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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W2028
審判 全部申立て  登録を維持 W2028
審判 全部申立て  登録を維持 W2028
審判 全部申立て  登録を維持 W2028
審判 全部申立て  登録を維持 W2028
審判 全部申立て  登録を維持 W2028
管理番号 1336358 
異議申立番号 異議2017-900077 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-03-10 
確定日 2017-12-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5902786号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5902786号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5902786号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成28年6月15日に登録出願,同年11月8日に登録査定,第20類「おもちゃ箱,犬小屋,飼料用棚,愛玩動物用小屋,愛玩動物用巣箱,愛玩動物用クッション」及び第28類「愛玩動物用おもちゃ」を指定商品として,同年12月2日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は,以下の4件の登録商標であり,いずれも現に有効に存続しているものである(以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。
(1)登録第1670674号商標(以下「引用商標1」という。)は,「レゴ」の片仮名と「LEGO」の欧文字を上下2段に横書きしてなり,昭和55年3月24日に登録出願,第20類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同59年3月22日に設定登録,その後,平成17年11月2日に指定商品を第20類「家具」のほか,第16類,第20類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第1711399号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,昭和56年6月30日に登録出願,第20類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同59年9月26日に設定登録,その後,平成18年9月27日に指定商品を第20類「家具」のほか,第16類,第20類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)国際登録第1006003号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲3のとおりの構成からなり,2009年(平成21年)6月17日に国際商標登録出願,第20類「Furniture, mirrors, furniture made from wood or substitutes for wood.」のほか,第3類,第14類,第18類,第20類,第21類,第24類,第27類及び第43類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成24年7月13日に設定登録されたものである。
(4)登録第1845143号商標(以下「引用商標4」という。)は,「レゴ」の片仮名と「REGO」の欧文字を上下2段に横書きしてなり,昭和58年11月7日に登録出願,第20類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同61年2月28日に設定登録,その後,平成19年10月17日に指定商品を第20類「家具」のほか,第16類,第20類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標について,商標法第4条第1項第8号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第8号について
ア 申立人について
申立人は,1930年代から玩具の製造を開始し,デンマーク国,ビルンドに主たる事業所を有する,ブロック玩具を中心とした世界第3位の売上げを誇るおもちゃの製造販売会社である(甲6)。
