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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X3742
管理番号 1331378 
審判番号 取消2016-300584 
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-08-22 
確定日 2017-07-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第5202505号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5202505号商標(以下「本件商標」という。)は、「いい家研究所」の文字を標準文字で表してなり、平成20年4月21日に登録出願、第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,火災報知機の修理又は保守,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,家具の修理,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き」及び第42類「建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究」を指定役務として、平成21年2月6日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成28年9月5日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べている。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、継続して3年以上日本国内において使用されていないから、その登録は、商標法第50条の規定により、取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証ないし乙第4号証に客観性がないこと
被請求人は、答弁書とともに、証拠として乙第1号証ないし乙第4号証を提出しているが、いずれも、被請求人が現時点において容易に作成可能なものばかりであり、被請求人の主張する時期及び態様において、同人が本件商標を使用したことを証明する客観的証拠とはいえない。
(2)乙第1号証ないし乙第4号証により要証事実は証明されないこと
商標を付した広告等を頒布する行為については、広告等が一般公衆による閲覧可能な状態に置かれたことが必要であるところ(知財高判平成22年12月15日判時2108号127頁)、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第4号証では、この要証事実、すなわち、広告等が一般公衆による閲覧可能な状態に置かれた事実は証明されない。
(3)結論
以上のとおり、被請求人が本件商標を使用した事実は証明されていない。
3 口頭審理陳述要領書(平成29年3月28日付け)における主張
(1)被請求人は、乙第7号証、乙第8号証、乙第10号証及び乙第11号証を、写しとして証拠提出しているが、これらの各書証には原本が存在し、それを使用して上記各書証を作成したはずであるから、上記各書証の原本を証拠提出されたい。
(2)乙第7号証及び乙第8号証は、新聞様の体裁をしているが、実際は新聞の折り込み広告であって、これのみ単体で配布されるものではないから、被請求人は、乙第7号証及び乙第8号証が折り込まれた新聞名、配布の年月日・地域・部数を、明らかにされたい。
(3)請求人は、上記(1)及び(2)に対する被請求人の回答を待って、主張を補足する予定である。
4 上申書(平成29年4月23日付け)における主張
被請求人が口頭審理陳述要領書(平成29年3月22日付け)及び口頭審理陳述要領書(2)(同年4月13日付け)において述べる事実については、不知、主張については争う。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標の使用事実の要点
本件商標の商標権者及び通常使用権者である「有限会社コーワ」は、本件審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に我が国において、その請求に係る指定役務中「建設工事」、「建築工事に関する助言」及び「建築物の設計」について、本件商標を使用している。
