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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z25
管理番号 1333336 
審判番号 取消2014-300553 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-07-24 
確定日 2017-09-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第4598687号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第4598687号商標(以下「本件商標」という。)は,「LEFT FIELD」の欧文字を標準文字で表してなり,平成13年10月22日に登録出願,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同14年8月23日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判請求の登録日は,平成26年8月13日である。
また,本件商標の商標権者の住所は,平成28年6月16日受付の登録名義人の表示変更により,「アメリカ合衆国,11385 ニュー・ヨーク州,リッジウッド,ウッダード・アベニュ,657,ショップ・ドア」に変更された。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は,本件審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に,継続して日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが,その指定商品について,本件商標を使用していない。
2 弁駁の理由
(1)2014年(平成26年)5月12日付け商品送り状(乙1)について
ア 「株式会社オリンピコ」(以下「オリンピコ社」という。)が本件商標の通常使用権者とみなし得ない。なぜならば,会社間の取引であるにも関わらず,使用許諾に関する契約書が提出されていないからである。
イ 乙第2号証ないし乙第4号証による商品の特定について
被請求人は,被請求人の発行した2014年(平成26年)5月12日付け「Invoice」(商品送り状)(乙1。以下「商品送り状1」という。)及び乙第2号証ないし乙第4号証を提出し,商品送り状1の下段の表に記載された商品「Greaser Cone 13 oz Cone」と商品「The Chelsea 14 oz Grey heather selvedge denim」が商品「ジーンズ製ズボン」であり,商品「Tube tee crew white 3m,grey 3m,olive 3/2,navy 4/2」が商品「ティーシャツ」である旨主張するが,商品送り状1と乙第2号証ないし乙第4号証の記載は,商品「ジーンズ製ズボン」又は商品「ティーシャツ」であると客観的に特定できるものではない。
ウ 乙第33号証ないし乙第39号証による商品の特定について
(ア)商品送り状1における商品「Greaser Cone 13 oz Cone」の特定ができていないこと
被請求人は,商品送り状1における商品「Greaser Cone 13oz Cone」は,商標権者のウェブページに表示されており(乙33),明らかにジーンズであると主張するが,当該ジーンズの商品名が「Greaser Cone 13oz Cone」であることを裏付けるに足りる証拠は全く提出されていない。
また,商標権者のウェブページ(乙38)には,「CONE MILLS 13 OZ.GREASER」の文字が見られると主張するが,当該文字は,商品送り状1に記載の「Greaser Cone 13oz Cone」とは異なるものである。さらに,商標権者のウェブページ(乙39)に記載の「Cone Mills 13 oz.Greaser Jean」の表記は,順番こそ異なるが,商品送り状1の「Greaser Cone 13oz Cone」と同一のジーンズを示していると主張するが,根拠が示されていない。「Cone Mills」といえば,同種商品の老舗として知られる「Cone Mills社」又は「コーンミルズ社」を想起すると推察されるところ,「Cone Mills」部分は一体不可分であり,順番こそ異なるとの主張は失当である。
(イ)商品送り状1における商品「The Chelsea 14 oz Grey heather selvedge denim」の特定ができていないこと
被請求人は,商標権者のウェブページ(乙38)には,「Chelsea」の文字が見られると主張するが,当該ジーンズの商品名が「The Chelsea 14 oz Grey heather selvedge denim」であることを裏付けるに足りる証拠は全く提出されていない。
(ウ)商品送り状1における商品「Tube tee crew white 3m,grey 3m,olive 3/2,navy 4/2」の特定ができていないこと
