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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W29
審判 全部申立て  登録を維持 W29
審判 全部申立て  登録を維持 W29
審判 全部申立て  登録を維持 W29
管理番号 1336357 
異議申立番号 異議2017-900014 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-01-20 
確定日 2017-12-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第5890335号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5890335号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5890335号商標(以下「本件商標」という。)は、「レッツバービー!」の文字を標準文字で表してなり、平成28年3月24日に登録出願、第29類「オーストラリア産の牛肉,オーストラリア産牛肉から製造される加工牛肉製品,オーストラリア産牛肉から製造される牛脂・骨油,食肉,牛肉を原材料とした肉製品,肉製品,食用油脂,牛脂又は牛肉を用いたカレー・シチュー又はスープのもと,カレー・シチュー又はスープのもと,牛脂又は牛肉を用いたお茶漬けのり,お茶漬けのり,牛脂又は牛肉を用いたふりかけ,ふりかけ,牛脂又は牛肉を用いたなめ物,なめ物,牛肉を使用した食用たんぱく,食用たんぱく」を指定商品として、同年9月12日に登録査定、同年10月21日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号又は同法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第53号証を提出した。
1 申立人が引用する商標
申立人が引用する登録商標は、次の3件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5383631号商標(以下「引用商標1」という。)は、「BARBIE」の文字を標準文字で表してなり、平成22年4月21日に登録出願、第9類、第14類、第18類、第24類、第25類、第28類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同23年1月14日に設定登録されたものである。
(2)登録第2119411号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、昭和61年11月11日に登録出願、第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年3月27日に設定登録され、その後、同21年3月11日に指定商品を第29類、第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第2131637号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、昭和61年11月11日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品して、平成元年4月28日に設定登録され、その後、同21年7月29日に指定商品を第29類、第30類及び第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
以下、上記3件の登録商標をまとめていうときは「引用商標」という。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の著名性について
ア 「BARBIE(バービー)」の著名性
本件商標の構成中「バービー」は、世界有数の玩具メーカーである申立人の代表的なブランドである(甲5、甲6)。そのブランド価値は、英ブランド調査会社によると、玩具部門では第3位にあり、金額にして、約530億円に相当する価値があるとされている(甲7)。
我が国においても、「BARBIE」に極めて高い信用が形成されていることは、辞書(甲8?甲10)、用語辞典(甲11)及び新聞記事(甲12、甲13)等の記載をみれば、明らかである。
イ 玩具ブランドから時代のアイコンへ進化
「バービー(BARBIE)」は、1959年にニューヨークのトイ・フェアで発表されて以来、半世紀近く世界一有名なファッションドールとして、150以上の国及び地域で、累計10億体以上売り上げてきた。また、時代の変化とともに精巧に制作されたバービー人形の服は、10億着にも及ぶ。
2000年に入ると、少子化による子ども人口の減少で、玩具業界は大人市場、とりわけ女性市場の開発が進められた。そのため、これまでのバービー人形の服には、著名なデザイナーと共同で制作されたものも数多く含まれている(甲13)。
「バービー」は、単なる着せ替え人形ではなく、時代のアイコンとして捉えられ、歴史や社会、文化との関わりを総括的に見せる展覧会も、数多く開催されている(甲12?甲16)。
