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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y3032 |
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管理番号 | 1333363 |
審判番号 | 取消2016-300253 |
総通号数 | 215 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-11-24 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2016-04-14 |
確定日 | 2017-09-25 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4834420号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4834420号商標(以下「本件商標」という。)は、「アルテ」の文字と「ARTE」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成16年4月22日に登録出願、第30類「茶,コーヒー,ココア,氷,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」及び第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」並びに第1類、第5類、第29類及び第33類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同17年1月21日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 本件審判の請求の登録日は、平成28年4月27日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同25年(2013年)4月27日から同28年(2016年)4月26日までの期間を、以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第30類「茶」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、弁駁書、弁駁書(2)、口頭審理陳述要領書、口頭審理陳述要領書(2)及び上申書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品中、第30類「茶」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。 2 弁駁の理由 (1)弁駁書(平成28年8月5日付け) ア 本件商標と使用商標との同一性について 被請求人が提出した乙第1号証の1のチラシに付された商標は、「ヤマナカ」の文字と「ARTE」の文字と「アルテ」の文字を三段書きした構成からなるものであり、本件商標と「ヤマナカ」の文字を結合してなるものであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできない。 乙第2号証、乙第5号証ないし乙第10号証の1のチラシに付された「アルテ津島」、乙第4号証のチラシに付された「アルテ東海」及び乙第3号証のチラシに付された「アルテ碧南」等は、「アルテ」に続けて各地域名称を同書同大にまとまりよく表した一連一体の商標であり、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできない。 イ 使用行為について 乙第1号証の1、乙第2号証ないし乙第7号証の1及び乙第8号証ないし乙第10号証の1のチラシには、売出し商品として「茶」及び「果実飲料,清涼飲料」の写真が掲載されているところ、それらの商品には他人の著名な登録商標が付されている。 このような場合は、商品に付された商標に強い顧客吸引力が生じており、取引者、需要者は、その商標を目印として商品を購入するものであるから、商品との間に密接な関連性がある商標は、他人の著名な登録商標というほかない。特に、取引者、需要者は、「茶」及び「果実飲料,清涼飲料」が自己の体内に取り込む性質の商品であるために、殊更注意して商品を選択するはずであるから、その商品自体に付された商標が注目され、出所表示機能を果たすものといえる。 