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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09
管理番号 1331338 
審判番号 取消2015-300764 
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-10-26 
確定日 2017-07-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第5028476号の1商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5028476号の1商標(以下「本件商標」という。)は、「K-mix」の欧文字及び「ケイミックス」の片仮名を二段に書してなり、平成18年8月20日に登録出願、第9類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同19年2月23日に設定登録され、その後、同20年10月24日に商標権の分割移転の登録がされた結果、第9類「電気通信機械器具」を含む第9類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成27年11月9日である。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の指定商品中、第9類「電気通信機械器具」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。
なお、審判長は、被請求人が提出した平成28年4月28日付け審判事件答弁書(2)を請求人に送付し、相当の期間を指定し、被請求人が提出した乙第3号証ないし乙第21号証及び被請求人の意見に対する弁駁を求めたが、請求人から弁駁書の提出はなかった。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、上記審判請求に係る商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
2 平成27年12月1日付け審判事件答弁書に対する弁駁の理由
(1)審判の請求に係る指定商品についての使用であるか
審判の請求に係る指定商品は、電気通信機械器具であるのに対し、乙第1号証のカタログに掲載された商品(以下「乙1使用商品」という。)は、パルスモニター、並びに電波センサー、赤外線センサー、磁石センサー及び振動センサーである。
ア 商品の類否
電気通信機械器具の類似群コードは、11B01であるのに対し、乙1使用商品の類似群コードは、10C01又は11A04である。
つまり、乙1使用商品は、電気通信機械器具とは非類似の商品であり、まして、電気通信機械器具に分類される商品ではない。
電気通信機械器具の具体的な商品として、商標法施行規則に列挙されているが、乙1使用商品と列挙されている商品とは異質である。
イ 用語の意義
電気通信事業法第2条は、「電気通信」を「有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え又は受けること」と定義している。
乙1使用商品は、「音響又は影像を受ける」機器ではないことは明らかなので、「符号を受ける」機器であるかを検討する。
符号とは、「情報を伝えるため一定の規則にもとづいて作られた記号の体系的な組合せ」である(広辞苑第六版)。
これに対して、例えば電波センサーは、乙第1号証に「異常電波を確実にキャッチ」と説明されている。
この異常電波は、パチンコ等の遊技機に対する不正行為のために出力された電磁波であって、「情報を伝えるため一定の規則にもとづいて作られた記号の体系的な組合せ」ではない。
パルスモニターについては、乙第1号証に「4種類のセンサー全てを接続可能」、「7セグ表示器が異常内容をお知らせします」と説明されている。
つまり、例えば電波センサーが異常電波を取得したことを、7セグ表示器の表示によって、ユーザに報知することが分かる。電波センサーからパルスモニターに送信される信号は、異常電波の波形を電流(電圧)の波形に変換したものであると考えられるから、異常電波そのものと同様、「符号」の定義に当てはまらない。
以上より、乙1使用商品は、電気通信を実行しないから、電気通信機械器具ではない。
(2)審判の請求の登録前三年以内における使用であるか
本件審判の予告登録は、2015年11月5日である(審決注、本件審判の予告登録は、平成27年(2015年)11月9日である。)。
しかしながら、乙1号証には、日付が特定できる情報が何も記されていないから、乙第1号証としてのカタログは、いつ発行されたものであるのかは不明であるから、審判の請求の登録前三年以内(以下「要証期間内」という。)における使用を証明しているとはいえない。
一方、乙第2号証としての納品伝票には、納品日として2015/11/06と記されており、納品日は、予告登録後である。
また、乙第2号証には、品名として「JJ210018/パルスモニター」及び「JJ210019/電波センサー」との表記が認められるが、該8桁の英数字の文字列が何を意味するかは不明であり、乙第1号証との関係を特定することができないから、上記品名によって特定される商品について、商標が使用されていたのかは不明である。
以上により、乙第1号証および乙第2号証は、本件審判の要証期間内における使用について、何らの証明もしていない。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第21号証を提出した。
1 信号分配器における本件商標の使用(1)
