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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W02
審判 一部申立て  登録を維持 W02
審判 一部申立て  登録を維持 W02
管理番号 1334559 
異議申立番号 異議2017-900149 
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-12 
確定日 2017-10-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第5920350号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5920350号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5920350号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成28年7月27日に登録出願、第2類「ペイント,ラッカー用シンナー,ペイント用増粘剤,ドライヤー,塗料,ペイント用結合剤,腐蝕防止剤,防錆剤,ガムロジン,着色剤」を指定商品として、同年12月20日に登録査定、同29年2月10日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由として引用する商標は、以下の(1)ないし(4)に示すとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2724089号商標(以下「引用商標1」という。)は、「TIGER」の文字を横書きしてなり、平成4年3月30日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年5月22日に設定登録され、その後、同19年12月4日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同20年7月30日に、指定商品を第2類「塗料」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第4371228号商標(以下「引用商標2」という。)は、「TIGER-DRYLAC」の文字を横書きしてなり、平成8年3月21日に登録出願、第2類「塗料」を指定商品として、同12年3月31日に設定登録され、その後、同21年10月13日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(3)登録第4371229号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成8年3月21日に登録出願、第2類「塗料」を指定商品として、同12年3月31日に設定登録され、その後、同21年10月13日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(4)国際登録第1091708号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、2011年1月14日にAustriaにおいてした商標の登録出願に基づくパリ条約第4条による優先権を主張して、2011年(平成23年)7月8日に国際商標登録出願、第2類「Lacquers; powder lacquers; colors (paints); coatings; distempers; wood coatings (paints); primers.」を指定商品として、平成24年4月27日に設定登録されたものである。
以下、上記引用商標1ないし引用商標4をまとめて「引用商標」という場合がある。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第2類「ペイント,ラッカー用シンナー,ペイント用増粘剤,ドライヤー,塗料,ペイント用結合剤」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
(1)本件商標と引用商標との類似について
ア 外観が類似すること
本件商標は、虎を写実的に表現した色付き図形の右側に、ややデザイン化された書体の漢字「双虎塗料」と大文字のブロック体の欧文字「TWIN TIGERS COATINGS」とを二段に書してなるものである。
これに対し、引用商標1は、大文字のブロック体の欧文字「TIGER」を書してなるもの、引用商標2は、大文字のブロック体の欧文字「TIGER-DRYLAC」を書してなるもの、引用商標3は、塗装用具を手に持つ漫画化した虎の色付き図形の右側に、黄色で塗り潰した横長の樽型図形内に大文字のブロック体の欧文字「TIGER」を赤色で書してなるもの、引用商標4は、黄色で塗り潰した横長の樽型図形内に大文字のブロック体の欧文字「TIGER」を赤色で書してなるものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、いずれも「TIGER」の文字を含んでおり、特に、本件商標と引用商標3とは、表現方法こそ異なるものの、虎の色付き図形を有する点において構成が共通する。
したがって、本件商標と引用商標とは、「TIGER」の文字を共通にし、さらに、本件商標と引用商標3とは、虎の色付き図形までも共通にすることから、両商標は、その構成が近似するものであって、一見すると紛らわしいものであり、外観上、類似の商標である。
イ 観念が類似すること
本件商標は、その構成中、最も目をひく図形部分から、動物の虎の観念が想起される。
これに対し、引用商標1及び引用商標4は、その構成に係る「TIGER」の文字から動物の虎の観念が想起され、また、引用商標2は、その構成中、「DRYLAC」が造語で観念を生じないため、「TIGER」の文字部分から動物の虎の観念が想起され、さらに、引用商標3は、その構成中、漫画化した虎の図形及び「TIGER」の文字部分から動物の虎の観念が想起される。
