• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y36
管理番号 1328025 
審判番号 取消2016-300617 
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-09-05 
確定日 2017-05-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第4646218号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4646218号商標(以下「本件商標」という。)は、「アクア」の文字と「AQUA」の文字を二段に横書きしてなり、平成14年3月26日に登録出願、第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入のあっせん,クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,ガス料金又は電気料金の支払の取次ぎ,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,中古自動車の評価,企業の信用に関する調査,慈善のための募金,紙幣・硬貨計算機の貸与,現金支払機・現金自動預け払い機の貸与」を指定役務として、平成15年2月21日に設定登録され、その後、指定役務中の「有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供」についての登録は、平成20年11月12日付け審決(取消2008-300771)により取り消され、その確定の登録が平成21年1月16日にされたものであり、その余の指定役務についての商標権は、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定役務中の第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標は、その指定役務中の第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標権者による使用
ア 商標権者の登記簿記載の業務
商標権者は、「損害保険代理業、自動車損害賠償保障法に基づく保険代理業及び生命保険の募集に関する業務」を事業目的の一つとしている(乙1)。
イ プリペイドカードの発行(使用標章の形態)
商標権者は、プリペイドカード(以下「本件カード」という。)を発行し(乙2)、消費者に対して一定の役務を提供している。本件カードには、「AQUA CARD」の標章(以下「使用標章」という。)が表示されている。
ウ 本件カードの使用者(役務の提供を受ける者)に対する使用役務
本件カードの使用者(カード入会者)に対して、商標権者は、損害賠償保険の新たなプログラムをチューリッヒ保険会社と共に企画し、ダイレクトメール(乙6の1:以下「本件DM」という。)を送付している。本件DMの詳細は、封筒(乙6の2)に、案内文(乙6の3又はシニア対象の乙6の7)、加入依頼書(乙6の4又はシニア対象の乙6の8)、重要事項説明書(乙6の5)、返信用封筒(乙6の6)を入れ発送している。
上記案内文(乙6の3又は乙6の7)には、「このたびは、アクアカードにご入会いただきまして、・・交通事故など万一の際に補償が受けられる、コメリフリーケア・プログラム『無料プラン』をご案内できる運びとなりました・・」、「『追加補償プラン』をご用意しました。このプランは月々920円からお手頃な掛金で、ケガによる入院や、万一の死亡保障までをカバーし、入院については・・」の記載がある。この損害保険は、チューリッヒ保険会社と商標権者が共同して企画・募集した保険であり、「アクアカード」の付帯サービスとして、保険引受会社がチューリッヒ保険会社である損害保険について、商標権者が「損害保険の締結の代理」の役務として行っているものである(乙6の5)。
エ 役務商標としての使用
使用標章は、本件カードに明確に表示されている。そして、本件カードは入会者(一般需要者)が使用して各種の役務の提供を受けるものである。「損害保険の代理」は、各種提供役務の内の一つである。
したがって、本件カードは「(損害保険の代理の)役務の提供にあたり、その提供を受ける者(入会者)の利用に供する物」である。
使用標章を本件カードに表示して、所定の役務を提供することは、商標法第2条第3項第3号に規定する行為に該当する。
オ 使用標章の使用時期
(ア)カードの使用開始時期
本件カードは、平成27年春頃から準備し(乙4の募集チラシは、平成27年7月1日版)、平成27年7月15日から使用を開始し(乙3は、商標権者の親会社の株式会社コメリで展開する各店舗の店長宛の社内通知書面)、入会申し込みを受けている(乙5の1?3)。
(イ)本件DMの発送