小売業者も商品の譲渡等を行う主体的要件を満たすものではあるが、「茶」及び「果実飲料,清涼飲料」という商品の性質上、取引者、需要者が、商品そのものに付された他人の著名な登録商標に着目して取引する場合においてまで、小売業者の商標が、商品の商標として機能し、使用されているというのは不自然である。 したがって、上記チラシが被請求人により発行されたチラシであったとしても、被請求人が本件商標を「茶」及び「果実飲料,清涼飲料」について使用したものとはいえない。 ウ その他について 乙第1号証の1、乙第2号証ないし乙第7号証の1及び乙第8号証ないし乙第10号証の1のチラシの頒布日が要証期間内であるか明らかではなく、また、商標権者による広告物であることが確認できない。 (2)弁駁書(2)(平成28年9月12日付け) 乙第7号証の1及び乙第10号証の1のチラシには、月日と曜日が記載されているのみで、要証期間外の年に発行されたものである可能性を否定できない。 被請求人が乙第7号証の1及び乙第10号証の1のチラシの印刷を依頼したとする山菊印刷株式会社が発行した請求書(乙24、乙26)によっては、これらのチラシが要証期間内に商標権者により発行された広告物であることの確証は得られない。 3 口頭審理陳述要領書における陳述 (1)口頭審理陳述要領書(平成29年1月17日付け) 乙第7号証の1及び乙第10号証の1のチラシの写真が不鮮明で、本件商標の使用の確認ができない。 (2)口頭審理陳述要領書(2)(平成29年2月21日付け) ア 乙第7号証の1及び乙第10号証の1の使用商標について 乙第7号証の1及び乙第10号証の1のチラシの写真が不鮮明なため、チラシ上に本件商標の使用の確認ができないところ、被請求人は、乙第7号証の1及び乙第10号証の1のチラシの一部を拡大した乙第31号証及び乙第32号証を提出している。 しかしながら、被請求人が本件商標としているものは、乙第7号証の1及び乙第10号証の1のチラシ全体に比して非常に小さく、視覚に訴えるものではないため、消費者が容易に認識できないものである。 商標法第2条には、「この法律で『商標』とは、人の知覚によって認識できるもの」と明記されており、「工業所有権法逐条解説<第19版>」(甲8)にも、「商標はその定義から、必ず視覚に訴えるものでなければならない」と記載されていることからすれば、乙第31号証及び乙第32号証をもってしても、乙第7号証の1及び乙第10号証の1に掲載された商標は、商標としての機能を果たしているとはいえず、本件商標を使用しているとはいい難い。 イ 使用行為について 請求人は、平成19年度から小売等役務の制度が導入されたことにより、商品商標に加え、役務商標としての保護までもが可能となったとしても、なお、小売業者としての出所を表示する商品商標の使用が可能であることは認識している。 しかしながら、小売業者としての出所を表示する商品商標の使用は限定して解釈されるべきである。 特許庁の「平成19年度小売等役務商標制度説明会」の「説明会テキスト」の「5.商品の商標と小売役務の商標との関係」の項には「商品や商品の包装、広告等には、商品に係る商標と小売等役務に係る商標のいずれの商標も表示され得ます。これらの物に表示された商標が商品に係る商標と小売等役務に係る商標のいずれであるかについては、例えば、次のとおり、商標の表示形態に応じる判断することになります。(略)商品の広告等については、例えば、食料品スーパーの広告チラシに掲載される目玉商品の写真と価格の表示箇所付近に表示された商標は、需要者からみて、商品の出所を表す製造者の商標と認識されます。一方、その広告チラシの隅に(枠外に)小売業者等の商標を表示することは、需要者からみて広告チラシに掲載される商品を取り扱う小売等役務の出所を表すものとして認識されますから、それは、小売等役務の商標の使用と認められるものです。」と記載されている。 これを本件に当てはめると、乙第7号証の1及び乙第10号証の1のチラシに本件商標が使用されていたとしても、その使用は小売等役務の商標の使用と認められるものにすぎない。 4 上申書(平成29年3月14日付け) (1)乙第7号証の1及び乙第10号証の1の使用商標について 口頭審理において、乙第7号証の1及び乙第10号証の1のチラシ原本を確認したが、被請求人が本件商標としているものは、チラシ全体に比して非常に小さく、消費者が容易に認識することは困難であり、「人の知覚によって認識できるもの」(商標法第2条第1項)とはいい難い。 (2)使用行為について 小売業者が飲食物を譲渡する者(商標法第2条1項1号)として、商品商標の機能(品質保証機能等)を損なわずに使用していると認められるためには、需要者の保護の観点も併せて考慮し、製造段階で行われるような方法により表示された場合において、指定商品又は指定商品の包装に直接付された場合に実現するものといえる。 