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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1333420 
異議申立番号 異議2017-900110 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-04-05 
確定日 2017-10-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第5910607号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5910607号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5910607号商標(以下「本件商標」という。)は、「BOSCH superior edition」の文字を標準文字で表してなり、平成28年4月4日に登録出願、第35類に属する別掲のとおりの役務を指定役務として、同年11月18日に登録査定、同29年1月6日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は以下のとおりである。
(1)登録第1998574号商標は、ゴシック活字で表した「BOSCH」の文字を横書きしてなり、昭和59年5月23日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同62年11月20日に設定登録され、その後、平成9年9月2日及び同19年11月27日に商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、同20年9月24日に、指定商品を第6類、第7類、第9類、第11類及び第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。
(2)国際登録第942823号商標は、ゴシック活字風に表した「BOSCH」の文字を横書きしてなり、2007年(平成19年)10月16日に国際登録、第7類、第9類及び第11類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年11月13日に日本国において設定登録されたものである。
(上記登録商標をまとめて、以下「引用商標」という。)

3 登録異議申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 商標の類似性
本件商標は、構成各語の間に1文字程度の空白があり、かつ、大文字と小文字の相違があるから、外観上「BOSCH」、「superior」、「edition」に分割される。また、「BOSCH」は、人名であるが、日本人には馴染みがない。一方、「superior」は「上級の」などの意味を、「edition」は「版」の意味を有するいずれも平易な英単語であるから、「BOSCH」の文字との間には、識別力の点において顕著な差異がある。さらに、本件商標より生ずる称呼は冗長である。
したがって、本件商標に接する取引者・需要者は、「BOSCH」に着目して取引に当たるとするのが相当であるから、本件商標は、これより「ボッシュ」の称呼をも生ずる。
引用商標は、その構成文字より、「ボッシュ」の称呼を生ずる。
以上によると、本件商標中の「BOSCH」の部分は、引用商標と外観上同一である。また、両商標は、「ボッシュ」の称呼を共通にし、引用商標の著名性を考慮すると、「著名な工具メーカーである申立人」の観念において類似する。
したがって、本件商標と引用商標の類似性は、極めて高い。
イ 引用商標の周知著名性及び独創性の程度
申立人は、1886年11月15日に、シュトットガルトにおいて「精密機械と電気技術作業場」としてスタートし、当初は自動車部品を主な商品として事業展開していた。その後、ドイツの加熱装置メーカーを買収し、1932年にはハンマードリルを発表する等、事業分野を拡張した。申立人は、電子制御式アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)を世界に初めて発表した。現在、申立人グループは、全世界で従業員数375,000人、2015年度の売上高は全世界で706億ユーロを計上し、世界約60ヶ国で440社を越える現地法人を抱えるグローバル企業に発展した(甲8)。そして、申立人は、その製品全てに引用商標を使用している。
さらに、申立人の業務に係る自動車部品や各種電動工具は、高い著名性を得ており(甲9?甲14)、同種商品のランキングの中で常に上位に紹介され(甲15?甲17)、その信頼性の高さは、中古市場で高値で取引されていることからも見て取れる(甲18、甲19)。
