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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W24 審判 全部申立て 登録を維持 W24 審判 全部申立て 登録を維持 W24 審判 全部申立て 登録を維持 W24 審判 全部申立て 登録を維持 W24 審判 全部申立て 登録を維持 W24 |
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管理番号 | 1333415 |
異議申立番号 | 異議2016-900031 |
総通号数 | 215 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-11-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-02-08 |
確定日 | 2017-07-14 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5804817号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5804817号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5804817号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成27年1月9日に登録出願,同年9月28日に登録査定,第24類「布地,生地,織物製タオル,バスタオル,織物製ハンカチ,掛け布団,ベッドカバー,ベッド用リネン製品,ベッド用毛布,まくらカバー,羽毛掛け布団,ダウンを使用した布団,羽毛布団,羽根掛け布団(寝具類),織物製又はプラスチック製のカーテン,家具用織物製カバー」を指定商品として,同年11月6日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 商標異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立てにおいて引用する商標は,以下の3件であり,商願2014-91596号を除き,いずれも商標権も現に有効に存続しているものである(以下,これら3件をまとめていうときは「引用商標」という。)。 1 登録第2037882号商標(以下「引用商標1」という。)は,「THE SNOWMAN」の欧文字を書してなり,昭和61年2月19日に登録出願,第19類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同63年4月26日に設定登録されたものであり,その後,2回にわたり,商標権の存続期間の更新登録がされ,また,平成20年8月13日に指定商品を第24類「織物製テーブルナプキン,ふきん,シャワーカーテン,のぼり及び旗(紙製のものを除く。),織物製トイレットシートカバー」のほか第4類,第6類,第8類,第11類,第16類,第18類,第20類,第21類,第26類ないし第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。 2 登録第2707124号商標(以下「引用商標2」という。)は,「RAYMOND BRIGGS’ THE SNOWMAN」の欧文字を書してなり,昭和62年5月22日に登録出願,第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,平成7年5月31日に設定登録されたものであり,その後,商標権の存続期間の更新登録がされ,また,同17年12月14日に指定商品を第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」のほか第16類,第20類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。 3 商願2014-91596号商標(以下「引用商標3」という。)