ウ ライセンス事業を通してキャラクターアイコンとしての定着
2002年頃から、大人の女性向けのプロジェクトが本格化し、子供時代のあこがれの対象だったバービー人形が、ライセンス事業の拡大により、リアルな世界で活躍しはじめる(甲17、甲18)。そして、S社により、10?20代女性をターゲットにしたアパレルブランド「バービー(BARBIE)」が展開されるや、「バービー」という存在は、女児用玩具としてだけでなく、大人にも通用するキャラクターアイコンとして定着した。
S社の第55期(平成15年(2003年)9月1日?同16年(2004年)8月31日)の有価証券報告書によれば、本件商標の登録出願時以前より、バービーブランドが好調に展開されていた事実が示されている(甲19)。
その後、2008年には、「海外のリゾート」をコンセプトにゴルフブランド、そして2009年には、クラシックな世界観をモチーフにウェディングドレスのブランドも登場した。ほかにも、化粧品ブランド、ジュエリーブランド、コスメコンタクトブランドとのタイアップなどにより、全国に構えるショップで、衣服・雑貨・化粧品などの様々なコラボ商品を展開してきた(甲20?甲22)。
そして、近年では、飴の専門店、洋菓子の老舗、プリントシール、クレジットカードとのタイアップなど、衣服・雑貨・化粧品に限らず、様々なコラボレーションも企画され(甲23?甲26)、2014年には、乳がん検診の早期受診を推進するピンクリボンキャラクターに起用されるなど(甲27)、遅くとも本件商標の出願日以前から、「バービー=お人形」というイメージが薄れ、「バービー=キャラクターアイコン」として、高い信用が形成されていたことは疑う余地のない事実である。
(2)商品の関連性
本件商標の指定商品は、食肉、肉製品、カレー、シチュー又はスープのもと、お茶漬けのり、ふりかけ等の食品である。
近年、異業種の企業が共同で一つの商品を企画開発する「企業コラボ」が多く見受けられる。これは、パートナー企業のブランド力やアイデアを商品に取り込むことで、自社のブランドイメージの向上や新たな顧客層の開拓につながる効果が期待されるためであり、話題性が高く、消費者の興味をひく、テレビや映画、漫画やゲーム等のキャラクターの起用も多い。2009年7月18日のWebマガジンでは、「企業コラボなぜ増えているのか」と題した記事が採り上げられている(甲29)。また、「クールジャパン官民連携プラットフォーム」(事務局:内閣府知的財産戦略推進事務局)が、魅力あるコンテンツとそれ以外の分野とが連携し、一体となった商品展開を後押ししていることもあって(甲30)、テレビや映画、漫画やゲーム等のキャラクターと製造業とのコラボレーションに関心が集まっている(甲31)。
こうした「企業コラボ」は、食品分野においても展開されている(甲32?甲41)。
申立人の「バービー」ブランドは、近年、お人形というイメージが薄れ、キャラクターアイコンとして認知されており、様々な異業種企業とのコラボ商品を展開してきた(甲20?甲27)。また、その中には、食品、外食企業も含まれている(甲42)。
このように申立人の業務に係る商品は、申立人のキャラクター「バービー(BARBIE)」に係る商品だけでも多種多様であり、また、両者に共通する商品も予期し得ることから、両者の商品の関連性の程度は強く、取引者及び需要者を共通にする場合が少なくないものといえる。
(3)本件商標と引用商標の類似性
本件商標は、片仮名「レッツバービー」とエクスクラメーションマーク「!」により構成されており、その構成文字に相応し、「レッツバービー」の称呼を生じる。一方、「レッツ」からは、「Let us」の省略形「Let’s」を容易に想起させ、また、「Let’s」は、後ろに動詞を伴って「○○しよう」の意味合いを有する比較的親しまれた語であることから(甲9)、「レッツ」と「バービー」の語は、観念上において一連の熟語として、理解、認識されるものとみることはできない。
そして、本件商標の構成中「バービー」の文字は、オーストラリア英語の俗語として意味が広く知られているものとは認め難いことを併せみれば、当該文字部分からは、「Barbie doll(バービー人形)」(甲9)若しくは申立人のキャラクターアイコン「バービー(BARBIE)」と認識させると考えるのが自然であり、また、既成の語ではないことから独創性が低いものとはいえない。
そのため、本件商標に接する需要者は、「バービー」の文字部分に着目し、申立人のキャラクターアイコンとして広く知られている「バービー(BARBIE)」の観念を想起し、また、これより「バービー」との称呼が生じると考えるべきである。
これに対し、引用商標は、欧文字「BARBIE(Barbie)」又は片仮名「バービー」に対応して「バービー」との称呼が生じ、また、これより申立人自らのキャラクターアイコン「バービー(BARBIE)」との観念が生じるのは明らかある。
そこで、本件商標と引用商標の要部を比較すると、両者は、同一の称呼及び観念を生じる類似性の高い商標といえる。
(4)混同を生ずるおそれ
商標審査基準(商標法第4条第1項第15号)の取扱いによれば、本件商標は、申立人の著名商標「バービー」と他の文字等を結合した商標であるから、本件商標は、申立人の業務と出所の混同を生じさせるおそれがあると推認されるものである。