したがって、引用商標は、各種「電動工具」について少なくとも本件商標の出願時において我が国で著名な商標として取引者・需要者に認識されていた。
なお、引用商標は、申立人の創業者の名前に由来するが、我が国では「BOSCH」なる人名が一般的とはいえず、かつ、本件商標の指定役務や引用商標の指定商品との関係で、その内容を表す語でないことを考慮すれば、その独創性は否定されるべきものではない。
ウ 指定商品・役務の関連性及び需要者の共通性並びに需要者の注意力の程度
本件商標の指定役務中の被服の小売等役務における「被服」には「作業服」が含まれ(甲20)、また、かばん類及び袋物の小売等役務における「かばん類及び袋物」には「工具袋」が含まれる(甲21)。そして、「作業服の小売」や「工具袋の小売」を行なう店舗では、「電動工具」が同時に販売されている事実がある(甲22?甲25)。さらに、昨今、「自分で家具等のインテリアを自作する女子のこと」を「DIY(日曜大工の意)女子」と呼ぶように、日曜大工は広く若い女性にも人気となりつつあり(甲26?甲28)、こうした若い女性が本件商標の指定役務の需要者層に含まれることは明らかである。
このように、本件商標の指定役務と引用商標が使用される商品は、同一の事業者により同一の場所で商品の販売と役務の提供が行なわれ、需要者も一致するから極めて深い関連性を有する。そして、上記のような需要者が必ずしも極めて高度な注意を払って取引に臨むと考えなければならない必然性は存在しない。
エ その他の考慮すべき取引の実情
申立人は、東京渋谷で「カフェ」を経営したり(甲30)、前記「電動工具」に様々なアタッチメントを用意し、これを「ペッパーミル」や「コルク抜き」としても活用できるようにする等、様々な事業分野に進出している(甲31、甲32)。
オ 以上を総合すれば、本件商標がその指定役務に使用された場合には、該役務が申立人又はこれと何らかの関係を有する者の提供する役務であるかの如く、商品・役務又は営業上の出所混同を生じるおそれがあるものといわねばならない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の著名性
ア 申立人の主張及び提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)申立人の日本法人のウェブサイト(掲載年月日は不明:甲8)には、ボッシュ・グループは、申立人とその子会社約440社からなり、「グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディングカンパニーである」こと、その従業員が約375,000人(2015年12月31日現在)であり、2015年度の売上高は706億ユーロであること、事業は、「モビリティソリューションズ、産業機器テクノロジー、消費財、およびエネルギー・建築関連テクノロジーの4事業セクター制で運営し」、世界60カ国で展開していること、「ボッシュの起源は、1886年に創業者ロバート・ボッシュがシュトゥットガルトに設立した『精密機械と電気技術作業場』に遡る」こと、などが記載されている。
(イ)2016年10月14日付け「日刊住まい」のサイト(甲9)には、「DIYで使うのはもったいない!?bosch『スワロフスキー付』電動ドライバーがもらえちゃう」、「DIY好きなら、知らない人は居ない『bosch(ボッシュ)』」などと記載されている。
(ウ)2015年12月30日付け「CHANGE MAKERS」のサイト(甲10)には、「BOSCHといえば、自動車機器や産業用機器、電動工具などのメーカーとして有名で、モノづくりドイツの象徴的な企業として有名です。・・ボッシュといえば、先日のフォルクスワーゲンの不正ソフト問題で名前が挙がったように、自動車機器や自動車部品を作るメーカーとして名高いです。・・また工事現場などで利用されるプロ向けの電動工具やDIYで使う家庭用電動工具なども手掛けており、インパクトドライパやグラインダ、破つりハンマーなども高品質な製品が展開されています。」と記載されている。
(エ)「電動ドライバーの種類と選び方|DIYの道具」のサイト(2012年5月6日掲載:甲11)には、「BOSCH」の表示の下、「ボッシュ(BOSCH)はドイツにある世界的な電動工具メーカーです。・・『使いやすさ』『安全性』を第一に考えた製品は多くのクラフトマンに愛用されており、その性能・品質は高い評価を受けています。」などと記載され、申立人の商品が紹介されている。
(オ)「電動工具 高価買取専門店/トライアル」のサイト(2016年6月27日掲載:甲12)の「電動工具のおすすめメーカー比較一覧」のページには、他社製品に関する情報とともに、申立人の製品に関する情報として、前記(エ)と同様の記載が認められる。
