• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W09
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W09
審判 査定不服 観念類似 登録しない W09
管理番号 1336286 
審判番号 不服2017-5467 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-17 
確定日 2017-12-11 
事件の表示 商願2016-99306拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲のとおりの構成からなり,第9類「電気通信機械器具,ダウンロード可能な電子計算機用プログラム,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・同磁気ディスク・同磁気テープ・同光ディスク,電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),ヘッドフォン,携帯電話機用保護ケース,インターネット経由でダウンロード可能なコンピュータゲーム用プログラム,移動電話機及び携帯電話機用のコンピュータゲームソフトウェア,対話型コンピュータゲーム用プログラム」を指定商品とし,平成28年3月31日に登録出願された商願2016-36795に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として,同年9月12日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が,商標法第4条第1項第11号に該当するとして,拒絶の理由に引用した登録第5798331号商標(以下「引用商標」という。)は,「walkure(ワルキューレ)」の文字を標準文字で表してなり,平成27年4月22日に登録出願,第9類「遠隔監視システム用電子計算機プログラム,遠隔監視システム用電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその付属品・部品,電子計算機用プログラム,電気通信機械器具及びその付属品・部品」,第35類「コンピュータによる顧客情報の管理,ビジネスデータの分析,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,コンピューターデーターベースの情報構築及び情報編集,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集」及び第42類「アプリケーションサービスプロバイダによるコンピュータソフトウェアの提供,コンピュータシステムの遠隔監視,電子計算機用プログラムの提供,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,コンピュータシステムの分析,デザインの考案,インターネットサーバーの記憶領域の貸与」を指定商品及び指定役務として,同年10月9日に設定登録され,その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は,別掲のとおり,桃色で淡く彩色された,羽らしきものを有する女性の横向きのシルエット図形,及び複数の小さな星らしき図形を表し,シルエット図形の上に重なるように,ややデザイン化した「WALKuRE」(「u」の文字にはウムラウトの記号が付されている。以下同じ。)の欧文字を黒色で横書きした構成からなるところ,その構成中の文字部分は,図形部分の淡い色と相違して黒く明確に大きく表されており,図形部分から浮き出たように看取され,視覚的に強い印象を与えるものである。
ところで,本願商標の構成中の文字部分についてみるに,「新アポロン独和辞典」(株式会社同学社発行)において,「Walkure」(「u」の文字にはウムラウトの記号が付されている。以下同じ。)の見出し語で「《北欧神》ヴァルキューレ(ヴォータンに仕える戦いの乙女で戦死者の霊をヴァルハラに導く。ヴァーグナーに同名の楽劇がある。)」とあり,「研究社新英和大辞典」(株式会社研究社発行)においても「Walkure」の見出し語で「ワルキューレ」と記載されているものであって,また,「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店発行)において,「ワルキューレ【Walkureドイツ】」の見出し語で「(a)北欧およびドイツの神話の中の少女たち。戦死者を決定し,ワルハラ宮殿に運ぶ。(b)Rワグナーの楽劇『ニーベルングの指輪』第一日の題名」とある。そして,「Walkure」の文字は,ドイツ語の単語であって,その読みは「ヴァルキューレ」に近い発音がされるものであり,我が国においては「ワルキューレ」と表記することが通例となっているといえる。
他方,図形部分は,シルエット図形等からなるところ,羽らしきものを有する横向きのシルエット図形部分を詳細にみると,該部分が「女性」の特徴を有するシルエットであることは看取されるものの,細部は不明であり,これから特定の意味合いを理解させるものとはいえず,該部分又は星らしき図形部分を含めた図形全体が商品の出所識別標識としての観念として,特定の観念を生じるとまでは認めることができない。そして,該図形部分は,「Walkure」の文字によって隠された部分が生じており,文字部分の後面として表されているとみることができるから,淡い色によって表されていることも相まって,文字部分の背景として表されていると看取,把握されるものである。
そうすると,本願商標は,その構成中の「WALKuRE」の文字部分から,「北欧及びドイツの神話に登場する『ワルキューレ』,又はRワグナーの楽劇中のタイトルである『ワルキューレ』」の観念を生じ,「ヴァルキューレ」及び「ワルキューレ」の称呼を生じるものであって,強い識別力を発揮するものであり,その構成全体において,該文字部分が背景的に表された図形部分と,視覚的にも,意味合いにおいても,不可分的に結合しているものとは認められない。
してみれば,本願商標は,その構成中の文字部分から生じる観念及び称呼をもって商取引に資されることも十分にあり得ることであるから,その構成文字に相応して,「北欧及びドイツの神話に登場する『ワルキューレ』,又はRワグナーの楽劇中のタイトルである『ワルキューレ』」の観念及び「ヴァルキューレ」及び「ワルキューレ」の称呼を生じるといえる。
(2)引用商標について
引用商標は,前記2のとおり,「walkure(ワルキューレ)」の欧文字と片仮名を標準文字で表してなるところ,一般に,欧文字に括弧書きで片仮名が併記された構成の商標において,その片仮名が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識できるときは,片仮名から生ずる称呼が,その欧文字部分から生ずる自然の称呼とみるのが相当であり,引用商標においては,その構成文字中の欧文字の部分は,辞書等に記載がないものではあるが,「広辞苑第六版」(前出)において,「ワルキューレ【Walkure】」の記載が見出し語として採用されていることからすれば,該欧文字部分の「u」の文字は,ドイツ語のウムラウトが省略されたものと認められるものであって,括弧書き内の「ワルキューレ」の片仮名が「walkure」の欧文字の読みを特定したものと無理なく認識できるから,引用商標の「walkure」の欧文字の称呼は,基本的には「ワルキューレ」であると認めることができる。
してみれば,引用商標は,その構成文字に相応して「ワルキューレ」の称呼が生じるものであり,また,「北欧及びドイツの神話に登場する『ワルキューレ』,又はRワグナーの楽劇中のタイトルである『ワルキューレ』」の観念が生じるものである。
