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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1328055 
異議申立番号 異議2016-900319 
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-06-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-10-04 
確定日 2017-04-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第5864417号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5864417号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5864417号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成28年1月6日に登録出願,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同年5月18日に登録査定,同年7月8日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は,以下の45件(以下,それらを項番1から順次「引用商標1」「引用商標2」のようにいう。)であるところ,その構成はそれぞれ以下のとおりであり,その他,それらの指定商品及び指定役務,登録出願日並びに設定登録日は,商標登録原簿又は国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりであって,いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 国際登録第1048069号商標:別掲2のとおり
2 登録第5689430号商標:別掲2のとおり
3 登録第5057229号商標:別掲2のとおり
4 登録第5730813号商標:別掲3のとおり
5 登録第5010968号商標:M MONSTER ENERGY
6 登録第5379390号商標:MONSTER
7 登録第5792086号商標:MONSTER
8 登録第5431413号商標:別掲4のとおり
9 登録第5788675号商標:別掲4のとおり
10 登録第5393681号商標:MONSTER ENERGY
11 登録第5788676号商標:MONSTER ENERGY
12 登録第5844119号商標:MONSTER ENERGY
13 登録第5495941号商標:MONSTER KHAOS ENERGY + JUICE
14 登録第5769176号商標:MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO
15 登録第5419513号商標:別掲5のとおり
16 登録第5757485号商標:COFFEE MONSTER
17 登録第5715016号商標:MONSTER ENERGY ULTRA
18 登録第5844163号商標:別掲6のとおり
19 登録第5394526号商標:別掲7のとおり
20 登録第5442171号商標:MONSTER ENERGY PINK
21 登録第5417815号商標:MONSTER ENERGY AGENT ORANGE
22 登録第5527566号商標:MONSTER DETOX
23 登録第5476620号商標:MONSTER REHAB
24 登録第5490798号商標:MONSTER RECOVERY
25 登録第5497766号商標:MONSTER UNLEADED
26 登録第5451361号商標:MONSTER PUMPED
27 登録第5480373号商標:MONSTER BIOACTIVATED
28 登録第5527567号商標:MONSTER REHABITUATE
29 登録第5417770号商標:MONSTER LO-CARB
30 登録第5375090号商標:PROTEIN MONSTER
31 登録第5327467号商標:MUSCLE MONSTER
32 登録第5409580号商標:MONSTER RIPPER
33 登録第5409582号商標:MONSTER BLACK
34 登録第5419507号商標:MONSTER DOUBLE BLACK
35 登録第5409583号商標:MONSTER GIRL
36 登録第5542584号商標:MONSTER CUBA-LIMA
37 登録第5043703号商標:JAVA MONSTER
38 登録第5431412号商標:JAVA MONSTER
39 登録第5741128号商標:JAVA MONSTER
40 登録第5644854号商標:MONSTER SUPERNATURAL
41 登録第5423080号商標:LOCA MOCA JAVA MONSTER
42 登録第5389881号商標:X-PRESSO MONSTER
43 登録第5657923号商標:MONSTER ENERGY ULTRA RED
44 登録第5894149号商標:MONSTER ARMY
45 登録第5912249号商標(商願2016-87739号商標):別掲8のとおり

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第7号に違反してされたものであるから同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第303号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人の使用に係る商標「MONSTER」の著名性
