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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1328064 
異議申立番号 異議2016-900263 
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-06-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-08-24 
確定日 2017-05-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第5852884号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5852884号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5852884商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成27年10月29日に登録出願、第25類「被服,下着,靴下,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同28年3月9日に登録査定、同年5月27日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次の46件(以下、それらを項番1から順次「引用商標1」、「引用商標2」のようにいい、全部をまとめて「引用商標」という場合がある。)であり、それらの指定商品及び指定役務、登録出願日並びに設定登録日は商標登録原簿(又は国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿)に記載のとおりであって、いずれも現に有効に存続しているものである。
項番 商標登録番号 :商標の態様
1 国際登録第1048069号:別掲2のとおり
2 登録第5689430号:別掲2のとおり
3 登録第5057229号:別掲2のとおり
4 登録第5730813号:別掲3のとおり
6 登録第5379390号:MONSTER(標準文字)
7 登録第5792086号:MONSTER(標準文字)
8 登録第5431413号:別掲4のとおり
9 登録第5788675号:別掲4のとおり
13 登録第5495941号:MONSTER KHAOS ENERGY + JUICE(標準文字)
14 登録第5769176号:MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO(標準文字)
15 登録第5419513号:別掲5のとおり
16 登録第5757485号:COFFEE MONSTER(標準文字)
17 登録第5715016号:MONSTER ENERGY ULTRA(標準文字)
18 登録第5844163号:別掲6のとおり
19 登録第5394526号:別掲7のとおり
45 登録第5912249号:別掲8のとおり
46 登録第5427070号:別掲9のとおり