(2)本件商標の使用の事実
ア 商標の使用者
乙第1号証「住宅見学会開催のお知らせ」及び乙第2号証「名刺」には、商標権者の氏名及び「有限会社コーワ」(以下「コーワ社」という場合がある。)及び住所が表示されている。
また、乙第3号証「拝見会招待状」には、商標権者の氏名及びコーワ社が表示され、乙第4号証「拝見会カタログ」には、コーワ社が表示されている。
そして、商標権者は、コーワ社の代表取締役であり、商標権者と該コーワ社との間において、口頭又は黙示の使用許諾が成されていたことは明らかである。
イ 使用に係る役務
乙第1号証ないし乙第4号証には、本件審判の請求に係る指定役務「建設工事」、「建設工事に関する助言」及び「建築物の設計」に関する「建築設計施工」又は「設計施工」が記載されている。
ウ 使用に係る商標
乙第1号証ないし乙第4号証には、本件商標が記載されている。
エ 使用時期
乙第1号証には、「平成27年11月」と記載され、乙第3号証には、「10月31日(土)」及び「11月1日(日)」と記載され、乙第4号証には、「2015 10/31(土)・11/1(日)」と記載されており、乙第2号証の名刺が、少なくとも2015年10月31日及び11月1日において使用されたことは明らかである。
2 口頭審理陳述要領書(平成29年3月22日付け)における主張
(1)被請求人及び通常使用権者による本件商標の使用の概要
被請求人は、平成18年の設立の「建築工事の設計、施工、請負」を主目的とするコーワ社の代表取締役である(乙5)から、被請求人とコーワ社との間において、本件商標について、口頭又は黙示の使用許諾が成されていたことは明らかである。
(2)乙第1号証について
ア 乙第1号証「住宅見学会開催のお知らせ」は、平成27年10月31日及び11月1日に行われた住宅拝見会の開催のお知らせであって、これに記載の「コーワ協力会(乙9参照)」を通じて平成27年10月31日前に配布されたものである。
イ 乙第1号証には、被請求人及びコーワ社が記載され、乙第1号証下欄のコーワ社に関する広告には、コーワ社が提供する建築設計施工と本件商標とが一体で付されているから、乙第1号証を頒布する行為は、商標法第2条第3項第8号に該当する。
(3)乙第2号証について
ア 乙第2号証「被請求人の名刺」は、乙第1号証とともに配布され、平成27年10月31日及び11月1日に行われた住宅拝見会においても配布されたものである。
イ 乙第2号証には、被請求人及びコーワ社とともに、これらが提供する設計施工と本件商標が一体で付されているから、乙第2号証を頒布する行為は、商標法第2条第3項第8号に該当する。
(4)乙第3号証について
ア 乙第3号証「拝見会招待状」は、平成27年10月31日及び11月1日に行われた住宅拝見会の招待状であって、平成27年10月31日前にコーワ協力会を通じて配布されたものである。
イ 乙第3号証には、被請求人及びコーワ社が記載され、乙第3号証右下欄の、コーワ社に関する広告には、該コーワ社が提供する建築設計施工と本件商標とが一体で付されている。したがって、乙第3号証を頒布する行為は、商標法第2条第3項第8号に該当する。
(5)乙第4号証について
ア 乙第4号証「拝見会カタログ」は、平成27年10月31日及び11月1日に行われた住宅拝見会のカタログであって、平成27年10月31日前にコーワ協力会を通じて配布されたものである。
イ 乙第4号証下欄の、コーワ社に関する広告には、コーワ社が提供する建築設計施工と本件商標とが一体で付されているから、乙第4号証を頒布する行為は、商標法第2条第3項第8号に該当する。
(6)乙第5号証について
乙第5号証「有限会社コーワの履歴事項全部証明書」には、被請求人がコーワ社の唯一の取締役であり代表取締役であることが表示されている。
(7)乙第6号証について
乙第6号証「株式会社エージェンシー広宣の請求書」は、平成27年10月31日に株式会社エージェンシー広宣からコーワ社に発行された請求書であり、乙第1号証、乙第3号証及び乙第4号証を各400枚作成して、コーワ社に納品したことが示されており、乙第6号証は、これらが平成27年10月31日前に各400部、配布のために作成されたことを示すものである。
また、この請求書には、乙第7号証「10月30日付中日新聞中日飯田ホームニュース広告」の掲載料金、乙第8号証「10月29日付週刊いいだ1543号」の掲載料金が記載されている。