申立人の取り扱う商品や役務は,周知のとおり多岐にわたっているが,その中で,バラエティに富んだブロック玩具は,特に広く知られ,申立人の本国たるデンマークのみならず,世界各国に所在する申立人の製造拠点を介して販売されており,我が国では,申立人の日本法人であるレゴジャパン株式会社(以下「レゴジャパン社」という。)を通じて,その業務に係る製品や役務が提供されている(甲7,甲8及び甲22)。
イ 申立人の使用に係る商標について
申立人の業務に係る製品や役務は,レゴジャパン社を介して我が国の需要者に提供されており,同社にあっては,「子供の想像力と創造力を育て,ひとりひとりの個性を育む。」という事業方針の下,そのバラエティに富んだブロック玩具を中心とするおもちゃの各種製品カタログを,需要者・取引者に頒布する(甲7及び甲8)とともに,LEGOのキャラクターの出演するテレビシリーズの放送やビデオゲームの提供などを行い(甲9及び甲10),さらには,少年少女向けの漫画雑誌などにて,積極的に宣伝広告活動を行っている(甲11ないし甲14)。
すなわち,申立人にあっては,既に世界的な著名ブランドとしての確固たる地位を築いている(甲15)ものであるが,我が国でも,「LEGO(レゴ)」といえば申立人の業務に係るブロック玩具であると容易に理解できる程に広く認知され(甲16),レゴジャパン社が,ブロック玩具の市場にて圧倒的なシェアを誇るに至っている(甲17)。
そして,世界でも,特にブロック玩具の分野で圧倒的なブランド力を誇る申立人の売上げは,近年,さらに増加傾向にあり,2009年にはレゴグループ全体で約116億デンマーククローネ(約1972億円)であったが,2012年には約230億デンマーククローネ(約3910億円)に達し,2016年には379億デンマーククローネ(約6384億円)を超える売上げとなっている(甲18ないし甲20)。
また,カタログの頒布や漫画雑誌等への掲載を中心とした申立人の宣伝広告においては,申立人のハウスマークであって,別掲4のとおりの構成からなる商標(以下「LEGOロゴ」という。)及びその表音文字「レゴ」の片仮名からなる商標(両者を併せ,以下「使用商標」という。)が,それぞれブランド名称等とともに常に表示されており(甲7ないし甲14),このことからも,申立人の使用商標は,その業務に係る各々のブランド以上に需要者・取引者に認知されていることが容易にうかがい知れるものであるが,このことを裏付けるべく我が国での業績も堅調に推移し,その売上高は,2010年が70億円,2011年が69億円,2012年が75億円,2013年が81億円にも達している(甲17)。
上述のように,申立人は,自己の業務に係る製品や企業イメージの普及,定着及びその周知に努め,最大限の宣伝広告等の活動を行い,その結果,マスコミや需要者の注目を集めることに成功するとともに,製品の多様性・高品質性,その時代に適合した斬新かつ効果的な宣伝広告の手法とあいまって,申立人の業務に係る製品等は,市場でも高い評価を得ているものである。
そして,申立人の名声は,単なるおもちゃメーカーという枠を超えて,世界のおもちゃ産業を牽引する代表的な企業として位置付けられているといい得るものである。
したがって,申立人のハウスマークの顧客吸引力は,計り知れないものであって,我が国でも申立人の使用に係るLEGOロゴは,周知・著名商標として認定されている(甲21)ことからも,使用商標に化体した業務上の信用が,とてつもなく大きいという事実が容易に理解できるものである。
上述の諸点を総合的に勘案すると,少年少女向けの漫画雑誌等への広告掲載のみならず,TVスポンサーなどを介した広範な宣伝活動,テーマパークの開園を中心とする積極的なブランド展開により,LEGOロゴは,世界でも最大手のおもちゃメーカーの一つである申立人の業務に係る商標の中でも突出した名声を長期にわたって得ている著名なものであることは明白であって,申立人を指称するハウスマークとして十分認知されているのと同時に,申立人の主たる取扱製品であるブロック玩具を含む多種多様な商品との関係で,これが付された商品は,申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして,我が国の需要者の間に広く知られているものである。
ウ 小結
上述のように,「LEGO(レゴ)」の表示が,申立人の略称として用いられていることは,我が国のみならず世界中において十分に認知されており,申立人が自己の業務に係る商品及び役務の提供に際して自己の略称たる「LEGO(レゴ)」を付していることからも,その認知の程度も極めて高い水準にあり,既に著名に至っていることは疑いようのないものである。