以上のほか、項番5「登録第5010968号」、項番10「登録第5393681号」、項番11「登録第5788676号」、項番12「登録第5844119号」、項番20「登録第5442171号」、項番21「登録第5417815号」、項番22「登録第5527566号」、項番23「登録第5476620号」、項番24「登録第5490798号」、項番25「登録第5497766号」、項番26「登録第5451361号」、項番27「登録第5480373号」、項番28「登録第5527567号」、項番29「登録第5417770号」、項番30「登録第5375090号」、項番31「登録第5327467号」、項番32「登録第5409580号」、項番33「登録第5409582号」、項番34「登録第5419507号」、項番35「登録第5409583号」、項番36「登録第5542584号」、項番37「登録第5043703号」、項番38「登録第5431412号」、項番39「登録第5741128号」、項番40「登録第5644854号」、項番41「登録第5423080号」、項番42「登録第5389881号」、項番43「登録第5657923号」及び項番44「登録第5894149号」は、いずれもその構成中に「MONSTER」の文字を含むものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第7号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきであると申立て、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第309号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号該当性
本件商標は、両翼を広げた鳥様生物の図形と「BB-Mosters」の文字から構成され、当該図形部分と文字部分はそれぞれが独立の商品出所識別標識としての機能を発揮し得るものである。「BB-Mosters」の文字は、当該文字全体で熟語的な意味を表すものではなく、常に不可分一体の出所識別標識として認識理解されるものとはいえない。
また、「BB-」の文字部分は、商品の型番、品番等の記号として取引界一般で使用されているローマ字2文字とハイフン記号を連結して普通に用いられる方法で表示したものであるから、自他商品識別力を欠くことが明らかである。
したがって、本件商標の構成においては、「Monsters」の文字部分が取引者及び需要者に対して商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることが明らかである。
よって、本件商標からは、「Monsters」の文字部分に基づいて出所識別標識としての「モンスターズ」の称呼及び「モンスター」の観念(甲308、甲309)が生じる。
引用商標1及び2は、その構成中の「MONSTER」の文字が、「M」のロゴの図形部分及び「ENERGY」の文字部分から物理的に分離・独立した位置に配置され、かつ、独特のデザインの書体の太字で大きく書されており、独立して見る者の注意をひくように構成されているから、「MONSTER」の文字部分が取引者及び需要者に対して商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える。
よって、引用商標1及び2からは、「MONSTER」の文字部分に基づいて出所識別標識としての「モンスター」の称呼及び観念(甲308、甲309)が生じる。
本件商標の構成中の「Monsters」の文字部分と引用商標1及び2の構成中の「MONSTER」の文字部分を比較対照すれば(最高裁平成19年(行ヒ)第223号、平成20年9月8日第二小法廷判決)、両者の相違点は、英語の「MONSTER」の複数形「Monsters」と単数形「MONSTER」の差異にすぎず、出所識別標識として同一の観念「モンスター」を生じるものであり、また、外観及び称呼においても類似する(甲303?甲307)。
したがって、本件商標は、引用商標1及び2と類似する。
本件商標の指定商品(以下「本件指定商品」という。)は、引用商標1及び2の登録に係る指定商品と同一又は類似のものである。
また、これらの引用商標は、本件商標よりも先に登録出願されたものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 申立人の使用に係る「MONSTER」の文字の著名性
申立人の使用に係る「MONSTER」の文字は、申立人が2002年に創設したエネルギー補給飲料(以下「エナジードリンク」という。)事業のブランド「MONSTER ENERGY」の基軸商標として2002年から現在に至るまでの長年にわたり継続して使用されているものであり、同ブランドのエナジードリンクは、2002年に米国で最初に販売を開始後、日本では2012年5月から販売を開始し、現在では日本を含む世界100以上の国及び地域で販売中である。
申立人は、2002年以降、現在まで継続して、当該ブランドから発売された数多くの異なる種類のドリンクの個別名称(例えば、「MONSTER ENERGY」、「MONSTER ASSAULT」、「MONSTER KHAOS」、「MONSTER M-80」、「MONSTER RIPPER」、「MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO」、「MONSTER ENERGY ZERO ULTRA」、「MONSTER REHAB」、「JAVA MONSTER」、「MUSCLE MONSTER」、「COFFEE MONSTER」、「MONSTER ENERGY ULTRA」等)の全てに「MONSTER」の文字を採択しており、当該各種ドリンクの缶の正面に「MONSTER」の文字を特徴的なデザインの太字を用いて大きく目立つ態様で表示して使用している。
「MONSTER」の文字を基調とする商標を用いた申立人のエナジードリンク事業の成功は経済界でも高い評価を受けている(甲2?甲33、甲51?甲58)。