(1)会社沿革及び取扱商品
申立人は,1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり,アルコールを含有しない飲料製品の企画,開発,製造,マーケティング,販売の事業に従事していたが,2015年6月からはエネルギー補給飲料(エナジードリンク)の事業に注力している(甲2,甲58)。
(2)「MONSTER ENERGY」ブランド創設と「MONSTER」商標の使用
申立人は2002年にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し,米国で同年3月から広告宣伝を開始し,同年4月から製造販売を開始した(甲4,甲7,甲18,甲58)。
申立人の「MONSTER ENERGY」のオリジナル版のエナジードリンクは,従来の清涼飲料製品の容器とは異なる黒色ベースのボトル缶を使用し,そのボトル缶には,モンスターの爪痕をかたどったロゴマーク(引用商標8,9)と「MONSTER」の文字(引用商標6,7)をロゴデザインして表示したものであり,該製品の,野性味あふれる独特な雰囲気は,経済・ビジネス界でも注目を浴び(甲56?甲58),「MONSTER ENERGY」のエナジードリンク製品は,男性若年層を中心にたちまち人気商品となった。
申立人の「MONSTER ENERGY」ブランドの各種エナジードリンクには,2002年の販売開始以降,現在に至るまで継続して「MONSTER」の文字に,他の文字,記号,数字などを組み合わせた様々な商標(以下これらを総称して,「MONSTERファミリー商標」という。)が個別製品名として使用されており(甲11?甲16,甲19?甲32,甲58),かつ,ボトル缶には「MONSTER」の文字が特徴的な書体の太字で大きく顕著に表示されている。
(3)広告・マーケティング及び販売促進活動
申立人は,2002年から現在まで,全世界の「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクに関する広告・マーケティング及び販売促進活動費として,総額30億米ドルを超える費用を支出した(甲58)。その販売促進活動の主な内容は,世界の有名アスリート・レーシングチーム及び競技会,アマチュア選手,音楽祭及びミュージシャン,米国ラスベガスの公共機関モノレールに対するスポンサー活動並びに販売店用什器及び備品の供給である。
上記の活動においては,イベント会場設置の看板,旗,垂れ幕,ブース,什器類,移動車,イベントスタッフの衣装やユニフォーム,スポンサー契約アスリートやレーシングチームが着用するユニフォーム・ヘルメット・帽子・手袋・スポーツ用具・車体,イベント関連ニュースを配信するニュースレター,ビデオクリップ等に,独特のレタリングで顕著に表示された「MONSTER」の文字,モンスターの爪痕を象徴する「M」のロゴマーク(引用商標8,9),「MONSTER」の文字の下に「ENERGY」の文字を付加したロゴマーク,「M」「MONSTER」「ENERGY」の文字からなる「M MONSTER ENERGY」のロゴマーク(引用商標1?4)(以下これらのマークを「MONSTERブランドマーク」という。)を表示している(甲34?甲45,甲52,甲53,甲56?甲58)。
(4)日本国内の販売実績,広告・マーケティング及び販売促進活動
日本国内における「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクの販売は,アサヒ飲料株式会社(以下「アサヒ飲料」という。)を通じて行われている。2012年3月15日付のニュースリリースでアサヒ飲料が国内独占販売権取得を公表し,2種類のエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の発売を公表,同年5月8日から販売を開始した(甲5?甲7,甲12,甲14,甲58)。当該エナジードリンクは同年9月の時点で100万箱を突破し(甲8,甲65?甲67),その後も順調に売上を伸ばして157万箱の売上げを記録した(甲9,甲65?甲67)。
その後,2013年5月7日には,「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」を,2014年8月19日には,「MONSTER ENERGY M3」を,同年10月7日には,「MONSTER COFFEE」を,2015年7月21日には,「MONSTER ENERGY ULTRA」が発売され,現在まで6種の異なるMONSTERファミリー商標を付した申立人のエナジードリンクが国内で流通している。また,2016年4月12日には「MONSTER ENERGY M3」及び同年5月17日には,「MONSTER KHAOS」がリニューアル発売され,これに先立つ同年4月にはリニューアル記念キャンペーンが実施された(甲128,甲130)。
これらの製品は,日本全国のコンビニエンスストア,自動販売機,キオスク,スーパーマーケット,列車の売店,会員制スーパー,店舗,ゲームセンター,ドラッグストア及びホームセンター等の販売小売店のほか,アサヒ飲料の通販サイトからも直接購入可能である(甲11?甲17,甲58,甲61,甲62,甲72)また,大手ネットショッピングサイトのアマゾンジャパンなどではこれらの国内販売製品のほか,国内未販売製品の輸入販売も取り扱われている(甲33,甲126)。
そして,申立人は,日本において,2012年5月の販売開始から2015年6月30日までの間に約2億3,600万缶の「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクを販売した。上記期間の販売総額は1億7,500万米ドル以上,日本円で170億円以上である(甲58)。
