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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 042
管理番号 1338256 
審判番号 取消2017-300267 
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-04-17 
確定日 2018-02-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第3177002号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3177002号商標の指定役務中、第42類「飲食物の提供」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第3177002号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「神仙」の文字を書してなり、平成4年10月13日に登録出願、第42類「エステティック,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,あん摩,マッサ?ジ及び指圧,きゅう,柔道整復,はり,医業,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,老人の養護」を指定役務として、同8年7月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成29年4月27日である。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、審判事件弁駁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第42類「飲食物の提供」について、継続して3年(本件の場合は、平成26年4月27日から平成29年4月26日までの間。以下、当該期間を「要証期間」という。)以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)本件証拠における本件商標の未記載
ア 被請求人は、要証期間において指定役務「飲食物の提供」の識別標識として商標「神仙」を使用していたことを主張立証しなければならない。ところで、商標法第50条によれば、登録商標と「社会通念上同一と認められる商標」であれば、当該登録商標の使用があったものとみなされる。そして、社会通念上同一といえるか否かは、外観、称呼、観念から同一といえるか否かで判断される。
本件商標「神仙」は、漢字2文字から構成されているところ、被請求人は本件商標の代わりに片仮名4文字から構成される「シンセン」を被請求人の役務に使用していたと主張するが、「神仙」と「シンセン」では外観が全く異なる上、「シンセン」から連想される単語は「新鮮」や「新線」など多岐に渡るため、同一の観念が生じるともいえず、被請求人が「シンセン」を使用していたとしても本件商標と「社会通念上同一と認められる商標」を使用していたということはできない。
なお、被請求人は、審判事件答弁書において、登録商標「神仙」に対し、被請求人の役務に「シンセン」を使用していた経緯を述べているが、そのような経緯は社会通念上同一であるか否かの判断に影響を及ぼすものではない。
また、被請求人は本件商標の代わりに「YSM」を使用していたとも主張するが、「神仙」と「YSM」では外観、称呼、観念のすべてにおいて全く異なるため、「YSM」を使用していたとしても、本件商標と「社会通念上同一と認められる商標」を使用していたということはできない。
イ 翻って、本件審判事件において被請求人が提出した証拠を見てみると、証拠上に「神仙」の表示が確認できるのは、旧神仙のパンフレット(乙2)、上海で使用の旧神仙のパンフレット(乙3)、料理食事会開催の案内書(乙7)、会員への定期的発送郵便物(乙8)のみであり、他の証拠(乙1、乙4、乙5、乙6、乙9、乙10、乙11及び乙12)には「神仙」の表示がない。
したがって、被請求人が要証期間に指定役務「飲食物の提供」について本件商標を使用したか否かを判断するにあたっては、乙第2号証、乙第3号証、乙第7号証及び乙第8号証のみに基づくべきである。
(2)証拠上の日付の未記載
上記(1)の観点から、被請求人が要証期間に指定役務「飲食物の提供」について本件商標を使用したか否かを判断するにあたっては、乙第2号証、乙第3号証、乙第7号証及び乙第8号証のみに基づくべきであるところ、上記各証拠は、いずれも日付の記載がなく、本件商標を要証期間に使用していた事実を示すものではない。
