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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X03
管理番号 1329287 
審判番号 取消2016-300737 
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-10-19 
確定日 2017-06-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5318172号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第5318172号商標(以下「本件商標」という。)は,「MicroBeauty」の欧文字を横書きしてなり,平成21年1月22日に登録出願,第3類「家庭用脱脂剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,合成香料,つや出し布,つけづめ」及び第9類「光学機械器具,電池,電気通信機械器具,眼鏡,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し,及び保存することができる音楽ファイル,電子出版物」を指定商品として,同22年4月23日に設定登録されたものである。
なお,本件審判の請求の登録は,平成28年10月31日である。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品中,第3類「つけづめ」についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第3類「つけづめ」について継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人は,乙第1号証として,「MicroBeauty\マイクロビューティー\ファッションネイル」と記載されたパッケージを撮影したものと思しき写真を提出している。
ア 同写真には,撮影日の記載が無いため,いつ撮影されたものかが不明であり,これが,乙第2号証に示される「14年8月18日」に納品された商品であると認めることはできない。
イ 同写真の右側上半部には,つけづめの使い方を示すものと思しき図が見受けられるが,この図は手書きの下書きのようにも見受けられ,製品として未完成の段階におけるデッサンとも見受けられるため,これが実際に製品化されたものであるのか疑義を持たざるを得ない。
ウ 商品「つけづめ」の分野においては,購入者が自分の爪に装着できるかどうかを判断するために,長さ,直線幅及びカーブ幅が表示されるのが一般的であり,サイズ表示がない場合も,「スクエアショート」などの表示や型番により,そのメーカーのネイルチップのサイズがわかるようになっているか,又は,予備分も含め11枚以上のパッケージとし,市販のやすりで削ってサイズ調整するように等といった注意書きをするなどして販売するのが通常である(甲1?甲3)。
しかし,同写真には,サイズに関する表示は一切されていない。説明書と思しき文章内に「ネイルファイルで整えて下さい」の記載はあるものの,予備のない10枚セットであるから,1枚でも失敗したら,他のネイルチップも無駄になってしまいかねないため,サイズ表示は,購入者にとってより重要な必須の情報の1つであるはずのものである。また,乙第1号証にも乙第2号証にもオーダー商品であることを示す記載が無く,オーダー商品であるとも考えられない。
そうとすれば,乙第1号証は,「つけづめ」の販売における必須の情報が表示されていないものであり,「つけづめ」として販売し得る体裁をなしていない。
エ 同写真の右側下部には,バーコードのように思われる部分があるものの,これらの情報も不鮮明で視認できない。
オ 同写真の左上には,「世界初!(中略)のアセテート・ファッションネイル誕生!!」の記載が見受けられるところ,世界初の製品であれば,通常,各種メディアによる報道や購入者による記事が少なからず検索されると思われるが,インターネット検索エンジンのGoogleにおいて検索するも,「MicroBeautyファッションネイル(10枚組)」の紹介記事は1件も発見できないばかりか(甲4),被請求人及びその子会社である株式会社キャンパック(以下「キャンパック」という場合もある。)のウェブサイトにも何ら「MicroBeautyファッションネイル」の情報は掲載されておらず,実際に製品として流通している商品であるかについて疑義がある。
カ したがって,乙第1号証は,他の証拠との関連を考慮しても,2014年8月に本件商標が付された「つけづめ」が販売されたという事実及びその他のいずれの被請求人の主張に係る事実を,立証し得るものではない。
(2)乙第2号証は,キャンパックにより発行された「納品・請求書」と題する資料であることが確認できる。
ア つけづめに限らず,販売商品には,一定の品番・型番その他のコードが付与され,伝票に記載されるのが一般的であるところ,乙第2号証においては,「MicroBeautyファッションネイル(10枚組)」のみであり,品番・型番その他のコードが付されておらず,「鼻あて」と推察される「BP15 アセチパッド 小 金」には,「品番」と思しき「BP15」,サイズと思しき「小」及び色と思しき「金」の詳細な表示がある。