加えて、近年、引用商標に係る申立人のライセンス事業は拡大され、雑貨から食品に至るまで多種多様な業界がライセンス先となっている。また、テレビや映画、漫画やゲーム等のキャラクターと製造業とのコラボに注目がよせられている昨今においては(甲29?甲31)、キャラクターアイコンとして周知著名なバービーも例外ではない(甲17?甲27)。
引用商標の周知著名性の高さ及び商品の関連性の強さを考慮し、本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、これをその指定商品について使用した場合、これに接する需要者をして、申立人のキャラクターアイコン「バービー(BARBIE)」を連想・想起させ、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
(5)過去の審決
申立人の主張は、無効2015-890058の審決(甲43)に沿うものである。
(6)小括
上述のとおり、本件商標を、本件商標権者がその指定商品に使用するときは、商品の出所について誤認混同するおそれがあるものといわざるを得ない。
また、申立人は、莫大な費用と労力を投じて、日本・米国・カナダ等の諸外国において1,500件以上もの商標登録出願・登録をすることにより、商標「バービー(BARBIE)」に化体した信用の保護を図り(甲44、甲45)、そのブランド価値を守ってきた。
本件商標は、申立人の周知著名商標「バービー(BARBIE)」へのただ乗り及び当該表示の希釈化を図るものであり、かつ、申立人の企業経営の多角化、同一の表示による商品化事業を通して結束する企業グループの形成、ブランドの成立等、申立人の正当な利益を害するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第19号について
(1)引用商標の著名性
仮に、本件商標が商標法第4条第1項15号に該当するとは認められないとしても、上述のとおり、「バービー(BARBIE)」は、ファッションドールを表示するものとして、世界的に極めて高い信用を形成されていることは明らかである(甲5?甲27)。
(2)本件商標権者の不正の目的
商標法第4条第1項第19号は、もともと高額な費用を投じ宣伝活動等により獲得した著名商標へのただ乗りや、価値を希釈化するのを防止することを目的とする規定であり、同項第15号が出所の誤認混同のおそれを要件として規定しているのとは異なり、当該商標が周知となっている商品と本件商標の指定商品との関係は、不正の目的の有無を判断するための一要素となるにすぎないと思料する(甲46)。
(3)「バービー」の独創性
「バービー」は、オーストラリア英語の本来の俗語の意味が広く知られているものとは認め難いことを併せみれば、一種の造語として理解されるものであり、日常的に使用されているような成語に比べて、その独創性は高いものである。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、申立人の周知・著名商標の出所表示機能を希釈化し、また、その名声を毀損させることを目的とした不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
4 商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号について
カタカナ語辞典(甲9)やブログ等(甲47、甲48)の記載を参照すれば、本件商標の構成中「バービー」の文字部分が、オーストラリア英語の俗語「バーベキュー」の意味を有する語であると、広く知られているものとは認め難い。
しかしながら、仮に、「バービー」の文字部分から、「バーベキュー」の意味を想起した場合には、全体として「バーベキューをしよう」程の意味合いを認識させるものである。
バーベキューシーズンに向けて、バーベキューに適した肉や肉製品のキャンペーンが行われている事実があることから(甲49?甲51)、本件商標をその指定商品中「牛肉,加工牛肉製品」に使用しても、これに接する者は、バーベキューをすることを促す商品の宣伝、広告語句の類型の一つとして認識、理解するにすぎず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。

第4 当審の判断
申立人は、上記第2、1のとおりの引用商標を提示して、その著名性について述べているところ、申立人が提出した証拠からは、引用商標1の商品「人形」についての使用は見いだせず、また、引用商標2及び3は、それらの指定商品を食品とするものであり、かつ、それらの食品についての商標の使用は見いだせないから、引用商標は、著名性を獲得した登録商標とはいえない。
また、申立人は、著名であると主張する商標について、「BARBIE(バービー)」、「BARBIE」、「バービー(BARBIE)」、「バービー」などと記述しており、商標を特定していない。
そこで、本件商標登録異議申立書中の、「理由の要点」において、「本件商標は、・・・キャラクターアイコンとして周知著名な申立人の商標『バービー』の文字をその構成中に有してなるものである。」、「本件商標は、申立人の周知著名商標『バービー』の出所表示機能を希釈化し、・・・」の記述があることと、本件商標が片仮名からなるものであることを考慮し、本件異議申立において申立人が主張する著名商標は、同人が商品「人形」に使用する「バービー」の片仮名を横書きしてなる標章(以下「使用標章」という。)として、以下検討し、判断する。