被請求人が製造販売している信号分配器は、乙第3号証内の図に示すように、信号を、呼び出しランプやデータ集計機器(ホールコンピュータ等)側と、不正検知器側に分配するためのものであり、電気通信機械器具(類似群コード11B01)に属する商品である。このような信号分配器が電気通信機械器具(11B01)に属する商品であることは、分配器について検索した乙第6号証に示されている。
なお、乙第3号証の信号分配器に係るカタログは、被請求人のホームページ(http://www,k-mix.net)に2010年から掲載されているともに、乙第3号証の信号分配器(KMDIS-1)は、乙第4号証の納品書又は乙第5号証の受領書に示されているように、要証期間内に販売(譲渡)されており、本件商標が使用されている。
2 信号分配器における本件商標の使用(2)
被請求人が製造販売している信号分配器(V型壱号)(乙7)は、スロット機において、信号を、呼び出しランプやデータ集計機器(ホールコンピュータ等)側と、不正検知器側に分配するためのものであり、電気通信機械器具(11B01)に属する商品である。
なお、乙第7号証の信号分配器(V型壱号)は、乙第8号証の納品書の受領書に示されているように、要証期間内に販売(譲渡)されており、本件商標が使用されている。
3 カプラにおける本件商標の使用
被請求人が製造販売している台配線用楽々カプラー(マルチカプラ)(乙9)は、遊技機(パチンコ機)の外部情報端子板からの各種信号(大当り、図柄確定回数、確率変動回数等)を遊技場設備機器(ホールコンピュータや呼び出しランプ等)に伝達する際に、遊技機と遊技場設備機器とを間に電気的に介在させるものであり、電気通信機械器具(11B01)に属する商品である。このようなカプラが電気通信機械器具(11B01)に属する商品であることは、乙第11号証に示されている。
なお、被請求人のマルチカプラ(乙9)は、乙第10号証の納品書に示されているように、要証期間内に販売(譲渡)されており、本件商標が使用されている。
4 パルスモニターにおける本件商標の使用
被請求人が製造販売しているパルスモニターは、乙第12号証の「7セグ表示説明」の欄に示すように、本体中央付近に配された7セグ表示器に、センサーを識別するためにセンターの種類毎に設定された1?6の数字を表示すると共に、パチンコ台の上部に設けられた呼び出しランプ等に報知するものであり、電気通信機械器具(11B01)に属する商品である。
この点、請求人は、「電波センサーからパルスモニターに送信される信号は異常電波の波形を電流(電圧)の波形に変換したものであると考えられることから、・・・・符号の定義に当て嵌まらない」との主張をしているが、パルスモニターに送信され7セグ表示器に表示される、センサーの種類ごとに設定された数字は正に符号であり、電気通信が行われている。
なお、乙第12号証のパルスモニターに係るカタログは、被請求人のホームページに2010年から掲載されているとともに、乙第13号証の納品書又は乙第14号証の受領書に示されているように、要証期間内に販売(譲渡)されており、本件商標が使用されている。
5 メダルモニターにおける本件商標の使用(1)
被請求人が製造販売しているメダルモニター(乙16)は、スロット機に使用される前述したパルスモニターに類するものであり、7セグ表示器に、エラー表示「S」「C」「H」の英文字や数字又はそれらの組み合わせからなる符号を表示するとともに、スロット機の上部に設けられた呼び出しランプ等に報知するものであり、電気通信機械器具(11B01)に属する商品である。すなわち、乙第15号証に示された遠隔制御装置であり、電気通信機械器具(11B01)に属する商品である。
なお、乙第16号証のメダルモニターは、乙第17号証の納品書に示されているように、要証期間内に販売(譲渡)されており、本件商標が使用されている。
6 メダルモニターにおける本件商標の使用(2)
被請求人が製造販売しているメダルモニター2(乙18)も、スロット機に使用されるものであり、7セグ表示器にエラー表示を表示するとともに、スロット機の上部に設けられた呼び出しランプ等に報知するものであり、電気通信機械器具(11B01)に属する商品である。すなわち、メダルモニター2も、乙第15号証に示された遠隔制御装置であり、電気通信機械器具(11B01)に属する商品である。
なお、乙第18号証のメダルモニター2に係るカタログは、被請求人のホームページに2010年から掲載されているとともに、乙第19号証の納品書に示されているように、要証期間内に販売(譲渡)されており、本件商標が使用されている。
7 サンドモニターにおける本件商標の使用
被請求人が製造販売しているサンドモニター(乙20)は、スロット機の横に配されるメダル販売機に使用されるものであり、7セグ表示器にエラー表示や数字またはそれらの組み合わせからなる符号を表示するとともに、スロット機の上部に設けられた呼び出しランプ等に報知するものであり、電気通信機械器具(11B01)に属する商品である。すなわち、サンドモニターもまた、乙第15号証に示された遠隔制御装置であり、電気通信機械器具(11B01)に属する商品である。
なお、サンドモニターに係るカタログ(乙20)は、被請求人のホームページに2010年から掲載されているとともに、乙第21号証の納品書に示されているように、要証期間内に販売(譲渡)されており、本件商標が使用されている。
