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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X30
管理番号 1336257 
審判番号 取消2017-300173 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-03-08 
確定日 2017-12-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第2718049号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2718049号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2718049号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、昭和60年5月28日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成8年11月29日に設定登録され、その後、指定商品については、同19年4月11日に、第30類「菓子,パン」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成29年3月21日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人は、答弁書において、平成26年7月に本件商標を商品「表面にマーガリンを塗り、その上にジャムを塗った山型パン」(別掲2、以下「本件使用商品」という。)に使用していた旨主張し、その書証として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。
しかしながら、乙第1号証ないし乙第3号証は、作成日がすべて平成29年3月28日であり、本件審判請求の登録日前3年以内(平成26年3月21日から同29年3月20日まで、以下「要証期間」という。)の使用を立証するものではない。
(2)次に、これらの書証に表示されているのは、上段に「Jam Stripe」の欧文字が、下段に「ジャムストライプ」の片仮名が配されている標章(以下「使用標章」という。)であり、この態様からいえるのは、被請求人が使用しているのは「Jam Stripe/ジャムストライプ」という標章であって、本件商標は使用されていないということである。
本件商標は、「ストライプ」の片仮名と「STRIPE」の欧文字を上下二段に横書きして表されてなり、当該態様に照応して、「ストライプ」の称呼が生じ、「縞(模様)」の観念が生じる。一方、使用標章は、上記のとおり、「Jam Stripe」の欧文字と「ジャムストライプ」の片仮名を上下二段に横書きして表されてなるものである。
被請求人は、使用標章の「Jam/ジャム」は、「ジャム」を表す原材料表示であり、「Jam」と「Stripe」の間に間隔が開けられていることから、「Stripe」がいわゆる要部であるとして、使用標章は本件商標と同一性の範囲内である旨主張する。
しかしながら、使用標章は、上下段の文字がそれぞれ同じ書体で表されており、下段の文字にいたっては、スペースを設けることなく等間隔でまとまりよく一連一体で表されているのであって、これより自然に生じる「ジャムストライプ」の称呼も格別冗長ではなく、無理なく一気一連に称呼されるものである。しかも、乙第1号証の「新商品の特徴」に「人気のロイヤルブレッド山型食パンにマーガリンをのせ、適度な酸味のある苺ジャムをストライプ状にしぼりました。」と記載されていることからも容易に認識できるとおり、使用標章からは、「ジャムがストライプ(縞)状に塗られている」程度の意味合いが生じる。そうすると、使用標章は、これに接する需要者、取引者に、称呼、外観のみならず、観念(意味)においても一体のものとして認識、把握されるとみるのが至極自然であって、その構成中の「Stripe」の文字部分のみを分離、抽出して、商標の識別標識として認識されることはあり得ず、また、そのように考える合理的理由も見い出せないことから、被請求人の上記主張は失当である。
(3)以上より、本件商標と使用標章とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても明らかに区別できるものであるから、商標法第50条第1項が規定する社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
また、上述の判断手法は、過去の審決においても踏襲されている(甲2、甲3)。
さらに、被請求人は、「ジャムストライプ」及び「Jam Stripe」の文字を二段に書してなる商標(登録第5860165号)を所有している(甲4)。
(4)以上のとおり、乙第1号証ないし乙第3号証をもって、被請求人が、商標権者等が本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品について使用された事実を何ら立証するものではない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
1 本件商標の使用の事実
商標権者である被請求人は、少なくとも平成26年(2014年)7月に、本件使用商品の包装に使用標章を付して、日本国内において販売をして、使用をした(乙1?3)。
すなわち、被請求人は本件使用商品を平成26年7月1日に新製品として発売を開始し(乙1、乙2)、その後同7月26日に販売がされている(乙3)ことは明らかであるが、被請求人ほどの規模のメーカーでは、この種の商品であっても、売れ行きにも左右されるが、少なくとも3ヶ月程度は継続して製造販売がされるものである。