申立人による当該エナジードリンクの広告及び販売促進活動は、世界の有名アスリート、レーシングチーム、スポーツ競技会、アマチュアスポーツ選手、音楽祭及びミュージシャンに対するスポンサー提供、スポーツ、音楽、ゲームなどの娯楽イベントの開催、米国ラスベガスの公共交通機関モノレールの「モンスター列車」の走行、これらのイベント開催などと関連して頻繁に実施されるエナジードリンク販売キャンペーン、各イベント会場におけるサンプリング(サンプル配布)、プロモーションキャンペーンの応募当選者に対する様々な「モンスター限定グッズ」(Tシャツ、帽子、キーホルダー、ステッカー、ギター、バックパック、クーラーボックス、冷蔵庫、自動車など)の提供、「MONSTER」の文字を付したポスター・商品ネームプレート・チラシ・陳列棚・冷蔵庫などの店舗用什器の使用及び展示、遅くとも2013年から現在に至るまで約1月ないし2月の頻度で定期的に発行されている新商品発売・懸賞キャンペーン・イベント開催情報などを掲載したプレスリリース、申立人ウェブサイト並びにソーシャルメディアを通じた情報発信を介して、2002年から現在まで世界規模で継続的に実施されており、当該広告物及び販売促進物に「MONSTER」及びその音訳「モンスター」の文字が使用されてきた(甲7?甲17、甲34?甲91、甲101?甲133、甲136?甲168、甲225、別紙4)。
また、申立人は、2002年から、ブレスレット、ラペルピン、キーホルダー、Tシャツ、スウェットシャツ、帽子、レーシングジャケット、手袋などのアパレル製品、運動用ヘルメット、バッグ類、ステッカー、傘、ビデオゲームなどの「MONSTER」ライセンス商品の製造販売を第三者に使用許諾している。当該ライセンス商品のカタログやオンラインショッピングサイトは、ブランド名及び個別商品名として「MONSTER」、「Monster」の文字を表示して販売及び宣伝広告している。これらのライセンス商品は、国内の実店舗のほか、オンラインショップや通信販売を介して国内の一般消費者にも販売されている(甲47、甲48、甲58、甲92?甲100、甲134、甲135)。
需要者における当該ライセンス商品の人気の高さに便乗して海外で製造された模倣品が日本の税関で輸入差止めされる事案が遅くとも平成25年7月から現在に至るまで継続して度々発生している(甲169?甲224)。
「MONSTER」の文字を世界規模での継続的使用に基づき、申立人は、エナジードリンク等の飲料製品及び上記ライセンス商品等について、引用商標をはじめ、様々な「MONSTER」の文字を基調とする商標について日本を含む世界115以上の国及び地域で商標出願し、登録を取得している(甲58、甲274?甲302)。
以上の事柄に照らせば、「MONSTER」の文字は、本件商標の登録出願時及び査定時には、申立人及びその商標ライセンシーの製造販売に係るエナジードリンク及び各種ライセンス商品の出所識別標識として国内外の取引者、需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。
3 商標法第4条第1項第15号該当性
上記1のとおり、「MONSTER」は、本件商標の登録出願時及び査定時には、申立人及びその商標ライセンシーの製造販売に係るエナジードリンク及び各種ライセンス商品の出所識別標識として国内外の取引者、需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。
上記2のとおり、本件商標は「Monsters」の文字部分が商品出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるから、申立人の使用に係る商標「MONSTER」と顔似性の程度が高い。
また、申立人の使用に係る引用商標1ないし3に示すロゴマークは、構成中の「MONSTER」の文字部分が商品出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるから、本件商標とこれらの引用商標も類似性の程度が高い。
さらに、本件商標の構成中の両翼を広げた鳥様生物の図形部分は、引用商標45の構成中の両翼を広げた鳥様生物の図形、並びに申立人の使用に係る引用商標46の構成中の両翼を広げた鳥様生物の図形とその外観及びこれより生じる観念が類似し、また、当該図形部分に加えて「MONSTER」の文字を有する点も共通することから、商品出所識別標識として酷似した印象を看者に与える。
したがって、本件商標とこれらの引用商標も類似性の程度が高い。
本件指定商品は、Tシャツ、帽子、手袋、レーシングジャケット、運動用ヘルメットといった申立人の「MONSTER」ライセンス商品と同一又は類似の商品を含む。
本件指定商品の最終的な需要者は一般消費者であるから、通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。
したがって、本件商標が使用された場合は、申立人の商標ライセンシーの製造販売に係る「MONSTER」ライセンス商品、あるいは、申立人と経済的又は組織的関係を有する者の製造販売に係る商品であると誤信されて、その出所について混同を生じるおそれが高いことが明らかである。
さらに、本件商標の使用は、申立人の商品出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所識別力希釈化するものであり、また、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 「MONSTER」の文字の著名性について
(1)使用商標について
申立人の提出した証拠によれば、我が国において、2012年(平成24年)5月8日に販売が開始された申立人の「MONSTER ENERGY」ブランドの各種エナジードリンク(以下「申立人商品」という。)は、その容器(主として缶)の側面の正面に当たる部分に、図案化し、色を施した「m」の文字(以下「『m』図形」という。飲料の種類により色が変化する。)を大きく表示し、その下に、図案化した「MONSTER」の文字を白抜きで横書きし、さらに、その下に、色を施した「ENERGY」の文字を、「MONSTER」の文字に比べ、小さく横書きしてなる構成の商標(別掲2、引用商標1ないし3、色彩は異なるが、実質的に同一の構成よりなるものを含む。以下「使用商標」という。)の使用が圧倒的に多く、わずかに「MONSTER KHAOS」(引用商標13の一部分)(甲7、甲8、甲11、甲14、甲17、甲33、甲72、甲103、甲104、甲128、甲130、甲131)、「MONSTER ENERGY ABSOLUTERY ZERO」(引用商標14)(甲10?甲13、甲15、甲17、甲33、甲72、甲131)、「m3」(引用商標15)(甲61、甲68、甲70?甲72、甲101、甲127、甲129、甲131)、「MONSTER ENERGY ULTRA」(引用商標17)(甲101?甲103、甲120、甲131)及び「COFFEE MONSTER」(引用商標16)(甲60、甲62、甲72)の使用が認められるものであって、上記第2に示す46件の引用商標が全て使用されているというものではない。