被請求人においては、このような使用をしている実績は一切確認できない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求め、審判事件答弁書、審判事件答弁書(2)、審判事件答弁書(3)、口頭審理陳述要領書、口頭審理陳述要領書(2)及び上申書等において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第35号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 答弁の理由 (1)審判事件答弁書(平成28年6月26日付け) 被請求人(本件商標権者)は、「アルテ○○」という店舗を複数経営し、それらの店舗において、「アルテ」あるいは「ARTE」の屋号を使用しており、本件商標の指定商品について、商標法第2条第3項第8号の使用をしている。 具体的には、被請求人は、スーパーマーケットの「アルテ津島」等のチラシ(乙1の1、乙2?乙7の1、乙8?乙10の1)に本件商標と社会通念上同一の商標である「アルテ」あるいは「ARTE」を表示し、要証期間内に配布した。チラシには、売出し商品として、「茶,清涼飲料,果実飲料」が掲載されており、これらは本件請求に係る指定商品に含まれるものである。 (2)審判事件答弁書(2)(平成28年7月28日付け) ア 乙第7号証の1について 乙第7号証の1のチラシの折込日は、平成27年(2015年)8月30日(日曜日)であり、アルテ津島用として20,000枚を印刷し、配布した。 これは、名古屋市所在の山菊印刷株式会社が平成27年(2015年)9月20日(日曜日)に発行した株式会社ヤマナカ宛ての請求書(乙24)によって立証できる。 イ 乙第10号証の1について 乙第10号証の1のチラシの折込日は、平成27年(2015年)11月29日(日曜日)であり、アルテ津島用として20,000枚を印刷し、配布した。 これは、名古屋市所在の山菊印刷株式会社が平成27年(2015年)12月に発行した株式会社ヤマナカ宛ての請求書(乙26)によって立証できる。 (3)審判事件答弁書(3)(平成28年12月27日差出) ア 乙第7号証の1について 被請求人からの依頼に基づき、乙第7号証の1のチラシを印刷した山菊印刷株式会社から、その事実について相違ないという証明書(乙7の2)を得たので、提出する。 乙第7号証の1のチラシを新聞に折り込むための手配をした中日興業株式会社から、その事実について相違ないという証明書(乙7の3)を得たので、提出する。 イ 乙第10号証の1について 被請求人からの依頼に基づき、乙第10号証の1のチラシを印刷した山菊印刷株式会社から、その事実について相違ないという証明書(乙10の2)を得たので、提出する。 乙第10号証の1のチラシを新聞に折り込むための手配をした中日興業株式会社から、その事実について相違ないという証明書(乙10の3)を得たので、提出する。 2 口頭審理陳述要領書における陳述 (1)口頭審理陳述要領書(平成28年12月27日差出) 乙第7号証の1及び乙第10号証の1のチラシは、被請求人の印刷注文依頼に基づいて、印刷会社により印刷されたものであり、該チラシは、中日興業株式会社によって、中日新聞津島専売所及び朝日新聞サービスアンカーASA津島宛てに送付され、新聞に折り込まれて不特定多数の消費者に提供された(乙7の2、乙7の3、乙10の2、乙10の3)。 (2)口頭審理陳述要領書(2)(平成29年2月2日付け) ア 乙第7号証の1について 平成27年(2015年)9月20日付けで中日興業株式会社が被請求人に宛てた請求書(乙29)により、乙第7号証の1のチラシに係る証拠(乙7の2、乙7の3)を補強する。 また、乙第7号証の1のチラシの本件商標の使用部分を拡大した写真(乙31)を提出する。 イ 乙第10号証の1について 平成27年(2015年)12月20日付けで中日興業株式会社が被請求人に宛てた請求書(乙30)により、乙第10号証の1のチラシに係る証拠(乙10の2、乙10の3)を補強する。 また、乙第10号証の1のチラシの本件商標の使用部分を拡大した写真(乙32)を提出する。 3 上申書(平成29年3月30日付け) (1)乙第7号証の1及び乙第10号証の1の使用商標について 口頭審理において乙第7号証の1及び乙第10号証の1のチラシ原本を確認した結果、乙第7号証の1及び乙第10号証の1のチラシに付された商標が視覚を媒体として認識されるものであることが認められたと理解している。 (2)使用行為について 被請求人は、本件商標について、商品商標の使用として、適切な使用証明ができていると確信している。