(カ)「2016年DIY FACTORY人気アイテムランキング?電動工具編?」(2016年12月26日更新、DIY FACTORY COLUMN編集部:甲15)には、「DIY FACTORYオンラインショップ&東京・大阪の実店舗の販売データを集計した、DIYerに人気のアイテムをランキング形式で紹介します。」と記載され、電動工具を「ドリルドライバー」、「インパクトドライバー」、「サンダー」、「ジグソー」の部門に分け、それぞれ部門において第1位から第5位までの商品が紹介されているところ、「ドリルドライバー」部門では「ボッシュ バッテリードライバー IXO5」が第1位に、「インパクトドライバー」部門では「ボッシュ バッテリーインパクトドライバー(商品記号を省略、以下同じ。)」が第4位に、「サンダー」部門では「ボッシュ 吸じんオービタルサンダー」が第2位及び「ボッシュ 吸じんマルチサンダー」が第4位に、「ジグソー」部門では「ボッシュ ジグソー」が第4位に、それぞれランキングされた。
(キ)「工具・電動工具買取サイト/工具男子」のサイト(掲載年月日は不明:甲18)の「ボッシュ豆知識」のページには、「【ボッシュの電動工具の歴史】ボッシュの電動工具メーカーとしての歴史は1928年のバリカンの販売からスタートしました。その4年後の1932年には世界初となるハンマードリルを開発したのを皮切りに、次々と革新的な電動工具類の開発に挑み、1981年には2Kgクラスの世界最軽量ハンマードリルの開発に成功しています。なおこの軽量ハンマードリルは1998年に生産累計1000万台を達成しています。また2012年には世界初のリチウムイオン使用のコードレスドライバー〈IXO〉が、世界で最も売れている電動工具として、生産類型(審決注:原文のまま)が発売10年で1200万台を突破しました。」と記載されている。
(ク)「金曜大工」のサイト(2015年6月30日掲載:甲31)の「メーカーインタビュー『道具の遺伝子』Vol.1ボッシュ」には、「・・自動車部品、家電、工具のメーカーであるボッシュ。60カ国以上に展開しており、工具メーカーとしては、世界シェアナンバーワンです。」、「ボッシュの電動工具は世界でトップシェアを誇り、一秒に一台売れている。中でも、今最も売れているのが、『IXO』だ。」、「『IXO』シリーズは、わずか300gの超小型バッテリードライバー。2003年発売から累計3,000万台を出荷している大ヒット商品だ。」、「ヨーロッパでは、電動工具のない家の方が珍しい。一方、日本の電動工具の普及率は5%程度だ。・・そこでボッシュは、『電動工具だけれど電動工具ではない使い方ができる』という交換パーツを提案している。」などと記載されている。
イ 前記アで認定した事実によれば、申立人は、1886年にドイツで設立された自動車機器や自動車部品の製造販売を主たる業務とする企業であり、電動工具に関しては、1900年代の前半より革新的な商品の開発を行い、高性能の商品の販売活動を世界の多くの国で展開し、2015年(平成27年)6月の時点において、世界でトップシェアを誇っていること、また、2016年(平成28年)のDIY FACTORYオンラインショップと東京及び大阪の実店舗の販売データを集計した電動工具の売れ筋ランキングによれば、申立人の電動工具が各部門で5位以内にランキングされていること、などを認めることができる。
一方、我が国においては、昭和50年代前後より、日曜大工が流行し始め、その道具を取り扱う専門店ができたことや日曜大工を意味する「DIY(do-it-yourself)」の言葉が使われ始めたことなどに伴い、家庭用電動工具が日曜大工愛好家の間にも普及したと推測することができ、このような実情に、上記申立人の業務に係る電動工具の品質の高さ故に日曜大工愛好家の間に人気の商品となっていること等を併せ考慮すると、本件商標の登録出願日(平成28年4月4日)及び登録査定日(平成28年11月18日)の時点において、引用商標は、申立人の業務に係る商品「電動工具」を表示するものとして、我が国の電動工具を取り扱う分野の取引者・需要者の間において、一定程度の周知性を獲得していたものと推認することができる。
しかし、申立人ないしその日本法人が、その業務に係る電動工具について、本件商標の登録出願日前より登録査定日に至るまで、自ら積極的に宣伝広告をした事実を明らかにする証拠は極めて少なく、また、当該商品の日本における販売数量、売上高、シェア等も明らかではない。さらに、2015年(平成27年)6月頃の時点において、日本における家庭用電動工具の普及率は5%程度であること(甲31)を併せ考慮すると、引用商標が、我が国の一般的な取引者・需要者の間において広く認識されていたものとまでは認めることができず、その著名性が高いものであったとはいえない。
(2)本件商標と引用商標との類似性