は,「THE SNOWMAN AND THE SNOWDOG」の欧文字を標準文字で表してなり,第24類「ベッドカバー及びテーブルカバー,布地,カーテン,ベッド掛け及びテーブル掛け,タオル,布地,フランネル生地,浴用手袋,顔ふきタオル,敷布,毛布,羽毛布団カバー,まくらカバー,テーブルマット,ふきん,織物製コースター,織物製テーブルナプキン,織物製壁掛け,家具カバー,タペストリー,タペストリー用又は刺しゅう用布,ベッド用掛け布団,掛け布団,布団,布団カバー,クッションカバー,羽根掛け布団,織物製ハンカチ,マットレスカバー,織物製窓掛け,長枕カバー,飾りカーテン,布団,特大のバスタオル」のほか第3類,第5類,第6類,第8類,第9類,第11類,第16類,第20類,第21類,第25類,第28類,第35類及び第41類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成26年10月30日に登録出願されたものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標について,商標法第4条第1項第10号,同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第110号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 「The Snowman」の周知著名性 (1)絵本作品及びアニメーション作品について 絵本作品である「The Snowman」は,昭和53年にレイモンド・ブリッグズにより制作され,日本を含め,世界60か国で出版された。 日本においては,昭和53年に,評論社から初版が発行され(以下,日本において販売された「The Snowman」の絵本作品を「本件作品」という。),平成24年には,その続編である「The Snowman and The Snowdog」が出版された。 本件作品は,昭和53年から現在までの間に,日本において,23万5700部を超える売上を記録した人気絵本作品である(甲5)。 本件作品は,昭和57年に,同名でアニメーション化がされ,日本では,昭和62年に,同アニメーション作品のビデオテープが販売され,その後,DVD版及びブルーレイディスク版も販売されている。 そして,同アニメーション作品は,現在までに,NHKで50回以上にわたって放映され,また,ほぼ毎年クリスマスシーズンに放映されており,クリスマスの風物詩として定着している(甲5?甲7)。 (2)「The Snowman」の展覧会の開催 本件作品に関しては,大丸心斎橋店(平成25年12月18日?同26年1月6日),三菱地所アルティアム(平成26年7月31日?同年8月31日)及び大丸札幌店(平成26年12月20日?同27年1月4日)において,「スノーマンの世界展」が開催された(甲8?甲10)。 三菱地所アルティアムにおける世界展については,西日本新聞等の新聞,雑誌フリーペーパー等で広告,記事が掲載され,NHK及びTNCテレビ西日本のニュース番組で開催状況について報道が行われた(甲11)。 また,銀座松屋(平成27年12月9日?同年12月28日)において「絵本原画からアニメまで スノーマン展」が開催され,地下鉄通路沿いのショーウィンドーで本件作品のキャラクターであるSnowmanのイラストや同「スノーマン展」の広告を掲載し,同展覧会の開催は,新聞・雑誌及びウェブサイトにおいて紹介され,フリーペーパーにも掲載されるなど広告活動が行われた(甲13?甲78)。 さらに,代官山アドレス・ディセ(平成25年11月15日?同年12月25日)において,「The Snowman Fair」が開催され,Snowmanギャラリーや作品の閲覧コーナーが設置されたほか,Snowmanのグッズやアイテムの展示,芸能人によるトークショーの開催及びテレビ放映も行われた(甲79)。 このように,「The Snowman」は,出版から30年以上が経過した今でも,日本を代表するメディアの主催で展覧会が頻繁に開かれ,また,「スノーマン展」といった展覧会の名称からも,日本において「スノーマン」といえば,ほとんどの人が「The Snowman」の作品とそのキャラクターを想起するほど,「Snowman」は日本に定着している。 (3)Snowmanグッズの販売等 ア 申立人によるライセンスの状況 申立人は,昭和62年頃より,本件作品に関する「The Snowman」の商標等を使用した商品(以下「Snowmanグッズ」という。)のライセンス事業を日本においても開始した。 申立人は,英国法人コピーライツ社(以下「コピーライツ社」という。)に対し,世界中の本件作品の商標権や著作権といった権利の管理を委託して,コピーライツ社がサブライセンシーに対するライセンスの付与,ライセンスの管理を行っている。 そして,日本では,コピーライツ社は,株式会社スタイリングライフ・ホールディングス(以下「スタイリングライフ社」という。)との間で,本件作品の商標権及び著作権に関する使用許諾契約を締結し,日本国内において,申立人の有する引用商標1を含む本件作品の商標権をライセンスすることを許諾している。 