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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W43
審判 全部申立て  登録を維持 W43
審判 全部申立て  登録を維持 W43
審判 全部申立て  登録を維持 W43
管理番号 1336369 
異議申立番号 異議2017-900250 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-08-09 
確定日 2018-01-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5947895号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5947895号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5947895号商標(以下「本件商標」という。)は、「揚げ天まる」の文字を標準文字で表してなり、平成28年8月31日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同29年4月12日に登録査定、同年5月19日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4915663号商標(以下「引用商標」という。)は、「天まる」の文字を標準文字で表してなり、平成17年4月12日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同年12月16日に設定登録され、その後、同27年7月14日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標「揚げ天まる」は、商標権者がその指定役務である「飲食物の提供」を行う店舗のうち、「天ぷらを主とする飲食物の提供」を行う店舗にて使用している標章(甲3の1?6)が、「揚げ」と「天まる」部分が独立して見る者の注意を引くように構成されていることからも明らかなように、提供する商品(天ぷら)の品質を表した「揚げ」と固有名詞である「天まる」からなる結合商標である。
証拠をあげるまでもなく、天ぷらとは、魚介類や野菜などに小麦粉を水でといた衣を着けて油で揚げた料理のことである。本件商標中の「揚げ」は、提供する商品(天ぷら)の品質(揚げ)を表示する形容詞であり、商品の品質、原材料等を表示する文字、もしくは役務の場所、質等を表示する識別力を有しない文字を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似するため、本件商標の要部は、「天まる」となり、引用商標と外観・称呼・指定役務を同一とするものであり、しかも、本件商標は引用商標よりも後願であるため、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
商標の類否は、対比される両商標が同一の又は類似の商品(もしくは役務)に使用された場合に、商品(もしくは役務)の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品(もしくは役務)に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかも、その商品(もしくは役務)の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当であるとする(最高裁昭和39年(行ツ)第110号)。
本件商標「揚げ天まる」の要部は上記1のとおり、「天まる」であり、本件商標と引用商標は、その要部について外観および称呼が同一である。
取引の実情に関しては、引用商標の「天まる」は、東京駅のランドマークであり、国内外から多くの利用者が訪れる丸ビルこと丸の内ビルディングにおいて、前商標権者が平成17年4月1日に開業した「天ぷらを主とする飲食物の提供」を行う店舗の屋号として用いられ、平成21年にその営業権が申立人に譲渡された後も同場所において引き続き「天まる」の屋号で営業を行っている。なお、申立人が営業譲渡を受けた平成21年4月以降の延べ利用者数は、申立日までに25万人となっており、一定程度知られる存在となっている。申立人の店舗の利用者がその記憶をもとに、本件商標自体を知らずとも、引用商標を想起する可能性があること、また、今回、申立人が本件商標の存在を知ることになったのは、本件商標を用いた店舗の利用者が同店舗に対するクレームを通報する際、店名を引用商標「天まる」と誤認し、「天まる」をインターネットで検索し、申立人に電話をかけてきたことからもわかるように利用者がすでに誤認混同をしている事実、また、本件商標を用いた店舗が平成29年7月20日に東京都にも進出してきた事実(甲3の2)より、利用者に与えている印象・連想等を総合して全体的に考察すると、同一の指定役務である「飲食物の提供」に使用した場合に、役務の出所につき誤認混同されるおそれがあるといわざるを得ない。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、「揚げ天まる」の文字からなるところ、その構成文字は、同書、同大、同間隔で、外観上まとまりよく一体的に表されており、これより生じる「アゲテンマル」の称呼も、6音とさほど長いものではなく、よどみなく一連に称呼できるものである。
そして、本件商標においては、明確に分断される部分がなく、構成中のいずれかの文字が、明らかに指定役務の質を表示するものとして認識されるという事情や、その他、いずれかの文字部分を捨象し、他の文字部分のみをもって取引に資されるとみるべき特段の事情は見いだし得ないものである。
そして、「揚げ天まる」の文字は、辞書等に載録の無い語であることからすると、本件商標は、その構成全体をもって一体不可分の造語として理解されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標からは、その構成文字全体に相応して、「アゲテンマル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「天まる」の文字からなるところ、該文字は辞書等に載録の無い語であって、特定の意味合いを有しない一種の造語として理解されるものである。