(2)使用商標の著名性について
上記(1)のとおり、申立人商品について主として使用される商標は、使用商標であるから、これが、本件商標の登録出願日(平成27年7月7日)前より、我が国の需要者の間に広く認識されていた商標であるか否かについて検討する。
ア 申立人の提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
なお、申立人の提出した証拠のうち、インターネット情報や雑誌等において、掲載日又は発行日の明らかでないもの、訳文の提出がなく我が国で掲載又は発行されたものとは認められないもの、本件商標の登録出願日以降に掲載又は発行されたものと認められるもの又は写真や文字が不鮮明なものについては、事実認定に用いていない。
(ア)申立人商品は、我が国において、2012年(平成24年)5月8日から販売され(甲7、甲8)、その容器(缶)には、主として使用商標が表示されている(甲7、甲8、甲12、甲14、甲15)ところ、申立人商品は、その販売から同年9月までに、年間売上げ目標の100万箱(何缶かは不明である。)を突破し、157万箱の販売数となった(甲9)。その後、2013年(平成25年)5月7日に、使用商標を表示した新製品が発売された(甲10)。
(イ)甲第58号証は、申立人の最高責任者の宣誓陳述書であるところ、使用商標が表示されている申立人商品について、我が国での申立人商品の販売直後である2012年(平成24年)5月17日から2か月間にわたり、50万缶のサンプルを路上配布したほか、同年6月2日及び3日に、渋谷において路上発表会で4万缶のサンプル配布をし、同年7月に、晴海フェリーターミナルにおいてパンクロックフェスティバルで5,500缶のサンプル配布をし、さらに、2013年(平成25年)7月に、ライブ演奏会場で3,500缶のサンプル配布、その他サーフィン大会の会場やロックコンサートの会場等においてサンプル配布を行ったと陳述した。
(ウ)申立人が米国のレーシングチームのスポンサーとなったインターネット記事が日本にも報道され、その記事には、選手のユニフォームや車体等に、使用商標を表示した写真が掲載された(甲42)。また、申立人は、日本のオートバイメーカーのカワサキのレーシングチームのスポンサーとなり、これがインターネット記事として報道された。当該記事には、選手のユニフォームや車体等に、使用商標を表示した写真が掲載された(甲44)。
(エ)申立人は、使用商標が表示された被服やステッカーなどの販売について、業者とライセンス契約を締結し、これら商品は、2011年(平成23年)1月頃から我が国においても、インターネット上等で販売されている(甲47、甲48)。
(オ)申立人は、日本で開催されたスノーボードイベント及びモータースポーツイベントを主催又は協賛しており(甲73?甲76、甲78、甲80)、一部のイベントにおいては、使用商標が表示されている申立人商品の試飲が実施されている(甲75(二日間計9,600缶)、甲78(三日間計14,400缶))。
(カ)申立人商品は、日本での発売(2012年(平成24年)5月8日)に関するニュースリリース(甲7)以来、本件商標の登録出願日である平成27年12月11日までの間に、申立人が、我が国において、申立人商品に関するニュースリリース(甲8?甲10、甲59、甲60、甲101、甲114?甲120、甲132、甲138?甲168)やキャンペーン情報の発信(甲16、甲17、甲87?甲91、甲111?甲113)を行っている。
イ 上記アで認定した事実によれば、我が国においては、(a)申立人商品は、2012年(平成24年)5月8日から販売され、その容器(缶)には、主として使用商標が表示されており、その販売から同年9月までに、年間売上げ目標の100万箱(何缶かは不明である。)を突破し、157万箱の販売数となった後、2013年(平成25年)5月7日に、使用商標を表示した新製品が発売されたこと、(b)使用商標が表示されている申立人商品の販売直後の2012年(平成24年)5月から7月及び2013年(平成25年)7月に、東京を中心に、比較的若い世代が集まる繁華な所やイベント会場において、使用商標が表示されている申立人商品のサンプル配布が行われたこと、(c)申立人が主催又は協賛したスポーツイベント等においても出場選手のユニフォームや車体等に使用商標の表示が認められること、(d)使用商標が表示された被服やステッカーなどが販売されていること及び(e)申立人は、申立人商品に関するニュースリリースやキャンペーン情報の発信を行うなど、申立人商品の広告等を行ったことからすると、申立人商品に係る使用商標は、これらの広告宣伝等により、本件商標の登録出願日(平成27年12月11日)前までには、我が国のエナジードリンクの需要者の間では、ある程度知られていたものと認めることができる。
しかしながら、申立人商品の我が国における売上高を具体的に示す証拠は提出されておらず、申立人商品の我が国での販売直後に、そのサンプル配布が行われたとしても、その配布は、比較的若い世代が集まる繁華な所やイベント会場において、当該場所に居合わせた人たちに配布されたにすぎず、モータースポーツイベントにおいて試飲が行われたとしても、その数が多いともいえない。
また、申立人が我が国のオートバイメーカーのカワサキのレーシングチームのスポンサーになったり、我が国で開催されたスポーツイベントを主催又は協賛しているといっても、その数は、わずかである。
さらに、上記ア(カ)のとおり、申立人らが、我が国において、申立人商品に関するニュースリリースやキャンペーン情報の発信を行ったこと以外に、継続して使用商標を表示した申立人商品の広告等を積極的に行ったという事実を明らかにする証拠も提出されていない。
以上を総合勘案すると、使用商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されるに至っていたものとまでは認めることができない。