(3)使用の証明における指定役務の不一致
また、本件商標の指定役務と被請求人の役務が異なるため、本件商標を指定役務について要証期間に使用したということはできない。
すなわち、指定役務「飲食物の提供」とは、「主として消費のための飲食物を目的とする人又は事業所が提供するサービス」であるところ、被請求人は、同役務における本件商標の使用の事実として、薬膳調理会を掲げており、証拠として薬膳調理会を開催するための公共施設の施設費用(乙4、乙5)、薬膳調理会の広告費用(乙6)、薬膳調理会の開催案内(乙7)、薬膳調理教室の案内(乙11)を提出している。
しかしながら、開催案内(乙7)やホームページ(乙9)によれば、薬膳調理会では、主催者が参加者にレシピに従って料理を教えるという形を取っており、かかる役務は「主として消費のための飲食物を目的とする人又は事業所が提供するサービス」とはいえず、せいぜい「知識の教授」又は「セミナーの企画・運営又は開催」に該当するものにすぎない。
また、被請求人が提出した他の証拠(乙1、乙2、乙3、乙8、乙10、乙11及び乙12)からも、被請求人が指定役務「飲食物の提供」について本件商標ないし本件商標と社会通念上同一の商標を使用していた事実はうかがわれない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、平成29年5月26日付けの審判事件答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第17号証(枝番号を含む。)を提出した。
(答弁の理由)
1 商標権者は昭和45年以前より「神仙」及び「シンセン」の商標を社名、商品名、代理店名に使用してきた。商標登録番号は第876543号である。その後平成8年に、商標登録番号第3177002号「神仙」(審決注:「神」は旧字体)を登録をした。中国注冊書第4061263号と中国注冊書第4061261号も登録している。ところが、平成7年にオウム真理教がサリン殺人事件を起こし、オウム真理教が「神仙」名を使用していたので、無関係の商標権者に警察の聞き込みがあった。このため、業務に支障が出るのを心配し、その後は、「神仙」ではなく「シンセン」を使用することが多くなった。それが、ホームページとパンフレットやチラシに漢字ではない「シンセン」を多く使用している理由である。
2 名称をYSMと略して使用していることもある。Yは薬膳料理、Sは神仙、Mは皆の会、の略である。上記の事件の関係を考慮した結果である。公の料理会場を契約する時と新聞チラシ折り込み募集の代金支払い等に使用している。料理会場契約領収書と新聞チラシ折り込み募集代金領収書を提出する。
3 料理食事会の案内書と会員への定期的発送郵便物にあるように継続して飲食物の提供を行っている。新聞折り込みチラシ広告も何回も行っている。
4 ホームページでもわかるように、「神仙」商標を使用して飲食物の提供を行っている。検索は「神仙薬膳料理」、「神仙薬膳」、「薬膳しんせん」で出る。
5 料理の商品名、レシピ等で「神仙」の名称を多く使用している。
6 「神仙」名で未来に向けて、薬膳料理関係で特約店契約が進行中である。

第4 当審の判断
1 商標登録の取消しの審判について
商標法第50条第2項は、同条第1項の審判請求があった場合は、その審判の請求の登録前3年以内(本件の場合は、平成26年4月27日から同29年4月26日までの期間。)に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを被請求人が証明するか、又は、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしない限り、商標権者は、その商標登録の取消しを免れない旨定めている。
2 被請求人の主張及び同人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者は、そのホームページの記載によれば、昭和62年4月設立、代表はA氏、飲食物の提供業務、漢方薬膳の製造業務、漢方薬膳の販売業務、栄養の指導業務等を目的とする有限会社であり(乙9の6(審決注:乙第9号証から乙第11号証までについては、平成29年9月19日付け証拠説明書及び新たな提出証拠の証拠番号による。以下同じ。))、「薬膳しんせん みんなで健康長寿を創ろう会」と称するネットワーク上のサークルを創設し、パソコン、FAX、郵送等を通じて薬膳資料を提供する役務についての広告を行っている(乙9の1及び乙9の2)。
しかし、当該広告の掲載時期は明らかではない(被請求人提出の証拠説明書には平成28年1月1日とあるが、当初の乙第9号証の印刷日は2017/05/25となっている)。