したがって、引用商標は、その構成文字に相応して「テンマル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、両商標は、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、外観においては、「揚げ」の文字の差異を有するから、両商標は、外観上、明確に区別できるものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「アゲテンマル」の称呼と、引用商標から生じる「テンマル」の称呼とを比較すると、両者は、「テンマル」の音を共通にするとしても、語頭音における「アゲ」の音の有無に明らかな差異を有し、この差異音が全体に与える影響は少なくないものであり、それぞれを一連に称呼した場合には、語調語感を異にし、明りょうに聴別し得るものである。
さらに、観念については、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において非類似の商標といわざるを得ない。
なお、申立人は、「本件商標『揚げ天まる』は、被申立人が・・・『天ぷらを主とする飲食物の提供』を行う店舗にて使用している標章(甲3の1?6)が、『揚げ』と『天まる』部分が独立して見る者の注意を引くように構成されていることからも明らかなように、提供する商品(天ぷら)の品質を表した『揚げ』と固有名詞である『天まる』からなる結合商標である。・・・本件商標中の『揚げ』は、提供する商品(天ぷら)の品質(揚げ)を表示する形容詞であり、商品の品質、原材料等を表示する文字、もしくは役務の場所、質等を表示する識別力を有しない文字を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似するため、本件商標の要部は、『天まる』となる」旨を主張している。
しかしながら、本件商標は、「揚げ天まる」の文字からなるものであり、該文字は、同書、同大、同間隔で、全体としてまとまりよく一体的な構成を有しており、明確に分断される部分がないものであり、これより生じる「アゲテンマル」の称呼も、よどみなく一連に称呼できるものであるから、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標を一体不可分の造語として理解するというのが相当である。
よって、申立人の上記主張は、採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知、著名性について
申立人が提出した証拠によれば、申立人が、引用商標をその指定役務について使用している事実や、その他、引用商標の周知、著名性を立証するための資料は、いずれも提出されていない。
そうすると、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
前記1のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものである。
(3)引用商標の独創性について
引用商標は、「天まる」の文字からなるところ、該文字は辞書等に載録の無い語であって、特定の意味合いを有しない一種の造語として理解されるものであるから、造語としての独創性を有するものである。
(4)役務間の関連性及び取引者、需要者の共通性について
本件商標及び引用商標の指定役務は、共に第43類「飲食物の提供」であるから、両者は関連するものであり、取引者、需要者を共通にするものである。
(5)出所の混同のおそれ
前記(1)ないし(4)によれば、引用商標は、独創性を有し、その指定役務は関連性があり、取引者、需要者を共通にするものではあるものの、引用商標は、需要者の間に広く認識されているものと認めることができないものであり、かつ、本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であることからすると、本件商標の指定役務の取引者、需要者の普通に払われる注意力を基準とし、これらを総合的に勘案すれば、商標権者が、これをその指定役務に使用しても、取引者、需要者が引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が申立人あるいは申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(6)申立人の主張について
申立人は、「今回申立人が本件商標の存在を知ることになったのは、本件商標を用いた店舗の利用者が同店舗に対するクレームを通報する際、店名を引用商標『天まる』と誤認し、『天まる』をインターネットで検索し、申立人に電話をかけてきたことからもわかるように利用者がすでに誤認混同をしている事実、また、本件商標を用いた店舗が平成29年7月20日に東京都にも進出してきた事実(甲3の2)より、利用者に与えている印象・連想等を総合して全体的に考察すると、同一の指定役務である『飲食物の提供』に使用した場合に、役務の出所につき誤認混同されるおそれがあるといわざるを得ない。」旨を主張している。
しかしながら、申立人に対し、本件商標を用いた店舗に関するクレームの通報があったことや、本件商標を用いた店舗が東京都に進出してきた事実をもって、直ちに取引者、需要者に誤認混同が生じているとはいえないものである。
したがって、申立人の主張は、採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-12-20 
出願番号 商願2016-95433(T2016-95433) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W43)
T 1 651・ 261- Y (W43)
T 1 651・ 271- Y (W43)
T 1 651・ 262- Y (W43)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
真鍋 恵美
登録日 2017-05-19 
登録番号 商標登録第5947895号(T5947895) 
権利者 株式会社ゼンショク
商標の称呼 アゲテンマル 
代理人 中谷 弥一郎 
代理人 鎌田 直也 
代理人 鎌田 文二 

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