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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y3233
管理番号 1333325 
審判番号 取消2016-300153 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-03-07 
確定日 2017-09-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第4868633号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4868633号商標(以下「本件商標」という。)は、「NITE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成16年6月23日に登録出願、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」並びに第1類ないし第4類、第6類ないし第9類、第11類ないし第31類、第34類、第35類及び第37類ないし第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同17年6月3日に設定登録されたものである。
その後、本件商標の商標権については、平成22年11月4日及び同23年4月8日に、それぞれ、商標法第50条第1項の規定による商標登録の取消しの審判(2010-301171、2011-300361及び2011-300362)が請求され、本件商標の指定商品及び指定役務中、第14類「時計」、第43類「宿泊施設の提供」及び「飲食物の提供」を取り消すべき旨の審決がされて、第14類「時計」については同23年4月28日に、第43類「宿泊施設の提供」については同年9月26日に、第43類「飲食物の提供」については同年11月4日に、それぞれ、その確定審決の登録がされたものであり、さらに、同27年4月7日に、本件商標の指定商品及び指定役務中、第13類、第44類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を除くものについて、商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成28年3月22日である。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第32類「ビール」及び第33類「洋酒,果実酒」(以下、これらをまとめて「本件審判の請求に係る指定商品」という場合がある。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件商標は、本件審判の請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである旨述べた。
なお、請求人は、後記3の被請求人の答弁に対し、弁駁していない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、以下のアないしオのとおり、2015年(平成27年)11月から現在まで、その指定商品及び指定役務中の第32類「ビール」について、その瓶のラベルに付されて使用されている。
ア 乙第1号証は、2015年(平成27年)11月25日に発行された「復興釜石新聞」(第439号)の写しであり、その1ページ3行目には、「『東北復興支援ビール 渚咲?Nagisa』を20日から全国向けに販売」との記載があるところ、この「20日」とは、2015年(平成27年)11月20日のことである。
そして、上記記事中に掲載されている当該ビール(以下「本件ビール」という。)の写真には、「nite」の文字のあるラベルが写っている。
イ 乙第2号証は、本件ビールのラベルであるところ、当該ラベル中に「nite」の文字があり、さらに、当該文字の下には、本件商標権者の名称の表示がある。
そして、本件ビールのラベル中にある「nite」の文字は、本件商標と比較すると、小文字と大文字という差はあるものの、社会的同一性があるものと考える。
ウ 乙第3号証及び乙第4号証の1ないし3は、それぞれ、前者が平成27年11月20日に出された釜石市の公報、後者が同市の組織図である。
そして、上記公報(乙3)には、本件商標権者が本件ビールの製造に関与したことについて、「製品評価技術基盤機構の協力により」と記載されている。
エ 乙第5号証は、本件ビールの製造者である世嬉の一酒造株式会社(以下「世嬉の一酒造」という。)による報告書であり、上記ウにおいて述べた本件商標権者の協力について、詳しく言及している。
そして、上記報告書の内容によれば、本件商標権者は、本件ビールの製造に関与したといえる。
オ 乙第6号証は、本件商標権者と世嬉の一酒造との間で交わされた覚書であり、上記アのとおり、本件ビールのラベルに本件商標が付されていることにつき、世嬉の一酒造が、本件商標権者から許諾を受けて使用していることが明記されている。
(2)まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標権者から許諾を受けた世嬉の一酒造により、本件審判の請求に係る指定商品中の第32類「ビール」について使用されている。
したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定商品について、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものはない。

4 当審の判断
(1)被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 本件ビールは、釜石市より同市の花である「はまゆり」から抽出した酵母(釜石はまゆり酵母)を使用したビールの醸造を要請された世嬉の一酒造が、北里大学感染制御研究機構釜石研究所及び本件商標権者の協力を得て、醸造に成功したビールであって、自己のオリジナル商品として、2015年(平成27年)11月20日から全国向けに販売を始めた商品である(乙1、乙3、乙5)。
本件ビールのラベルには、図案化された「渚咲」の文字、「Nagisa」の文字及び図形を結合してなる標章が中央に顕著に表されているほか、「北里大学」の文字と図形を結合してなる標章、やや図案化してなる「nite」の文字からなる標章等が付されている(乙1)。
イ 本件商標権者と世嬉の一酒造とは、本件商標権者による許諾の下、世嬉の一酒造が、2015年(平成27年)11月20日からその使用が中止されるまでの間、本件商標及びそれと社会的同一の標章を「東北復興支援ビール渚咲」に商標として使用することについて合意しており、その合意内容について、平成28年12月8日に覚書が交わされた(乙6)。
(2)上記1において認定した事実によれば、世嬉の一酒造は、本件商標についての通常使用権者といえる。
また、世嬉の一酒造は、本件審判の請求の登録前3年以内である2015年(平成27年)11月20日以降、自己の販売に係る本件ビールに付すラベルにおいて、やや図案化してなる「nite」の文字からなる標章を使用していたことが推認される。
そして、世嬉の一酒造の使用に係る上記「nite」の標章は、やや図案化されているものの、容易に「nite」の文字と看取されるものであり、また、表記において大文字と小文字という差異はあるものの、本件商標と同一のつづりからなるものであって、同一の称呼を生じるといえるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
さらに、本件ビールは、本件審判の請求に係る指定商品中の第32類「ビール」に属するものと認められる。
してみれば、本件商標の通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用(商標法第2条第3項第1号)をしていたものと認められる。
(3)むすび
以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標の通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定商品について、商標法第50条第1項の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-04-19 
結審通知日 2017-04-24 
審決日 2017-05-15 
出願番号 商願2004-57977(T2004-57977) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y3233)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 大橋 洋子
田中 敬規
登録日 2005-06-03 
登録番号 商標登録第4868633号(T4868633) 
商標の称呼 ナイト、ニテ 
代理人 村上 晃一 
代理人 穂坂 道子 
代理人 名越 秀夫 

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