 酒井 福造
網谷 麻里子
登録日 2006-06-09 
登録番号 商標登録第4958672号(T4958672) 
商標の称呼 シイゾーン、ゾーン 
代理人 きさらぎ国際特許業務法人 
代理人 佐藤 良博 

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