また,日本国内では,「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクの販売開始直後より,継続的にテレビコマーシャル放映,スポーツイベント等へのスポンサー提供,サンプル配布などを含む大々的な宣伝広告活動が実施されている(甲58)。
(5)全世界の販売国・地域及び販売額
MONSTERファミリー商標を付したエナジードリンクは,世界100以上の国及び地域で販売され,あるいは現在販売中であり,世界中で毎年30億缶以上を売上げ,総額240億米ドルを超える収益を生み出している。また,全世界における小売販売額は毎年60億米ドルを超える。
申立人の年間総販売額は2013年度(12月31日締め)の25.9億米ドル及び2012年度(12月31日締め)の23.7億米ドルから2014年度(12月31日締め)には28.3億米ドルに増加した(甲58)。
(6)アパレル製品及びビデオゲーム製品等のグッズ
申立人は,2002年以降,現在に至るまで継続してMONSTERブランドマークを付した被服,スポーツ用具等の商品化を第三者に許諾しており,多数のライセンシーによって,日本,アジア全域,オーストラリア,米国等の世界各地で販売中である。また,申立人も,MONSTERブランドマークが付された被服を直接販売している(甲58)。
MONSTERブランドマークが付された被服,運動用特殊衣服,運動用ヘルメット,ステッカー,リュックサック等は,日本国内でも人気の高い商品であり,インターネットの通信販売業者により日本国内へも輸入販売されている(甲47,甲48,甲58)。
また,MONSTERブランドマークのステッカーやシールは,アマチュアアスリート支援のためのウェブサイトである「モンスターアーミー」の登録会員,スポンサー提供のアスリート,申立人がスポンサーを務めるイベントの観客,ファンに配布されている(甲58)。
さらに,申立人は,ビデオゲーム制作販売会社と提携関係を結び,ビデオゲーム内にMONSTERブランドマークを使用させており,これらのゲームは日本を含む世界各国で購入することができる(甲58)。
(7)ウェブサイト及びソーシャルメディアによる情報発信
申立人の「MONSTER ENERGY」のエナジードリンクの商品情報,申立人がスポンサー契約を行っているアスリート・チーム及びスポーツとのイベントに関する情報,アスリートの大会情報や記録情報,「MONSTER ENERGY」のアパレル及びアクセサリー類に関する商品情報,販売などが申立人の開設運営する複数のウェブサイト及びソーシャルメディアサイトを介して日本を含む全世界の需要者に対して発信されている(甲2,甲58)。また,当該ウェブサイト,ソーシャルメディアページにおいても,MONSTERブランドマークが表示され,またこれらを付した契約アスリートの着用ウェア,グッズの写真,ビデオが配信されている。さらに,MONSTERブランドマークを表示させた第三者のウェブサイトも存在する(甲58)。
(8)経済界等からの表彰等
申立人の業績は,本件商標が登録出願される遙か以前から,経済界でも高く評価され,数々の表彰を受けている。また,著名なビジネス誌においても,申立人会社の記事が掲載されている(甲49,甲51?甲58)。
(9)商標登録によるブランド保護
申立人は「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンク,イベントの企画・開催,ライセンシーに係るアパレル製品,装身具等の様々な関連グッズに対してMONSTERブランドマーク及びMONSTERファミリー商標を使用している。
日本国内では,MONSTERファミリー商標を第30類及び第32類の申立人の製造販売にかかる各種飲料製品のほか,第5類,第9類,第14類,第16類,第18類,第25類,第29類,第33類,第35類,第41類の商品,役務について商標登録又は出願済みである。
なお,引用商標3,5,8,10,13?18は申立人が現在国内で販売中の6種のエナジードリンクの製品名に対応又は関連する登録である。
また,申立人は世界115以上の国及び地域においてMONSTERの文字を有する商標を商標登録・出願済みである(甲58,甲271?甲299,別紙1,別紙2)。
(10)国内における申立人商標のライセンス商品の人気と模倣品の水際取締り
申立人のライセンシーの製造販売に係るMONSTERブランドマークを付したアパレル製品,バッグ類,ステッカー(シール)などは日本の国内でも輸入販売されており,スポーツ愛好家を含む一般消費者の間で人気の高い商品となっているところ,そのような国内市場におけるMONSTERブランドマークの人気,周知性の高まりに便乗して,申立人の商標権を侵害するアパレル製品,ステッカー等の模倣品が海外で製造され,申立人の商標権侵害物品として日本の税関で輸入が差し止められる案件が急増している(甲169?甲224,別紙3)。
(11)2013年以降に申立人が主に国内で主催又は協賛したスポーツイベント等及びプロモーションキャンペーン
申立人は,遅くとも2013年2月23日から現在に至るまで継続して定期的かつほぼ毎月の頻度で,様々なプロモーションキャンペーンを実施している(別紙4)。
そして,申立人は,これらのプロモーションキャンペーンにおいてイベント来場者,キャンペーン応募者又はその当選者に対して,MONSTERブランドマークを付したTシャツ,ビーニー(帽子),スポーツヘルメット,ステッカー,ドリンククーラー,キーホルダー,リストバンド,バックパック(バッグ類),スノーボード,ギター,クーラーボックス,ミニ冷蔵庫,自動車,テレビ,エナジードリンク,これらのオリジナルグッズ等の詰め合わせセットなどの賞品を提供しており,その数は13万4000点以上である。
また,これらのキャンペーン賞品は,プレスリリースで広告宣伝されている(甲16,甲17,甲63,甲64,甲68?甲71,甲73?甲80,甲87?甲91,甲108,甲111?甲115,甲117?甲120,甲123,甲124,甲132,甲138?甲168)。