(3)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標とは,その構成全体をもって比較するときは,外観上,相違するものの,本願商標の構成中にあって出所識別標識として強く支配的な印象を与える「WALKuRE」の文字部分と引用商標の「walkure」の欧文字を比較するときは,ウムラウトの有無,大文字と小文字の違いはあるものの,文字つづりを同じくするものであり,互いに近似する印象を与えるといえる。
また,本願商標と引用商標とは,共に「ワルキューレ」の称呼を生じるものであるから,両者は,称呼を同一にするものである。
そして,本願商標と引用商標とは,共に生ずる「ワルキューレ」の称呼から,「北欧及びドイツの神話に登場する『ワルキューレ』,又はRワグナーの楽劇中のタイトルである『ワルキューレ』」の観念を生ずるものであるから,両者は,観念においても同一であるといえる。
そうすると,本願商標と引用商標とは,外観上,近似した印象を与えるものであり,また,称呼及び観念を同一にするものであるから,両者は互いに紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。
(4)本願商標の指定商品と引用商標に係る指定商品及び指定役務との類否について
本願商標に係る指定商品は,前記1のとおり「電気通信機械器具,ダウンロード可能な電子計算機用プログラム,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・同磁気ディスク・同磁気テープ・同光ディスク,電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),ヘッドフォン,携帯電話機用保護ケース,インターネット経由でダウンロード可能なコンピュータゲーム用プログラム,移動電話機及び携帯電話機用のコンピュータゲームソフトウェア,対話型コンピュータゲーム用プログラム」であるところ,これらの商品は,引用商標に係る指定商品及び指定役務中の「遠隔監視システム用電子計算機プログラム,遠隔監視システム用電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその付属品・部品,電子計算機用プログラム,電気通信機械器具及びその付属品・部品」(第9類)及び「アプリケーションサービスプロバイダによるコンピュータソフトウェアの提供,電子計算機用プログラムの提供」(第42類)と同一又は類似する商品であるといえる。
(5)小括
以上によれば,本願商標は,引用商標と類似する商標であって,その指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標から生じる「ヴァルキューレ」,「バルキューレ」,「ウォーキュア」及び「ワルクレ」の称呼は,いずれの称呼をもってしても,引用商標から生じる「ワルキューレ」の称呼とは,語調,語感を異にしており聞き誤るおそれはない旨主張する。
しかしながら,本願商標から生じる称呼は,上記(1)のとおり,「ヴァルキューレ」及び「ワルキューレ」といえるところ,「ヴァルキューレ」の称呼と引用商標から生じる「ワルキューレ」の称呼を比較しても,語頭における「ヴァ」の音と「ワ」の音は,前者が下唇と上歯で隙間をつくって息を吹き込む事で起こる空気の摩擦音「v」と,母音「a」との結合した音節「va」であるのに対し,後者は下唇と上唇,後舌と軟口蓋の2か所で狭い隙間をつくり,その小さな隙間を流れる空気の摩擦によって発生する音「w」と,母音「a」との結合した音節「wa」であって,その母音「a」を共通にするものであるから,両称呼をそれぞれ一連に称呼したときは,語調,語感が近似したものとなり,互いに紛らわしく聞き誤るおそれがあるものといえる。
また,「バルキューレ」の称呼は,「ヴァルキューレ」の称呼と表記上の問題といえるものであり,「バルキューレ」の称呼と引用商標から生じる「ワルキューレ」の称呼を比較しても,上記と同様に,互いに紛らわしく聞き誤るおそれがあるものといえる。
イ さらに,請求人は,本願商標は,女性の図形部分と文字部分を不可分一体のものとして観察するべき合理的理由があり,文字部分以外の図形部分の有する識別機能を無視して,引用商標との類否判断をするのは相当でない旨主張している。
しかしながら,本願商標は,請求人も主張するとおり,文字と図形とから構成された結合商標といえるものであり,そして,「複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,その構成部分全体によって他人の商標と識別されるから,その構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは原則として許されないが,取引の実際においては,商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は,必ずしも常に構成部分全体によって称呼,観念されるとは限らず,その構成部分の一部だけによって称呼,観念されることがあることに鑑みると,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などには,商標の構成部分の一部を要部として取り出し,これと他人の商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも,許されると解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。」(平成27年(行ケ)第10079号同年9月16日判決参照)といえるところ,本願商標において,その構成中の文字部分は,図形部分の淡い色と相違して黒く明確に大きく表されており,図形部分から浮き出たように看取され,視覚的に強い印象を与えるものであること,及び該文字部分が背景的に表された図形部分と,視覚的にも意味合いにおいても不可分的に結合しているとは認められないことは,上記(1)のとおりであり,「WALKuRE」の文字部分が取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるから,本件商標から「WALKuRE」の文字部分を要部として取り出し,これと他人の商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも許されるということができる。
ウ 上記ア及びイのとおり,請求人の主張は,いずれも採用することができない。
(7)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標(色彩は,原本参照のこと。)


審理終結日 2017-10-16 
結審通知日 2017-10-17 
審決日 2017-10-30 
出願番号 商願2016-99306(T2016-99306) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W09)
T 1 8・ 262- Z (W09)
T 1 8・ 261- Z (W09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 綿貫 音哉高橋 幸志 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 酒井 福造
網谷 麻里子
商標の称呼 ワルキューレ、バルキューレ 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 佐藤 泰和 
代理人 朝倉 悟 
代理人 副田 圭介 
代理人 永井 浩之 
代理人 中村 行孝 
代理人 本宮 照久 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