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。 (1)乙第7号証の1(乙第31号証を含む。以下同じ。)について 乙第7号証の1は、8月30日(日曜日)から31日(月曜日)までを売出し日とするB4サイズのチラシである。 その表面の上部左側には、「ザ・チャレンジハウス」の文字と、三段書きした「ヤマナカ」、「ARTE」及び「アルテ」の文字を四角形で囲ったロゴと、「アルテ津島」の文字が表示されており、その下には「日曜特売!」、「広告商品売り出し日 本日8月30日(日)限り」の記載があり、最下部には、「ザ・チャレンジハウスはヤマナカグループです。」の記載がある。 また、表面の下部左側には、「めいらく フルーツフェスタ(各種)いずれも1000ml 1本98円(税込105円)」の記載と共に、それぞれ、「アップル」、「オレンジ」、「グレープ」の表示のある3本の果実飲料の写真が掲載されている。 さらに、「アサヒ飲料十六茶 2l 1本88円(税込95円)」の記載と共に、茶飲料の写真が掲載されている。 裏面の上部には、「明日8月31日(月)限りのご奉仕品」の記載があり、下部には、「アルテ津島」の文字とその電話番号及び営業時間が並べて記載されている。 (2)乙第24号証について 乙第24号証は、山菊印刷株式会社が、2015年(平成27年)9月20日に発行した請求書の写しである。 これには上部左側に「株式会社ヤマナカ 御中」、右側に「山菊印刷株式会社」並びにその住所及び連絡先等の記載がある。 そして、「店名」の項目に「アルテ津島合同」、「折込日」の項目に「2015年8月30日(日)」、「品名」の項目に「日曜特売!」、「サイズ」の項目に「B4」及び「数量」の項目に「20000」の記載がある。 (3)乙第7号証の2について 乙第7号証の2は、山菊印刷株式会社が、平成28年12月8日に証明した、「証明願」(証明書)である。 これには、上部左側に「山菊印刷株式会社 殿」及びその住所の記載があり、右側に「株式会社 ヤマナカ」並びにその住所、代表者名の記載及び押印があり、その下に「記 審判番号取消2016-300253号に於ける答弁書に添付した乙第7号証(審決注:乙第7号証の1)に記載された8月30日広告チラシは、2015年8月30日に、愛知県津島市柳原町1-90-1所在、アルテ津島店用、及び、ザ・チャレンジハウス店舗用(7店)として御社に印刷発注されたものであります。」、「上記の通り相違ないことを御証明賜りたくお願い申し上げます。 以上」の記載があり、下部右側に「上記の事実に相違ないことを証明する。平成28年12月8日」、「証明者 山菊印刷株式会社」並びのその住所、代表取締役の氏名の記載及び押印がある。 (4)乙第7号証の3について 乙第7号証の3は、中日興業株式会社が、平成28年12月8日に証明した、「証明願」(証明書)である。 これには、上部左側に「中日興業株式会社 殿」及びその住所の記載があり、右側に「株式会社 ヤマナカ」並びにその住所及び代表者名の記載があり、その下に「記 審判番号取消2016-300253号に於ける答弁書に添付した乙第7号証に記載された8月30日広告チラシに関しては、2015年8月30日に、愛知県津島市柳原町1-90-1所在、アルテ津島店用、及び、ザ・チャレンジハウス店舗用(7店)として御社に納入されたものであります。」、「当該広告チラシは、不特定多数の消費者に向けて、同年8月30日に頒布する新聞折り込み広告として、御社より、愛知県津島市本町1-30所在、中日新聞津島専売所、愛知県津島市大字古川字汁江338所在、朝日新聞サービスアンカーASA津島宛てに送付されて、夫々の新聞に折り込み広告されたものであります。」、「上記の通り相違ないことを御証明賜りたくお願い申し上げます。 以上」の記載があり、下部右側に「上記事実に相違ないことを証明する。平成28年12月8日」、「証明者 中日興業株式会社」並びにその住所、代表取締役の氏名の記載及び押印がある。 (5)乙第29号証について 乙第29号証は、中日興業株式会社が、平成27年(2015年)9月20日に発行した請求書の写しである。 これには、上部左側に「(株)ヤマナカ サンスペ 殿」及びその住所、右側に「中日興業株式会社」並びにその社印、住所、連絡先及び銀行口座番号の記載がある。 そして、「折込月日」の項目に「08 30」、「広告主 チラシ銘柄」の項目に「アルテ 津島 津島店」、「サイズ」の項目に「B4」、及び「折込枚数」の項目に「20,000」の記載がある。 (6)乙第10号証の1(乙第32号証を含む。以下同じ。)について 乙第10号証の1は、11月29日(日曜日)売出し日とするB4サイズのチラシである。 