すなわち、要証期間内に本件使用商品は販売されたものである。
また、使用標章の構成中、「Jam/ジャム」は、当該商品の表面に用いられていてこの商品を見る者に強い印象を与える「ジャム」を表す原材料表示であり、特に大きく表されているローマ文字では「Jam」と「Stripe」の間に間隔が開けられていることから、「Stripe」がいわゆる要部であり、本件商標と同一性の範囲内にある。
2 以上のとおり、商標権者は、本件審判請求の予告登録日の前3年以内において継続して日本国内において指定商品について本件商標の使用をしていたものであるから、商標法第50条第1項により本件商標を取消すべきとの請求人の主張には根拠がない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠について
(1)乙第1号証は、パン食普及協議会のウェブサイトの写しであり、1葉目には、「パンのはなし」の見出しの下、「パンの新製品情報」の項目には、「ジャムストライプ 山崎製パン株式会社」と記載され、その下に、使用標章を付した本件使用商品の画像が掲載されている。
また、2葉目には、「製品名」の欄に「ジャムストライプ」の記載、「発売日」の欄に「2014年7月1日」の記載、「販売元」の欄に「山崎製パン株式会社」の記載、「新製品の特徴」の欄に「人気のロイヤルブレッド山型食パンにマーガリンをのせ、適度な酸味のある苺ジャムをストライプ状にしぼりました。」の記載がある。
(2)乙第2号証は、「もぐナビ」のウェブサイトの写しであり、「ヤマザキ ジャムストライプ 袋1個」の見出しの下、使用標章を付した本件使用商品の画像が掲載されており、その下に、「メーカー:山崎製パン」、「発売日:2014/7/1」の記載がある。
(3)乙第3号証は、「ヲタde腐ったヒト」のブログの写しであり、「ジャムストライプ@デイリーヤマザキ」の見出しの下、「2014/7/26(土)午後6:13」の記載、その下に、使用標章を付した本件使用商品の画像が掲載されている。また、本件使用商品のパッケージ左下には、「消費期限14.7.26」の記載もある。
2 上記1によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)使用者について
本件使用商品の画像とともに乙第1号証には「販売元」の欄に「山崎製パン株式会社」が記載され、乙第2号証には「メーカー:山崎製パン」と記載されていることから、商標権者による使用であるといえる。
(2)使用時期について
乙第1号証の「発売日」の欄の「2014年7月1日」の記載、乙第3号証の「2014/7/26(土)午後6:13」の記載から、本件使用商品は、要証期間内である平成26年(2014年)7月1日から少なくとも同月26日まで発売されたということができる。
(3)使用商品について
本件使用商品は、乙第1号証の「新製品の特徴」の欄の「人気のロイヤルブレッド山型食パンにマーガリンをのせ、適度な酸味のある苺ジャムをストライプ状にしぼりました。」の記載から、本件請求に係る指定商品「菓子,パン」の範ちゅうに属する商品と認められる。
(4)使用標章について
本件商標は、上段に「ストライプ」の片仮名と下段に「STRIPE」の欧文字を二段に横書きした構成からなるのに対し、使用標章は、「Jam Stripe」の欧文字と「ジャムストライプ」の片仮名を上下二段に横書きした構成からなるところ、その構成中の「Jam Stripe」の文字部分は、「Jam」と「Stripe」の各文字の間に半文字程度の間隔があるとしても、同書、同大で外観上まとまりよく表され、各文字の間に外観上の軽重の差は見いだせないものであって、また、「ジャムストライプ」の文字部分は、同書、同大、等間隔で外観上一体的に表されているものであり、構成全体としても外観上まとまりのよい一つの商標を表したと理解されるものといえる。
そうすると、使用標章は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
(5)審判長の審尋に対する被請求人の対応
審判長は、被請求人に対して、上記(4)に係る暫定的見解を示すとともに、既に提出の乙各号証以外の証拠方法の提出を求める旨の審尋を行った。
これに対し、被請求人は、何ら主張、立証していない。
3 むすび
上記2(4)から、被請求人は、本件請求の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、本件請求に係る指定商品について本件商標を使用していた事実を証明したものということはできない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本件商標


別掲2 本件使用商品(色彩は原本参照。)



審理終結日 2017-10-17 
結審通知日 2017-10-23 
審決日 2017-11-08 
出願番号 商願昭60-53580 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (X30)
最終処分 成立  
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 小松 里美
豊泉 弘貴
登録日 1996-11-29 
登録番号 商標登録第2718049号(T2718049) 
商標の称呼 ストライプ 
代理人 林 栄二 
代理人 東谷 幸浩 
代理人 篠田 貴子 
代理人 梅村 莞爾 

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