(8)乙第7号証について
ア 乙第7号証「中日新聞中日飯田ホームニュース」は、平成27年(2015)10月30日発行であり、2頁右下欄に、乙第1号証、乙第3号証及び乙第4号証に係る、2015年10月31日及び11月1日住宅拝見会の開催の広告が掲載されている。
イ 中日新聞中日飯田ホームニュースは、株式会社長野県中日サービスセンターホームニュース飯田ホームニュースに記載されている情報によれば、長野県飯田市を中心として、松川町、高森町、阿南町等において普及率70%を超える世帯に配布されている。
ウ 乙第7号証に掲載されたコーワ社に関する広告には、コーワ社が提供する建築設計施工と本件商標とが一体で付されているから、乙第7号証は、商標法第2条第3項第8号に該当する使用を証明するものである。
(9)乙第8号証について
ア 乙第8号証「週刊いいだ」は、2015年10月29日発行の「週刊いいだ」第4頁の写しであり、右下欄に、乙第1号証、乙第3号証及び乙第4号証に係る、2015年10月31日及び11月1日住宅拝見会の開催の広告が掲載されている。
イ 「週刊いいだ」は、「週刊いいだのご案内(株式会社エージェンシー広宣)」によれば、2015年1月の配布実績として長野県飯田市及び下伊那郡の56,887戸に配布されている。
ウ 乙第8号証に掲載されたコーワ社に関する広告には、コーワ社が提供する建築設計施工と本件商標とが一体で付されているから、乙第8号証は、商標法第2条第3項第8号に該当する使用を証明するものである。
(10)乙第9号証について
乙第9号証「住宅拝見会が実行されたことを示す写真」は、2015年10月31日及び11月1日に被請求人が撮影した写真であって、乙第1号証に記載された「コーワ協力会」の構成員を示すとともに、コーワ協力会の協力のもとで住宅拝見会が実行されたこと、及び乙第7号証及び乙第8号証に記載されているように、チャリティバザーと、相談会とが合わせて開催されたことを示す写真である。
(11)乙第10号証について
ア 乙第10号証「そうごうページ2015 50音別電話帳西部3村版」は、株式会社そうごうが、2015年初旬に長野県下伊那郡阿智村・平谷村及び根羽村を中心に配布している電話帳広告であり、2015年版については、その最終頁に記載されているように、NTTと契約した番号情報データベース(TDIS)平成26年12月20日現在を使用して作成され、平成27年初旬に2015年版の電話帳として配布されている。
イ 乙第10号証の阿智村(こ)の部には、被請求人及びコーワ社の広告が搭載されており、建築設計施工と本件商標とが一体で付されているから、乙第10号証は、商標法第2条第3項第8号に該当する使用を証明するものである。
(12)乙第11号証について
ア 乙第11号証「そうごうページ2016 50音別電話帳西部3村版」は、株式会社そうごうが、2016年初旬に長野県下伊那郡阿智村・平谷村及び根羽村を中心に配布している電話帳広告であり、2016年版については、その最終頁に記載されているように、NTTと契約した番号情報データベース(TDIS)平成27年10月20日現在を使用して作成され、平成28年初旬に2016年版の電話帳として配布されている。
イ 乙第11号証の阿智村(こ)の部には、被請求人及びコーワ社の広告が掲載されており、建築設計施工と本件商標とが一体で付されているから、乙第11号証は、商標法第2条第3項第8号に該当する使用を証明するものである。
(13)請求人の弁駁書に対する認否、反論
ア 乙第1号証、乙第3号証及び乙第4号証が、平成27年10月30日前に各400部が作成されていたことは乙第6号証より明らかであり、さらに、平成27年10月31日及び11月1日に拝見会が行われたことは乙第7ないし乙第9号証により明らかであって、少なくとも乙第1号証、乙第3号証及び乙第4号証が、遅くとも拝見会が行われた平成27年11月1日前には一般公衆による閲覧可能な状態に置かれていたことは明らかである。
イ 乙第7号証、乙第8号証、乙第10号証及び乙第11号証により、要証期間内に、本件商標を付した広告等が一般公衆による閲覧可能な状態に置かれていたことは明らかである。
3 口頭審理陳述要領書(2)(平成29年4月13日付け)における主張
(1)乙第7号証について