してみれば,本件商標は,「CATTYLEGO」の欧文字より構成されてなり,前半部の「CATTY」が「猫のような,猫に似た」等を意味する平易な英単語であることからすると,これに接する需要者・取引者にあっては,本件商標が「CATTY」の英単語と申立人の著名な略称である「LEGO」の欧文字を結合させてなると容易に理解することとなり,この点に加え,申立人が本件商標の出願・登録について承諾を与えたといった事実も存在しないことに鑑みると,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,「CATTYLEGO」の欧文字と長方形の図形から構成されてなるところ,前半部の「CATTY」が「猫のような,猫に似た」等を意味する平易な英単語であって,当該語は,本件指定商品との関係で自他商品等識別力が強い語とはいえないことからすると,これに接する需要者・取引者にあっては,後半部の「LEGO」を要部として捉え,その結果,本件商標からは「LEGO」の欧文字に照応した「レゴ」の称呼も生じ得るものである。
このような状況において,本件商標について引用商標との関係における商標法第4条第1項第11号の該当性を特許庁の商標審査基準に沿って改めて検討すると,前記審査基準の「十,商標法第4条第1項第11号では,原則として,需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字等を結合した商標は,たとえ,それが構成上まとまりよく一体的に表されていたとしても,当該他人の登録商標と類似する」旨が明記されている。
そして,本件商標の登録出願日前に引用商標が需要者の間に広く認識されていた事実からすると,引用商標と「レゴ」の称呼を共通にする本件商標は,原則的に引用商標と類似すると判断されてしかるべきものである。
したがって,引用商標と「レゴ」の称呼を共通にする本件商標は,引用商標と称呼上類似する商標であって,引用商標と同一又は類似の商品を指定商品とするから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 使用商標の著名性について
使用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時までに,申立人の業務に係る多種多様な商品を表示するもののみならず,世界最大級のおもちゃ製造メーカーである申立人を指称するハウスマークとして,我が国の需要者・取引者の間に広く認識されていることは上述したとおりである。
このような状況に鑑みると,使用商標は,申立人の業務に係る商品に付される商標として,又は申立人の名声を得た著名な略称として,需要者・取引者に広く認識されており,申立人の長年にわたる努力の結果得られた業務上の信用を保護するのが商標法制度の趣旨といえる。
イ 本件商標と使用商標との混同について
本件商標と使用商標との商品の出所の混同の判断においては,商品の生産部門,販売部門の同一性,原材料,品質の同一性,用途の同一性,需要者の範囲の同一性及び完成品と部品の関連性を踏まえつつ,取引における実情も十分に考慮されるべきものであるが,申立人は,組立ブロックをはじめとして多種多様なおもちゃ等を取り扱っており,その取扱商品には,おもちゃを収納する箱や,商品が収められている箱自体がおもちゃ箱となる商品も当然に含まれ,おもちゃは需要者の使用方法が千差万別であって,その販売者が人間の子供向けに提供したものであっても,購入者はこれを愛玩動物に与えることは多々あり,これらの諸点に鑑みると,申立人の使用商標が最も多く使用される商品であるおもちゃと本件商標の指定商品である「おもちゃ箱,愛玩動物用小屋,愛玩動物用おもちゃ」とは,その需要者の範囲・生産又は販売部門・原材料・品質・用途や流通経路が重複するものである。
したがって,本件商標に係る指定商品と使用商標が使用される商品とは,密接な関連性を有する商品といい得るものであるが,さらに,今日においては事業の多角経営化に伴って,企業が本来の自己の主とする業種とは無関係であった多種多様な製品・役務を取扱い,需要者・取引者もこのような企業の多角経営を認識し,このような企業の多角経営化は企業の規模に比例する傾向にあって,申立人の企業活動は広範にわたると認識していることは容易に推察できるものであるが,申立人の使用に係る著名な「LEGO」の欧文字を含む本件商標が付された商品が提供された際には,需要者・取引者をして申立人に係る商品である,又は申立人と経済的・組織的に何らかの関連を有する者の提供に係る商品であると出所について誤認混同を招くことは明らかである。
ウ 小結
以上のとおり,本件商標は,申立人の使用商標と同一の称呼を生ずる「LEGO」の文字列を完全に包含しており,その商品の密接な関連性とあいまって商品の出所について混同を生じるおそれがあることは明らかであることから,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
