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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z01
管理番号 1334536 
審判番号 取消2016-300780 
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-11-02 
確定日 2017-11-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4486863号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4486863号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第4486863号商標(以下「本件商標」という。)は、「愛菜花」の文字を横書きしてなり、平成12年6月21日に登録出願、第1類「植物成長調整剤類,肥料」を指定商品として同13年6月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成28年11月16日である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標権者によって継続して3年以上、日本国内においてその指定商品について使用されていない。
また、本件商標の商標権には専用使用権は設定されておらず、通常使用権も登録されていないことから、通常使用権者も存在しないことが推認される。さらに、本件商標の権利者は、不動産会社であり、指定商品に係る事業をしていないと思われる。
したがって、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)答弁の理由(1)について
被請求人が提出した「植物成長調整剤類」に関する書証の乙第1号証ないし乙第3号証は、いずれも証明力が弱く、十分な証拠能力を有していない上に、「肥料」については何ら使用の事実を証明してはいない。
(2)答弁の理由(2)について
被請求人は、植物活性剤について、乙第1号証ないし乙第3号証を提出して「植物成長調整剤類」と「肥料」について使用の事実を証明しようとしている。
しかしながら、まず、乙第1号証と乙第2号証にあっては、2011年あるいは2011という記載がその最下段に記載されている(乙第1号証の2葉目の最下段の左側及び3葉目の最下段の右側)。この日付は本件審判請求の日から起算して5年前のものであり、本件審判請求の日から起算して継続して3年より前であるから、使用の事実を証明する資料たり得ないことは明らかである。
次に、乙第3号証については、被請求人である本件商標権者以外のエクシオン株式会社というところから品名「愛采花」という商品を本件商標権者に向けてサンプルを出荷したというものであり、本件商標権者による使用とはいえないものである。
また、その商品が植物活性剤であるかどうかも明らかではない。
さらに、被請求人はエクシオン株式会社との関係を何ら明らかにしていない上に、尾張旭市のエクシオン株式会社はネット上からは検索できなかった(甲第3号証)。
そして、乙第3号証の納品書に記載されている電話番号に電話しても「現在は使用されていない」というアナウンスが流れる状況である。つまり、使用しているのは、本件商標権者ではないし、納品書に記載されている「愛菜花」が「植物活性剤」であるかどうかも明らかではない。
よって、被請求人が提出した証拠資料乙第1号証ないし乙第3号証は、いずれも植物活性剤について「愛菜花」が使用されていることを証明するものとしては根拠薄弱であり、証明力ないし証拠能力を有してはいない。
(3)答弁の理由(3)について
被請求人は、「愛菜花」なる名称の植物活性剤は、液体肥料を用いているので、肥料であると主張しているが、植物活性剤は植物成長調整剤類に分類され、薬剤であって肥料でないことは、添付した甲第4号証及び甲第5号証からして明らかである。それはたとえそこに液体肥料が入っていたとしても少量であり、肥料とはいえない。また、液体肥料の材料については、何ら記載がない。
さらに、「植物成長調整剤類」の類似群コードは、「01B02」であるところ、「肥料」の類似群コードは「02A01」である(甲第6号証)。
したがって、両者はともに商品区分としては第1類に属しているが、非類似の商品である。繰り返すが、被請求人は、「肥料」についてはなんら使用の事実を証明してはいない。
(4)よって、本件商標の登録は、請求人の主張するように取り消されるべきものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
1 請求人は、本件商標は、指定商品「植物成長調整剤類,肥料」について、継続して3年以上日本国内において商標権者等により使用した事実が存在しないので、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものであると主張している。
しかしながら、以下に詳述するように、本件商標権者は、上記指定商品について3年以内に日本国内において本件商標を使用しているので、請求人の主張は失当である。
2 本件商標は、標準的な書体の漢字で「愛菜花」と左横書きしてなるものであり、国際分類第7版の商品及び役務区分の第1類「植物成長調整剤類,肥料」を指定商品とするものである。
本件商標権者は、主に植物活性剤に本件商標を使用している。本件商標権者が販売等する植物活性剤は、家庭菜園等で使用するためのものであり、液体肥料が添加されている。使用方法は、植物活性剤を水で2000倍に希釈し、植物や土にかけて使用する。この植物活性剤は、液体肥料が添加されていることから、「植物成長調整剤類」及び「肥料」の両方に属するものである。
本件商標権者は、以下に示すように、本件商標が登録となって以後、継続して本件商標を指定商品に使用している。
3 乙第1号証は、本件商標権者が製造販売する商品「植物活性剤」のパンフレットである。
パンフレットには、中央に本件商標が付された商品の画像が掲載されており、商品のラベル及び商品の画像の下に本件商標「愛菜花」の文字がデザイン化された書体で記載されている。
また、パンフレットの2葉目には、植物活性剤「愛菜花」の文字が標準的な書体で記載されている。
このように、商品に関する広告に標章を付して展示し、または頒布する行為は、商標法第2条第3項第8号の標章の「使用」に該当する。
さらに、上記のように商品「植物活性剤」は、「植物成長調整剤類」及び「肥料」の両方に属するものであるので、本件商標権者は、上記指定商品について本件商標を使用しているといえる。
乙第2号証は、本件商標を付した商品の画像である。また、乙第3号証は、本件商標を付した商品を取引先が本件商標権者に納品したことを示す納品書の写しである。
これらの資料が示すように、本件商標権者は、現在まで継続して本件商標の指定商品である「植物成長調整剤類,肥料」について本件商標を使用している。
4 以上に詳述したように、本件商標権者は、本件商標を指定商品について継続して使用しているので、本件商標は、商標法第50条第1項に該当するものではなく、請求人の主張は失当であり、本件審判の請求理由は理由がない。
したがって、本件商標登録取消の請求は成り立たない。