(12)申立人の商標ライセンシーの製造販売にかかる「MONSTER」ライセンス商品の販売状況
申立人は,様々な商品分野でMONSTERブランドマークを第三者に使用許諾している。これらの「MONSTER」ライセンス商品は,国内の実店舗のほか,オンラインショップや通信販売を介して国内の需要者にも販売されている(甲47,甲48,甲58,甲92?甲100,甲134,甲135)。
(13)営業及び広告における「MONSTER」及び「モンスター」の文字の使用
前記(12)で言及した「MONSTER」ライセンス商品は,その商品カタログやオンラインショッピングサイトにおいて,商品ブランド名及び個別商品名として「MONSTER」「Monster」の文字を表示して販売及び宣伝広告されている(甲92,甲96,甲98,甲135)。
これに加えて,申立人による営業及び販売促進活動全般において,申立人会社又は申立人の取扱いに係るエナジードリンク等の商品を指示するための表示として「MONSTER」及びその表音「モンスター」の文字が単独で繰り返し用いられている(甲16,甲17,甲42の2,甲42の3,甲63,甲64,甲69,甲71,甲79,甲90,甲101,甲112,甲113,甲117,甲118,甲120,甲124,甲128,甲132,甲145,甲159,甲162,甲165,甲168)。
(14)まとめ
以上のとおり,申立人の使用に係る「MONSTER」の文字は,本件商標の登録出願日以前より申立人の業務に係る商品及び役務を表示する出所識別標識として,米国をはじめとする外国で広く認識されていただけにとどまらず,本件商標の登録出願時及び査定時には日本国内の取引者及び需要者の間においても,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして広く認識されていたことが明らかである。
2 本件商標が商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は,図形部分と文字部分から構成されるものであって,これらの図形部分と文字部分は,物理的,視覚的に分離して表示されており,それぞれが独立の商品出所識別標識として機能し得るものである。
そして,文字部分中の「CLOTHING」は,「衣服,着物」を意味する外来語「クロージング」として一般に使用されている(甲302)ものであり,本件商標の指定商品は,第25類「被服」等であるから「CLOTHING」は,普通名称であり自他商品識別標識としては機能し得ない。
したがって,本件商標の構成においては「BLUE MONSTER」の文字が独立の商品出所識別標識として機能するものであるが,「BLUE MONSTER」の文字は辞書等に掲載されている既成語ではなく,当該文字全体が一体的な出所識別標識として,把握されるものとはいい難い。また,「BLUE」は,「青色,藍色」等を意味する外来語「ブルー」として国民一般に親しまれている(甲303)ことから,「BLUE」の文字部分は,単に指定商品の色彩が青色であることを示す一般的な表示として認識理解されるに止まり,自他商品識別標識としての機能は果たさないか,果たしても,極めて弱く不十分なものであることが明らかである。
したがって,本件商標の構成においては,「MONSTER」の文字部分が取引者及び需要者に対して商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることが明らかである。
これに対して,引用商標1及び2は,「M」のロゴの図形を最上段に表ししたものと,特徴的なデザイン文字の太字で大きく表記した「MONSTER」の文字を上段に,通常の活字体の細字で表記した「ENERGY」の文字を下段に表示したものであり,上記の構成において「MONSTER」の文字は,「M」のロゴの図形及び「ENERGY」の文字部分から分離,独立して配置され,明らかに異なるデザインの書体及び大きなサイズの文字を用いて顕著に表されていることから,独立して見るものの注意を引くように表示されている。このような構成においては,「MONSTER」の文字部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることが明らかである。
したがって,本件商標と引用商標1及び2は,共に「MONSTER」の文字部分から「モンスター」の称呼及び観念を生じるものであり,これらを共通にする類似の商標である。
(2)本件商標の指定商品は,上記のとおりであり,引用商標1の指定商品中,第9類「Sports helmets」及び第25類「Clothing, namely, t-shirts, hooded shirts and hooded sweatshirts, sweat shirts, jackets, pants, bandanas, sweat bands and gloves; headgear, namely, hats and beanies」並びに引用商標2の指定商品中,第25類「被服(但し「ティーシャツ,フード付きシャツ及びフード付きスウェットシャツ,スウェットシャツ,ジャケット,ズボン,バンダナ,手袋,帽子及びビーニー帽」を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」と同一又は類似のものである。
また,上記の引用商標は,本件商標よりも先に登録出願されたものである。
(3)以上より,本件商標は,先に登録出願された引用商標1及び2と類似のものであって,当該引用商標の登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであることが明らかである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 本件商標が商標法第4条第1項第15号について