その表面の上部左側には、「ザ・チャレンジハウス」の文字と、三段書きした「ヤマナカ」、「ARTE」及び「アルテ」の文字を四角形で囲ったロゴと、「アルテ津島」の文字が表示されており、その下には、「日曜特売!」、「広告商品売り出し日 本日11月29日(日)限り」の記載があり、最下部には、「ザ・チャレンジハウスはヤマナカグループです。」の記載がある。 また、表面の中程右側には、「●爽健美茶すっきりブレンド」、「●アクエリアス」、「●綾鷹」、「いずれも2l×6本1ケース」、「本体価格 598円(税込645円)」の記載と共に、茶飲料及び清涼飲料の写真が掲載されている。 表面の下部右側には、「アルテ津島」の文字と電話番号及び営業時間が並べて記載されている。 (7)乙第26号証について 乙第26号証は、山菊印刷株式会社が、2015年(平成27年)12月に発行した請求書の写しである。 これには上部左側に「株式会社ヤマナカ 御中」、右側に「山菊印刷株式会社」並びにその住所及び連絡先等の記載がある。 そして、「店名」の項目に「アルテ津島合同」、「折込日」の項目に「2015年11月29日(日)」、「品名」の項目に「日曜特売!」、「サイズ」の項目に「B4」及び「数量」の項目に「20000」の記載がある。 (8)乙第10号証の2について 乙第10号証の2は、山菊印刷株式会社が、平成28年12月8日に証明した、「証明願」(証明書)である。 これには、上部左側に「山菊印刷株式会社 殿」及びその住所の記載があり、右側に「株式会社 ヤマナカ」並びにその住所、代表者名の記載及び押印があり、その下に「記 審判番号取消2016-300253号に於ける答弁書に添付した乙第10号証(審決注:乙第10号証の1)に記載された11月29日広告チラシは、2015年11月29日に、愛知県津島市柳原町1-90-1所在、アルテ津島店用、及び、ザ・チャレンジハウス店舗用(7店)として御社に印刷発注されたものであります。」、「上記の通り相違ないことを御証明賜りたくお願い申し上げます。 以上」の記載があり下部右側に、「上記事実に相違ないことを証明する。平成28年12月8日」、「証明者 山菊印刷株式会社」並びにその住所、代表取締役の氏名の記載及び押印がある。 (9)乙第10号証の3について 乙第10号証の3は、中日興業株式会社が、平成28年12月8日に証明した、「証明願」(証明書)である。 これには、上部左側に「中日興業株式会社 殿」及びその住所の記載があり、右側に「株式会社 ヤマナカ」並びにその住所、代表者名の記載及び押印があり、その下に「記 審判番号取消2016-300253号に於ける答弁書に添付した乙第10号証に記載された11月29日広告チラシに関しては、2015年11月29日に、愛知県津島市柳原町1-90-1所在、アルテ津島店用、及び、ザ・チャレンジハウス店舗用(7店)として御社に納入されたものであります。」、「当該広告チラシは、不特定多数の消費者に向けて、同年11月29日に頒布する新聞折り込み広告として、御社より、愛知県津島市本町1-30所在、中日新聞津島専売所、愛知県津島市大字古川字汁江338所在、朝日新聞サービスアンカーASA津島宛てに送付されて、夫々の新聞に折り込み広告されたものであります。」、「上記の通り相違ないことを御証明賜りたくお願いいたします。 以上」の記載があり、下部右側に「上記の事実に相違ないことを証明する。平成28年12月8日」、「証明者 中日興業株式会社」並びにその住所、代表取締役の氏名の記載及び押印がある。 (10)乙第30号証について 乙第30号証は、中日興業株式会社が、平成27年(2015年)12月20日に発行した請求書の写しである。 これには、上部左側に「(株)ヤマナカ 店企画スポット 殿」及びその住所、右側に「中日興業株式会社」並びにその社印、住所、連絡先及び銀行口座番号の記載がある。 そして、「折込月日」の項目に「11 29」、「広告主 チラシ銘柄」の項目に「アルテ 津島 津島店」、「サイズ」の項目に「B4」、及び「折込枚数」の項目に「20,000」の記載がある。 2 上記1によれば、当審の判断は以下のとおりである。 (1)使用商標について 乙第7号証の1及び乙第10号証の1のチラシの表面には、「ヤマナカ」、「ARTE」及び「アルテ」の文字を四角形で囲ったロゴが表示されており、その右側に「アルテ津島」の文字が表示されている。 そのうち、「アルテ津島」の文字は、チラシ裏面にもその電話番号及び営業時間と共に記載されており、当該チラシに掲載された商品の取扱い店舗名を表示したものと理解されるというのが相当である。 