また,本件商標の指定商品中,第3類「せっけん類,化粧品,つけづめ」についての取り消しを求めた件外取消審判(取消2015-300229,以下「件外取消審判」という。)における平成27年5月27日付け答弁書における乙第2号証においても,「マルチケース K-856 【折畳ケース】ブラック/WTステッチ」,「プラセミハード 4003F グレー」のように,「MicroBeauty」以外の商品には,すべて「品番」が記載されているため,他の取扱商品との間における矛盾を指摘されている。 そうとすれば,乙第2号証及び件外取消審判に係る乙第2号証を総合的に見た場合,被請求人は,通常,「品番・品名」欄には,必ず品名とともに品番を入れて管理していることがうかがえるにもかかわらず,乙第2号証においては,本件商標に係る商品のみに品番を記載していないことにより,その他の被請求人商品の取扱いに関する矛盾が認められる。
イ 件外取消審判において,被請求人は,「せっけん類」に属するメガネ用クリーナーに関する証拠のみ提出したほか,証拠を伴わない「化粧品」の「テスト的な製造・販促」にまで言及したにもかかわらず,既に販売していたはずの本件主張に係る「つけづめ」の販売については全く言及しておらず,その時点での販売事実があったとする本件主張には疑義がある。
ウ 被請求人は,2014年8月18日以降,合計4セットのみを販売したと主張しており,「同ブランドは広く全国に浸透している」とする乙第3号証の主張とは,販売数量や地域等に著しい乖離がある。
エ 乙第2号証には,品番等の記載がないため,乙第2号証に記載された取引が,撮影年月日等の不明な乙第1号証の写真に示された製品に係るものであるとは,特定することができない。
オ 以上のとおりの記載における各矛盾点を総合的に勘案すれば,乙第2号証には客観的な証拠力を認めることができず,また,その他の各証拠資料との関連を考慮しても,2014年8月18日に,本件商標が付された「つけづめ」の販売がなされたという事実及びその他のいずれの被請求人の主張にかかる事実をも立証し得るものではない。
(3)乙第3号証には,「MicroBeauty\ファッションネイル」との記載が確認できる。
ア 乙第3号証に係る「商品カタログ」は,用紙1枚で構成されるチラシ状のものと見受けられるところ,制作年月日,頒布部数,頒布方法,頒布日時等については,何ら記載がなく,要証期間内に制作され頒布されたものであると認めることはできない。また,全国的な広告を行う場合は,相当数の部数が必要となるため,印刷会社への印刷委託や,ダイレクトメール発送事業者への発送委託等が行われるのが一般的であるが,そのような事実を示す印刷会社の納品書や発送事業者の請求書,発送証明書等の写しも提出されていない。
イ 「全国の得意先に頒布して同ブランドは広く全国に浸透している」とすれば,購入者による記事などが少なからず検索されると思われるが,「MicroBeauty」の語について,インターネット検索エンジンのGoogleにおける検索により「ビービーシー」,「キャンパック」,「MicroBeauty」及び「マイクロビューティー」の各語との組み合わせにおいて検索したが,被請求人製品の紹介記事は1件も発見できず(甲5),「同ブランドは広く全国に浸透している」という被請求人の主張との間に著しい乖離が認められるほか,その根拠となる「全国の得意先に頒布」した事実自体に疑義を持たざるを得ない。
また,被請求人及びキャンパックのウェブサイトに,「MicroBeautyファッションネイル」の販売に関する記載はもとより,世界初の製品を開発したことに関する情報も一切掲載されていないため,実際に製品として販売している商品であるかについて疑義がある。
ウ 乙第3号証には,購入方法,購入単位のほか,価格の記載すらされておらず,商品の販売を目的として,実際に配布されたものであるか明らかではない。また,「アセテート・ファッションネイル誕生!」との記載は,新規に発売を開始する製品であると謳っているものと思われるが,発売開始日等の記載がない。
エ 「つけづめ」の分野においては,サイズ表示等の情報を提示するなどして販売するのが通常であるが、乙第3号証の商品カタログには,サイズに関する表示は一切なく,オーダー商品であることを示す記載もない。
そうとすれば,乙第3号証は「つけづめ」の販売の申し出における必須の情報が表示されていないものであるから,「つけづめ」として販売し得る体裁をなしていないものと考えざるを得ない。
オ 乙第3号証には,被請求人の「つけづめ」を着用した個所を示すかのように赤色の点線の円で囲った個所を伴う3つの写真が掲載されているところ,これが,被請求人の製造販売に係る「つけづめ」を着用した写真ではないように見受けられる。
中段の着物の写真については,請求人によるインターネット検索により,同一と思われる写真が発見された(甲6)。これは,東京都の写真館のウェブサイトにおいて一般に公開されている,当該写真館で記念撮影をした女性の写真である。そして,乙第3号証における前記写真は,これを加工して二次利用した可能性が推察されるところ,乙第3号証では,請求人の「つけづめ」を着用した個所を示すかのように赤色の点線の円で囲っているが,オリジナルの写真においては,被写体は「MicroBeautyファッションネイル」を装着しているようには見受けられない。また,一般に,写真館で撮影した顧客の写真を,関連のない第三者が広告への利用許諾が得られるとは考え難いところであるが,利用許諾がなく,かつ,実際の頒布により「全国的に浸透して」いたとすれば,権利者から警告等を受けているはずであり,そのような事情も見当たらないことからすれば,全国的に頒布されたものであるか疑義がある。また,利用許諾がないと仮定すれば,そもそも著作権侵害等となり得る可能性のある画像を含む広告物を,被請求人が実際に頒布したとも考え難い。