(1)前記1で詳述したとおり,本件商標の登録出願時及び査定時には「MONSTER」は,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして取引者,需要者の間で広く認識されていたものである。
また,前記1(10)のとおり,一般消費者における「MONSTER」ライセンス商品の人気の高さに便乗して,海外で製造された模倣品が日本の税関で輸入差止される事案が平成25年(2013年)7月から現在に至るまで頻発しており,平成25年7月から同28年5月までの約2年10か月の期間に申立人の引用商標1及び2の商標権侵害物品として税関で輸入が差し止められた物品中,本件指定商品と同一又は類似の商品に当たるものは,総計6802点に及ぶ(甲169?甲224,別紙3)
そして,前記2(1)のとおり,本件商標の構成において独立の自他商品識別標識として機能する「BLUE MONSTER」の文字のうち,「BLUE」の文字部分は自他商品識別力を欠くものであるか,「MONSTER」の文字部分に比べて極めて薄弱で不十分なものであるから,本件商標は,「MONSTER」の文字部分が取引者及び需要者に商品出所識別標識として強く支配的な印象を与える。
したがって,本件商標と申立人の使用に係る「MONSTER」は,類似性の程度が極めて高いものであることが明らかである。
また,申立人の使用に係る引用商標1?4に示すロゴマークは,構成中に「MONSTER」の文字を顕著に表示してなり,当該文字部分が商品出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。したがって,本件商標とこれらの引用商標も類似性の程度が高い。
本件指定商品は,被服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴を含む。これらは,上記のとおりの申立人の商標ライセンシーの製造販売に係る「MONSTER」ライセンス商品及び申立人のプロモーションキャンペーンで賞品として提供される「モンスター限定グッズ」と同一又は類似のものである。
また,本件指定商品の最終的な需要者は,一般消費者であるから,通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。
したがって,本件商標が使用された場合は,申立人の商標ライセンシーの製造販売に係る「MONSTER」ライセンス商品,あるいは申立人と経済的又は組織的関係を有する者の製造販売に係る商品であると誤信されて,その出所について混同を生じるおそれが高いことが明らかである。
(2)申立人と経済的又は組織的な関係を有しない者によって,本件商標が申立人の商標ライセンス商品と同一又は類似の商品に使用されたときには,2002年から現在に至る申立人による継続的使用と営業努力によって申立人の業務に係る商品の出所識別標識として広く認識されるに至った「MONSTER」の強力な出所表示力が希釈化することが明らかである。また,被申立人による本件商標の使用は,申立人が「MONSTER」について獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドする行為といわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 本件商標が商標法第4条第1項第7号について
本件商標が使用された場合,申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所表示力が希釈化するおそれが極めて高い。また,本件商標の使用は,申立人がこれらの商標について獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ず,申立人に経済的及び精神的損害を与える。
したがって,本件商標は,社会一般道徳並びに公正な取引秩序を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり,公の秩序を害するおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 「MONSTER」の文字の周知・著名性
(1)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実を認めることができる(なお,インターネット情報,雑誌及びカタログ等について,掲載日又は発行日の明らかでないもの,日本語以外の言語で表示されており我が国を対象として掲載,発行されたものとは認められないもの,本件商標の出願日以降に掲載又は発行されたものと認められるもの又は写真や文字が不鮮明なものは除く。)。
ア 申立人は,米国の飲料メーカーであって,2002年に米国でエナジードリンクの「MONSTER ENERGY」を販売開始し,現在まで多種のエナジードリンクを継続して販売している(甲7,甲8,甲10,甲33,甲59,甲60,甲101,甲126,甲127,甲129,甲130)。
イ 申立人は,我が国において,アサヒ飲料を通じて2012年(平成24年)5月8日に「『モンスターエナジー』ブランド」として,「モンスターエナジー」及び「モンスターカオス」の販売を開始し,それらの商品はその発売から同年9月までに,157万箱の販売数となった(甲7?甲9)。
ウ 同様に,申立人は,「『モンスターエナジー』ブランド」として,2013年(平成25年)5月7日に,「モンスターアブソリュートゼロ」を,2014年(平成26年)8月19日に,「モンスターエナジー M3」を,同年10月7日に,「モンスターコーヒー」を,2015年(平成27年)7月21日に,「モンスターウルトラ」を販売した。そして,2016年(平成28年)4月12日に,「モンスターエナジー M3」を,同年5月17日に,「モンスターカオス」をそれぞれリニューアル販売した(甲10,甲59,甲60,甲101,甲102,甲103,甲127,甲129,甲130)。