8 以上のように、被請求人は、登録商標を電気通信機械器具に属する多数の商品に、要証期間内に使用している。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙各号証及び同人の主張によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第3号証は、有限会社ケイ・ミックス(被請求人)(以下「ケイ・ミックス」という。)が製造販売する信号分配器に関するカタログであり、上段に「k-mix SECURITY SERIES」の文字、その左側及び最下段の製造販売者としてケイ・ミックスを表した欄に、「遊びを創造する」の文字を小さく書した下に、45°傾けたオレンジ色の正方形を背景に「K」の文字を白抜きにし、これに続けて「-mix」の記号及び文字を緑色でまとまりよく表した標章(以下「使用商標」という。)を表し、その下に赤い文字で「外部情報端子板の8P外部情報を2系統で出力」の記載があり、その下に、信号分配器と思しき商品(以下「使用商品」という。)の写真が掲載されているところ、その写真の商品には、使用商標が表示されたラベルが貼付されている。
また、商品写真の下に「※8Pの情報を、DSWで自由に切替が可能」、「※光センサーでのART情報もRB,BB等、自由に切替可能」の文字と信号分配器の構造を表す図表が表され、その冒頭に「信号分配器」、「(KMDIS-01)」との記載がある。
(2)乙第4号証は、ケイ・ミックスが「トライテック合同会社」に発行した納品書の写しであり、納品日欄に「2013/09/06」の記載、商品の項目に「信号分配機DIS-01」、数量「2」、単価「4,500」及び金額「9,000」の記載があり、納品者として記載された「有限会社ケイ・ミックス」の表示の上に使用商標が白黒で表示されている。
(3)乙第5号証は、ケイ・ミックスが「(株)BRG」に発行した納品物の受領書に受領のサインを受けたものの写しであり、納品日欄に「2013/05/17」の記載、商品の項目に「信号分配機DIS-01」、数量「5」、受領印の欄に「酒井」のサインがあり、納品者として記載された「有限会社ケイ・ミックス」の表示の上に使用商標が白黒で表示されている。
2 上記1によれば、次のように認めることができる。
(1)使用商品の取引について
本件商標権者である被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内である2013年9月6日に「トライテック合同会社」に対し、2013年5月17日に「(株)BRG」に対し、それぞれ「信号分配機」を納品したと認められるものであり、該「信号分配機」は、乙第3号証の信号分配器に付された記号「KMDIS-01」と乙第4号証及び乙第5号証の商品欄に記載された「DIS-01」との関係では、冒頭の「KM」の違いはあるものの、この違いは、被請求人の名称に由来して付加されたもので、取引者が特定されている取引伝票にあっては、「DIS-01」の部分をもって個別の商品に付された記号と理解することも自然であるから、乙第3号証のカタログで紹介されている商品の記号「DIS-01」部分を共通にする「信号分配器(機)」について、乙第4号証及び乙第5号証によって、使用商品が譲渡されたことを推認できるものである。
また、使用商品である「信号分配器(機)」は、請求に係る指定商品「電気通信機械器具」に含まれる「電気通信機械器具の部品及び付属品」の一つと認められるものである。
(2)本件商標と使用商標について
上記(1)の取引の対象となった「信号分配器(機)」は、乙第3号証に表されたものと推認できるものであり、該商品には使用商標を表したラベルが貼付されている。
また、その取引書類である乙第4号証及び乙第5号証にも使用商標が表示されている。
そして、使用商標の構成は、「K-mix」の文字の背景として、正方形の背景図を付加的に表しているものであり、「K-mix」の文字部分を独立した商標の使用とみることが相当である。
これに対し、本件商標は、前記第1のとおり、「K-mix」の欧文字及び「ケイミックス」の片仮名を二段に書してなるところ、使用商標の文字部分は、本件商標の構成中の上段の「K-mix」の文字とはその構成文字を同じくするものであって、同じく下段の「ケイミックス」の文字は「K-mix」の読みを特定し、共に特定の観念を有しないものであることから、使用商標の文字部分をもって本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
(3)まとめ
以上のとおり、商標権者は、要証期間内である2013年9月6日及び2013年5月17日に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を使用商品に付し販売を行った(商標法第2条第3項第1号及び同項第2号)といえるものであり、また、使用商品の販売に係る取引書類に使用商標を付して頒布した(商標法第2条第3項第8号)といえるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定商品中の「電気通信機械器具の部品及び付属品」について、本件商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条第1項の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-02-07 
結審通知日 2017-02-10 
審決日 2017-03-03 
出願番号 商願2006-77378(T2006-77378) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 今田 三男
大森 友子
登録日 2007-02-23 
登録番号 商標登録第5028476号の1(T5028476-1) 
商標の称呼 ケイミックス、ミックス、エムアイエックス 
代理人 有賀 昌也 
代理人 特許業務法人明成国際特許事務所 

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