カ 以上より,乙第3号証は,実際に頒布されたものとは考え難く,その他にこれを頒布したという証拠も提出されていないから,乙第3号証は,客観的証拠力が認められず,他の証拠との関係を考慮しても,2014年8月に本件商標が付された「つけづめ」を販売したという事実及びその他いずれの被請求人の主張に係る事実をも立証し得るものではない。
(4)また,その他に,被請求人が,本件商標を指定商品「つけづめ」について使用していたとみるべき事情も見当たらない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
被請求人は,メガネでよく使用されるアセテート生地を用いて「つけづめ」に該当するアセテート生地のつけ爪(乙1)をマイクロビューティー(MicroBeauty)ファッションネイルとネーミングし,納品伝票(乙2)のとおり,被請求人の代表者を代表とする子会社,株式会社キャンパックを通じて2014年(平成26年)8月に発売を行った。また,同営業活動の一環として,カタログ(乙3)を作成し,全国の得意先に頒布して,同ブランドは広く全国に浸透している。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば,以下のとおりである。
(1)乙第1号証は,包装された商品の両面を並べた写真画像であり,左側の画像には,「MicroBeauty」の欧文字(以下「使用商標」という。)及び「ファッションネイル」の片仮名が連続して表示され,使用商標の下段に「マイクロビューティー」の片仮名が表示されている。そして,その下部の赤色の四角枠内に「世界初!艶やかで気品のある和装に,パーティドレスに,/ピッタリのアセテート・ファッションネイル誕生!!/このマーブル,デミアンバーの透明感はもう指先の宝石です。」の記載があり,その下部に,つけづめが10枚封入されている。
右側の画像には左側の画像と同じく,使用商標及び「ファッションネイル」の片仮名が連続して表示され,使用商標の下段に「マイクロビューティー」の片仮名が表示されている。そして,その下部には「簡単で失敗しないつけ爪の正しい使い方」の見出しの下,商品の使用方法が図示されており,その下部には,「《外し方》」が記載され,最下部には「発売元 株式会社ビービーシー/福井県鯖江市吉谷町15-112/お問合せ 0778-52-8833」の記載があり,その右側にはバーコードと思しき図形等が表示されている。
(2)乙第2号証は,14年(2014年,平成26年)8月18日付けのキャンパックよりオプトウエサカCに宛てた「納品・請求書」の写しであり,「品番・品名」の欄に「MicroBeautyファッションネイル(10枚組)」,「数量」の欄に「4」,「単位」の欄に「セット」,「単価」の欄に「820」,「金額」の欄に「3,280」が記載されており,「数量」の欄より右下にかけて赤色の四角枠内に,赤字で「処理済」の文字が表示されている。
2 上記1によれば,次のように認めることができる。
(1)「つけづめ」の取引について
被請求人である本件商標権者は,使用商標及び「ファッションネイル」の表示を「つけづめ」の包装に付しており,本件商標の通常使用権者と認めて差し支えないキャンパックにより,要証期間内である2014年(平成26年)8月18日に,「MicroBeautyファッションネイル(10枚組)」の商品を4セットオプトウエサカCに納品し,代金として3,280円を請求し,これが処理されたものと認めることができる。
(2)本件商標と使用商標の同一性について
本件商標は,前記第1のとおり,「MicroBeauty」の欧文字からなるものであり,他方,使用商標は,前記1(1)のとおり,「MicroBeauty」の欧文字からなるところ,本件商標と使用商標とは,色彩が相違するものの,ほぼ同じ態様の文字であるから,本件商標と使用商標は社会通念上同一の商標ということができる。
(3)小括
以上によれば,本件商標の通常使用権者であるキャンパックは,要証期間内である2014年(平成26年)8月18日に,本件審判の請求に係る商品である「つけづめ」の包装に本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を付したものを譲渡又は引き渡したといえ,これは商標法第2条第3項第2号にいう行為に該当するものと認められる。
4 まとめ
以上のとおりであるから,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者がその請求に係る指定商品である「つけづめ」について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したというべきである。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により取り消すべきではない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-03-30 
結審通知日 2017-04-04 
審決日 2017-04-27 
出願番号 商願2009-7474(T2009-7474) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大塚 順子 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 冨澤 武志
大森 友子
登録日 2010-04-23 
登録番号 商標登録第5318172号(T5318172) 
商標の称呼 マイクロビューティー、ミクロビューティー 
代理人 谷山 尚史 

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