ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X2835 |
---|---|
管理番号 | 1332335 |
審判番号 | 取消2016-300541 |
総通号数 | 214 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-10-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2016-08-05 |
確定日 | 2017-08-21 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5465673号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5465673号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5465673号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成23年6月21日に登録出願,第28類「愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具」及び第35類「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として,同24年1月27日に設定登録されたものである。 そして,本件審判の請求の登録日は,平成28年8月22日である。 第2 請求人の主張 請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証及び甲第2号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,その指定商品及び指定役務について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)被請求人は,答弁書において本件商標を使用している旨主張し,証拠として乙各号証を提出しているが,これらの証拠によっては,本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内(以下「本件要証期間内」という。)に,指定商品及び指定役務の少なくとも一つについて使用された事実はいまだ認められない。 (2)被請求人は,顧客であるタスカルクラフト株式会社(以下「タスカルクラフト」という。)から複数回の注文を受け「トレーディングカードゲーム」を製造し,完成品を納入した一連の行為の終了後に発行された請求書(乙1?乙6)を取引書類における商標の使用の証拠として提出している。 しかし,当該請求書中「ITEM」の欄には,「トレーディングカードゲーム製造作業一式」との記載の下に,その作業明細と思われる「カードシャッフリング」等の記載があるのみであり,被請求人が主張する「トレーディングカード」(以下「本件商品」という。)の具体的な記載は見当たらない。このような“作業一式”という非常に曖昧で不明確な記載のみでは,本件商品が実際に存在していたかについて疑義がある。 また,請求書には納入先のタスカルクラフトの住所や代表者・担当者の氏名もなく,被請求人の印鑑など,通常の請求書に当然存在するはずの記載や印影等がなく,タスカルクラフトの情報も一切不明である。 そのため,タスカルクラフトが実在する会社であるか確認できず,また,実在するとしても特定することができないから,これらの証拠のみでは実際に本件商品の取引があったのかも疑わしい。 さらに,被請求人が提出した請求書の補強証拠である被請求人の口座通帳(乙7?乙12)では,口座番号や口座名義が不明であるため,当該通帳が被請求人の口座のものであるか,請求書記載の口座のものであるかを特定することができない。 また,顧客からの依頼で商品を製造・納入する場合には,その顧客からの注文書や仕様書,納品書などが通常存在するが,被請求人からはそのような書類も提出されておらず,このような状況下においては,被請求人の業種や営業形態ですら把握することができない。 以上のとおり,被請求人が提出した各証拠には不明な点が多く,これらの証拠によって,被請求人が立証責任を果たしたとは到底いうことができない。 (3)被請求人は請求書により,本件商標を第28類の商品「おもちゃ,トランプ」について,第35類の役務「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用したことが立証されたと主張しているが,上記(2)で述べたように,被請求人の答弁書及び提出された証拠である請求書の記載は非常に曖昧で不明確な記載が多く,これらによって被請求人が使用したとする本件商品及び役務との具体的関係が立証されたと認めることはできない。 さらに,被請求人が本件商品あるいは役務について使用したのであれば,本件商標が付されている商品パッケージの写真や,その商品の陳列写真,店舗写真,本件商品の販売時の包装紙などがあるはずであるが,そのような証拠の提出がないことからすれば,被請求人は本件商標を使用していない蓋然性が極めて高い。 (4)被請求人は,タスカルクラフトからの複数回の注文を受け「トレーディングカードゲーム」を製造し,完成品を納入したとする一連行為が,第28類中の「おもちゃ,トランプ」又は第35類中の「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の使用であると主張する。 しかし,被請求人の主張する一連の行為は,その主張及び請求書に「トレーディングカードゲーム製造作業一式」と,また,その製造作業一式の細目として,「カードジャッフリング」,「ソート」,「仕切り」,「DTP」及び「箱入れ,発送」と記載されていることからも明らかなように,タスカルクラフトからの委託製造をしていたにすぎない。 そうすると,被請求人の主張する一連の行為が,第35類中の上記役務に該当しないことは明らかである。 また,上述したように,被請求人の提出証拠からは具体的な商品が存在していたかも疑わしく,被請求人の業種や営業形態すら不明である。このような状況下において,被請求人が本件商標を第28類の指定商品,特に「おもちゃ,トランプ」に使用していたと認めることも到底できない。 (5)被請求人は,原簿上の住所から,東京都台東区の住所に表示変更登録申請をすると主張している。 しかし,請求書(乙1?乙4)に記載の被請求人住所(千葉県浦安市)は,原簿上の住所でも変更後の住所でもないから,当該請求書は,本件商標権者が本件商標を使用した証拠にはならない。 一方,請求書(乙5,乙6)については,被請求人の主張する変更後の住所が記載されているが,被請求人からは,当該主張が正しいことを裏付ける登記簿謄本等が提出されていない。 (6)以上のとおり,被請求人の提出証拠によっては,本件商標が,指定商品及び指定役務について使用されていたとは認められないから,本件商標が本件審判請求登録前に使用された事実は証明されていない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。 1 被請求人による本件商標の使用 本件商標権者は,カードゲームの企画,製造及び販売やカードゲームショップの運営等を主たる業務として設立された。本件商標権者は,顧客の一社であるタスカルクラフトから複数回の注文を受け,「トレーディングカードゲーム」を製造し,完成品を納入し,「トレーディングカードゲーム製造作業一式,カードシャッフリング,ソート,仕切り,DTP,箱入れ,発送」に関する請求書を,6回作成し発行している。この請求書には本件商標が付されている(乙1?乙6)。 また,当該請求書が実際の取引において使用されたことを証明するものとして,タスカルクラフトから本件商標権者の口座に請求額が振り込まれたことが記載された預金通帳の写しを証拠として提出する(乙7?乙12)。 本件商標権者が作成した請求書(乙1?乙6)の左上部分に,本件商標と同一の商標が印刷されている。当該請求書は,タスカルクラフトから上記の内容を依頼され,業務の完了に伴って発行されたものである。当該業務は,本件商標の指定商品中,第28類「トレーディングカードゲーム」の製造及び販売に関するものである。また,各種「トレーディングカード」の取扱いは,第35類の「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に該当する。 また,当該請求書の左上には一番古いもので「2015年4月30日」,新しいもので「2016年4月30日」の文字が記載されている。通常,請求書は,顧客から依頼された業務を遂行するにあたり,作業前若しくは作業後に発送し,その作成日が記載されるものである。また,作成後直ちに顧客に送付されるとも考えられるので,この商品が譲渡された日又は役務が提供された日は2015年4月30日から2016年4月30日前後であると考えられ,本件要証期間内に本件商標が使用されていることが明らかである。 さらに,当該請求書の作成者は,本件商標権者である。 以上により,本件商標は,本件審判請求に係る指定商品又は指定役務中の少なくとも一つについて使用されていることは証明されている。 2 本件商標の使用 本件商標権者は,カードゲームの企画,製造及び販売やカードゲームショップの運営等を行っており,請求書(乙1)は,上記の業務を行い顧客と取引する際に発行され,顧客に送付されたものである。この一連の業務は,本件商標の指定商品中,第28類「おもちゃ,トランプ」に属すると考えられる「トレーディングゲーム」の製造及び販売に係るものである。また,各種「トレーディングカード」の取扱いは,本件商標の指定役務中,第35類「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に属する役務にも該当する。 すなわち,請求書(乙1)に本件商標を付して発行する行為は,「商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当する。 第4 手続の経緯 当審において,本件の審理を口頭審理によるものとし,両当事者に送付した平成29年4月17日付けの審理事項通知書において,合議体の暫定的見解を示し,被請求人に対し,合議体の暫定的見解及び請求人の弁駁に対する意見を求め,本件商標の使用をしていることについて補足の証拠及び新たな証拠の提出を求めたが,被請求人からは何らの応答もなく,結果,口頭審理を中止した。 第5 当審の判断 1 証拠及び当事者の主張並びに当審における職権調査によれば,以下の事実が認められる。 (1)乙第1号証ないし乙第6号証は,本件商標権者からタスカルクラフトに宛てた2015年4月30日付け,同年5月29日付け,同年10月30日付け,同年11月30日付け,2016年3月31日付け及び同年4月30日付けの請求書であるところ,当該請求書には,いずれも左上部分に,青色の横長六角形を背景とし,該背景の左半分に,白色の「C」及び水色の「ard」の欧文字を表し,「a」の上には白色の「カード」の片仮名を表し,また,該背景の右半分には一回り小さい水色の背景を重ね,白色の「L」及び青色の「abo」の欧文字を表し,「o」の上には青色の「ラボ」の片仮名を表してなる標章(以下「使用標章」という。)が表示されている。そして,当該請求書の明細表の上には「ご請求額」とする金額が記載され,また,明細表の「ITEM」の項目には「トレーディングカードゲーム製造作業一式」の記載があり,その作業細目として「カードシャッフリング」,「ソート」,「仕切り」,「DTP」及び「箱入れ,発送」の記載がある。さらに,明細表の下には,「振込先口座」及び「振込期日」の記載がある。 なお,請求書(乙1?乙4),「ビー・ティー・カンパニー株式会社」の住所として,現在の登録原簿記載の住所と異なる千葉県浦安市の住所が記載されているが,当審においてした職権調査によれば,本件商標権者は,本店を平成23年8月1日に千葉県浦安市に移転し,さらに,同28年1月15日に,現在の登録原簿記載の住所に移転したことが確認できることから(本件商標権者に係る閉鎖事項全部証明書及び履歴事項全部証明書),当該請求書は,本件商標権者が本件要証期間内に,タスカルクラフトに宛てたものと認められる。 (2)普通預金通帳の写し(乙7?乙12)においては,それぞれ,日付の記載,「お取引内容」の項目に「振込 タスカルクラフト(カ」の記載,「お預り金額」の項目に金額の記載があり,それぞれの日付及び「お預り金額」の項目に記載された金額は,請求書(乙1?乙6)の「振込期日」に記載された日付及び「ご請求額」とする金額に対応している一方,当該預金通帳に係る銀行名や口座番号,口座名義人が記載された部分の提出はない。 2 上記1によれば,次のとおり判断することができる。 (1)本件商標権者は,本件要証期間内である2015年(平成27年)4月30日から2016年(平成28年)4月30日にかけて,タスカルクラフト宛に,使用標章を表示した請求書を発行している(乙1?乙6)。そして,使用標章は,本件商標と同一の商標と認められるものである。 (2)請求書(乙1?乙6)によれば,本件商標権者が,「トレーディングカードゲーム製造作業一式」として,「カードシャッフリング」,「ソート」,「仕切り」,「DTP」及び「箱入れ,発送」と称する各作業を行ったことは認められる。 しかしながら,当該作業は,本件審判請求に係る指定商品又は指定役務の関係において,具体的にどのようなものであるかが明らかでない。 したがって,請求書(乙1?乙6)をもっては,本件商標が,本件審判請求に係る指定商品又は指定役務について使用されたということはできない。 (3)被請求人は,普通預金通帳の写し(乙7?乙12)を提出しているが,当該預金通帳に係る口座名義人,銀行名や口座番号が不明であることから,当該預金通帳の写しをもって,本件商標権者とタスカルクラフトとの間で金銭の振り込みが行われたことを確認することができない。 (4)小括 以上のことからすれば,被請求人の提出に係る証拠によっては,本件商標が本件審判請求に係る指定商品又は指定役務について使用されているとは認めることはできない。 3 まとめ 以上のとおり,被請求人は,本件要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件審判請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについて,本件商標を使用していたことを証明したということができない。 また,被請求人は,本件審判請求に係る指定商品又は指定役務について本件商標を使用していないことについて,正当な理由があることを明らかにしていない。 したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本件商標。色彩については原本を参照されたい。) |
審理終結日 | 2017-06-20 |
結審通知日 | 2017-06-22 |
審決日 | 2017-07-11 |
出願番号 | 商願2011-42901(T2011-42901) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(X2835)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 浜岸 愛 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 小林 裕子 |
登録日 | 2012-01-27 |
登録番号 | 商標登録第5465673号(T5465673) |
商標の称呼 | カードラボ、ラボ |
代理人 | 萬 幸男 |
代理人 | 保崎 明弘 |
代理人 | 水野 勝文 |
代理人 | 鈴木 亜美 |
代理人 | 広瀬 文彦 |
代理人 | 和田 光子 |