使用商標が,日本国内又は外国において本件商標の登録出願日前から著名な商標であることは明白である。
そして,本件商標は,その前半部の「CATTY」の語が指定商品との関係で自他商品等識別力が弱く,後半部の「LEGO」の語が要部として独立して認識され得るものであることから,申立人の業務に係る使用商標と同一又は類似の関係にある。
また,申立人の業務に係る使用商標が著名に至っているところ,「おもちゃ箱」等の「おもちゃ」に関連する商品を取り扱う意思を有する本件商標権者が,申立人の存在を知らなかったとは到底考えられず,むしろ,本件商標権者は,申立人の業務に係る使用商標を十分に認知した上で,その著名性や名声にあやかろうとして本件商標の採択を行ったとするのが至極当然の考え方である。
そうとすると,本件商標は,著名な使用商標の存在を知りながら,その顧客吸引力にフリーライドする目的で,又は,不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって出願されたことは明らかであるから,商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)使用商標の著名性について
申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
ア 申立人は,1934年に,社名を「LEGO」として設立されたデンマークの玩具製造販売会社であり,同社は,1949年頃から,プラスチック製のブロック玩具を開発し,1953年に,これを「LEGO Bricks(レゴブロック)」と名付けた。申立人の業務に係るブロック玩具は,我が国においては,1962年に,国内の販売代理店を介して販売が開始されたほか,1970年以降,世界各国で販売された。その後,申立人は,1978年に,日本レゴ株式会社を設立し,直接輸入販売を開始し,1989年に日本レゴ株式会社からレゴジャパン社へと組織変更した(甲6)ものであり,1962年にブロック玩具を販売して以降,本件商標の登録出願時まで,50年以上にわたり我が国において販売を続けているものである。
なお,申立人の現在の名称は,「レゴ ジュリス エー/エス(LEGO JURIS A/S)」であるが,当該名称の略称として「LEGO」の欧文字及び「レゴ」の片仮名が使用されていたことを認めるに足りる証拠はない。
イ 申立人の業務に係るブロック玩具には,主として引用商標3と同一の構成からなるLEGOロゴ及びその表音文字「レゴ」の片仮名からなる商標が表示されており(甲7ないし甲11等),使用商標のうち,LEGOロゴは,日本国周知・著名商標に掲載されている(甲21)。
ウ 株式会社矢野経済研究所発行の「玩具産業白書2014年版」(甲17)によれば,(ア)レゴジャパン社の売上高は,2012年12月期で約75億円,2013年12月期で約81億円であること,(イ)レゴジャパン社は,全国の幼稚園や保育園に対して,ブロック玩具等の提供を行っており,全国の幼稚園や保育園の半数近くに同玩具が導入されているほか,「レゴ スクール」(申立人が教育用に開発した教材とカリキュラムを使用した教室)等のスクール事業も手掛けていること,(ウ)ブロック玩具は,レゴジャパン社が子供向け市場では圧倒的なシェアを築きつつあり,定番シリーズほか,女児向けという新しいコンセプトの「フレンズ」シリーズも大きな売上となっていること,の各記載がある。
エ 「SHOP LIST」には,申立人の業務に係るブロック玩具を取り扱う「レゴストア」は,関東,大阪に5店舗あり,同じく「レゴクリックブリック」は,日本全国に37店舗ある(甲22)。
オ 以上によれば,LEGOロゴ及び「レゴ」の片仮名が表示された申立人の業務に係るブロック玩具は,日本でも50年以上販売され続け,その売上高は約81億円(2013年12月期,甲17)であること,申立人のブロック玩具を表示する「LEGO」は,子供向け市場では圧倒的なシェアがあること,全国の幼稚園や保育園の半数近くに申立人のブロック玩具が導入されていること等からすれば,使用商標は,申立人の業務に係る商品「ブロック玩具」を表示するものとして,本件商標の登録出願時(平成28年6月15日)には既に,我が国の玩具を取り扱う分野の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることができ,その周知著名性は,本件商標の登録査定時(平成28年11月8日)においても継続していたものといえる。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,別掲1のとおり,横線の長方形内に正方形や長方形を組み合わせて「CATTYLEGO」の欧文字を描き,「C」の文字の上にハサミの図形を配し,「CATTYLEGO」の文字を破線で縁取りした構成からなるところ,その構成文字は,同じ書体,同じ大きさでデザイン化され,外観上まとまりよく一体的に表されており,その構成文字からは「キャティーレゴ」の称呼を生じる。