被請求人は,商品送り状1における商品「tube tee crew white 3m,grey 3m,o1ive 3/2,navy 4/2」は,商標権者のウェブページ(乙34)に表示されており,明らかにティーシャツであると主張するが,当該ティーシャツの商品名が「Tube tee crew white 3m,grey 3m,o1ive 3/2,navy 4/2」であることを裏付けるに足りる証拠は全く提出されていない。
(エ)以上より,商品送り状1が本件審判請求に係る指定商品中「ジーンズ製ズボン」及び「ティーシャツ」についての取引書類であると判断することはできない。
エ 以上より,商品送り状1が要証期間内に発行されたものか否かに関する真偽を議論するまでもなく,オリンピコ社は,本件商標の通常使用権者とみなすことはできず,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件商標と社会通念上同一の商標をその請求に係る指定商品中「ジーンズ製ズボン」又は「ティーシャツ」に使用している事実は存しない。
(2)2014年(平成26年)5月12日付け商品送り状(乙22)について
ア 有限会社バリー・ハーベスト・シーズンとの通常使用権契約について
被請求人は,陳述書(乙15)及び宣誓書(乙26)により,有限会社バリー・ハーベスト・シーズン(以下「バリー社」という。)が,被請求人から,本件商標につき通常使用権の許諾を受け,本件商標を使用したと主張するが,当該陳述書及び宣誓書は,審判手続が開始された後,平成27年6月18日及び同月26日に作成されたものであるため,本審判請求により本件商標の取消しを免れる目的にのみ作成された実体がない書面と思料する。
イ 2013年の春・夏向けの商品展示会の案内状(乙16)(以下「本件案内状」という。)に記載の商標について
本件案内状の中で商標「Left Fieldとヘルメットを被ったドグロの図形」が使用されているが,当該商標においては,文字部分「Left Field」と図形部分「ヘルメットを被ったドグロの図形」が一体として自他商品識別機能を発揮している。一方,本件商標は,標準文字「LEFT FIELD」である。識別力が比較的強い図形部分「ヘルメットを被ったドグロの図形」の存在により,本件商標「LEFT FIELD」の自他商品識別機能に多大な影響を及ぼすものと思料する。したがって,本件案内状における商標「Left Fieldとヘルメットを被ったドグロの図形」は,本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。
ウ 本件案内状,乙第19号証ないし乙第21号証,及び乙第24号証の証拠力が乏しいこと
被請求人は,乙第19号証ないし乙第21号証を提出し,これらは,本件案内状に列挙された一部写真の拡大写真であり,これらに,本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されていると主張するが,バリー社は,本件商標の通常使用権者とは認められないから,本件商標の使用とみなすことができる客観的な事実とは認められない。
また,被請求人は,乙第24号証をバリー社が衣料品を小売する株式会社ヒノヤに2013年4月15日付けで発行した納品書の控えとして提出しているが,当該納品書は,会社の捺印,担当者の捺印も全くない手書きされたものであり,取引の日付を要証期間内とし,審判請求の登録後にかかる書類を作成することは,極めて容易であり,その信憑性が乏しいといわざるを得ない。
エ 商品送り状(乙22)及び輸入許可通知書(乙23)の証拠力が乏しいこと
2013年(平成25年)4月2日付け商品送り状(乙22。以下「商品送り状2」という。)と輸入許可通知書(乙23)とを対比してみると,商品送り状2の「Quantity」の総和「1248」と輸入許可通知書の「1,228NO」の記載とは一致しない。
また,商品送り状2及び輸入許可通知書に記載された住所が,商標登録原簿上の住所と異なる。
さらに,商品送り状2の左上段に記載された「gmail」なる英文字を含むメールアドレスはフリーメールと推察されるが,簡単に変更又は消去できるフリーメールを「lnvoice」に掲載される連絡先として実際の業務で使用したとは考えにくい。なお,当該メールアドレスは,答弁書における商品送り状1に記載されたメールアドレスとも異なっている。以上より,商品送り状2及び輸入許可通知書も極めて信憑性が乏しいといわざるを得ない。
被請求人は,商品送り状2には被請求人の名称の要部である「LEFT FIELD」及び被請求人の創業者である「Christian McCann」(乙25)の記載があることから,商品送り状2が被請求人により発行されたことは明白であると主張しているが,インボイスが被請求人により発行されたとしても,商品送り状2及び輸入許可通知書の信憑性が向上する根拠は全くない。
オ 以上より,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件商標と社会通念上同一の商標をその請求に係る指定商品のいずれかに使用している事実は存しない。