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「BOSCH superior edition」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、該文字は、全体的に字数が多く、また、構成中の「BOSCH」、「superior」、「edition」の各文字部分の間には、1文字程度の間隔があり、加えて、「BOSCH」の文字部分は大文字で表され、他の「superior」及び「edition」の各文字部分は小文字で表されているものであるから、本件商標に接する取引者・需要者は、語頭部に位置する「BOSCH」の文字部分に強く印象付けられるといえる。また、本件商標全体から生ずると認められる「ボッシュスーペリアエディション」の称呼も11音と冗長にわたるものである。さらに、「BOSCH」の文字は、主にドイツ語圏において人名を表すものであることが認められるものの(甲5)、我が国においては、馴染みがなく、特定の語義を有しない造語を表したと理解されるものといえる。これに対し、「superior」の文字は「上級の、優れた」などの意味を有し、「edition」の文字は「版」などの意味を有する英単語として、いずれも我が国においても知られているものということができるから、本件商標は、構成全体をもって親しまれた熟語的な意味合いが生ずるものではない。
してみると、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、これを構成する文字全体を常に一体のものとして把握、認識しなければならない特段の理由は見いだせない。そうとすれば、本件商標に接する需要者は、前記のとおり、語頭部に位置し、外観上強く印象付けられる「BOSCH」の文字部分のみを捉えて、役務の取引に当たる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、構成する文字全体を称呼した場合の「ボッシュスーペリアエディション」の称呼のほか、「BOSCH」の文字部分より、単に「ボッシュ」の称呼をも生ずるものであって、特段の観念を有しない造語よりなるものと認めることができる。
イ 引用商標
引用商標は、いずれも「BOSCH」の文字を横書きしてなるものであるから、これより、「ボッシュ」の称呼を生ずるものであって、特段の観念を有しない造語よりなるものと認める。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)外観
本件商標中の「BOSCH」の文字部分は、他の文字部分より独立して把握・認識されるものであって、引用商標とは、同一の綴り字よりなるものであるから、本件商標は、引用商標に外観上類似するものといえる。
(イ)称呼
本件商標より生ずる「ボッシュ」の称呼は、引用商標より生ずる「ボッシュ」の称呼と同一である。
(ウ)観念
本件商標と引用商標は、いずれも特段の観念を有しない造語よりなるものであるから、観念においては比較することができない。
エ 以上によれば、本件商標と引用商標は、観念において比較することができないものの、外観において類似し、かつ、称呼を同じくする類似性の高い商標というべきである。
(3)本件商標の指定役務と引用商標が使用される「電動工具」との関連性及び需要者の共通性
ア 本件商標の指定役務は、第35類に属する別掲のとおりの役務(以下「本件役務」という。)であって、その主たる需要者は、小売等役務については、一般の小売店や一般の消費者であり、それ以外の役務は、様々な企業であるといえる。
一方、引用商標が一定程度の周知性を獲得している商品は、「電動工具」(以下「引用商品」という場合がある。)であり、その主たる需要者は、建設ないし建築業者、日曜大工愛好家などといえる。
そうすると、本件役務が一般の消費者を需要者とする役務を含むという点において、引用商品の需要者と共通する場合があるといえる。しかし、本件役務と引用商品とは、役務の提供と商品の製造販売が同一の事業者によって行われるのが一般的であるとはいえないばかりか、取引の対象、形態、流通経路等において全く異なるものといえるから、両者の間に、関連性を認めることはできない。
イ この点に関し、申立人は、本件役務に含まれる「作業服の小売」や「工具袋の小売」を行なう店舗では、「電動工具」が同時に販売されている事実があり(甲22?甲25)、さらに、日曜大工は若い女性にも人気となりつつある(甲26?甲28)から、本件役務の需要者と引用商品の需要者は共通する場合があり、本件役務と引用商品とは高い関連性を有する旨主張する。