エ 前記イ及びウの6種類の「『モンスターエナジー』ブランド」の商品(以下,これらをまとめて「申立人国内販売商品」という。)の容器には,MONSTERブランドマークが表示されている。(甲14,甲15,甲61,甲62,甲101,甲129,甲130)。
オ そして,申立人国内販売商品は,現在もアサヒ飲料のウェブサイト,コンビニエンスストア,スーパーマーケット等の小売店で継続的に販売されている(甲8,甲11?甲13,甲72,甲131)。また,Amazon.co.jpのウェブサイトにおいては,申立人国内販売商品のほかにも,申立人が米国で販売している商品も購入することができ,これらの商品の容器にもMONSTERブランドマークが表示されている(甲33,甲126)。
カ 申立人は,MONSTERブランドマークを付した,被服,スポーツ用品,ステッカー等について,業者とライセンス契約を締結し,これらの商品は,2011年(平成23年)1月頃には,我が国でも販売されている(甲47,甲48,甲98,甲100)。
キ 申立人は,広告宣伝活動として,スポーツの競技者,レーシングチーム等へのスポンサー活動及びスポーツ大会,各種イベントの主催・共催を行っており,競技者,レーシングチームのユニフォーム,車体等の使用用具,スポーツ大会,イベントの広告用ウェブサイトにおいて,MONSTERブランドマークを表示している(甲42の1,甲44,甲45,甲82,甲83,甲102,甲105?甲107,甲109,甲110,甲116,甲120,甲122,甲123,甲125,甲138,甲139,甲154)。
ク 申立人は,広告宣伝活動として,2012年(平成24年)5月より,コンビニエンスストアにおける,申立人国内販売商品及びMONSTERブランドマークを付した衣類等の商品の配布,抽選等のキャンペーン,街頭,イベント会場等での申立人国内販売商品の配布等のキャンペーン,ウェブサイトを使用したMONSTERブランドマークを付した商品の配布,抽選等のキャンペーンを行っており,それらの広告用のウェブサイトには,MONSTERブランドマークが掲載されている(甲8,甲16,甲17,甲63,甲64,甲68?甲71,甲87?甲91,甲111?甲115,甲117?甲119,甲124,甲128,甲132,甲133,甲138,甲140?甲168)。
しかしながら,キャンペーンで配布した商品の配布数量は,2012年5月19日?7月15日の期間に行われた,東京・名古屋・大阪における50万本規模の街頭サンプリング(甲8)以外にこれを裏付ける具体的な証拠の提出はない。
ケ 申立人の陳述書(甲58)によれば,申立人は,我が国での申立人国内販売商品の販売直後より,申立人国内販売商品のテレビコマーシャルの放映,発売を記念するイベントを行ったほか,各種イベントのスポンサー提供を介して広告宣伝を行い,例えば,2012年(平成24年)5月17日から2か月間にわたり,50万缶のサンプルを路上配布したほか,同年6月2日及び3日に,渋谷において路上発表会で4万缶のサンプル配布をし,同年7月に,晴海フェリーターミナルにおいてパンクロックフェスティバルで5500缶のサンプル配布を行い,さらに2013(平成25年)7月にライブ演奏会場で3500缶のサンプルを配布,その他サーフィン大会の会場やロックコンサートの会場等においてサンプル配布を行った旨陳述しているが,テレビコマーシャルの放映回数,配布された申立人国内販売商品の缶の個数等を裏付ける具体的な証拠の提出はない。
また,申立人は,2012年5月より2015年6月30日までの期間,我が国おいて2億3600万缶の申立人国内販売商品を販売した旨陳述しているが,これを裏付ける具体的な証拠の提出はない。
(2)前記(1)の事実によれば,申立人は,米国では2002年に「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクの販売を開始し,我が国では,2012年(平成24年)5月よりアサヒ飲料を通じて,「モンスターエナジー」及び「モンスターカオス」を「『モンスターエナジー』ブランド」として,販売を開始し,その後,現在までに,6種類の申立人国内販売商品を販売している。
そして,申立人は,我が国において,2012年の上記商品の販売開始直後より,広告宣伝活動として,街頭,イベント会場,コンビニエンスストア又はウェブサイトを介して申立人国内販売商品のサンプル,MONSTERブランドマークを付した衣類,シール等の等の配布を行なっている。
また,申立人は,スポーツ選手,スポーツチームのスポンサーやスポーツイベントの主催・共催を行っており,それらに関する選手のユニフォームや選手の使用機材,イベントの広告用ウェブサイト上に,MONSTERブランドマークを表示している。
さらに,MONSTERブランドマークを付した,Tシャツ等の衣類,ステッカー,スポーツ用品等の販売も行われている。
以上のことからすれば,本件商標の出願時(平成28年10月14日)以前には,申立人国内販売商品が,エナジードリンクを取り扱う分野の取引者及びコンビニエンスストアの需要者又は上記のイベント等に参加する層である若い世代を中心とした一般の消費者の間ではある程度知られたものと認めることができる。
しかしながら,申立人国内販売商品の販売実績として確認できるのは,2012年(平成24年)5月ないし12月における157万箱であり,この数量は,アサヒ飲料が販売する他の飲料の2012年の販売実績,「ワンダ」4,048万箱,「三ツ矢」3,908万箱,「十六茶」2,010万箱(甲9)と比べ,販売期間が異なることや2013年の申立人国内販売商品の年間販売目標240万箱(甲10)を考慮しても,その差は極めて大きく,数量自体からは申立人国内販売商品の周知性を裏付けるほどのものとはいえないものである。