そして、その構成文字中、「津島」の文字部分は、地名であるから、その店舗が津島にあること、すなわち、店舗の所在地を表示したものと認識されるにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものである。 そうすると、「アルテ津島」の店舗名においては、その構成文字中、「津島」の文字を除いた「アルテ」の文字が、独立して商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。 また、上記のとおり、「アルテ津島」の文字が店舗名を表示したものと理解されることからすると、「ヤマナカ」、「ARTE」及び「アルテ」の文字を四角形で囲ったロゴも同様に、当該チラシに掲載された商品を取り扱う店舗名を表示する商標として理解されるというのが相当である。 加えて、そのロゴの構成文字中、「ヤマナカ」の文字は、同じチラシ表面の下部に「ザ・チャレンジハウスはヤマナカグループです。」の記載があることからすれば、「ARTE(アルテ)」と称する店舗について、それがヤマナカグループに属するものであることを付記したものとして理解されるといえる。 そうすると、ロゴの構成文字中、「ARTE」及び「アルテ」の文字部分は、これに接する取引者、需要者をして、常に「ヤマナカ」の文字部分と一体不可分のものとして認識、把握されるものとはいえないから、独立して商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。 以上からすると、使用商標は、チラシに表示された「アルテ津島」の構成文字中の「アルテ」の文字(以下「使用商標1」という場合がある。)並びにロゴの構成文字中の「ARTE」及び「アルテ」の文字(以下「使用商標2」という場合がある。)といえる。 以下、使用商標1及び2をまとめていうときは、「使用商標」という。 (2)本件商標と使用商標との同一性について 本件商標は、前記第1のとおり、「アルテ」の文字と「ARTE」の文字を上下二段に横書きしてなるものであるところ、上段の片仮名が下段の欧文字の読みを特定したものとみるのが自然である。 また、「ARTE」(arte)の文字は、スペイン語で「芸術」の意味を有するものの、我が国において該意味を有する語として一般に親しまれたものではない。 そうすると、本件商標は、「アルテ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 他方、上記(1)のとおり、使用商標1は、「アルテ」の文字からなり、使用商標2は、「ARTE」及び「アルテ」の文字からなるから、それぞれ、本件商標と同じく、「アルテ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 そうすると、使用商標1は、本件商標の構成文字中の片仮名部分と同一の構成文字からなり、また、使用商標2は、本件商標と同一の構成文字からなり、いずれも本件商標と同一の称呼を生じるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。 (3)商標使用者及び使用商標の使用時期について ア 乙第7号証の2及び乙第7号証の3の証明書は、山菊印刷株式会社が本件商標権者の発注を受けて乙第7号証の1のチラシを印刷し、その印刷された乙第7号証の1のチラシを納入された中日興業株式会社が中日新聞津島専売所と朝日新聞サービスアンカーASA津島に送付し、両者が新聞折込広告として平成27年(2015年)8月30日に頒布したことを内容とするものである。 そして、乙第7号証の1のチラシは、B4サイズであり、上記(1)のとおり、使用商標が付され、また、「日曜特売!」、「広告商品売り出し日 本日8月30日(日)限り」と記載されているところ、山菊印刷株式会社は、本件商標権者宛てに、「2015年8月30日(日)」を折込日とする「アルテ津島合同」用の品名「日曜特売!」、サイズ「B4」の印刷物「20000」枚についての「請求書」を発行している(乙24)。 また、中日興業株式会社は、本件商標権者宛てに、「08 30」を折込月日とする「アルテ 津島 津島店」用のサイズ「B4」の折込物(折込枚数「20,000」枚)についての「請求書」を、平成27年(2015年)9月20日付けで発行している(乙29)。 イ 乙第10号証の2及び乙第10号証の3の証明書は、山菊印刷株式会社が本件商標権者の発注を受けて乙第10号証の1のチラシを印刷し、その印刷された乙第10号証の1のチラシを納入された中日興業株式会社が中日新聞津島専売所と朝日新聞サービスアンカーASA津島に送付し、両者が新聞折込広告として平成27年(2015年)11月29日に頒布したことを内容とするものである。 