現在,スタイリングライフ社を通じたライセンス先は,28社にも及び,その中には,販売商品をタオル,ハンカチ等の本件商標の指定商品と同一の商品についてライセンス契約を締結しているものも存在するほか,ブランケット,衣料品,クッション,かばん,ポーチ,食器,文房具,時計,ぬいぐるみ,玩具,キーホルダー,食料品,デジタルコンテンツ等の様々な種類の商品の販売に及んでいる(甲80)。 イ Snowmanグッズの販売について (ア)Snowmanグッズの売上 日本における申立人のSnowmanグッズによるロイヤリティー収入は,昭和62年から現在まで合計約7億1500万円にも及ぶ。 そして,日本におけるライセンシーからのロイヤリティー収入は,その多くが小売価格の3%から5%であることから,仮に小売価格の5%がロイヤリティー収入であるとした場合,日本におけるSnowmanグッズの売上高は,約140億円近くにも上る(甲5)。 (イ)Snowmanグッズの販売 Snowmanグッズは,スタイリングライフ社の経営するPLAZAストアで主に販売が行われている(甲81の1?5)。PLAZAストアは,オンラインショップ2店舗を含め,全国で133店舗を有する全国規模のチェーン店である。 ライセンシー先の企業においては,「The Snowman」のロゴを用いたブランケットなどの商品を販売しており(甲82),ライセンシー先のタオルの製造・販売を行う企業においても,「The Snowman」のロゴを用いたタオルの販売が数多く行われている(甲83)。 また,他のライセンシーを通じて,ハンカチ,ぬいぐるみ,文房具,陶器,食器,菓子,デジタルコンテンツ等その商品は多岐にわたり,数多くのSnowmanグッズが販売されている(甲84?甲94)。 平成26年東京ギフトショーでは,「The Snowman」グッズの出展ブースが設けられるなど,展示会での販売もなされた(甲95)。 このように,Snowmanの各種商品には,本件作品の原題である「The Snowman」が多く使用され,タオル類といった商品のほか,本件商標が指定商品としている寝具に関連する商品,その他衣料品,玩具,雑貨類,菓子,デジタルコンテンツにも多く使用され,販売されている。 また,多くのSnowmanの商品には,「The Snowman」のロゴが使用されているところ,商品上に記載する際,「The」と「Snowman」を2段に分けて記載し,「The」を「Snowman」より小さく記載し,需要者が「Snowman」の部分に着目するようデザインされているものが少なくない。 これは,日本において「Snowman」といえば,本件作品とそのキャラクターを指すことが定着しているからである。 (ウ)展覧会におけるSnowmanグッズの販売 上記1(2)の大丸心斎橋,大丸札幌店で開催された「スノーマンの世界展」の展覧会場及び銀座松屋で開催された「スノーマン展」においては,併設されたお土産売り場で,Snowmanグッズが販売され,ハンカチ等のファブリック製品の他,雑貨類,玩具,菓子等の様々なグッズが店頭に並んだ(甲8,甲10,甲12)。 (エ)Snowmanを用いたプロモーション Snowmanグッズの販売の他,日本における人気に着目し,平成元年ころより,Snowmanを用いた商品やサービスの宣伝活動が行われ,平成17年12月及び同18年12月には,全国のケンタッキーフライドチキン店舗で,Snowmanのマグカップやハンドタオル,ブランケット等のグッズ付商品を販売するキャンペーンが行われた(甲96,甲97)。 (4)まとめ 日本における上記実情に照らせば,「The Snowman」の商標は,本件作品及びそのキャラクターのSnowmanを指すものとして,需要者において著名であることは明らかである。 そして,日本においては,広告や記事等においても本件作品又はそのキャラクターを示す語として「Smowman」との表記が用いられていることから,需要者において,本件作品の原題である「The Snowman」に加え,「Snowman」の語が,本件作品又は本件作品のキャラクターを指称するものとして著名であるといえる。 2 商標法第4条第1項第10号について (1)「The Snowman」の文字の著名性 引用商標1並びに本件作品及び本件作品のキャラクターを示す「The Snowman」は,上記1のとおり,需要者の間で著名な商標である。 (2)商標の同一性,類似性 ア 本件商標 本件商標の構成中の漢字表記自体は,有意な熟語として認識できないが,一方,下段に記載されている欧文字の「SNOWMAN」は,雪だるま,雪男といった親しみやすい平易な英単語であることから,本件商標に接した需要者は,本件商標のうち欧文字部分である「SNOWMAN」のみを認識するといえ,本件商標の要部は,「SNOWMAN」である。 