しかし、前記のとおり、本件役務の提供と引用商品の製造販売が同一の事業者によって行われるのが一般的であるとはいえず、また、本件役務と引用商品は、取引の対象、形態、流通経路等において全く異なるものであることからすれば、本件役務と引用商品とは関連性が極めて低いというべきである。さらに、申立人の上記主張に関していえば、本件役務中の被服の小売等役務における役務提供の対象物である被服には、膨大な種類の商品が市場に流通しており、作業服は、そのうちのごく一部の商品であるから、作業服の小売と引用商品とが同一店舗で提供又は販売されている場合があるとしても、その事実をもって、被服全般の小売等役務、ひいては本件役務と引用商品とが高い関連性を有するものとは直ちに認めることはできない。このことは、かばん類及び袋物の小売等役務と引用商品との関係についても同様といえる。付言すれば、甲第22号証ないし甲第25号証は、いずれも掲載年月日が明らかではなく、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、これらの証拠に記載の事実が行われていたと認定することはできない。
また、申立人は、甲第26号証ないし甲第28号証を提出し、本件役務と引用商品の需要者が若い女性である点において共通する旨主張するが、前記認定のとおり、本件役務が一般の消費者を需要者とする役務を含むという点において、引用商品の需要者と共通する場合があるから、本件役務と引用商品の需要者をことさらに若い女性に限定して論ずる必要性はないといえる。そして、本件役務と引用商品は、その需要者を共通にする場合があるとしても、上記のとおり、関連性は極めて低いというべきである。
したがって、申立人の上記主張は、いずれも理由がない。
(4)混同のおそれ
以上(1)から(3)を総合すると、引用商標は、申立人の業務に係る商品「電動工具」を表示するものとして、我が国の電動工具を取り扱う分野の取引者・需要者の間においては、一定程度知られていたものと推認することができるが、その周知性の範囲は、取引の対象、形態、流通経路等において明確に異なる本件役務の分野にまで及ぶものと認めることはできない。
してみると、本件商標と引用商標との類似性が高く、かつ、両商標が使用される役務・商品の需要者を一部共通にする場合があることを考慮しても、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、これに接する取引者・需要者をして、該役務が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認めることができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないものと認める。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
本件商標に係る指定役務
第35類「広告業,インターネット上の広告用スペースの提供,トレーディングスタンプの発行,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,貴金属製の身飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身飾品の小売又は卸売の業務において行なわれる顧客に対する便益の提供,その他の身の回り品(つけづめ・つけまつ毛・ひげそり用具入れ・ペディキュアセット・まつ毛カール器・マニキュアセット・耳かき・携帯用化粧道具入れ・懐中鏡・鏡袋・化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)・つけあごひげ・つけ口ひげ・ヘアカーラー(電気式のものを除く。)を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝石箱の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

異議決定日 2017-09-21 
出願番号 商願2016-38195(T2016-38195) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 松江 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官
大森 友子
酒井 福造
登録日 2017-01-06 
登録番号 商標登録第5910607号(T5910607) 
権利者 株式会社東京スタイル
商標の称呼 ボッシュスーペリアエディション、ボッシュシューペリアエディション、ボッシュスペリオールエディション、ボッシュ、スーペリアエディション、シューペリアエディション、スペリオールエディション、スーペリア、シューペリア、スペリオール、エディション 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 山崎 和香子 

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