(3)以上のとおり,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件商標と社会通念上同一の商標をその請求に係る指定商品のいずれかに使用している事実は存しないため,本件商標は,取り消されるべきである。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論と同旨の審決を求める,と答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第40号証を提出している。
1 答弁の理由
本件商標の通常使用権者が,要証期間内に,日本国内において,本件商標に係る指定商品中「ジーンズ製ズボン」及び「ティーシャツ」について,本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している。
(1)商品送り状1について
ア 商品送り状1の下段の表には,取引された商品がそれぞれ記載されている。「Greaser Cone 13 oz Cone」は,数量が18本,単価が80ドル,合計が1440ドルとなっている。「The Chelsea 14 oz Grey heather selvedge denim」は,数量が13本,単価が110ドル,合計が1430ドルとなっている。「Tube tee crew white 3m,grey 3m, olive 3/2,navy 4/2」は,数量が17本,単価が34ドル,合計が578ドルとなっている。記載された商品は,商品送り状1の送付先であるオリンピコ社のホームページによると,1番目と2番目が「ジーンズ製ズボン」であり(乙2,乙3),3番目が「ティーシャツ」である(乙4)。そして,各々の商品には,本件商標と社会通念上同一と認められる商標「Left Field」が付されている(乙2?乙4)。
イ 商品送り状1における商品「Greaser Cone 13 oz Cone」は,インターネットのウェブページに表示されており(乙33)に見られるとおり,明らかにジーンズである。また,商品送り状1における商品「tube tee crew white 3m, grey 3ra, olive 3/2, navy 4/2」は,インターネットウェブページ(乙34)に見られるとおり,明らかにティーシャツである。
また,商標権者のウェブページ(乙36,乙38)には,「Greaser」,「Chelsea」及び「CONE MILLS 13 OZ.GREASER」の文字が見られ,これらがジーンズの分類をするための表示であることが分かる。また,商標権者のウェブページ(乙39)には,「Greaser」の各種ジーンズが表示されており,「Cone Mills 13 oz. Greaser Jean」の表記は順番こそ異なるが,商品送り状1の「Greaser Cone 13 oz. Cone」と同一のジーンズを示している。「oz.」はounce(オンス)という重量を示す単位である。
以上のことから,商品送り状1に表記されている,「Graaser Cone 13 oz Cone」と「The Chelsea 14 oz Grey heather selvedge denim」はジーンズを示し,「Tube tee crew white 3m, grey 3m, olive 3/2, navy 4/2」はティーシャツを示していることが明らかである。
ウ 商品送り状1の左上段に記載された発行者の名称と住所が本件商標権者とは異なるが,本件商標権者は,当初,アメリカ合衆国,11222 ニューヨーク州,ブルックリン,マックギネス・ブールバード,400,ファースト・フロアに住所を有しており,2003年9月1日に,アメリカ合衆国,11101 ニューヨーク州,ロング・アイランド・シティ,フォーティーシックスス・アベニュ,5-26,サード・フロアに住所を変更し,2013年1月1日に,現在の,アメリカ合衆国,11385 ニュー・ヨーク州,リッジウッド,ウッダード・アベニュ,657,ショップ・ドアに住所を有し,さらに,この住所において継続してビジネスを行っている(乙28?乙32,乙40)。
また,本件商標権者の住所は,平成28年6月16日受付の登録名義人の表示変更により,「アメリカ合衆国,11385 ニュー・ヨーク州,リッジウッド,ウッダード・アベニュ,657,ショップ・ドア」に変更した。
エ 商品送り状1の左中段には,送付先の記載があり,これは,「愛知県名古屋市千種区」に所在するオリンピコ社に商品送り状1が送付されたことを示すものである。そして,オリンピコ社は,被請求人が製造・販売する商品の仕入れ業者(STOCKISTS)として,被請求人より特に選定を受けた販売業者である(乙7)。したがって,本件商標権者による本件商標の黙示による使用の許諾があったものと推認できるから,オリンピコ社は,本件商標の通常使用権者とみなし得るものである。
オ 商品送り状1の右上段には,請求書の発行年月日として,「2014年5月12日」の記載があり,納付期限(Due Date)として,「2014年6月11日」の記載がある。これは,要証期間内に,本件商標権者とオリンピコ社との間で,本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付された「ジーンズ製ズボン」及び「ティーシャツ」に関する取引が終了したことを意味し,同商品が我が国で販売される状態に置かれたことを推認させるものである。