この本件商標の要部である「SNOWMAN」の部分からは,「スノーマン」の称呼を生じ,「雪だるま,雪男」の観念を生じるほか,「Snowman」が著名であるから,「本件作品または本件作品のキャラクター」の観念を生じる。 イ 引用商標1及び「The Snowman」の文字 引用商標1及び「The Snowman」の文字は,日本において「Snowman」が本件作品を示す語として著名であることから,需要者は,「SNOWMAN」及び「Snowman」の文字部分に着目し,「スノーマン」との称呼を生じ,「雪だるま,雪男」といった観念のほか,「本件作品やそのキャラクター」についての観念を生じる。 したがって,引用商標1及び「The Snowman」の文字は,本件商標と称呼と観念を共通にする類似の商標である。 ウ 商品の同一性,類似性 本件商標の指定商品は,上記第1のとおりである。 引用商標及び「The Snowman」の文字は,実際の取引においては,本件商標の指定商品及び引用商標1の指定商品,すなわち,インテリア雑貨のうち,ファブリック製品について使用されている。 そして,これらの商品は,製造者が共通し,また,販売の場面においても,インテリア雑貨,日常雑貨として,同じ店舗や同一の通販サイト等で取扱われていることが通常である(甲98?甲110)。 したがって,本件商標の指定商品と引用商標1及び「The Snowman」の文字の使用商品は,類似の商品といえる。 (3)したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。 3 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標と引用商標の類似性 ア 本件商標と引用商標1とは,上記2(2)のとおり,称呼及び観念を共通する類似の商標といえる。 イ 引用商標2は,「RAYMOND BRIGGS’ THE SNOWMAN」の欧文字を書してなり,「レイモンドブリッグズザスノーマン」と16音からなる長い商標であり,簡易迅速性を重んずる取引の実際においては,その一部分だけによって簡略に表記ないし称呼されることが容易に想定される。 また,引用商標2は,著名な作品である本件作品「The Snowman」と同じ「THE SNOWMAN」の語を含んでいることから,引用商標2に触れた需要者は,「THE SNOWMAN」の部分,とりわけ,定冠詞で意味内容を持たない「THE」に続く「SNOWMAN」の語に着目して,取引にあたるといえる。 したがって,引用商標2は,「スノーマン」との称呼をも生じ,「雪だるま,雪男」の観念のほか「本件作品やそのキャラクター」の観念を生じる。 以上より,本件商標と引用商標2とは,称呼及び観念を共通する類似の商標である。 ウ 引用商標3は,「THE SNOWMAN AND THE SNOWDOG」の文字を標準文字で表してなり,「ザスノーマンアンドザスノードッグ」と16音からなる長い商標であり,簡易迅速性を重んずる取引の実際においては,その一部分だけによって簡略に表記ないし称呼されることが容易に想定される。 また,引用商標3は,著名な作品である本件作品である「The Snowman」と同じ「THE SNOWMAN」の語を含んでいることから,引用商標3に触れた需要者は,「THE SNOWMAN」の部分,とりわけ,定冠詞で意味内容を持たない「THE」に続く「SNOWMAN」の語に着目して取引にあたるといえる。 したがって,引用商標3は,単に「スノーマン」との呼称を生じ,「雪だるま,雪男」の観念のほか「本件作品またはそのキャラクター」の観念を生じる。 以上より,本件商標と引用商標3とは,称呼及び観念を共通する類似の商標である。 (2)指定商品の類似性 本件商標の指定商品と,引用商標1の指定商品とは,類似性が認められる。 また,引用商標2及び引用商標3の指定商品中の第24類の指定商品は,本件商標の指定商品と同一ないし類似の商品である。 (3)以上より,本件商標と引用商標は,商標及び指定商品が類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 商標法第4条第1項第15号について (1)商標の類似性 上記2(2)のとおり,本件商標と「The Snowman」の文字は,称呼及び観念を共通にする,類似の商標である。 (2)混同を生ずるおそれ 「The Snowman」の商標は,本件作品または本件作品のキャラクターを示すものとして著名であったところ,申立人のライセンシーは,「The Snowman」や「Snowman」の語をタオル,バスタオル等の本件商標の指定商品と同一の商品について使用していた。 