第4 被請求人に対する審尋及び回答
1 審判長は、被請求人に対し、平成29年6月22日付けで、「当審が通知した平成29年5月17日付けの審理事項通知書における合議体の暫定的な見解及び請求人提出の同年3月13日付けの弁駁書の主張に対し、意見があれば述べられたい。」旨の審尋を行った。
2 上記審尋に対して、被請求人は、何ら回答していない。

第5 当審の判断
商標法第50条第2項は、同条第1項の審判請求があった場合は、その審判の請求の登録前3年以内(本件の場合は、平成25年11月16日から同28年11月15日までの間。以下「要証期間」という。)に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明するか、または、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしない限り、商標権者は、その商標登録の取消しを免れない旨定めている。
1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、商品広告パンフレットであるところ、1葉目のパンフレットには、中央部に商品容器の画像(その中央部には図案化された「愛菜花」の文字が付されている。)とその下部に大きく図案化された「愛菜花」の文字と「商品名/植物活性剤 愛菜花(あいさいか)」の文字及び「有限会社ナゴヤジャパン 名古屋市名東区一社2-55」の記載がある。
2葉目のパンフレットには、上半分は1葉目と同様の記載があり、その下半分は「有限会社ナゴヤジャパンが監督・運営する愛菜花農園の観葉植物・農作物にはすべて植物活性剤『愛菜花(右上に○Rの記号)』を使用」の記載及び「※プランター6個で計216本を収穫(2011年愛菜花第二農園)」の記載がある。
3葉目のパンフレットには、「[植物活性剤]」の文字と、「あいさいか」の振り仮名が付された下に大きく図案化された「愛菜花」の文字、「価格/3675円(税込)」、「有限会社ナゴヤジャパン 名古屋市名東区一社2-55」及び「NJ_2011_08 -001(1)」の記載がある。
(2)乙第2号証は、商品容器の写真の写しであるところ、その容器の表面に、大きく図案化された「愛菜花」、「ai・sai・ka」の文字と「[植物活性剤]」の文字の記載がある。
(3)乙第3号証は、エクシオン株式会社から本件商標権者宛て納品書の写しであるところ、上段の納品書は、日付「25年4月10日」、品名「愛菜花」、数量「1」、単価「サンプル」の記載、下段の納品書は、日付「26年9月24日」、品名「愛菜花」、数量「1」、単価「サンプル」の記載がある。
2 上記1で認定した事実によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証の商品広告パンフレットには、「植物活性剤」の文字、やや図案化された「愛菜花」及び「愛菜花(右上に○Rの記号)」の文字並びに本件商標権者の名称が記載されているが、そのパンフレットの作成日は明らかではない。なお、「2011年愛菜花第二農園」(2葉目)、「NJ_2011_08-001(1)」(3葉目)の記載があるものの、これが仮にパンフレットの印刷日等を表示するものであったとしても、2011年は要証期間外であり、要証期間にパンフレットが頒布された事実を証明することはできない。
(2)乙第2号証は、商品容器の写真の写しであるところ、当該容器の表面に、大きく図案化された「愛菜花」、「ai・sai・ka」の文字と「[植物活性剤]」の文字の記載があるものの、その写真の撮影日、撮影者、撮影場所等が不明であり、また、これが本件審判請求に係る指定商品として使用されたものであるかも不明である。
(3)乙第3号証は、「エクシオン株式会社」から本件商標権者宛ての納品書の写しであるところ、上段の納品書の日付けは要証期間外のものであり、下段の納品書は要証期間内のものであるものの、「品名」欄に「愛菜花」と記載されているが、これがいかなる商品であるか不明である。
また、サンプルが1個納品されたことのほか、本件商標権者が本件商標を付した商品の取引を行っているか確認することができない。
(4)上記について、前記第4のとおり、当審から被請求人に対し、審尋を行ったが、被請求人は何ら回答していない。
したがって、提出された証拠をもっては、本件商標が、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより、要証期間に、請求に係る商品のいずれかについて、商標法第2条第3項各号の使用行為がなされたものということができない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件請求に係る商品のいずれかについて、本件商標を使用していることを証明していないものであり、また、その使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-09-07 
結審通知日 2017-09-11 
審決日 2017-09-26 
出願番号 商願2000-69298(T2000-69298) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z01)
最終処分 成立  
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 原田 信彦
小松 里美
登録日 2001-06-29 
登録番号 商標登録第4486863号(T4486863) 
商標の称呼 アイサイカ、アイナカ、アイサイバナ、アイサイ 
代理人 特許業務法人岡田国際特許事務所 
代理人 伊藤 捷雄 

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