カ 以上の事実から,本件商標の通常使用権者であるオリンピコ社が,要証期間内に,日本国内において,本件商標に係る指定商品中「ジーンズ製ズボン」及び「ティーシャツ」について,本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したことは明らかである。
(2)商品送り状2について
ア 「神奈川県川崎市高津区」に所在するバリー社は,被請求人から,本件商標につき通常使用権の許諾を受けた(乙15,乙26)。
イ バリー社は,本件案内状を衣料品,靴等を小売する会社・商店に送付した。また,本件案内状の表紙部分には,展示会に自社商品を出品したメーカー5社の商標が表示されており,「Left Fieldとヘルメットを被ったドクロの図形」の商標は,被請求人によって所有されていた商標なので(現在は存続期間満了により消滅している。)(乙18),被請求人が製造した商品がかかる展示会に出品されていたことがこれによりわかる。
ウ 乙第19号証は,本件案内状に列挙された一部商品の拡大写真である。これらの商品のタグ上に本件商標と社会通念上同一と認められる商標「Left Field」が確認できる。乙第20号証は,ネット販売サイト「SCARLET」から入手したものであるが,同サイトに「[Left Field] M’S S/S TEE “ROCKAWAY BEACH”/レフトフィールド[SAX]」の記載があることから,本件案内状の1ページ目の「S/S Tee-ROCKAWAY BEACH」と同一商品と推認される。乙第21号証は,ネット販売サイト「On The Earth」から入手したものであるが,本件案内状の1ページ目の「S/S Tee-CONEY ISLAND」の拡大写真であって,タグ上に本件商標と社会通念上同一と認められる商標「Left Field」が確認できる。
エ バリー社は,本件案内状に基づき,衣料品を小売する日本の会社・商店から注文を受け,その注文を被請求人に発注し,被請求人は,注文された商品を日本に輸出した。商品送り状2は,その際に被請求人が発行したものであり,2013年(平成25年)4月5日付けで東京税関成田航空貨物出張所長より貨物の輸入許可が下りている(乙23)。
乙第24号証は,バリー社が衣料品を小売する株式会社ヒノヤに2013年(平成25年)4月15日付けで発行した納品書の控えである。
なお,商品送り状2及び輸入許可通知書(乙22,乙23)に記載された住所が,商標登録原簿上の住所と異なるのは,これらには被請求人の営業上の住所が記載されたからである。そして,商品送り状2の住所記載は,当該住所記載の先頭が「c/o」となっており,これは登記上の住所でない営業所の住所であり,これが商標権者の登録された住所と違うのは当然のことである。上記表示にはChristian McCannが記載され,この人物が商標権者の代表者であることから,上記住所は商標権者の営業所であることが明らかである。
オ 以上の事実から,本件商標の通常使用権者であるバリー社が,要証期間内に,日本国内において,本件商標に係る指定商品中,少なくとも「ティーシャツ」,「タンクトップ」について,本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したことは明らかである。
2 結論
以上のとおり,本件商標は,要証期間内に日本国内で,通常使用権者によって指定商品「ジーンズ製ズボン」及び「ティーシャツ」について使用されていたものである。

第4 当審の判断
1 使用の事実について
証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)商品送り状1(乙1)について
ア 商品送り状1は,2014年(平成26年)5月12日付けの「Invoice」(商品送り状)であるところ,商品送り状1には,「Left Field」の見出しの下,左側上段には,本件商標権者の住所と名称の記載(上記第1及び乙40)があり,「Bill To」(請求先)の項には,オリンピコ社の住所(愛知県名古屋市千種区東山)及び名称の記載がある(乙6)。
イ 商品送り状1の下段の表には,その1行目に「Activity」(活動)が「Greaser Cone 13 oz Cone」,「Quantity」(数量)が「18」,「Rate」(単価)が「80.00」,「Amount」(金額)が「1,440.00」の記載,その2行目に「Activity」(活動)が「The Chelsea 14 oz Grey heather selvedge denim」,「Quantity」(数量)が「13」,「Rate」(単価)が「110.00」,「Amount」(金額)が「1,430.00」の記載,及びその3行目に「Activity」(活動)が「Tube tee crew white 3m,grey 3m,olive 3/2,navy 4/2」,「Quantity」(数量)が「17」,「Rate」(単価)が「34.00」,「Amount」(金額)が「578.00」の記載がある。
(2)オリンピコ社のウェブページ(乙2?乙4)について