そして,日本においては,「Snowman」の文字が本件作品やそのキャラクターを示すものとして著名であったことから,「The Snowman」と本件商標の「SNOWMAN」の類似性は高く,いずれの商標も本件作品やそのキャラクターを想起させるものとして関連性が強いといえる。 また,申立人は,タオル,バスタオル等の商品に限らず,多種多様な商品について,ライセンスビジネスを展開していることからも,需要者は,本件商標の指定商品に付された「SNOWMAN」の記載に触れた場合,申立人が本件商標権者にライセンスを行ったなどと認識することは容易に想像でき,商品の出所について混同が生じるおそれがあると十分にいうことができる。 したがって,本件商標をその指定商品に使用することは,取引者,需要者に,それが申立人又はこれと何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように誤認させ,商品の出所について混同が生じることが明らかである。 (3)以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審の判断 1 「The Snowman」の文字の周知性について (1)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実を認めることができる。 ア 申立人の宣誓書によれば,申立人は,レイモンド・ブリッグズの1978年の著作に基づく「The Snowman」ブランドに係る権利(映像に関する権利及び商品化権を含む)の所有者であり,「The Snowman」の絵本は,1978年に日本を含め,世界60か国で出版され,その日本語版は,発売以降,23万5700冊以上の販売数を記録し,該絵本は,1982年にアニメーション化された(甲5)。 イ 本件作品に関連する各種商品は,ライセンシーであるスタイリングライフ社を通じて,日本で28社にライセンスされ,1989年(平成元年)以降,申立人が許諾しているコピーライツ社のライセンシーであるスタイリングライフ社の経営するPLAZAストア及びライセンシーのショップで販売されている。 そして,当該商品は,「The Snowman」の文字の見出しとともに,緑色の帽子をかぶり,緑色のマフラーを巻いた手足を有する特徴的な「雪だるま」のキャラクター(以下「本件キャラクター」という。)の図又は立体的形状を有している(一部の商品は,当該商品に「The Snowman」の文字の記載も有する。)(甲80?甲94)。 ウ 平成26年の東京ギフトショーでは,「The Snowman」グッズの出展ブースが設けられ,商品の販売がされた(甲95)。 平成17年12月及び同18年12月に,ケンタッキーフライドチキン店舗で,Snowmanのマグカップやハンドタオル,ブランケット等のグッズ付商品を販売するキャンペーンが行われた(甲96及び甲97)。 エ 1987年からのロイヤリティー収入の総額は,日本では7億1500万円以上で,Snowmanグッズのライセンスに基づいて販売された小売販売総額は,小売額の5%を平均ロイヤリティーとすると,約139億円である(甲5)。 オ 本件作品に関連する各種の展示会又はフェアは,平成25年11月15日から同年12月25日に,代官山アドレス・ディセにおいて,平成25年12月18日から同27年12月にかけて,大丸心斎橋店(大阪),三菱地所アルティアム(福岡),大丸札幌店(札幌)及び銀座松屋(東京)において,それぞれ3週間ないし4週間にわたり開催され,これらに関する広告記事等が,新聞,雑誌フリーペーパー等に掲載され,ニュース番組で報道された。 そして,当該広告記事等は,その多くについて,「The Snowman」(全て大文字で書されたものを含む。)の文字の記載,並びに,本件キャラクターの図又は着ぐるみ等の写真とともに紹介されている(甲8?甲79)。 (2)上記(1)の事実によれば,1978(昭和53)年にレイモンド・ブリッグズによって製作された「The Snowman」の絵本は,日本を含め世界で出版され,本件作品に関する展示会が,2013年から2015年に我が国において開催され,これに関する情報が新聞,雑誌等において紹介された。 そして,「The Snowman」の文字及び本件キャラクターが表示された各種商品は,遅くとも1989年(平成元年)以降,我が国において販売された。 