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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1335289 
異議申立番号 異議2017-900136 
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-04-28 
確定日 2017-11-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第5916814号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5916814号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5916814号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、ギリシア文字の「Ω」を大きく表し、その下に「OMEGA」の欧文字を横書きした構成からなり、平成28年4月28日に登録出願、第41類「環境建築学・哲学・気功法・健康法・瞑想法・ヨーガ・家相鑑定・風水鑑定・占い・易・運勢診断・開運指導・観相鑑定・気学判断に関する知識の教授,その他の技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書・電子出版物の貸与,美術品・絵画・工芸品の展示,屋内用装飾品の展示,写真の展示,芸術・歴史・民族・産業・自然科学・科学技術に関する資料の展示,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),書画・美術品・工芸品の貸与,文化的資料・学術的資料・美術工芸品の貸与,録音済み又は録画済みのビデオディスク・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・CD-ROM・DVDの貸与,写真・マイクロフィルムの撮影,ビデオカメラによる撮影,ビデオテープへの収録」を指定役務として、同年12月13日に登録査定、同29年1月27日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は、以下とおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 国際登録第966590商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおり、ギリシア文字の「Ω」と、その下に「OMEGA」の欧文字を横書きした構成からなり、2007年12月28日にSwitzerlandにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、2008年(平成20年)6月6日に国際商標登録出願、第16類「Boxes of cardboard or paper; packaging containers made of paper or cardboard for jewellery and for horological and chronometric instruments, included in this class; printed matter; photographs; stationery; artists' materials; typewriters, typewriter ribbons, addressing machines and inking ribbons; instructional and teaching material (except apparatus).」を指定商品として、平成21年10月16日に設定登録されたものである。
2 登録第409366商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおり、ギリシア文字の「Ω」と、その下に「OMEGA」の欧文字を横書きした構成からなり、昭和25年12月7日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同27年3月7日に設定登録され、その後、平成15年4月9日に指定商品を第14類「時計,時計の部品及び付属品」とする指定商品の書換登録がされたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第38号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、第41類の指定役務「環境建築学・哲学・気功法・健康法・瞑想法・ヨーガ・家相鑑定・風水鑑定・占い・易・運勢診断・開運指導・観相鑑定・気学判断に関する知識の教授,その他の技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書・電子出版物の貸与,美術品・絵画・工芸品の展示,屋内用装飾品の展示,写真の展示,芸術・歴史・民族・産業・自然科学・科学技術に関する資料の展示,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),書画・美術品・工芸品の貸与,文化的資料・学術的資料・美術工芸品の貸与,録音済み又は録画済みのビデオディスク・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・CD-ROM・DVDの貸与,写真・マイクロフィルムの撮影,ビデオカメラによる撮影,ビデオテープへの収録」を指定して登録されたもので、商標は、上段のギリシア語の「Ω」を図案化した図形と下段に欧文字「OMEGA」を配置してなり、該商標より発生する称呼は「オメガ」となる。