ア オリンピコ社のウェブページの写し(2015年5月7日印刷。乙2)には,「Left Field/Greaser Jean」の見出しの下,「1998年にニューヨーク,ブルックリンを拠点にデザイナーChristian Mccannが立ち上げたブランド。・・・Left Field定番の5Pデニム,Greaser Jean。・・・Cone Mills White Oak社のデニム使用。コットン100%の13ozセルビッジ付きデニムは穿き易くてとても気持ちの良い素材。」の記載とともに,その左側に右後ろポケット部分に「LEFT FIELD」のタグが付された商品「ジーンズ製ズボン」の写真が掲載されている。
イ オリンピコ社のウェブページの写し(2015年5月7日印刷。乙3)には,「Left Field/Chelsea Jean」の見出しの下,「1998年にニューヨーク,ブルックリンを拠点にデザイナーChristian Mccannが立ち上げたブランド。・・・Left Field定番の5Pデニム,Chelsea Jean。・・・岡山県児島で生産されるコレクト社のデニム使用。非常に珍しい14ozセルビッジ付きグレーデニムは糊を落とすと柔らかさがより表に出て雰囲気が増してきます。」の記載とともに,その左側に後ろポケット部分に「LEFT FIELD」のタグが付された商品「ジーンズ製ズボン」の写真が掲載されている。
ウ オリンピコ社のウェブページの写し(2015年5月7日印刷。乙4)には,「Left Field/Tube Tee」の見出しの下,「リングスパンコットンを使用した丸胴ボディのPack Tee。」の記載とともに,「LEFT FIELD TUBE TEE」の文字を表示した袋に包装された商品の写真,「Left Field」の襟タグが付され,ハンガーにつるされた商品「ティーシャツ」の写真が掲載されている。また,同ウェブページの写しの右下段の表には,1行目に「S」及び「M」,1列目に「Navy」,「White」,「Grey」及び「Olive」と記載された表があり,それぞれの該当欄に価格又は「SOLD OUT」等の文字が記載されている。
2 判断
上記1によれば,以下を認めることができる。
(1)商品送り状1について
ア 「Activity」(活動)に記載について
請求人は,平成29年3月17日付け審判事件弁駁書において,商品送り状1について,商品の特定ができていない旨主張するので,まずこの点について検討する。
(ア)商品送り状1の表の1行目に記載された「Greaser Cone 13 oz Cone」の記載と,商品送り状1が送付されたオリンピコ社のウェブページ(乙2)の記載を比較すると,「Greaser」,「Cone」,及び「13 oz」の記載が一致する。
そして,当該ウェブページによれば,「Greaser」の文字は,「Jean」の文字を伴って使用され,「Jean」の語は,「デニム地の衣類,ジーンズ」を意味するものである。さらに,当該ウェブページには,本件商標に係るブランドの紹介とともに,商品「ジーンズ製ズボン」の写真が掲載されているから,当該「Greaser」の文字は,本件商標権者が商品「ジーンズ製ズボン」に使用する個別の名称と認められる。
また,「Cone」及び「13 oz」の文字は,それぞれ「Cone Mills White Oak社」製の布地及び「13オンス」(「oz」は「ounce」(オンス)の略であり,重量を表す単位)の布地を表したもの,すなわち,商品の品質(内容)を表したものといえる。
さらに,一般に取引業者間の書類においては,当業者間でどのような商品が取引されたかが明確になる程度に商品名等を省略して記載されることが普通に行われている。
そうすると,オリンピコ社は,商品送り状1の表中1行目にある「Greaser Cone 13 oz Cone」の記載が,本件商標権者の取扱いに係る商品「ジーンズ製ズボン」に関してのものであることは当然理解していたというべきであるから,商品送り状1は,商品「ジーンズ製ズボン」に関する取引書類であったと認めることができる。
(イ)商品送り状1の表の2行目に記載された「The Chelsea 14 oz Grey heather selvedge denim」の記載と,商品送り状1が送付されたオリンピコ社のウェブページ(乙3)の記載を比較すると,「Chelsea」の記載が一致する。また,「14 oz」及び「selvedge denim」の表示は,「14ozセルビッジ付きデニム」(「selvedge」及び「セルビッジ」は,「(織物などの)織端」を意味し,「denim」及び「デニム」は,「デニム(地)」を意味する。)の記載と一致する。
そして,当該ウェブページの記載によれば,「Chelsea」の文字は,「Jean」の文字を伴って使用され,「Jean」の語は「デニム地の衣類,ジーンズ」を意味するものである。さらに,当該ウェブページには,本件商標に係るブランドの紹介とともに,商品「ジーンズ製ズボン」の写真が掲載されているから,当該「Chelsea」の文字は,本件商標権者が商品「ジーンズ製ズボン」に使用する個別の名称と認められる。
また,「Grey」及び「heather」の文字は,それぞれ「灰色」及び「ヒース色(灰色がかった紫から紫がかった赤色まで)」を意味するから色彩を表示したもの,さらに,「14 oz」及び「selvedge denim」の文字は,「14オンスのデニム地で織端を有するもの」を表したもの,すなわち,商品の品質(内容)を表したものといえる。