そして、乙第10号証の1のチラシは、B4サイズであり、上記(1)のとおり、使用商標が付され、また、「日曜特売!」、「広告商品売り出し日 本日11月29日(日)限り」と記載されているところ、山菊印刷株式会社は、本件商標権者宛てに、「2015年11月29日(日)」を折込日とする「アルテ津島合同」用の品名「日曜特売!」、サイズ「B4」の印刷物「20000」枚についての「請求書」を発行している(乙26)。 また、中日興業株式会社は、本権商標権者宛てに、「11 29」を折込月日とする「アルテ 津島 津島店」用のサイズ「B4」の折込物(折込枚数「20,000」枚)についての「請求書」を、平成27年(2015年)12月20日付けで発行している(乙30)。 ウ 上記ア及びイからすると、本権商標権者は、平成27年(2015年)8月30日(日曜日)及び同年11月29日(日曜日)に、使用商標を付した印刷物2万枚を新聞折込物として頒布したといえる。 そうすると、使用商標の使用者は、本件商標権者と認められ、また、これらの日付は要証期間内であるから、本権商標権者は、使用商標を要証期間内に使用したと認められる。 (4)使用商品について 乙第7号証の1及び乙第10号証の1のチラシには、売出し商品として、果実飲料、茶飲料及び清涼飲料が掲載されており、これらは、本件商標の指定商品中の第30類「茶」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」の範ちゅうに属するものと認められる。 (5)小括 上記(1)ないし(4)によれば、本件商標権者は、要証期間内である平成27年8月30日及び同年11月29日に本件審判の請求に係る指定商品に係るチラシに、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布したと認められる。 そして、上記の使用行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当する。 3 請求人の主張について 請求人は、小売業者としての出所を表示する商品商標の使用は限定して解釈されるべきであるとして、本件審判の請求に係る指定商品は自己の体内に取り込む性質の商品であるために、需要者は殊更注意して商品を選択するはずであり、その商品自体に付された商標が注目され出所表示機能を果たすから、乙第7号証の1及び乙第10号証の1のチラシに本件商標が使用されていたとしても、その使用行為は、小売等役務の商標の使用であって、商品商標としての使用には当たらない旨主張している。 しかしながら、小売等役務は、小売事業者又は卸売事業者がその業務において顧客のために、商品の品ぞろえや商品選択の手助けになるような便益を提供することであり、商品を譲渡する行為そのものは、小売等役務には含まれない。 なお、小売等役務が商品を販売する小売業務とともに提供されるものであることから、そこで表示される商標が、商品と役務双方への使用と認められる場合があることは請求人も認めるところであり、使用行為が小売等役務への使用と認められることのみをもって商品への使用であることが否定されるものではない。 そして、本件商標については、本件商標権者が商品を販売(譲渡)するに当たり、その商品に関する広告に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布したことが認められること前記2のとおりであり、このことは販売(譲渡)する商品が自己の体内に取り込む性質のものであるとの事情によって覆されるものではない。 したがって、請求人の主張を採用することはできない。 4 むすび 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。 したがって、本件商標は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-07-21 |
結審通知日 | 2017-07-26 |
審決日 | 2017-08-16 |
出願番号 | 商願2004-38363(T2004-38363) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Y3032)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
青木 博文 |
特許庁審判官 |
半田 正人 松浦 裕紀子 |
登録日 | 2005-01-21 |
登録番号 | 商標登録第4834420号(T4834420) |
商標の称呼 | アルテ、アーテ |
復代理人 | 木下 郁江 |
代理人 | 北村 周彦 |
代理人 | 松波 祥文 |