申立人は、第16類の指定商品「厚紙製又は紙製の箱,宝飾品用及び計時用具用の紙製又は厚紙製の包装容器(本類に属するもの),印刷物,写真,文房具,美術用材料(文房具),タイプライター,タイプライターのリボン,あて名印刷機及びインキリボン,教材(器具を除く。)」(決定注:参考訳)を指定して国際出願され、平成21年10月16日に国内登録された国際登録第966590号(甲2)を有しており、商標は、上段のギリシア語の「Ω」を図案化した図形と下段に欧文字「OMEGA」を配置してなる商標を有している。
この引用商標1は、第16類の指定商品を指定しているが、本件商標の第41類の指定役務「電子出版物の提供」とは相互に類似関係を有する。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人は、各種商品・役務に同一又は類似商標を所有している。
申立人は、大正13年12月5日に旧旧第21類の指定商品「時計並びにその部品及び附属品」を指定商品として出願され、ギリシア文字「Ω」の下に欧文字「OMEGA」を横書きした商標が、登録第173647号で設定登録された(甲3)。
しかし、この商標は、第二次世界戦争の末期において商標権存続期間更新の出願すべき機会を逸したために消滅した。終戦後にこれに代わるものとして昭和25年12月7日に旧旧第21類の指定商品「時計並びにその部品及び附属品」を指定商品として出願され、登録第409366号で昭和27年3月7日に設定登録された(甲4)。
欧文字「OMEGA」と片仮名「オメガ」を二段に併記した商標が、旧旧第17類の指定商品「バルブ、コックその他本類に属する商品」を指定して昭和13年5月13日に設定登録された登録第302142号(甲5)に対して昭和27年審判第295号で無効審判を請求したが、同29年1月9日に審判請求は成り立たないとした審決が下され、申立人は同年に抗告審判を請求し、昭和29年抗告審判第2084号で抗告審判に係属したが、同37年1月25日に抗告審判請求は成り立たないとした審決が下された(甲6)。
しかし、この抗告審決に不服であった申立人は、昭和37年に商標登録無効抗告審判の審決取消訴訟を提起し、昭和37年(行ナ)第72号で東京高裁に係属した。
昭和44年6月17日に申立人の主張が受け入れられ、昭和29年抗告審判第2084号の審決を取り消す旨の判決が下された(甲7)。
しかし、この判決に不満である商標権者は、昭和45年に最高裁へ上告を行い、昭和45年(行ツ)第8号で最高裁に係属した。
しかし、上告人の主張は受け入れられず、本件上告を棄却する旨の判決が昭和48年4月24日に下され、東京高裁の判決が確定した(甲8)。
昭和29年抗告審判第2084号の審決が取り消された関係で、改めて抗告審判で審理が行われ、昭和50年12月23日に「登録第302142号商標の登録はその指定商品中『ライター』につきこれを無効とする。」旨の抗告審決が出された(甲9)。
審決の要旨は「本件商標と抗告審判請求人の商標とは、称呼及び観念において互いに類似するものであること」及び「抗告審判請求人の商標は、広く取引者及び需要者間に周知著名であった事実を認められる」というものである。
甲第3号証及び甲第4号証の商標は、昭和12、3年当時から周知著名であったと認定されている。
以上述べたように、過去の抗告審判の無効審決(昭和29年抗告審判第2084号)、審決取消訴訟の東京高裁判決(昭和37年(行ナ)第72号)及び上告に基づく最高裁判決(昭和45年(行ツ)第8号)で認定された事実は、尊重されなければいけない。
登録第302142号商標と登録第409366号商標とは互いに称呼及び観念において類似している。
登録第409366号商標は、指定商品「時計」について長年使用された結果、申立人の出所を表示する商標として日本国内で周知・著名になっていた。
申立人は、主力商品である「時計」に限らず多角経営で複数の商品を取り扱うようになり、登録第409366号商標(甲4)だけではなく、ギリシア文字「Ω」と欧文字「OMEGA」とを併記した商標を商標登録している(甲10?甲33)。
申立人は、ギリシア語の大文字「Ω」と下段に配置した欧文字「OMEGA」とを二段に併記したものを主たる商標として長年にわたり、複数の商品及び役務の出所標識として使用している。その結果、申立人の業務範囲は多岐にわたり、同一又は類似商標を他の第三者が使用した場合には商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれが多分にある。
(1)具体的には、オメガ社のウェブページ(甲34)に掲載されるように、申立人はスイス国ビール市において「博物館による時計の展示」を行っている。
(2)申立人は、2014年1月20日に「ソチ オリンピック 選手壮行会」を銀座のニコラス・G・ハイエックセンターの会場シテ・ドゥ・タンで開催しており(甲35)、当該業務は第41類の「イベントの企画・運営及び開催」に該当するものである。2016年6月22日には「リオ オリンピックの代表選手壮行会」を東京都内で開催しており(甲36)、当該業務は第41類の「イベントの企画・運営及び開催」に該当するものである。