したがって、本件商標と引用商標とは、いずれも動物の虎の観念が想起されるから、観念上、類似の商標である。
ウ 称呼が類似すること
本件商標は、その構成中の図形部分から動物の虎の観念が想起されるから、これに相応して、「トラ」又は「タイガー」の称呼を生じる。
また、本件商標の構成中の文字部分のうち、「双虎塗料」の漢字からは、「ソウコトリョウ」又は、その指定商品そのものであって、自他商品識別力を有しない「塗料」の文字を除く「双虎」に相応する「ソウコ」の称呼を生じる。
さらに、本件商標の構成中の文字部分のうち、「TWIN TIGERS COATINGS」の欧文字からは、「ツインタイガーズコーティングズ」の称呼又は、その指定商品そのものであって、自他商品識別力を有しない「COATINGS」及び「双子の。対の。」といった意味の形容詞として識別力が弱い「TWIN」の文字を除く、要部たる「TIGERS」の文字から「タイガーズ」の称呼が生じ得る。
これに対し、引用商標1及び引用商標4は、その構成に係る「TIGER」の文字から「タイガー」の称呼を生じ、また、引用商標2は、その構成文字全体に相応する「タイガードライラック」又はその構成中の「TIGER」、「DRYLAC」の各文字部分に相応する「タイガー」、「ドライラック」の称呼を生じ、さらに、引用商標3は、その構成中、漫画化した虎の図形及び「TIGER」の文字部分に相応する「トラ」又は「タイガー」の称呼を生じる。
したがって、本件商標と引用商標とは、いずれも「タイガー」の称呼において共通するから、称呼上、類似の商標である。
エ 小括
上記アないしウのとおり、本件商標と引用商標とは、その外観、観念及び称呼が類似するものであるから、相紛らわしい類似の商標である。
(2)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との抵触について
本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、それぞれ、前記1及び2のとおりであり、本件商標の指定商品中の第2類「ペイント,ラッカー用シンナー,ペイント用増粘剤,ドライヤー,塗料,ペイント用結合剤」は、引用商標の指定商品と同一又は類似である。
(3)混同のおそれについて
1930年に創業した申立人は、母国オーストリアのほか、エジプト、中国、カナダ、メキシコ、米国、ベトナムの各国にある自社工場で塗料及びインクを製造し、日本を含む世界35の国及び地域で、「TIGER」の文字を含む引用商標を付した製品を販売している。
そうすると、その構成中に申立人の名称(略称)と極めて近似する「TIGERS COATINGS」の文字を含む本件商標が、申立人の引用商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用されたときは、申立人の業務と混同を生ずるおそれがある。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、2頭の虎を写実的に表してなる図形の右方に、デザイン化された4文字からなる漢字様のものと「TWIN TIGERS COATINGS」の文字とを二段に表してなるものを配してなるところ、その構成中、当該漢字様のものは、特に、3字目に位置するものが我が国において親しまれているとはいい難いことからすれば、その構成全体から特定の称呼及び観念を生じるとは認められない。
また、本件商標の構成中の「TWIN TIGERS COATINGS」の文字は、いずれも慣れ親しまれた英単語を組み合わせてなるものであり、その全体から「ツインタイガースコーティングス」の称呼を生じ、「双子の虎の塗料(塗装)」といった意味合いを想起させるところ、当該「COATINGS」の文字部分は、その語義とあいまって、本件商標の指定商品との関係においては、自他商品の識別力が弱いものといえるから、これを捨象した「TWIN TIGERS」の文字部分が看者に対して強い印象を与えるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成中の「TWIN TIGERS」の文字部分が、出所識別に際しての要部たり得るといえるから、これから「ツインタイガース」の称呼及び「双子の虎」の観念を生じるものであり、また、その構成中の2頭の虎の図形部分も、当該文字部分に相応する「双子の虎」を表したものとして看取、理解されるといえる。
してみれば、本件商標は、「ツインタイガース」の称呼を生じ、「双子の虎」の観念を生じるものである。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、前記2(1)のとおり、「TIGER」の文字を横書きしてなるものであるから、「タイガー」の称呼及び「虎」の観念を生じるものである。
(イ)引用商標2は、前記2(2)のとおり、「TIGER-DRYLAC」の文字を横書きしてなるところ、当該文字は、同じ大きさ及び書体をもって表された「TIGER」の文字と「DRYLAC」の文字とを「-」(ハイフン)をもって結合してなるものであって、外観上、まとまりある一体的なものとして視認されるといえ、また、その構成全体から生じる「タイガードライラック」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると、たとえ、「TIGER」の文字が既成の語である一方、「DRYLAC」の文字が特定の意味合いを想起させることのない造語であるとしても、そのことをもって、「TIGER」の文字部分のみが看者に対して強い印象を与えて分離、抽出されるとはいい難く、むしろ、その構成全体をもって一体的な造語を表したものと看取、認識されるとみるのが相当である。
してみれば、引用商標2は、「タイガードライラック」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