1 使用標章の周知性について
(1)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 2016年4月4日付け「LIFE」のウェブサイトにおいて、「バービー人形を“再発明”したマテルは、どのように自社を変革したのか」の見出しの下、「『barbie』は米Yahoo!の検索トレンドにランクイン。英ブランド調査会社のブランド・ファイナンスによると、玩具部門でバービーのブランド価値は3位に。これは金額にして4億7,600万ドル(約530億円)に相当する価値があるという。」との記載がある(甲7)。
イ 2010年2月10日発行の「コンサイスカタカナ語辞典(第4版)」には、「バービー人形」の項において、「金髪で青い目をしたプラスチック製の人形。米国Mattel社製。1959年発売。」との記載がある(甲9)。
ウ 「現代用語の基礎知識2010」には、「バービー」の項において、「金髪碧眼のプラスチック製人形。」との記載がある(甲11)。
エ 2010年12月8日付けの「銀座経済新聞」のウェブサイトにおいて、「松屋銀座で『バービー展』-300体一堂に、日本初『ルブタンバービー』も」の見出しの下、「ファッションドール『バービー』300体以上を一堂に紹介する企画展『Barbie&Ken 50th Anniversary バービー展』が12月8日、松屋銀座(中央区銀座3・・・)8階大催事場で始まった。バービーは米・玩具メーカー『マテル』が販売する『身長』30センチの着せ替え人形。NYのトイ・フェアでデビューした1959年当時・・・時代ごとに精巧に作られた最先端のファッションを着こなし、現在まで世界で10億体を販売した。」との記載がある(甲12)。
オ 2015年11月11日付け「朝日新聞デジタル」のウェブサイトにおいて、「時代のアイコン、バービー人形の展覧会がミラノで」の見出しの下、「1959年3月9日、米国ウィスコシン州生まれ、ティーンエージャーのファッションモデルとしてデビュー。・・・この身長29.5センチの人形は現在までに140カ国で販売され、彼女のために9億8千メートルの布地が使われ、10億着の服が作られた。着せ替え人形として世界一有名なバービーだが、誕生以来56年の歴史の中で、服の流行だけではなく各時代の動きを反映してきた。」との記載がある(甲13)。
カ 博物館・美術館情報サイト「ミュージアムカフェ」のウェブサイトにおいて、「バービー展」の見出しの下、「長島美術館では、2011年度冬の特別企画展として、『バービー展』を開催致します。1959年にニューヨークのトイ・フェアでデビューして以来、その時代の最先端ファッションを身にまとい、世界中の人々の心を魅了してきた『バービー』。・・・誕生から50年以上経った現在でも世界中で愛されている、バービーの世界を男性、女性問わず、ご家庭やご友人とお楽しみください。」との記載がある(甲14)。
キ 「FASHION PRESS」のウェブサイトにおいて、「バービー55周年『モード オブ バービー展』神戸で開催、ルブタン、G.V.G.V.などとコラボ」の見出しの下、「1959年、ニューヨークのトイ・フェアでデビューし、半世紀以上経った今でもなお愛され続ける、ファッションドールのバービー。そごう神戸店では2014年9月30日(火)から10月6日(月)の期間、バービーの生誕55周年を記念して、関西初上陸となる『モード オブ バービー展』が開催される。」との記載がある(甲15)。
ク 2003年12月8日付け「繊研新聞」において、「米マテル『バービー』ライセンス事業拡大 アパレル軸に大人向け強化」の見出しの下、「世界最大の玩具メーカーである米マテル社(本社カリフォルニア州)は、ドールブランド『バービー』のライセンス事業を一段と強化する。従来のガールズ向けに加え、今年から日本でスタートした大人向け事業をアパレル製品を軸に拡大、ライセンス製品を集めたショップの出店や販促活動も積極的に進める。」との記載がある(甲17)。
ケ 2009年3月11日付け「日経トレンディネット」のウェブサイトにおいて、「生誕50周年のバービー人形!玩具からブランドに進化中」の見出しの下、「日本でも『バービー』という存在は女児用玩具の域を超えて、キャラクター自体が大人にも通用するブランドとして成立しつつある。」との記載がある(甲20)。
コ 2017年2月7日付け「SHO-BI」のウェブサイトにおいて、「報道資料/コスメコンタクト『ピエナ-ジュ』が世代を越えて世界中で愛され続ける『バービー』とコラボ!『バービーbyピエナ-ジュ』で女性が憧れるカワイイ世界観を瞳から演出」の見出しの下、「コスメコンタクト『ピエナージュ』から、この度、世代を超えて世界中で愛され続けるバービーとのコラボレーションで新シリーズ『バービーbyピエナージュ』が発売されます。」との記載がある(甲21)。
サ 2015年2月1日付け「マイナビニュース」のウェブサイト(職権調査)において、「“あめやえいたろう×バービー”の、大人かわいいコラボ飴を期間限定発売」の見出しの下、「榮太郎総本舗はこのほど、飴の専門ブランド『あめやえいたろう』より、『バービー(Barbie)』とのコラボレーション商品を発売した。」との記載がある(甲23)。