(3)2015年11月4日には、アメリカ女子プロゴルファーのステイシー・ルイスを呼び、成田ゴルフ倶楽部にて「ゴルフレッスン又はゴルフクリニック」を行っており(甲37)、当該業務は第41類の「ゴルフに関する技芸の教授」又は「ゴルフに関するセミナーの企画・運営又は開催」に該当するものである。
(4)2016年7月26日には、新宿高島屋1階のザ・メインスクエアにてオリンピックに使用された、及び使用される公式計時機器の展示会がプレスリリース(甲38)された記事内容から明らかなように企画・運営されており、当該業務は第41類の「文化又は教育のためのオリンピック計時機器の展示会の運営」に該当するものである。
(5)申立人は、使用の意思を有するところから国際登録第1154448号(決定注:国際登録第1156448号)A(甲33)に見られるように商標は異なるが「オンラインによる出版物の提供」(決定注:参考訳)を指定して国際商標登録出願しており、申立人が当該業務を行う可能性を示している。
(6)申立人は、国際登録第0865357号(甲24)で、第41類の指定役務「運動競技の計時,スポーツの興行の企画・運営又は開催,スポーツキャンプの企画・運営又は開催,芸人による演芸の上演,文化又は教育のための展示会の運営,オーケストラによる演奏,興行(歌劇・音楽会)の企画,演芸の上演,演劇の上演,音楽の演奏,セミナーの手配及び運営,ショーの演出」(決定注:参考訳)について、商標を権利化させている。
本件商標は、申立人の古くから所有する登録商標と称呼・観念において同一であると共に、外観においても近似していることから、総合的に類似関係にある。また、その指定役務は、「環境建築学・哲学・気功法・健康法・瞑想法・ヨーガ・家相鑑定・風水鑑定・占い・易・運勢診断・開運指導・観相鑑定・気学判断に関する知識の教授,その他の技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書・電子出版物の貸与,美術品・絵画・工芸品の展示,屋内用装飾品の展示,写真の展示,芸術・歴史・民族・産業・自然科学・科学技術に関する資料の展示,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),書画・美術品・工芸品の貸与,文化的資料・学術的資料・美術工芸品の貸与,録音済み又は録画済みのビデオディスク・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・CD-ROM・DVDの貸与,写真・マイクロフィルムの撮影,ビデオカメラによる撮影,ビデオテープへの収録」と甲第24号証で権利化されていない隙間の役務について出願されたものである。
しかしながら、第41類の指定役務中、前述(1)ないし(6)に関しては、実際に申立人が権利化したり、業務を行っている役務である。
申立人の商標が周知・著名であり、かつ申立人が多角経営下で実際に業務を行っているか使用の意思の下出願された指定役務と同一又は類似の範囲について、本件商標が使用されれば、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとなる。
また、残りの第41類の指定役務「教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),書画・美術品・工芸品の貸与,文化的資料・学術的資料・美術工芸品の貸与,録音済み又は録画済みのビデオディスク・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・CD-ROM・DVDの貸与,写真・マイクロフィルムの撮影,ビデオカメラによる撮影,ビデオテープへの収録」についても、申立人は甲第12号証で示したように、第9類の「映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」及び第16類の「印刷物,書画,写真,写真立て」について権利を有しており、本件商標の第41類の指定役務「書画・美術品・工芸品の貸与」、「録音済み又は録画済みのビデオディスク・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・CD-ROM・DVDの貸与」は、商品とその商品の貸与という関係にあり、一般需要者・取引者をして、役務の出所についての混同を生ずるおそれが極めて高いといえる。
また、申立人は、時計に関する博物館を運営しており、その中には「時計に関する歴史的・学術的資料」が展示されている関係から、本件商標の第41類の指定役務「文化的資料・学術的資料・美術工芸品の貸与」との関係は深く、関連性を有する賃貸役務として一般需要者・取引者をして役務の出所についての混同を生ずるおそれが極めて高いといえる。
以上述べたように、引用商標2は、申立人の登録商標として周知・著名であることから、第41類の指定役務に本件商標を使用した場合に、一般需要者・取引者は、役務の出所について誤認を生ずるおそれがある。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、甲第2号証の商標と指定商品が同一又は類似の関係にあると共に、商標が類似の関係にあるため、指定商品及び指定役務全てについて、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