そして,該文字は,辞書等に掲載がない一種の造語と認められるから,特定の観念を生じないものである。
なお,申立人は,前半部の「CATTY」が「猫のような,猫に似た」等を意味する平易な英単語であって,当該語は,本件指定商品との関係で自他商品等識別力が強い語とはいえない旨主張するが,本件商標の構成中「CATTY」の語が上記の意味を有する英単語であるとしても,その指定商品との関係において,自他商品の識別力が弱いとすべき具体的な証拠もなく,本件商標は,上記のとおり,まとまりよく表されているものであって,一連一体のものとみるのが自然であるから,申立人の主張は採用することができない。
イ 引用商標
引用商標1は,「レゴ」の片仮名と「LEGO」の欧文字を上下2段に横書きにしてなり,引用商標2は,別掲2のとおり,灰色地の正方形内に,白抜きで丸みを帯びた「LEGO」の欧文字を横書きし,該欧文字全体が黒色で縁取りされた構成からなり,引用商標3は,別掲3のとおり,赤色地の正方形内に,白抜きで丸みを帯びた「LEGO」の欧文字を横書きし,該欧文字全体が黄色で縁取りされた構成からなり,引用商標4は,「レゴ」の片仮名と「REGO」の欧文字を上下2段に横書きにしてなるものである。
したがって,引用商標は,それぞれの構成文字に相応して「レゴ」の称呼を生じるものである。
また,上記(1)のとおり,申立人の業務に係るブロック玩具には,主として引用商標3と同一の構成からなるLEGOロゴ及び「レゴ」の片仮名が表示され,申立人の業務に係る商品「ブロック玩具」を表示するものとして,我が国の玩具を取り扱う分野の取引者・需要者の間に広く認識されていたものであるから,少なくとも引用商標1ないし3は,申立人の業務に係るブロック玩具としての「レゴ」の観念を生じるといえ,引用商標4は,辞書等に掲載が認められないから,特定の観念を生じるとはいえない。
ウ 本件商標と引用商標との類否
(ア)外観
本件商標は,上記アのとおりの構成からなるものであり,引用商標1ないし4は,上記イのとおりの構成からなるところ,両者は,その全体の外観においては,横長長方形,正方形の有無,「CATTY」の欧文字の有無において,明らかな差異を有するものであるから,外観上,明確に区別できるものである。
そして,本件商標と引用商標4の文字部分とを比較しても,「CATTY」と「レゴ」の有無に加え,「L」と「R」の差異を有するものであるから,本件商標と引用商標4は,全体の印象が異なり,十分に区別し得るものと認められ,外観において相紛れるおそれはない。
(イ)称呼
本件商標より生じる「キャティーレゴ」の称呼と引用商標より生じる「レゴ」の称呼とは,語頭における「キャティー」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから,それぞれを称呼するときは,明瞭に聴別し得るものである。
(ウ)観念
本件商標は,特定の観念が生じないものであるのに対し,引用商標1ないし3は,ブロック玩具としての「レゴ」の観念を生じるものであるから,本件商標と,引用商標1ないし3とは,観念において類似するとはいえない。また,本件商標と引用商標4とは,いずれも特定の観念を生じないものであるから,本件商標と観念において相紛れるおそれはない。
(エ)以上のとおり,本件商標と引用商標とは,その外観,称呼及び観念のいずれの点についても,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)のとおり,使用商標は,申立人の業務に係る商品「ブロック玩具」を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の玩具を取り扱う分野の取引者・需要者の間に広く認識されていたことを認めることができる。
そして,本件商標は,上記(2)アのとおりの構成からなるものであり,使用商標は,引用商標3と同一の構成からなるLEGOロゴ及び「レゴ」の片仮名からなるところ,上記(2)と同様の理由により,両商標は,その外観,称呼及び観念のいずれの点についても,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
次に,本件商標の指定商品である第20類「おもちゃ箱,犬小屋,飼料用棚,愛玩動物用小屋,愛玩動物用巣箱,愛玩動物用クッション」及び第28類「愛玩動物用おもちゃ」と,申立人の業務に係る商品「ブロック玩具」との関連性についてみると,本件商標の指定商品中,とりわけ「ブロック玩具」と関連がありそうな商品は,第20類「おもちゃ箱」及び第28類「愛玩動物用おもちゃ」程度であり,その他の指定商品とは,その需要者の範囲・生産又は販売部門・品質・用途及び流通経路がいずれも明らかに相違しており,関連性を有しないものである。