シ 2010年12月25日付け「ウォーカープラス」のウェブサイトにおいて、「“友チョコ”にもぴったり!バービーと資生堂パーラーがコラボチョコを発売」の見出しの下、「“友チョコ”や“部下チョコ”など、形式が多様化し、もはやチョコの“祭典化”しつつあるバレンタイン。そんな中、女の子の永遠のアイドル“バービー”と銀座の老舗が強力コラボしたスイーツが登場。・・・12月6日に発売されたのは、資生堂パーラーとバービーがコラボした、『Barbieショコラ』。『バービーが資生堂パーラーのパティシエに』をコンセプトに、チョコ、キャンディ、サブレなど幅広いバラエティのスイーツ9種が揃っている。」との記載がある(甲24)。
ス 2016年4月4日付け「PR TIMES」のウェブサイト(職権調査)において、「永遠のファッションアイコン“Barbie”のとびきりかわいい世界へ!最新プリントシール機『Barbie Your Doll(バービー ユアドール)』7月上旬登場」の見出しの下、「世界的ファッションアイコンで女の子の永遠の憧れである“Barbie”がプリントシール機『Barbie Your Doll』として登場。」との記載がある(甲25)。
セ 「Life CARD」のウェブサイトにおいて、「Barbie カード」の見出しの下、「持っているだけでハッピーになれる!/Barbie(TM)/カード/お申込みはこちら/世界一有名なファッションドール『バービー』/1959年に華々しくデビューして以来、世界一有名なファッション・ドールとして半世紀近く輝き続けるバービー。」との記載がある(甲26)。
ソ 2014年10月10日付け「日本生命」のウェブサイトにおいて、「日本生命×shibuya hikarie Pink Ribbon Project みらいへヒカリを。」の見出しの下、「10月はピンクリボン月間です。・・・ピンクリボン運動のサポートを行っている日本生命と女性のお客様のご利用が多い渋谷ヒカリエの特別協力のもとピンクリボン応援プロジェクトが実施されています。そのプロジェクトキャラクターにピンク色が特徴のバービーが就任しました!」との記載がある(甲27)。
(2)上記(1)によれば、申立人は、1959年に米国において「Barbie」と称する人形(以下「バービー人形」という。)の販売を開始しており、他方、我が国における「バービー人形」の販売開始時期は不明であるが、我が国においても長きにわたり現在まで販売していることが認められ、当該人形は、我が国において「バービー」と称されて、世界でも有名な「着せ替え人形」として、今までに多くの新聞、雑誌及びウェブサイトにおいて紹介がされていることが認められる。
また、近年では、アパレル、コンタクトレンズ、菓子、プリントシール、保険など、他の業種とのコラボレーションも企画され、幅広い商品に使用標章を付していることが認められるものの、それらのコラボレーションによる商品等の具体的な売上高などは明らかではない。
そうすると、使用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時はもとより現在においても、申立人の業務に係る商品「人形」を表示する標章として、我が国における需要者の間に広く認識されているものといえるが、コラボレーションによる商品等については、申立人の業務に係る商品等を表示する標章として、我が国における需要者の間に広く認識されているものとはいえない。
なお、使用標章は、片仮名からなるものであり、外国における使用の事実は見いだせないから、使用標章は、外国における需要者の間に広く認識されているものとは認められない。
2 本件商標と使用標章との類否について
(1)本件商標
本件商標は、「レッツバービー!」の文字からなるところ、その構成各文字は同じ書体、同じ大きさ、同間隔をもって視覚上まとまりよく一連に書された構成からなるものであって、その構成中の「!」(「エクスクラメーションマーク」)は、その前に記された語句を強調するものであることから、本件商標は、その構成全体を一体のものとして看取されるといえる。
また、「レッツバービー」の文字は、一般の辞書に収録されていないものであるから、本件商標は、特定の意味を有しない造語と認識されるといえる。
そうすると、本件商標は、一体不可分のものであり、その構成全体から「レッツバービー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)使用標章
使用標章は、「バービー」の文字からなるから、その構成文字に相応し「バービー」の称呼を生じ、「(申立人のブランドとしての)バービー」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と使用標章との類否
本件商標と使用標章とを比較すると、外観においては、両者は、文字構成において明らかに相違するものであるから、相紛れるおそれのないものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「レッツバービー」の称呼と使用標章から生じる「バービー」の称呼とを比較すると、両者は、7音と4音という音構成からなるものであって、明らかに相違するものであるから、相紛れるおそれのないものである。