(ウ)引用商標3は、別掲2のとおり、虎と思しき動物を擬人化してなる図形(その図形中には、極めて小さく表された「Drylac」の文字を含む。)と、その右方に、黄色で彩色された樽型の図形であって、その内側に赤色の「TIGER」の文字及び当該図形の輪郭に沿った細線を表してなるものを配してなるところ、その構成態様によれば、当該「TIGER」の文字等を内包する図形部分が、その他の図形から分離して観察されるといえる。
そうすると、上記「TIGER」の文字等を内包する図形部分からは、その「TIGER」の文字に相応する「タイガー」の称呼及び「虎」の観念を生じるといえ、また、虎と思しき動物を擬人化してなる図形部分からは、その中に含まれる「Drylac」の文字に相応する「ドライラック」の称呼を生じる(特定の観念は生じない。)といえる。
してみれば、引用商標3は、「タイガー」の称呼及び「虎」の観念を生じるほか、「ドライラック」の称呼をも生じるものである。
(エ)引用商標4は、別掲3のとおり、黄色で彩色された樽型の図形であって、その内側に赤色の「TIGER」の文字及び当該図形の輪郭に沿った細線を表してなるものであるから、その構成中の「TIGER」の文字に相応する「タイガー」の称呼及び「虎」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との比較
(ア)本件商標と引用商標1との比較
本件商標は、上記アのとおり、「TWIN TIGERS COATINGS」の文字と図形等との組合せからなるものであって、「ツインタイガース」の称呼及び「双子の虎」の観念を生じるのに対し、引用商標1は、上記イ(ア)のとおり、「TIGER」の文字のみからなるものであって、「タイガー」の称呼及び「虎」の観念を生じるから、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(イ)本件商標と引用商標2との比較
本件商標は、上記アのとおり、「TWIN TIGERS COATINGS」の文字と図形等との組合せからなるものであって、「ツインタイガース」の称呼及び「双子の虎」の観念を生じるのに対し、引用商標2は、上記イ(イ)のとおり、「TIGER-DRYLAC」の文字のみからなるものであって、「タイガードライラック」の称呼を生じ、特定の観念を生じないから、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(ウ)本件商標と引用商標3との比較
本件商標は、上記アのとおり、「TWIN TIGERS COATINGS」の文字と図形等との組合せからなるものであって、「ツインタイガース」の称呼及び「双子の虎」の観念を生じるのに対し、引用商標3は、上記イ(ウ)のとおり、「TIGER」の文字等と図形との組合せからなるものであって、「タイガー」又は「ドライラック」の称呼を生じ、「虎」の観念を生じるから、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(エ)本件商標と引用商標4との比較
本件商標は、上記アのとおり、「TWIN TIGERS COATINGS」の文字と図形等との組合せからなるものであって、「ツインタイガース」の称呼及び「双子の虎」の観念を生じるのに対し、引用商標4は、上記イ(エ)のとおり、「TIGER」の文字と図形との組合せからなるものであって、「タイガー」の称呼及び「虎」の観念を生じるから、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
エ 小括
上記ウによれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
なお、申立人は、1930年に創業したこと、母国オーストリアその他諸外国の自社工場で製造する塗料及びインクが、我が国を含む世界35の国及び地域で、「TIGER」の文字を含む引用商標を付して販売されていることをもって、本件商標が引用商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用されたときは、申立人の業務と混同を生ずるおそれがある旨主張するが、その主張を裏付ける証拠は何ら提出されておらず、そのようなおそれがあると認めるに足る事実を見いだすことはできないから、申立人によるその主張は、採用し得ない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、本件登録異議の申立てに係る第2類「ペイント,ラッカー用シンナー,ペイント用増粘剤,ドライヤー,塗料,ペイント用結合剤」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 (別掲)
1 本件商標(登録第5920350号商標)


2 引用商標3(登録第4371229号商標)


3 引用商標4(国際登録第1091708号商標)


(上記2及び3に係る商標の色彩については、原本参照のこと。)

異議決定日 2017-10-16 
出願番号 商願2016-80664(T2016-80664) 
審決分類 T 1 652・ 263- Y (W02)
T 1 652・ 262- Y (W02)
T 1 652・ 261- Y (W02)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大橋 良成 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 尾茂 康雄
田中 敬規
登録日 2017-02-10 
登録番号 商標登録第5920350号(T5920350) 
権利者 武漢双虎塗料有限公司
商標の称呼 ソーコトリョー、ソーコ、ツインタイガースコーティングズ、ツインタイガース、ツイン、タイガース 
代理人 山崎 和香子 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 ▲吉▼川 俊雄 
代理人 齋藤 宗也 

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