そうすると,オリンピコ社は,商品送り状1の表中2行目にある「The Chelsea 14 oz Grey heather selvedge denim」の記載が,本件商標権者の取扱いに係る商品「ジーンズ製ズボン」に関してのものであることは当然理解していたというべきであるから,商品送り状1は,商品「ジーンズ製ズボン」に関する取引書類であったと認めることができる。
(ウ)商品送り状1の表の3行目に記載された「Tube tee crew white 3m,grey 3m, olive 3/2,navy 4/2」の記載と,商品送り状1が送付されたオリンピコ社のウェブページ(乙4)の記載を比較すると,「Tube tee」の記載が一致する。
そして,当該ウェブページには,「LEFT FIELD/TUBE TEE」の見出しの下,本件商標に係るブランドの紹介とともに,「LEFT FIELD」及び「TUBE TEE」文字が表示された袋に包装された商品の写真,さらに,「Left Field」の襟タグが付され,ハンガーにつるされた商品「ティーシャツ」の写真の掲載が認められるから,当該「Tube tee」の文字は,本件商標権者が商品「ティーシャツ」に使用する個別の名称と認められる。
また,「white」,「grey」,「olive」及び「navy」の文字は,当該ウェブページの右下段の表の1列目の表示と一致し,それぞれ「白色」,「灰色」,「オリーブ色」及び「ネイビー(濃紺色)」の色彩を表したものと推認でき,さらに,「white」,「grey」,「olive」及び「navy」の文字に続く「3m」,「3m」,「3/2」及び「4/2」の表示は,当該表示の数字の合計が商品送り状1の表の3行目の数量「17」と一致するから,それぞれ,商品のサイズと数量を表したものといえる。
そうすると,オリンピコ社は,商品送り状1の表中3行目にある「Tube tee crew white 3m,grey 3m, olive 3/2,navy 4/2」の記載が,本件商標権者の取扱いに係る商品「ティーシャツ」に関してのものであることは当然理解していたというべきであるから,商品送り状1は,商品「ティーシャツ」に関する取引書類であったと認めることができる。
イ 上記よりすると,本件商標権者は,平成26年5月12日付けの商品送り状1に基づいて,商品「ジーンズ製ズボン」及び商品「ティーシャツ」を発送したと推認され,そして,オリンピコ社は,遅くとも翌年の5月までにこれらの商品を販売するために自社のウェブページに掲載したことについて,特段,不自然な点を認めることはできないから,本件商標権者は,平成26年5月12日に商品送り状1(乙1)に「Left Field」の文字を付して,「愛知県名古屋市千種区東山」に所在のオリンピコ社に頒布したと認められる。
(2)以上を総合して判断すれば,本件商標権者は,要証期間内である平成26年5月12日に,商品「ジーンズ製ズボン」及び「ティーシャツ」に関する取引書類(商品送り状1)に「Left Field」の商標(以下「使用商標」という。)を付して,「愛知県名古屋市千種区東山」に所在のオリンピコ社に頒布したことが認められる。
そして,本件商標は,「LEFT FIELD」の欧文字を標準文字で表してなるところ,使用商標は,本件商標とつづりを同一にし,その一部につき欧文字の大文字と小文字との表示を変更するなどしたものにすぎないから,使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
そして,商品「ジーンズ製ズボン,ティーシャツ」が,本件審判請求に係る指定商品中「被服」に含まれる商品であることは,明らかである。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標権者は,要証期間内に,日本国内において,本件審判請求に係る指定商品中「被服」に含まれる商品「ジーンズ製ズボン,ティーシャツ」に関する取引書類に,本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して頒布したものと認められる。
そして,上記使用行為は商標法第2条第3項第8号に該当するものと認められるから,被請求人は,本件商標を使用していたことを証明したと認め得る。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-04-18 
結審通知日 2017-04-20 
審決日 2017-05-08 
出願番号 商願2001-94368(T2001-94368) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 早川 文宏
田村 正明
登録日 2002-08-23 
登録番号 商標登録第4598687号(T4598687) 
商標の称呼 レフトフィールド 
代理人 杉本 丈夫 
代理人 竹内 耕三 
代理人 鈴木 礼至 
代理人 谷田 龍一 

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