さらに、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し、使用標章は「(申立人のブランドとしての)バービー」の観念を生じるものであるから、相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と使用標章とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似のものであって、別異のものといわなければならない。
3 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品「人形」との関連性の程度について
本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品「人形」とは、商品の生産部門、販売部門、原材料、用途が全く異なるものであり、また、両商品の需要者は、一般消費者であるという点では共通するものの、それ以外に共通点を見いだすことはできないから、両商品の関連性の程度は極めて低いというのが相当である。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり、使用標章は、本件商標の登録出願の日前から登録査定日はもとより現在においても継続して、申立人の業務に係る商品「人形」を表示するものとして我が国における需要者の間に広く認識されているものである。
しかしながら、上記2のとおり、本件商標は、使用標章と外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であり、上記3のとおり、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品「人形」との関連性の程度は極めて低いことを考慮すれば、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、需要者が使用標章を連想又は想起することはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記1のとおり、使用標章は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国における需要者の間に広く認識されているものであるとしても、上記2のとおり、本件商標と使用標章とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標である。
また、申立人が提出した甲各号証を総合してみても、本件商標権者が、申立人の使用標章の信用にただ乗りし、使用標章の出所表示機能を希釈化し又は名声を毀損させるものというべき事実は見いだせないし、他に不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的を持って本件商標を出願し、登録を受けたと認めるに足りる具体的事実も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、「レッツバービー!」の文字からなるところ、「Barbie」の文字がオーストラリア英語の俗語として、「バーベキュー」の意味を有する語であるとしても、我が国において「バービー」の文字が、「バーベキュー」の意味を有する語として、一般に使用されているなどの事実も認められないから、本件商標は、全体として自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものであるとはいえない。
また、本件商標は、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
7 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号、同項第19号、同法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(登録第2119411号商標及び登録第2131637号商標)



異議決定日 2017-12-11 
出願番号 商願2016-32333(T2016-32333) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W29)
T 1 651・ 271- Y (W29)
T 1 651・ 272- Y (W29)
T 1 651・ 16- Y (W29)
最終処分 維持  
前審関与審査官 守屋 友宏押阪 彩音 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 松浦 裕紀子
大森 健司
登録日 2016-10-21 
登録番号 商標登録第5890335号(T5890335) 
権利者 ミート アンド ライブストック オーストラリア リミテッド
商標の称呼 レッツバービー 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 黒川 朋也 
代理人 工藤 莞司 
代理人 森川 邦子 
代理人 羽立 和広 

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