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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1333447 
異議申立番号 異議2017-900162 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-19 
確定日 2017-10-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5924184号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5924184号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5924184号商標(以下「本件商標」という。)は、「Chiharu Beauty labo」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年8月10日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同29年1月18日に登録査定され、同年2月17日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は次の(1)ないし(5)のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
また、申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、次の(1)、(3)及び(4)の商標であり、申立人が「ヘアカラー」について使用し著名な商標であるとするものである。
(1)登録第2220083号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 別掲1のとおり
指定商品 第3類「せっけん類(薬剤に属するものを除く),歯みがき,化粧品(薬剤に属するものを除く),香料類」
出願日 昭和62年5月29日
設定登録日 平成2年3月27日
(2)登録第5121780号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 「ビューティラボ」及び「BEAUTYLABO」の文字を二段に横書きしてなるもの
指定役務 第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
出願日 平成19年5月9日
設定登録日 平成20年3月21日
(3)登録第5371047号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」
出願日 平成21年3月16日
設定登録日 平成22年11月26日
(4)登録第5587435号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品 第3類「せっけん類,香料,薫料,化粧品,歯磨き,つけづめ,つけまつ毛」
出願日 平成25年1月17日
設定登録日 平成25年5月31日
(5)登録第5900838号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様 別掲4のとおり(音商標)
指定商品 第3類「せっけん類,香料,薫料,化粧品,歯磨き,つけづめ,つけまつ毛」
出願日 平成27年8月24日
設定登録日 平成28年11月25日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、「Chiharu Beauty labo」の標準文字からなるものであるが、その称呼が「チハルビューティラボ」といったように長い称呼となるものである。
このため、「チハル」と「ビューティラボ」に称呼上分離された場合、構成音数が圧倒的に長い引用商標の「ビューティラボ」の印象が需要者に強く残るものとなる。
しかも、後述するように著名で顕著な部分は、需要者により強く印象付けられ、「ビューティラボ」と簡略化して印象に残る可能性が大きい。
需要者としては、本件商標に接した場合、申立人の「ビューティラボ」のシリーズ商品と誤認する可能性が極めて大きいものである。
したがって、本件商標は、引用商標と称呼上類似するものである。
イ ところで、引用商標1、3及び4の「ビューティラボ」、「BEAUTYLABO」、「Beautylabo」は、「頭髪用化粧品」である「ヘアカラー」について使用されている申立人の著名な商標である。
この点については、特許情報プラットフォームの「日本国周知・著名商標検索」にも記載されており、特許庁で既に認定されているものと考える。
参考までに、その資料を提出するが、時期によってリニューアルしたロゴを使用していたこともあるので、既に消滅した商標も特許電子図書館の「日本国周知・著名商標検索」に記載されていた資料も提出する(甲7、甲8)。
異議申立書の書き方のガイドラインに、過度に多くの証拠を添付しないとあり、これらの資料のみでもよいと考えるが、念のため、審査例、異議決定、申立人のホームページ写し、名古屋商工会議所の証明書、ブランド認知度調査の証明書等も提出する(甲9?甲20)。
申立人としては、著名であることについては、更に膨大な資料を提出可能であるが、これらの資料のみに止めておく。
申立人は、このように「ビューティラボ」、「BEAUTYLABO」、「Beautylabo」を大々的に使用しており、「ヘアカラー」の業界最大手のメーカーの主要ブランドとして一定の市場占有率を保持しており、需要者に浸透しているものである。
申立人は、「ビューティラボ」、「BEAUTYLABO」、「Beautylabo」を著名にするため、長い年月にわたり、その時期に応じて有名な俳優をそれぞれ出演させる等、多額の費用を掛けて広告宣伝活動を行ってきたもので、その著名性は、主要な需要者層である20代前後の女性においては極めて高い認知率を示していることからも裏付けられる。
このような訳であるから、その著名性は特許庁においても認められているものである。
このため、「商標審査基準 第12版 第4条第1項第11号」(甲21)にも明示されているように、本件商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表示されていたり、観念上の繋がりがあっても、原則として著名商標である引用商標1、3及び4と類似するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標1、3及び4(以下、これらをまとめて「15号引用商標」という。)は、前述したように、申立人の商標として、広く一般に知られている著名な商標であるから、これと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
なお、本件商標が15号引用商標と仮に類似しないとしても、本件商標は、申立人の著名商標を一部に有する商標であり、「商標審査基準 第12版 第4条第1項第15号」(甲22)にも明示されているように、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
申立人は、15号引用商標を需要者に浸透させるために、新聞広告、雑誌広告、テレビ広告、放送番組の提供、インターネットでの広告、イベント・セミナーの開催、販売店・美容院等への販促活動等、多大な時間と費用をかけて各種の活動を長年にわたり行っている。
このように、多大な時間と費用をかけ、信用を蓄積してきた15号引用商標を一部に有する本件商標が使用されれば、申立人のシリーズ商品や申立人と組織的・経済的な関係を有する者の商品と混同されるおそれがあり、申立人がこれまで蓄積してきた信用や労力が無駄になり、今後の活動にも障害を及ぼすおそれが大きいものである。審理においては、この点を充分配慮して審理を行うよう求めるものである。
(3)むすび
前記したように、本件商標は、引用商標と類似するものであり、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
また、本件商標は、15号引用商標と商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものであり、商標法第4条第1項第15号に該当するものでもある。