また,申立人国内販売商品のサンプル等の配布が行われていたとしても,その配布対象は,比較的若い世代が集まる繁華な場所やロックコンサート等のイベント会場で当該場所に居合わせた人たち又はコンビニエンスストアやウェブサイトを通じ積極的にキャンペーンに参加する人たちである。さらに,前記(1)で認定したとおり,配布された本数,個数を裏付ける証拠の提出は,2012年5月?7月の東京・名古屋・大阪の路上サンプリング以外にはない。
そして,申立人国内販売商品の宣伝広告方法は,上記のサンプル配布のほかには,スポーツ選手やスポーツチームのスポンサー及びイベントの主催・共催が主なものであり,我が国におけるその数はわずかである。
また,ウェブサイトにおけるニュースリリース以外に申立人国内販売商品の継続的な広告を行った事実を明らかにする証拠の提出もない。
そうすると,申立人が提出した証拠からは,MONSTERファミリー商標が,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
また、申立人の提出した証拠によれば,「MONSTER」,「Monster」又は「モンスター」の文字は,「MONSTER ENERGY」又は「モンスターエナジー」の文字と共に使用されており,需要者には,これらの文字が申立人国内販売商品の表示の一部又は「『モンスターエナジー』ブランド」の商品名の一部として認識されているとみるのが相当である。
以上を総合すると,「MONSTER」の文字も,同様に,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは,認めることができない。
2 商標法第4条第1項第11号の該当性について
申立人が商標法第4条第1項第11号に該当すると主張する商標登録は,引用商標1及び引用商標2である(以下これらをまとめて「11号引用商標」という。)。
(1)本件商標について
本件商標は,別掲1のとおり,内部に「BLUE MONSTER」「BMC」「CLOTHING」の文字を有する図形を表し,その下部に「BLUE MONSTER」の文字と「CLOTHING」の文字を2段に配した構成(文字部分にはかすれがある。)からなるものである。
そして,上部の図形部分と下部の文字部分とは,その構成態様から上部と下部が明確に分離して把握されるものであるところ,文字のみで表された下部の部分についてみるに,上段の「BLUE」及び「MONSTER」の文字と下段の「CLOTHING」の文字は,「BLUE」と「MONSTER」の間に半文字ほどのスペースを有し,文字部分が,二段に表されているものの,同じ書体,同じ大きさで,横方向中央を同じ位置にそろえて,構成文字全体がまとまりよく配置されているものである。
また,その文字部分は,「青い怪物」の意味および「衣服」の意味を直ちに理解させるよく知られている英語の「BLUE MONSTER」及び「CLOTHING」の語からなるものであり,その構成全体から上記の意味に相応した「『青い怪物』の衣服」の一連の観念を生ずるものであり,さらに,その構成全体から生ずる「ブルーモンスタークロージング」の称呼も,特別冗長ではなく無理なく一連に称呼し得るものであるから,本件商標の文字部分を一体として捉えることが自然であるといえる。
次に,上部の文字を有する図形部分についてみるに,文字部分から直ちにいかなる称呼,観念が生じるかは判然とはしないものの,円弧内に沿って上部と下部に表された文字に相応して「ブルーモンスタークロージング」の称呼及び「『青い怪物』の衣服」の観念,並びに「ブルーモンスター」の称呼及び「青い怪物」の観念が生じ得るといえる。
また,中央部に表された「BMC」の部分からは「ビーエムシー」の称呼が生じることもあり得るといえる。
なお,申立人は,本件商標の下部の文字部分について,下段の「CLOTHING」の文字は,「衣服,着物」を意味する外来語として知られており本件の指定商品の普通名称との関連では商品の名称を表す文字であるから,自他商品の識別標識としての機能はなく,また上段の「BLUE」の文字は「青色,藍色」の意味を有する外来語であって,商品が「青色」という色彩を表示する語であるから,自他商品の識別標識としての機能を果たさないか,極めて弱いものであることからすれば,本件商標の文字部分のうち自他商品の識別標識としての機能を有するのは「MONSTER」の文字部分である旨主張している。
しかしながら,「CLOTHING」の文字が「衣服,着物」の意味を有し,本件商標の指定商品を表示する文字であったとしても,本件商標の下部の文字部分全体は,前記のとおりまとまりよく表されているものである。また,「BLUE」の文字は,商品の色彩を表示する語であるというよりも,後に続く「MONSTER」の文字を修飾する語と認識させるものであるから,本件商標の下部の文字部分全体として「『青い怪物』の衣類」の一連の観念を生じさせると認識されるのが相当であり,本件商標の下部の文字部分の構成中,「MONSTER」の文字のみが,取引者,需要者に対して商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとして見るべき事情は見いだせない。
(2)11号引用商標について
11号引用商標は,別掲2のとおり,上部に大きく「m」をモチーフとしたと思われる図形を配し,その下方に,やや図案化した「MONSTER」の欧文字(「O」に該当する部分は,縦線が加えられているが,「O」を表したものとして,不自然なものとはいえない。)を表し,さらに,その下段に,前記文字に比して小さい「ENERGY」の文字を配した構成の商標からなるものである。