しかしながら,(ア)「The Snowman」の文字を各種商品に使用し,展示会等を含め宣伝広告していることは認められるものの,その多くは,本件キャラクターとともに表示されており,「snowman」の語が「雪だるま」を意味する親しまれた英語であって,本件キャラクターが「雪だるま」を特徴的に表したキャラクターであるから,当該文字は本件キャラクターと一体的に認識されるものであること,(イ)「The Snowman」の文字を表示した各種商品の我が国における取引実績等について,ロイヤリティー収入からすると,1987年(昭和62年)から現在(2014年)までの売上高は,約140億円と陳述(甲5)するが,約28年間の売上であって,これらの商品の売上高,販売数量についての事実を示す資料は何ら提出されていないから,我が国における量的規模(市場シェア等)を客観的かつ具体的に把握できないこと,(ウ)本件作品に関する展示会が2013年(平成25年)ないし2015年(同27年)に,東京,大阪,福岡,札幌で開催されたことを示すにすぎないことからすると,申立人が提出した証拠によっては,「The Snowman」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,本件作品及びそのキャラクターを表示するものとして,我が国において広く認識されていたものということができない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は,別掲のとおり,「斯諾曼」(「諾」は中国語の簡体字である。以下「諾」と記載する。)の漢字と「SNOWMAN」の欧文字を上下二段に書した構成よりなるものである。 そして,本件商標の構成中,上段の漢字部分は,大きく表され,看者に強い印象を与えるものの,その2文字目の「諾」の文字は,我が国の漢字には存在しないものであって,我が国の需要者は,これが直ちにいかなる文字を表したものであるかを理解,把握することができないから,当該漢字部分は,特定の称呼及び観念を生じるものとはいえない。 これに対し,本件商標の構成中,下段の「SNOWMAN」の欧文字部分は,「雪だるま」を意味する親しまれた英語であるから,かかる構成からなる本件商標は,その構成中の「SNOWMAN」の欧文字部分が着目され,該欧文字部分から,「スノーマン」の称呼を生じ,「雪だるま」の観念を生じるものである。 (2)引用商標について ア 引用商標1は,「THE SNOWMAN」の欧文字を書してなるところ,その構成中,前半の「THE」の文字部分は,英語の定冠詞であり,「普通名詞の前に付いて,同類のものの中で特に代表的・典型的なものとして強調する語」(広辞苑第六版)であって,該文字部分の自他商品識別機能は弱いものというべきであるから,その後半の「SNOWMAN」の文字部分が独立して着目され,これより生ずる称呼をもって取引にあたる場合も少なくないと認められる。 そうとすると,引用商標1は,「ザスノーマン」の称呼が生じるほか,「SNOWMAN」の文字部分から「スノーマン」の称呼をも生じ,「雪だるま」の観念を生じるものである。 イ 引用商標2は,「RAYMOND BRIGGS’ THE SNOWMAN」の欧文字を書してなるところ,その構成各文字は,同じ書体,同じ大きさをもって視覚上まとまりよく一体的に表されているものであり,その構成文字からは,「レイモンドブリッグズザスノーマン」の称呼を生じ,特定の意味合いを想起させるとはいえないものであるから,特定の観念を生じないものである。 ウ 引用商標3は,「THE SNOWMAN AND THE SNOWDOG」の欧文字を書してなるところ,その構成各文字は,同じ書体,同じ大きさをもって視覚上まとまりよく一体的に表されているものであり,これからは,「ザスノーマンアンドザスノードッグ」の称呼を生じ,特定の意味合いを想起させるとはいえないものであるから,特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標との類否について ア 本件商標と引用商標1との類否について 本件商標と引用商標1との類否について検討するに,本件商標は,別掲のとおりの構成態様により表してなるのに対し,引用商標1は,「THE SNOWMAN」の文字を表してなるものであるから,外観において相違するものの,本件商標の「SNOWMAN」の文字部分は,引用商標1の「SNOWMAN」の文字部分と同一であるから,構成全体として近似した印象を与えるものである。 そして,本件商標と引用商標1は,「スノーマン」の称呼及び「雪だるま」の観念を同じくするものである。 そうすると,本件商標と引用商標1とは,「スノーマン」の称呼及び「雪だるま」の観念を共通にし,外観上も近似した印象を与えるものであるから,両商標は,互いに紛らわしい類似のものと認められる。 