4 当審の判断
(1)15号引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証によれば、次のとおりである。
(ア)特許情報プラットフォームの「日本国周知・著名商標検索」には、「ビューティラボ」が含まれる商標として、引用商標1が掲載されている(甲7)。
(イ)平成14年ないし平成26年において、「ビューティラボ」、「BEAUTYLABO」及び「Beautylabo」は、申立人が商品「ヘアカラー」などに使用し需要者の間に広く知られている商標である旨記載した異議決定や拒絶理由通知書がある(甲9?甲13)。
(ウ)フリー百科事典「ウィキペディア」の「ホーユー」及び「ビューティラボ」の項目には、「ビューティラボ」が1995年から発売されていることなどが記載されている(甲16、甲17)。
(エ)平成22年4月27日付け名古屋商工会議所(会頭)の証明書には、「ビューティラボ」及び「BEAUTYLABO」などが著名な商標である旨記載されている(甲19)。
(オ)平成22年4月16日付け株式会社日本マーケティングシステムズの証明には、2005年及び2007年ないし2009年における「ビューティラボ」の認知率が世代別に記載され、全体の認知率は2005年が46.1(%)、2007年が51.6(%)、2008年が53.9(%)、2009年が50.5(%)であることが記載されている(甲20)。
(カ)申立人の「Beautylabo」のウェブページには、ヘアカラーなどの商品とともに引用商標4と同一と認め得る商標が掲載されている(甲15)。
(キ)しかしながら、最近の、15号引用商標を使用した商品の売上高、シェア、認知度などを示す証左はない。
イ 上記アからすれば、申立人は商品「ヘアカラー」などについて、1995年から15号引用商標を使用していることが認められ、また、15号引用商標は本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品(ヘアカラーなど)を表示するものとして特に女性の需要者の間にある程度認識されているものとうかがい知ることができる。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり「Chiharu Beauty labo」の文字を標準文字で表してなり、その構成文字は、同書、同大でまとまりよく一体的に表され、これから生じる「チハルビューティラボ」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、その構成態様から「Chiharu」、「Beauty」及び「labo」の3語を結合してなるものと認識し得るものであって、「Chiharu」の語が人の名を欧文字表記したものと理解させるものであり、また「Beauty」の語が「美、美容」などの意味を、「labo」の語が「研究所、ラボラトリー」などの意味を表す我が国でも親しまれた語といえるものであるから、本件商標に接する需要者をして、かかる構成文字全体から施設などの名称として「チハル美容研究所」ほどの意味合いを認識させるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成態様、称呼に加え、全体として施設などの名称と認識させるものであることをあわせみれば、その構成文字全体が一体不可分のものというべきものである。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応し「チハルビューティラボ」のみの称呼を生じ、「チハル美容研究所」ほどの観念を生じるものといわなければならない。
イ 引用商標
(ア)引用商標1ないし4
引用商標1は別掲1のとおり、引用商標2は上記2(2)のとおり、いずれも「ビューティラボ」及び「BEAUTYLABO」の文字から、引用商標3は別掲2のとおり、「BEAUTY」、「LABO」及び「ビューティラボ」の文字から、並びに引用商標4は別掲3のとおり、「ビューティラボ」及び「Beautylabo」の文字から、それぞれなるものである。
そして、引用商標1ないし4は、いずれも各構成文字に相応して「ビューティラボ」の称呼を生じ、「美容研究所」ほどの観念を生じるものである。
(イ)引用商標5
引用商標5は、別掲4のとおりの音商標であり、コーラスによる「ビューティーラボ」の音声である。
そして、引用商標5は、その構成音に相応し、「ビューティーラボ」の称呼を生じ、「美容研究所」ほどの観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標と引用商標1ないし4の類否
本件商標と引用商標1ないし4の類否について、本件商標と、引用商標1ないし4の、いずれもそれ自体独立して自他商品識別標識として機能し得る「BEAUTYLABO」、「BEAUTY」と「LABO」、及び「Beautylabo」の欧文字部分を比較すると、両者は、外観において本件商標の語頭における「Chiharu」の文字の有無という明らかな差異を、称呼において語頭における「チハル」の音の有無という明らかな差異をそれぞれ有するから、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものである。
また、観念においては、前者が「チハル美容研究所」ほどの観念を生じ、後者が「美容研究所」ほどの観念を生じるものであるから、相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標1ないし4の欧文字部分とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似のものであって、別異のものといわなければならない。