そして,上部の図形部分と下部の文字部分とは,その構成態様から上部と下部が明確に分離して把握されるものであるところ,上部の図形からは,特定の称呼や観念は生じないものである。他方,下部の欧文字は上下二段に横書きして表されているものの,上段の「MONSTER」の文字と下段の「ENERGY」の文字部分の間隔は極めて近接しており,かつ,上下段の各文字部分の横方向中央を同じ位置にそろえ,構成文字全体がまとまりよく配置されているものである。また,その文字部分は,「怪物」の意味及び「エネルギー」の意味を有するよく知られた英語の「MONSTER」及び「ENERGY」の語よりなるものであって,その構成全体からは,上記の意味に相応した「怪物のエネルギー」の観念が生ずるものであり,構成文字全体から生じる「モンスターエナジー」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると,11号引用商標の構成中の下部の文字部分は,その外観及び観念によって極めて密接な一体性を有しているものというべきであり,構成中の「MONSTER」の文字のみが,取引者,需要者に対して商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとして見るべき事情は見いだせない。
(3)本件商標と11号引用商標の類否について
本件商標と11号引用商標とを比較すると,両者の外観構成には顕著な相違があるから,外観上相紛れるおそれはないものである。
また,本件商標から生ずる「ブルーモンスタークロージング」,「ブルーモンスター」及び「ビーエムシー」の各称呼と11号引用商標から生ずる「モンスターエナジー」の称呼を比較してみると両者は,顕著な差異を有するから,明確に聴別し得るものである。
さらに,本件商標からは,図形部分内の文字及び文字部分に相応した「青い怪物」,「『青い怪物』の衣服」の観念を生じるのに対し,11号引用商標からは「怪物のエネルギー」の観念が生ずるところ,本件商標と11号引用商標との観念間の相違は明確であって,観念上相紛れるおそれはないというべきである。
以上のとおり,本件商標と11号引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
3 商標法第4条第1項第15号の該当性について
「MONSTER」の文字は,前記1(2)のとおり,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは,認めることができない。
また,前記2(1)のとおり,本件商標の構成中,「MONSTER」の文字のみが,取引者,需要者に対して商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとして見るべき事情は見いだせない。
そうすると,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者が引用商標を連想又は想起させるものとは認められず,その商品が申立人又は同人と経済的,組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく,その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
4 商標法第4条第1項第7号の該当性について
本件商標は,前記3のとおり,商標権者がこれをその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者が引用商標を連想又は想起することはないものである。
そうとすれば,本件商標は引用商標の信用力又は顧客吸引力にフリーライドするものではなく,本件商標をその指定商品に使用することが社会一般の道徳観念に反し,公正な取引秩序を乱すものとはいえないし,国際信義に反するものともいえない。
もとより,本件商標は,その構成自体がきょう激,卑わい,差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形ではないし,他の法律によってその使用等が禁止されているものでもない。
したがって,本件商標は,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標とはいえないから,商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
5 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号,同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標1,2,3)


別掲3(引用商標4)


別掲4(引用商標8,9)


別掲5(引用商標15)


別掲6(引用商標18)
(色彩は原本参照。)


別掲7(引用商標19)


別掲8(引用商標45)


異議決定日 2017-04-20 
出願番号 商願2016-1337(T2016-1337) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W25)
T 1 651・ 271- Y (W25)
T 1 651・ 22- Y (W25)
T 1 651・ 263- Y (W25)
T 1 651・ 261- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鹿児島 直人 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 大森 友子
冨澤 武志
登録日 2016-07-08 
登録番号 商標登録第5864417号(T5864417) 
権利者 合同会社ブリッツワークス
商標の称呼 ブルーモンスタークロージング、ブルーモンスター、ビイエムシイ 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 秋和 勝志 
代理人 柳田 征史 
代理人 都築 健太郎 
代理人 杉本 明子 
代理人 平野 泰弘 
代理人 佐久間 剛 

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