イ 本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品との類否について 申立人は,「実際の取引においては,本件商標の指定商品及び引用商標1の指定商品は,いずれもインテリア雑貨のうち,ファブリック製品についてのものである。さらに,これらの商品は,製造者が共通し,販売の場面においてもインテリア雑貨,日常雑貨として同じ店舗や同一の通販サイト等で取り扱われていることが通常であるから,類似の商品といえる」旨主張しているので,以下,検討する。 (ア)申立人の主張する取引の実情について 申立人が提出した甲号証によれば,以下のとおりである。 a「ふとん・ピロー」が「家具」のカテゴリーに掲載され,「タオル」,「トイレ蓋カバー」及び「バスタオル」が「インテリア雑貨」のカテゴリーに掲載されている(甲98の1?4)。 b「掛け布団カバー」,「羽毛掛け布団」,「枕カバー」等が「家具・インテリア」のカテゴリーに掲載されている(甲99の1)。 c「カフェカーテン」が「インテリア・室内装飾」のカテゴリーに掲載されている(甲100)。 d「布巾・キッチンクロス」が「キッチン・雑貨」のカテゴリーに掲載されている(甲101)。 e「ふきん」,「はんかち」,「てぬぐい」,「バスタオル」,「ボディ&フェイシャル」等が,それぞれに区分けされて掲載されている(甲102)。 f「奈良県産蚊帳生地使用」として「ふきん」及び「タオル」が掲載されている(甲103)。 g「バスタオル」,「フェイスタオル」及び「ふきん」が「住 life」のカテゴリーに掲載されている(甲104)。 h「キッチンタオル」,「かや生地ふきん」が「猫柄布製品」として掲載されている(甲105)。 i「タオル・ガーゼハンカチ」が「ハンカチ」のカテゴリーに,「ふきん」が「ふきん」のカテゴリーに掲載されている(甲106)。 j「タオル」及び「ふきん」が「タオル・手拭い・ふきん」のカテゴリーに掲載されている(甲107)。 k「タオル」が「バス・トイレ・洗濯掃除・日用品」のカテゴリーに掲載されている(甲108)。 l 各種「タオル」が「バス・トイレ・日用品」のカテゴリーに掲載されている(甲110)。 上記ウェブサイトによる通信販売の取引の実情からすれば,ファブリック(織物,布地)製品は,各種カテゴリーに区分けして販売されており,当該カテゴリーは,例えば,「家具」,「インテリア雑貨」等(甲98の1),「家具・インテリア」(甲99の1),「インテリア・室内装飾」(甲100),「布製品」(甲105)等のように,それぞれの業者により異なるものということができる。 そして,本件商標の指定商品に含まれる「織物製タオル,バスタオル」と,引用商標1の第24類の指定商品に含まれる「ふきん」が,同じ業者のウェブサイトに掲載され販売されているものであるから,これらの商品については,販売場所を同じくする場合があるものといえるものの(甲102?107),その他の引用商標1の第24類の指定商品「織物製テーブルナプキン,シャワーカーテン,のぼり及び旗(紙製のものを除く。),織物製トイレットシートカバー」と本件商標の指定商品が,同一の業者のウェブサイトに掲載され販売等されている事実を確認することはできない(甲98?110)。 (イ)用途及び需要者の範囲の同一性について 本件商標の指定商品である「布地,生地」は,布地・生地を特殊な形態又は寸法等に加工する前の商品,「織物製タオル,バスタオル,織物製ハンカチ」は,主に綿製で,吸水性に富み日常生活において広く使用される商品,「掛け布団,ベッド用リネン製品,ベッド用毛布,まくらカバー,羽毛掛け布団,ダウンを使用した布団,羽毛布団,羽根掛け布団(寝具類)」は,寝具類に属する商品,「織物製又はプラスチック製のカーテン」は,窓に掛けて日射しを遮る商品,及び「ベッドカバー,家具用織物製カバー」は,家具を覆うための商品である。 他方,引用商標1の第24類の指定商品である「織物製テーブルナプキン,ふきん」は,食卓又は台所で使用する商品,「シャワーカーテン」は,浴室でシャワーを使用する際,その湯の飛びはね等を防止するための商品,「のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」は,布などで造り,竿等に掲げて標識や装飾に使用する商品,「織物製トイレットシートカバー」は,洋式便器の腰をかける部分に使用するカバーである。 そうすると,本件商標の指定商品と引用商標1の第24類の指定商品とは,例え両者がファブリック製品でるとしても,上記のとおり,いずれもその具体的な用途は明確に異なる商品と認められるものであり,それぞれの商品の需要者の範囲も異なるものといえる。 (ウ)以上からすると,本件商標の指定商品と,引用商標1の指定商品中,第24類「織物製テーブルナプキン,ふきん,シャワーカーテン,のぼり及び旗(紙製のものを除く。),織物製トイレットシートカバー」とは,両者が主としてファブリック製品であって,生産部門,原材料,品質を同じくし,同じ業者により販売される場合があるとしても,その具体的な用途は明らかに異なり,その需要者の範囲も異なるものといえるから,両者に同一又は類似の商標が使用をされたとしても,商品の出所について混同を生じさせるおそれのない非類似の商品ということができる。 (エ)以上のとおり,本件商標と引用商標1とが同一又は類似の商標であるとしても,本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品とは,非類似の商品である。 ウ 本件商標と引用商標2及び3との類否について 本件商標は,別掲のとおりの構成態様により表してなるのに対し,引用商標2は,「RAYMOND BRIGGS’ THE SNOWMAN」の欧文字を書してなり,引用商標3は,「THE SNOWMAN AND THE SNOWDOG」の欧文字を書してなるものであるから,本件商標と引用商標2及び3とは,構成文字及び態様において相違し,外観上,相紛れるおそれはない。 そして,本件商標は,その構成中の「SNOWMAN」の欧文字部分から「スノーマン」の称呼を生じるのに対し,引用商標2は,「レイモンドブリッグズザスノーマン」の称呼を生じ,引用商標3は,「ザスノーマンアンドザスノードッグ」の称呼を生じるものであるから,その構成音及び構成音数において明確な差異を有し,本件商標と引用商標2及び3とは,称呼において,互いに聞き誤るおそれはない。 また,引用商標2及び3は,特定の観念を生じないものであるから,本件商標と比較することができず,観念上,類似するとはいえない。 そうすると,本件商標と引用商標2及び3とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 エ まとめ 以上のとおりであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標と引用商標1とは,上記2(3)アに記載のとおり,互いに紛らわしい類似の商標と認められる。 しかしながら,「The Snowman」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,本件作品及びそのキャラクターを表示するものとして,我が国において広く認識されていたものということはできない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標と引用商標1とは,上記2(3)アに記載のとおり,互いに紛らわしい類似の商標と認められる。 しかしながら,「The Snowman」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,本件作品及びそのキャラクターを表示するものとして,我が国において広く認識されていたものということはできないものであるから,本件商標権者が,本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者が,引用商標ないし申立人を想起又は連想することはなく,その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2017-07-07 |
出願番号 | 商願2015-1417(T2015-1417) |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W24)
T 1 651・ 262- Y (W24) T 1 651・ 271- Y (W24) T 1 651・ 264- Y (W24) T 1 651・ 263- Y (W24) T 1 651・ 25- Y (W24) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小松 里美 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 田中 亨子 |
登録日 | 2015-11-06 |
登録番号 | 商標登録第5804817号(T5804817) |
権利者 | 浙江勝利羽絨製品有限公司 |
商標の称呼 | シダクマン、スノーマン |
代理人 | 石井 あやか |
復代理人 | 近藤 祐史 |
代理人 | 佐藤 恒雄 |
代理人 | 小泉 淑子 |