そこで,更に進んで,第20類「おもちゃ箱」及び第28類「愛玩動物用おもちゃ」と「ブロック玩具」との関連性についてみると,第20類に属する「おもちゃ箱」は,種々のおもちゃを整理・収納するための家具として一般に取引される商品であるのに対し,「ブロック玩具」は,通常,子供が遊ぶ際に使用される玩具であるから,両商品は,その需要者層が重なり合うことがあることは否定できないものの,それらの商品の生産又は販売部門・品質・用途及び流通経路はいずれも相違するものと認められ,商品自体の関連性の程度は低いものといえる。
また,第28類「愛玩動物用おもちゃ」と「ブロック玩具」とについても,いずれも遊ぶ際に使用される玩具ではあるものの,利用対象は愛玩動物と子供(人)とで基本的に異なるから,通常,両商品の需要者の範囲・生産又は販売部門・品質・用途(愛玩動物用と子供(人)用)や流通経路はいずれも相違するものと認められ,これらの商品の関連性の程度は低いものといえる。
上記のとおり,本件商標と使用商標とは,その外観,称呼及び観念のいずれの点からみても,互いに紛れるおそれのない非類似の商標であり,本件商標の指定商品である第20類「おもちゃ箱,犬小屋,飼料用棚,愛玩動物用小屋,愛玩動物用巣箱,愛玩動物用クッション」及び第28類「愛玩動物用おもちゃ」と,申立人の業務に係る商品「ブロック玩具」との関連性はないか,その程度が低いものといえるから,本件商標権者が,本件商標をその指定商品について使用をしても,これに接する取引者・需要者が,使用商標又は申立人を連想,想起することはないというべきであり,本件商標は,その取引者・需要者をして,当該商品が申立人又は同人と業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれはなかったものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標と使用商標とは,相紛れるおそれのない非類似の商標であることは前述のとおりである。
また,申立人が提出した証拠からは,本件商標権者が使用商標の顧客吸引力にフリーライドするなどの不正の目的をもって本件商標を使用すると認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第8号該当性について
申立人の現在の名称は,「レゴ ジュリス エー/エス(LEGO JURIS A/S)」であるところ,提出された証拠からは,上記(1)アのとおり,「LEGO」の欧文字及び「レゴ」の片仮名が申立人の略称として使用されている事実は見いだせないから,「LEGO」の欧文字及び「レゴ」の片仮名は,本件商標の登録出願時及び登録査定時に我が国において,申立人の略称を表示するものとして著名になっていたものと認めることはできない。
したがって,本件商標は,その構成中に「LEGO」の欧文字を含むとしても,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(6)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号,同項第19号及び同項第8号に違反してされたものではないから,商標法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標


別掲2 引用商標2


別掲3 引用商標3(色彩は,原本参照。)


別掲4 使用商標(LEGOロゴ,色彩は商標登録異議申立理由補充書参照。)


異議決定日 2017-12-14 
出願番号 商願2016-65045(T2016-65045) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W2028)
T 1 651・ 23- Y (W2028)
T 1 651・ 271- Y (W2028)
T 1 651・ 262- Y (W2028)
T 1 651・ 222- Y (W2028)
T 1 651・ 263- Y (W2028)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 啓之 
特許庁審判長 田中 亨子
特許庁審判官 田村 正明
平澤 芳行
登録日 2016-12-02 
登録番号 商標登録第5902786号(T5902786) 
権利者 派斯威特國際有限公司
商標の称呼 キャティーレゴ、キャティー、キャッティー、レゴ 
代理人 岡部 讓 
代理人 田中 尚文 
代理人 北村 周彦 

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