(3)「MONSTER」の文字の著名性について
上記(2)のとおり、使用商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されるに至っていたものとまでは認めることができないものであることに加え、申立人商品について、「MONSTER」の文字のみの使用と認め得る証拠はごくわずか(甲90、甲111?甲113、甲119、甲126、甲132)であることからすれば、「MONSTER」の文字についても、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されるに至っていたものとまでは認めることができない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
申立人が商標法第4条第1項第11号に該当すると主張する登録商標は、引用商標1及び2(以下、これらをまとめていう場合は「11号引用商標」という。)。
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、鳥様の図形を大きく表し、その下に「BB-Mosters」の文字をまとまりよく一体に表した構成からなるところ、その構成中、文字部分は、一体に看取し得るものであるから、本件商標からは、「ビービーモンスターズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものといえる。
(2)11号引用商標について
11号引用商標は、別掲2のとおり、「m」図形を大きく表し、その下に図案化した「MONSTER」の文字と「ENERGY」の文字をまとまりよく一体に表した構成からなるところ、その構成中、文字部分は、一体に看取し得るものであって、それぞれ平易な英語からなるものであるから、11号引用商標からは、「モンスターエナジー」の称呼及び「怪物のエネルギー」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と11号引用商標との類否について
本件商標と11号引用商標の外観を比較すると、両者は、構成において顕著な差異を有するから、両商標は、外観において相紛れるおそれはない。
次に、本件商標から生じる「ビービーモンスターズ」の称呼と、11号引用商標から生じる「モンスターエナジー」の称呼とを比較すると、両者は、音構成及び構成音数において顕著な差異を有するから、両商標は、称呼において相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標と11号引用商標の観念を比較すると、本件商標は、特定の観念を生じないのに対し、引用商標2は、「怪物のエネルギー」の観念を生じるものであるから、両商標は、観念において相紛れるおそれはない。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と11号引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標と使用商標との類似性について
本件商標と使用商標とは、上記2(3)の判断と同様に、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない、非類似の商標である。
(2)出所の混同について
上記2のとおり、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る申立人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されるに至っていたとはいえないものであり、また、上記(1)のとおり本件商標は、使用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品に使用しても、これに接する需要者が使用商標を連想又は想起するものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、「本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがある。」と主張するが、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的など他人に不快な印象を与えるような構成のものではなく、申立人が提出した証拠からは、本件商標が、社会の一般的道徳観念に反するものや、法律により禁止されているもの又は国際信義に反するものとすべき事情も見当たらないから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第7号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
別掲 別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標1ないし引用商標3及び使用商標)



別掲3(引用商標4)



別掲4(引用商標8及び引用商標9)



別掲5(引用商標15)



別掲6(引用商標18)(色彩については原本参照。)



別掲7(引用商標19)



別掲8(引用商標45)



別掲9(引用商標46)




異議決定日 2017-05-01 
出願番号 商願2015-104758(T2015-104758) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W25)
T 1 651・ 262- Y (W25)
T 1 651・ 271- Y (W25)
T 1 651・ 263- Y (W25)
T 1 651・ 261- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 板谷 玲子 
特許庁審判長 田中 亨子
特許庁審判官 原田 信彦
大森 健司
登録日 2016-05-27 
登録番号 商標登録第5852884号(T5852884) 
権利者 株式会社BBM
商標の称呼 ビイビイモンスターズ、モンスターズ 
代理人 佐久間 剛 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 柳田 征史 

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