(2)乙第7号証は、商標権者の作成に係る「薬膳調理会」の参加者募集チラシであり、当該チラシには、「娘さん!奥様!お父さんに勧めてください! 主催者も募集中!」の見出しの下、「薬膳調理会参加者募集 ;1時から神仙レシピ 例;地域文化創造館」 食材商品名として、「鶏肉、セロリ、・・・・あごだし、他 25種使用、神仙レシピ 注;参加費総額1人;1700円」の記載がある(同様の募集広告が乙第9号証の4にもある)。 しかし、当該チラシの作成日(被請求人提出の証拠説明書によれば平成29年3月18日)や頒布の事実及び当該調理会の開催日に関する記載やその開催事実を示す証拠はない。
(3)乙第8号証は、「お知らせ」と題する「1年間モニター会員」宛の告知文であり、モニター会員への薬膳資料送付は24回で終了とすること、終了以降も薬膳資料の送付を希望する者は「薬膳研究神仙会」への参加(月会費1000円又は1部発送350円)を勧奨する記述がある。また、2葉目の下段には「神仙薬膳調理研究会参加者募集中 参加費:2660円」の記載、チーフコンサルタントの一人として本件商標権者代表者のA氏と携帯番号の記載がある。
しかし、当該告知文の作成日(被請求人提出の証拠説明書によれば平成29年3月18日)や頒布の事実及び当該調理研究会の開催日に関する記述、証拠はない。
(4)乙第10号証は、「YSM薬膳しんせん男子会【薬膳調理教室】」のチラシであり、「参加費1700円!」、「3時間の誰でも出来る、薬膳調理、調理手伝い、会食、」、「薬膳食を素人で調理し会食、薬膳効果の体験談交換、幹事も募集中 薬膳神仙スープを研究します」の記載及び連絡先として本件商標権者のeメールアドレス及び代表者の氏と携帯番号の記載がある。
当該チラシの作成日は、被請求人提出の証拠説明書によれば平成27年2月26日であり、同日に株式会社サンケイアイからYSM「薬膳しんせん男子会」宛にチラシ印刷の見積書が発行されている(乙6)。
(5)乙第11号証は、「顧客へ感謝の挨拶を代行いたします、10年後の貴店の発展をつくるに思いを馳せて!」の見出しの告知文であり「専門家の先生を『神仙』が薬膳食資料の発送で応援します!」、「顧客へ月2回健康寿命、老化防止、薬膳資料を発送:メール送信@1回200円、郵送は1回@350円、・・・顧客支払い。貴店に全て入金。」の記載と連絡先として本件商標権者の名称、電話番号等の記載とともに「『神仙』 検索;『薬膳神仙』」の記載がある。
しかし、当該告知文の作成日(被請求人提出の証拠説明書によれば平成29年1月1日)や頒布の事実などを示す証拠はない。
(6)以上によれば、本件商標権者は、名称が異なる各種の薬膳料理に関する調理研究会について参加者募集のチラシを作成し、また、薬膳料理に関する資料の提供に関する広告、告知を行っていることが認められるが、実際のチラシの頒布や調理研究会の開催時期及び資料提供の時期については必ずしも明らかではない。
3 上記2で認定した事実によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)標章の使用者について
上記2のとおり、本件商標権者は、薬膳調理会の参加者募集チラシを作成し、同人のホームページや文書により薬膳資料の提供についての広告記事を作成した。
(2)標章の使用について
ア 薬膳調理会参加者募集のチラシ(乙7)に記載されている「神仙レシピ」の文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく一連に表してなり、「シンセンレシピ」の称呼も一気一連に称呼し得るものであり、「神仙の調理法」の観念を生じるものである。
そうすると、本件商標と、「神仙レシピ」の文字とは、その外観、称呼及び観念において相違するから、社会通念上同一の商標とは認められない。
イ 薬膳資料の送付に関する告知文(乙8)に記載されている「薬膳研究神仙会」及び「神仙薬膳調理研究会」の文字は、それぞれ同書、同大、等間隔でまとまりよく一連に表してなり、「ヤクゼンケンキュウシンセンカイ」、「シンセンヤクゼンチョウリケンキュウカイ」の称呼も、やや冗長ではあるが、一気一連に称呼し得るものであり、それぞれ「薬膳を研究する神仙会」及び「神仙という名称の薬膳調理研究会」の観念を生じるものである。
そうすると、本件商標と、「薬膳研究神仙会」及び「神仙薬膳調理研究会」の文字とは、その外観、称呼及び観念において相違するから、社会通念上同一の商標とは認められない。
ウ 商標権者ホームページの「薬膳しんせん みんなで健康長寿を創ろう会」(乙9の6)及び「YSM薬膳しんせん男子会」のチラシ(乙10)に記載されている「しんせん」の文字は、本件商標と「シンセン」の称呼は同一であるが、「しんせん」の文字からは、「新鮮」や「新線」等さまざまな意味合いを生じるものであるから、社会通念上同一の商標とは認められない。