乙第7号証は、株式会社長野県中日サービスセンターが発行しているコミュニティーペーパーであり、毎週金曜日に中日新聞他への折り込みと、ポスティングとで配布されている。そして、乙第7号証の配布年月日は、平成27年(2015年)10月30日(金)であり、長野県飯田市を中心として、松川町、高森町などに配布され、その発行部数は50,000部であり、株式会社長野県中日サービスセンターのホームページからダウンロードした、「中日飯田ホームニュース媒体資料」を、乙第12号証として提出する。
(2)乙8号証は、信濃毎日新聞社広告局が発行しているフリーペーパーであり、毎週木曜日に信濃毎日新聞販売店網により、新聞への折り込みと、ポスティングデリバリーにより配布されている。そして、乙第8号証の配布年月日は、平成27年(2015年)10月29日(木)であり、長野県飯田市を中心として、松川町、高森町などに配布され、その発行部数は48,000部である。信濃毎日新聞社広告局のホームページからダウンロードした、「週刊いいだ媒体資料」を、乙第13号証として提出する。
4 口頭審理(平成29年4月20日付)における主張(調書)
被請求人は、「乙第3号証の封筒には、乙第1号証及び乙第4号証のリーフレットを入れて、コーワ社の協力者及び取引先企業で構成されるグループである『コーワ協力会』を通じて配布した。」と主張した。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠及びその主張は以下のとおりである。
(1)乙第1号証は、「住宅見学会 開催のお知らせ」を表題とする「リーフレット」であり、「コーワからの新提案住宅・・・本格和風住宅が完成いたしました。・・・豊富に使った無垢材の数々も是非ご覧ください。・・・平成27年11月」の記載とともに、「代表」として、商標権者の氏名、写真及び住宅内部の写真が掲載され、下部には、薄い緑色の枠内の上部に「いい家研究所」の記載があり、その下に、「建築設計施工」及び「有限会社コーワ」の文字の記載があり、さらに、電話番号、FAX番号及び住所の記載がある。
(2)乙第3号証は、表に「お客様のお宅拝見会 特別ご招待状」の記載がある「封筒」であり、人物の図形と代表として商標権者の氏名の記載がある。また、下部には、「10月31日(土)AM9:00?PM7:00/11月1日(日)AM9:00?PM5:00」の記載があり、その右側には、「建設設計施工」、「いい家研究所」及び「有限会社コーワ」の文字の記載がある。
(3)乙第4号証は、「お客様のお宅拝見会」を表題とする「リーフレット」であり、その表面には、開催日として「2015 10/31(土)・11/1(日)」の記載があり、住宅内部及び外観の写真が掲載され、下部には、薄い緑色の枠内の上部に「いい家研究所」の記載があり、その下に、「建築設計施工」及び「有限会社コーワ」の文字の記載があり、さらに、電話番号、FAX番号及び住所の記載がある。
(4)被請求人は、乙第3号証の封筒に、乙第1号証及び乙第4号証のリーフレットを入れて、コーワ社の協力者及び取引先企業で構成されるグループである「コーワ協力会」を通じて配布した。
(5)乙第5号証は、コーワ社の「履歴事項全部証明書」であり、「役員に関する事項」の欄には、「取締役」として、被請求人「原基浩」の記載がある。
(6)乙第6号証は、「株式会社エージェンシー広宣」が、コーワ社宛てに平成27年10月31日付けで作成した「請求書」であり、「品名及び摘要」、「数量」及び「金額」欄があり、上段の「商品コード30114」には、それぞれ、「リーフレット印刷代 4c/4c」、「400枚」、「72,000」、また、下段の「商品コード30114」には、それぞれ、「リーフレット印刷代 4c/0c」、「400枚」、「33,000」、及び「封筒印刷代」、「400部」、「15,500」の記載がある。
(7)乙第7号証は、「中日新聞中日飯田ホームニュース」を表題とする「コミュニティーペーパー」であり、その1頁の左上部には、「10月30日(金)/平成27年(2015)」、及び「発行部数」として「50,000部」の記載がある。また、2頁の右下には、「お客様のお宅拝見会」の見出しの下、「2015/10/31(土)・11/1(日)」の記載があり、住宅の内部及び外観写真が掲載され、下部には、薄い緑色の枠内の上部に「いい家研究所」の記載があり、その下に、「建築設計施工」及び「有限会社コーワ」の文字の記載があり、さらに、電話番号、FAX番号及び住所の記載がある。