してみれば、欧文字のみからなる本件商標と欧文字と片仮名とからなる引用商標1ないし4とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標といわなければならない。
(イ)本件商標と引用商標5の類否
本件商標と引用商標5の類否を検討すると、外観においては、後者が音商標であって外観を有しないものであるから、相紛れるおそれのないものである。
また、称呼においては、前者から生じる「チハルビューティラボ」の称呼と後者から生じる「ビューティーラボ」の称呼とは、語頭における「チハル」の音の有無という明らかな差異を有するから、相紛れるおそれのないものである。
さらに、観念においては、前者が「チハル美容研究所」ほどの観念を生じ、後者が「美容研究所」ほどの観念を生じるものであるから、相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標5とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標といわなければならない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、本件商標は、a)「チハル」と「ビューティラボ」に称呼上分離された場合、構成音数の多い「ビューティラボ」の印象が需要者に強く残る、b)著名で顕著な部分は需要者により強く印象づけられ「ビューティラボ」と簡略化して印象に残るから、引用商標と類似する旨主張している。
しかしながら、a)については、本件商標が「チハルビューティラボ」の一連の称呼のみを生じること上記アのとおりであり、かつ、本件商標が「チハル」と「ビューティラボ」に称呼上分離される場合があると認め得る証左はないから、かかる主張はその前提において理由がない。
また、b)については、本件商標は、上記アのとおり、全体として施設などの名称を認識させる一体不可分のものとして把握されるものであるから、仮に15号引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとしてもなお、その構成中「Beauty labo」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することは許されないものといわなければならない。
よって、申立人のかかる主張は採用することはできない。
なお、申立人は15号引用商標の周知性について膨大な資料の提出が可能である旨述べているが、上記のとおり、仮に15号引用商標の周知性が認められるとしてもなお、本件商標は全体が一体不可分のものとして類否判断すべきものであることから、その提出を求めないこととした。
(エ)小括
上記のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
その他、両商標が類似するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(2)のとおり本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、15号引用商標が、仮に申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとしても、本件商標は、これに接する取引者、需要者が15号引用商標を連想又は想起することはないものと判断するのが相当である。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして15号引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標1)

別掲2(引用商標3)

別掲3(引用商標4)

別掲4(引用商標5)
(1)

(2)商標法第5条第4項の物件
平成27年8月25日付け手続補足書で提出された光ディスクのとおり
※光ディスクの音声データは、J-PlatPat(特許情報プラットフォーム https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage)の「商標」→「1.商標番号照会」をクリック→「公告・登録・商標公報」欄に商標登録番号を入力し「照会」ボタンをクリック→「商標公報○○○(登録番号)」をクリック→「音声再生」をクリックすることで確認可能。

異議決定日 2017-09-29 
出願番号 商願2016-87504(T2016-87504) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W03)
T 1 651・ 262- Y (W03)
T 1 651・ 263- Y (W03)
T 1 651・ 271- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 小松 里美
松浦 裕紀子
登録日 2017-02-17 
登録番号 商標登録第5924184号(T5924184) 
権利者 株式会社千春ビューティーラボ
商標の称呼 チハルビューティラボ、チハル、ビューティラボ、ラボ 
代理人 名古屋国際特許業務法人 

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