エ 薬膳食資料の送付に関する告知文(乙11)に記載されている「神仙」の文字は、本件商標と、社会通念上同一の商標と認められる。
(3)使用時期について
本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる「神仙」の文字が確認できる上記(2)エの乙第11号証は、実際の調理会の開催時期や資料提供の時期については、いずれも日付の記載はなく、また、当該告知文が頒布された事実も不明であるから、本件商標を要証期間に使用していたと認めることはできない。
(4)使用役務について
商標権者により広告されている役務は、上記2のとおり、薬膳調理会の企画、開催及び薬膳に関する資料の送付であり、これらは、「薬膳調理のセミナーの企画・運営又は開催」、「薬膳調理に関する知識の教授」、「薬膳(料理)に関する情報の提供」の役務であり、いずれも、本件審判請求に係る指定役務である 「飲食物の提供」には該当しないものである。
(5)その他、本件商標が、商標権者等によって、「飲食物の提供」の指定役務について、商標法第2条第3項にいう使用をされた事実を示す証拠はない。なお、乙第2号証及び乙第3号証の商品カタログには、「エスティ 神仙」及び「神仙」の文字の記載があるが、これらはエステティックサロンに関するカタログであって、「飲食物の提供」とは別異の役務に係るものである。
4 登録商標の使用をしていないことの正当な理由について
被請求人は、本件商標の使用をしていないことの理由として、「平成7年にオウム真理教がサリン殺人事件を起こし、オウム真理教が『神仙』名を使用していたので、無関係の弊社に警察の聞き込みがあり、それで業務に支障が出るのを心配し、その後は、『神仙』ではなく『シンセン』を使用することが多くなった。それが、ホームページとパンフレットやチラシに漢字ではない『シンセン』を多く使用している理由である。」旨述べ、乙第13号証及び乙第14号証(枝番号を含む。)を提出し、加えて、他の事業者が「神仙」の文字を含む商標を使用している事実を示す証拠(乙16及び乙17)を提出し、その立証趣旨を「登録商標の使用をしていない理由」としている。
しかしながら、商標法第50条第2項で規定する登録商標をその指定商品について使用していないことについての正当な理由とは、例えば、地震等の不可抗力によって生じた事由、第三者の故意又は過失によって生じた事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由その他の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の責に帰することができない事由が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品又は指定役務について使用をすることができなかった場合をいうと解するのが相当である(平成22年12月15日知的財産高等裁判所判決 平成22年(行ケ)第10012号参照。)ところ、上記社会的事件に関係する名称と同一とはいえ、それを理由に本件商標を使用するしない、いつから使用を再開するなどは、商標権者の経営判断に係るものであり、かかる事情のみでは、本件商標の使用をしていないことについての正当な理由があるということはできない。
5 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定役務について、本件商標を使用していることを証明したものということはできず、また、請求に係る指定役務に本件商標を使用していないことについて正当な理由があるものということもできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定役務中「結論掲記の指定役務」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)





審理終結日 2017-12-04 
結審通知日 2017-12-08 
審決日 2017-12-22 
出願番号 商願平4-299680 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (042)
最終処分 成立  
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 原田 信彦
尾茂 康雄
登録日 1996-07-31 
登録番号 商標登録第3177002号(T3177002) 
商標の称呼 シンセン 
代理人 大谷 寛 
代理人 中畑 稔 
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