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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W43 審判 全部申立て 登録を維持 W43 審判 全部申立て 登録を維持 W43 審判 全部申立て 登録を維持 W43 |
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管理番号 | 1333446 |
異議申立番号 | 異議2017-900160 |
総通号数 | 215 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-11-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-05-18 |
確定日 | 2017-10-13 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5932975号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5932975号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5932975号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成28年1月19日に登録出願、第43類「飲食物の提供,宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。),会議室の貸与,展示施設の貸与」を指定役務として、同29年2月16日に登録査定、同年3月17日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録第5638757号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成25年7月25日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。),会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,まくらの貸与,毛布の貸与,タオルの貸与」及び第44類「温泉施設その他の入浴施設の提供,美容,庭園又は花壇の手入れ,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,はり,温泉療法用施設の提供,栄養の指導,介護」を指定役務として、同年12月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第11号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第7号 ア 本件商標における「石原」の字体は、引用商標における「石原」の部分のみを切り出したことが明らかである。 引用商標は、故佐々木正夫氏の著作物である。すなわち、申立人の前代表者が1987年(昭和62年)4月に妙見石原荘の増改築を香川県の寒川登建築事務所に依頼した際、同事務所から佐々木正夫氏の紹介を受け、申立人の前代表者が同氏に直接依頼して、同氏が創作したものであり(甲5)、その創作の対価は、申立人の前代表者から同氏に全額支払われている。 イ 本件商標に係る審査の過程で平成28年7月12日に提出された意見書においては、「本願の漢字部分『石原』の書体は、本願出願人である代表取締役の実父が描いた書体を正当に引き継いだものであること付言致します。」(甲6)と記載されているが、上記アにおいて述べたとおり、引用商標は佐々木正夫氏の著作物であるため、当該記載は、明らかなる虚偽である。本件商標権者は、引用商標が著作物であることを分かっていながら、上記記載のとおり主張するのであれば、これは、詐欺行為により登録を受けた行為にも該当するおそれがあり、少なくとも氏名表示権の侵害行為である。 引用商標が佐々木正夫氏の著作物であることは、甲第5号証に記載のとおり、同氏の奥様に証明していただいたが、念のため、同氏の他の著作物として提出する甲第7号証を参照すれば、引用商標が同一の著作者により書かれた書であることが明らかである。 ウ 上記ア及びイによれば、本件商標における「石原」の文字は、明らかに同一性保持権に反しており、佐々木正夫氏の著作者人格権を侵害するものであり、また、氏名表示権も侵害している。 このように、著作者人格権に違反している、すなわち、他の法律に違反していることが明らかな本件商標は、公序良俗に違反する商標といえるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第11号 本件商標と引用商標とを対比すると、「石原」の文字部分が同一であり、その他は相違しているが、両商標で共通する当該「石原」の文字が、上記(1)のとおり、佐々木正夫氏の書の著作物であり、著作物は思想又は感情を創作的に表現したものである。 そうすると、たとえ、一部のみが同一であるとしても、その書の著作物における「思想又は感情」が共通しており、需要者に対して非常に強いインパクトを与えることから、本件商標と引用商標とは、類似すると判断するのが妥当である。 そして、本件商標に係る指定役務と引用商標に係る指定役務とは、同一又は類似するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人は、引用商標が故佐々木正夫氏の著作物であるとして、本件商標の構成中の「石原」の文字部分について、著作権法にいう同一性保持権、著作者人格権、氏名表示権を侵害する旨主張する。 しかしながら、申立人の主張に係る氏名表示権(著作権法第19条)及び同一性保持権(同法第20条)は、著作者人格権に包含されるものであり、また、著作者人格権は、著作者の一身専属的な権利であって、著作した者の死去により消滅しているというべきである。 そして、申立人が提出した甲各号証を総合してみても、本件商標権者が別掲1のとおりの構成からなる標章を商標として採択し、使用することが、直ちに故佐々木正夫氏の名誉又は声望を害する方法による著作物の利用に当たるものとはいえず、著作権法第60条に該当するものとも認められない。 また、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく、その構成自体がそのようなものではなくとも、それを指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものともいえない。 さらに、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当すると認めるに足る具体的事実も見いだすことができない。 その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足る証拠もない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、櫓のような構築物を表してなる図形と、その右方に筆書き風の書体により表された「石原」の文字を配してなるところ、当該図形と文字とは、視覚上、容易に分離して観察され得るものであり、また、両者の間に不可分の関係があるとみるべき特段の事情も認められない。 そうすると、本件商標は、その構成中、「小石のある平地」を意味する又は姓氏の一つとして認識される語である「石原」の文字部分が看者の注意を引きやすいとみるのが相当であり、当該文字部分から「イシハラ」の称呼を生じ、上記意味等に照応する観念を生じるものである。 イ 引用商標 引用商標は、別掲2のとおり、筆書き風の書体により表された「妙見石原荘」の文字(その構成中の「妙見」の文字部分は、「石原荘」の文字部分に比して、小さく、かつ、左斜め上方にずらして表されている。)からなるところ、その構成態様に照らせば、「妙見」の文字と「石原荘」の文字とを組み合わせてなるものと看取、理解される場合があるとはいい得るものの、構成全体が、同一の書体により、まとまりよく一体的に表されており、また、その文字全体から生じると認められる「ミョウケンイシハラソウ」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。 さらに、引用商標は、その構成全体から特定の観念を生じるものとは認められない。 そうすると、引用商標は、その構成全体をもって、まとまりある一体の商標として認識されるものであり、「ミョウケンイシハラソウ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標との対比 本件商標と引用商標とは、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるものであり、図形の有無のみならず、その文字構成においても明らかな差異があるから、外観上、相紛れるおそれはない。 また、本件商標から生じる「イシハラ」の称呼と引用商標から生じる「ミョウケンイシハラソウ」の称呼とは、音の構成及び数において明らかな差異があるから、両商標は、称呼上、相紛れるおそれはない。 さらに、本件商標は、上記アにおいて述べたとおりの観念を生じるものであるのに対し、引用商標は、特定の観念を生じないものであるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはない。 なお、申立人は、引用商標の構成中の「石原」の文字部分が本件商標の構成中の「石原」の文字部分と同一であることをもって、両商標は類似する旨主張するが、引用商標は、上記イのとおり、その構成全体をもって、まとまりある一体の商標として認識されるものであり、その構成中の「石原」の文字部分のみが看者の注意を強く引くものではないから、申立人による上記主張は、採用できない。 エ 小括 上記ウによれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
(別掲) 1 本件商標(登録第5932975号商標) 2 引用商標(登録第5638757号商標) |
異議決定日 | 2017-10-02 |
出願番号 | 商願2016-5230(T2016-5230) |
審決分類 |
T
1
651・
263-
Y
(W43)
T 1 651・ 261- Y (W43) T 1 651・ 22- Y (W43) T 1 651・ 262- Y (W43) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 佐藤 緋呂子、旦 克昌 |
特許庁審判長 |
半田 正人 |
特許庁審判官 |
尾茂 康雄 田中 敬規 |
登録日 | 2017-03-17 |
登録番号 | 商標登録第5932975号(T5932975) |
権利者 | 石原興業株式会社 |
商標の称呼 | イシハラ |
代理人 | 井澤 幹 |
代理人 | 井澤 洵 |
代理人 | 古岩 信嗣 |
代理人 | 茂木 康彦 |