また、本件商標は、甲第3号証ないし甲第9号証等の審決又は判決により、第14類の指定商品「時計」に関して日本国内において周知・著名な状況にあったものであること、申立人の商標は多角経営に基づき甲第10号証ないし甲第33号証に示すように、多数の商品区分及び役務区分に申立人の商標として登録されている事実及び今回の第41類の指定役務は、甲第34号証ないし甲第38号証の書証で示されるように、申立人が業務を行う又は行っている役務について登録されたものである。
その結果、本件商標は、申立人の所有する周知・著名な引用商標2との関係で、役務の出所について混同を生じるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
したがって、本件商標は、商標法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標1の類否
本件商標は、別掲1のとおり、ギリシア文字の「Ω」を大きく表し、その下に「OMEGA」の欧文字を横書きした構成からなるものであるから、これより「オメガ」の称呼及びギリシア語の最終字母程の観念を生ずるものである。
一方、引用商標1は、別掲2のとおり、ギリシア文字の「Ω」と、その下に「OMEGA」の欧文字を横書きした構成からなるものであるから、これより「オメガ」の称呼及びギリシア語の最終字母程の観念を生ずるものである。
してみると、本件商標と引用商標1とは、ギリシア文字の「Ω」とその下に「OMEGA」の欧文字を横書きした構成からなるという特徴が一致することから、両商標を時と処を異にして離隔的に観察した場合、外観において近似し、混同されるものといえる。
したがって、本件商標は引用商標1とは外観上紛らわしい類似のものである。
さらに、本件商標と引用商標1は、上記したとおり、いずれも「オメガ」の称呼及びギリシア語の最終字母程の観念を生ずるものである。
そうすると、本件商標と引用商標1は、その外観が類似し、称呼及び観念を共通にするものであるから、類似の商標というべきである。
(2)本件商標の指定役務と引用商標1の指定商品について
申立人は、本件商標の指定役務中の第41類「電子出版物の提供」と引用商標1の指定商品中の第16類「印刷物」とは、相互に類似関係を有するものである旨主張しているので、以下検討する。
ア 本件商標の指定役務について
本件商標の指定役務中の「電子出版物の提供」は、「商品・サービス国際分類表〔第10-2016版〕アルファベット順一覧表」の第41類の役務例示として「オンラインによる電子出版物の提供(ダウンロードできないものに限る。)」と掲載されているように、インターネット等の通信回線を通じて電子化された出版物をダウンロードさせない形態で提供する役務に限られ、実店舗で販売されるものではない。
イ 引用商標1の指定商品
引用商標1の指定商品中の「印刷物」(参考訳)は、引用商標1の登録出願時に適用された商標法施行規則別表第16類に属する商品に関する掲載表示としては、「絵はがき」、「楽譜」、「歌集」、「カタログ」、「カレンダー」、「雑誌」、「時刻表」、「書籍」、「新聞」、「地図」、「日記帳」、「ニューズレター」、「パンフレット」が挙げられており、これらの商品は、印刷業者により印刷された後、書店や文具店等で販売されるものである。
ウ 本件商標の指定役務と引用商標1の指定商品との類否
本件商標の指定役務と、引用商標1の指定商品について比較すると、両者は、役務の提供と商品の製造・販売とが全く別の事業者によって行われているものであって、役務と商品の用途、役務の提供場所と商品の販売場所、役務の提供方法と商品の販売方法、需要者及び流通経路を著しく異にするものであるから、互いに非類似の役務及び商品であるというのが相当である。
なお、申立人は、引用商標1の指定商品「印刷物」(参考訳)と本件商標の指定役務「電子出版物の提供」とは、相互に類似関係にある旨主張するが、その理由について具体的に何ら主張立証するところがない。
(3)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標1とは、同一又は類似の商標であるとしても、本件商標の指定役務は、引用商標1の指定商品と類似するものではないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標と引用商標2の類似性
本件商標は、別掲1のとおり、ギリシア文字の「Ω」を大きく表し、その下に「OMEGA」の欧文字を横書きした構成からなるものであるから、これより「オメガ」の称呼及びギリシア語の最終字母程の観念を生ずるものである。
一方、引用商標2は、別掲3のとおり、ギリシア文字の「Ω」と、その下に「OMEGA」の欧文字を横書きした構成からなるものであるから、これより「オメガ」の称呼及びギリシア語の最終字母程の観念を生ずるものである。
してみると、本件商標と引用商標2とは、ギリシア文字の「Ω」とその下に「OMEGA」の欧文字を横書きした構成からなるという特徴が一致することから、両商標を時と処を異にして離隔的に観察した場合、外観において近似し、混同されるものといえる。
したがって、本件商標は引用商標2とは外観上紛らわしい類似のものである。
さらに、本件商標と引用商標2は、上記したとおり、いずれも「オメガ」の称呼及びギリシア語の最終字母程の観念を生ずるものである。
そうすると、本件商標と引用商標2は、その外観が類似し、称呼及び観念を共通にするものであるから、類似の商標というべきである。