(8)乙第12号証は、「中日新聞/中日飯田ホームニュース」に係る「中日飯田新聞媒体資料」であり、その裏面には、「飯田下伊那で最強の媒体/発行部数50,000部」の記載、及び「媒体概要」の見出しの下、「発行:(株)長野県中日サービスセンター」、「発行日:毎週(年末年始を除く)/金曜日[水・木・金曜日配布]、「配布:ポスティング、中日新聞他に折込」、及び「エリア:飯田市・下伊那郡全域・中川村」の記載がある。
2 判断
(1)コーワ社による本件商標の使用について
上記1によれば、コーワ社は、2015年(平成27年)10月31日及び同年11月1日に開催された住宅見学会用の広告用リーフレット2種類(乙1、乙4)を400部づつ作成し、これらを封筒(乙3)に入れて、見学会前に配布したと推認できるものである。
また、コーワ社は、平成27年10月30日に発行された、コミュニティーペーパー「中日新聞中日飯田ホームニュース」(乙7)に、上記見学会の広告を掲載し、これが新聞に折り込まれ又はポスティングにより配布されたといえるものであって、上記の日付はいずれも要証期間内である。
上記リーフレット(乙1、乙4)及びコミュニティーペーパーの広告(乙7)は、住宅見学会に関する広告であるところ、その広告の下部には、コーワ社の社名と共に、白抜き文字による「いい家研究所」(以下「使用商標」という。)、及び「建築設計施工」の表示がある。そして、「建築設計施工」の文字は、「建築」が「家屋・ビルなどの建造物を造ること」、及び「施工」が「工事を行うこと」(いずれも「広辞苑第6版」)を意味する語であることから、コーワ社は、少なくとも「建設工事」及び「建築物の設計」を業として行っているものといえる。
そうとすれば、コーワ社は、リーフレット及びコミュニティーペーパーの広告において、上記住宅見学会の広告と共に、自己の業務である「建設工事」及び「建築物の設計」の役務を提供していることを表示した上で、使用商標を使用したものというのが相当である。
(2)通常使用権者について
商標権者は、「履歴事項全部証明書」(乙5)によれば、コーワ社の取締役であって、本店の住所は、商標権者の住所と同一であることからすれば、商標権者とコーワ社は、密接な関係にあるといえるものであり、コーワ社は、本件商標の使用について、商標権者から黙示の許諾を得ていたことが推認できるものである。
そうすると、コーワ社は、本件商標の通常使用権者と認められるものである。
(3)本件商標と社会通念上同一の商標であるかについて
白抜き文字で表示された使用商標の「いい家研究所」は、標準文字である本件商標の「いい家研究所」とその書体は異なるものではあるが、同じ構成文字からなるものであるから、両商標は、社会通念上同一の商標である。
(4)小括
してみれば、通常使用権者であるコーワ社が、要証期間内である平成27年10月31日及び同年11月1日に開催された住宅見学会用の広告用リーフレット2種類(乙1、乙4)及び同年10月30日に発行されたコミュニティーペーパーの広告(乙7)において、自己の提供に係る役務「建設工事」及び「建築物の設計」に関して、本件商標と社会通念上同一の商標を付して、これらを頒布したものといえるから、その行為は、商標法第2条第3項第8号に該当するものである。
3 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定役務中、「建設工事,建築物の設計」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用をしていたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、その指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-05-25 
結審通知日 2017-05-30 
審決日 2017-06-12 
出願番号 商願2008-31234(T2008-31234) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X3742)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 中束 としえ
木住野 勝也
登録日 2009-02-06 
登録番号 商標登録第5202505号(T5202505) 
商標の称呼 イイイエケンキュージョ、イイウチケンキュージョ 
代理人 今井 彰 
代理人 芝原 章吾 

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