(2)本件商標の指定役務と引用商標2の指定商品について
ア 本件商標の指定役務
本件商標の指定役務は、「環境建築学・哲学・気功法・健康法・瞑想法・ヨーガ・家相鑑定・風水鑑定・占い・易・運勢診断・開運指導・観相鑑定・気学判断に関する知識の教授,その他の技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書・電子出版物の貸与,美術品・絵画・工芸品の展示,屋内用装飾品の展示,写真の展示,芸術・歴史・民族・産業・自然科学・科学技術に関する資料の展示,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),書画・美術品・工芸品の貸与,文化的資料・学術的資料・美術工芸品の貸与,録音済み又は録画済みのビデオディスク・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・CD-ROM・DVDの貸与,写真・マイクロフィルムの撮影,ビデオカメラによる撮影,ビデオテープへの収録」であるところ、これら第41類に属する役務は、教育、訓練の提供、娯楽、スポーツ及び文化活動に関するものであって、主として、人又は動物の知能を開発するために人又は機関が提供するサービス及び人を楽しませ又は人の注意を引くことを意図したサービスである(商品・サービス国際分類表〔第10-2016版〕アルファベット順一覧表)。
イ 引用商標2の指定商品
引用商標2の指定商品は、「時計,時計の部品及び付属品」であるところ、引用商標2の書換申請時に適用された商標法施行規則別表第14類に属する商品に関する掲載表示としては、「腕時計」、「置き時計」、「懐中時計」、「自動車用時計」、「ストップウォッチ」、「柱時計」、「目覚まし時計」が挙げられており、ほとんどの時計が該当するものである。
ウ 本件商標の指定役務と引用商標2の指定商品との比較
本件商標の指定役務と、引用商標2の指定商品について比較すると、両者は、それぞれの業界を異にする役務と商品であって、何ら関連するところがない分野であることから、その需要者、取引者等を全く異にするものといえる。
そうすると、本件商標の指定役務と引用商標2の指定商品との関連性は低いものである。
(3)引用商標2の周知・著名性
引用商標2は、申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査によれば、本件商標の登録出願時には、申立人の業務に係る商品「時計」を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものであると認められる。
しかし、申立人提出の証拠からは、引用商標2が「時計」以外の商品や役務について広く使用されている事実や広告宣伝活動等についての、客観的、具体的な証拠は見いだせない。
そうすると、引用商標2の周知性は、商品「時計」の分野を超えて、本件商標の指定役務の分野の需要者にまで、広く知られているとはいいがたい。
(4)小括
上記(2)のとおり、本件商標の指定役務と引用商標2の指定商品との関連性は低いものである。
また、引用商標2は、上記(3)のとおり、申立人の業務に係る商品「時計」を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものであることは認め得るところであるが、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標の指定役務の取引者、需要者の間においてまで、広く知られ著名となっていたということはできないものである。
加えて、「Ω」及び「OMEGA」の文字は、ギリシア語の最終字母とその表音の欧文字表記として、我が国においても親しまれた文字であり、独創性が高いということはできない。
以上を総合勘案すると、たとえ本件商標と引用商標2とが類似するとしても、本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標2又は申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該役務が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標(登録第5916814号商標)


2 引用商標1(国際登録第966590号商標)


3 引用商標2(登録第409366号商標)


異議決定日 2017-11-16 
出願番号 商願2016-48571(T2016-48571) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W41)
T 1 651・ 261- Y (W41)
T 1 651・ 263- Y (W41)
T 1 651・ 262- Y (W41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 林田 悠子野口 沙妃 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 豊泉 弘貴
原田 信彦
登録日 2017-01-27 
登録番号 商標登録第5916814号(T5916814) 
権利者 デザインオフィスシディ有限会社
商標の称呼 オメガ 
代理人 山川 政樹 
代理人 山川 茂樹 

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