本件DMの発送は、第1回が、2015年11月30日に開始し(保険始期:2016年4月10日)、10万人に送付した。第2回は、2016年2月23日に開始し(保険始期:2016年7月10日)、約6万9000人に送付した。第3回は、2016年8月29日に開始し(保険始期:2017年1月10日)、約15万人に送付した。なお、乙第6号証は、第3回の発送のものであり、乙第7号証は、第1回の版下(校正用)として受領したデータを印刷出力したものである。
カ 使用標章と本件商標の同一性
本件商標は、「アクア」と「AQUQ」を上下二段に表示したものである。使用標章は、「AQUA CARD」と表示しているものであり、「AQUA」と「CARD」の間には明確に区別できる間隔が存在する。
各種の役務提供に当たり、役務の提供を受ける者に「カード形態」で役務提供する際には、当該カードは「カード」の文字表示の有無に関わらず一般的に「**カード」として称呼されることは、経験則で認められるところである。すなわち、各種役務提供のためにカードを使用する場合には、自他役務識別標識に「カード」を加えた「**カード」として当該役務の自他識別性が発揮されている。
そうすると、使用標章における「AQUA CARD」の表示のうち、「CARD」の部分は一定の役務提供を受ける者に対して交付する「役務を受ける者が利用する物」が「カード」であることを意味している。
したがって、本件カードにおける自他識別性は「AQUA」の部分であり、本件商標と同一の観念・称呼が生じ、本件カードの「AQUA」は、本件商標と同一性を有する。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標と同一性を備えた標章を、商標権者が発行するプリペイドカード(本件カード)に表示し、このプリペイドカードの付帯サービス業務として損害保険に関する役務(契約締結の代理)を行っており、本件カードを使用者に対する保険契約締結の代理の役務提供は、本件審判の請求の登録前3年以内の平成27年11月30日(第1回DM発送日)から平成28年10月24日(第3回送付の締切日)に行っているので、本件商標を本件請求に係る指定役務のいずれかを使用していることは明らかである。

4 当審の判断
(1)使用の事実
ア 本件商標は、その権利者を新潟県新潟市米山四丁目1番28号所在の株式会社コメリとして設定登録されたが、平成15年4月14日を受付日とする商標権の移転により新潟県白根市茨曽根4453番地1(新潟市南区清水4501番地1に表示変更:平成20年4月18日登録)所在の株式会社アクアに譲渡され、さらに、平成20年4月7日を受付日とする登録名義人の表示の変更により、株式会社コメリキャピタルとなり、その登録が平成20年4月18日にされたものである(甲1の1)。
イ 乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。なお、乙号証中の枝番を有する証拠において、枝番を特に明記しない場合は、枝番の全てを含むものである。)及び答弁の理由によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)商標権者は、「損害保険代理業、自動車損害賠償保障法に基づく保険代理業及び生命保険の募集に関する業務」を目的の一つとして設立された会社である(乙1)。
(イ)商標権者は、「コメリ・チャージ式プリペイドカード」、「AQUA CARD」の文字が表示されたプリペイドカード(本件カード)を2015年(平成27年)7月15日に発行を開始した(乙2、乙3)。
(ウ)商標権者は、本件カードの発行に先立ち、本件カードを掲載した募集チラシ(2015年7月1日版)を作成した(乙4)。
(エ)商標権者は、本件カード入会者に対し、申込締切日を2016年(平成28年)4月18日とする損害保険加入の案内状、加入依頼書、返信用封筒等を同封した本件DM約10万通を、第1回発送分として2015年11月27日頃に発送した(乙7、乙8)。なお、本件DMは、第1回から第3回まで発送された。
同封の案内状には、上段右に、「入院補償/無料進呈」、「申込締切日/2016年10月24日」(ただし、これは第3回発送分(乙6の3))などの文字が記載され、その下には、「?ご入会に感謝をこめて?/・・安心の補償サービスをご案内します。」、「・・このたびは、アクアカードにご入会いただきまして、誠にありがとうございます。ご入会いただきました皆さまへ感謝の気持ちをこめて、交通事故など万一の際に補償が受けられる、コメリフリーケア・プログラム『無料プラン』をご案内できる運びとなりましたので、ここにお知らせいたします。このご案内をお受け取りになられた会員ご本人様よりお申し込みいただきますと、交通事故などで5日以上入院された場合、入院一時金として30,000円をお受け取りいただける『無料プラン』に3年間ご加入いただけます。保険料は弊社が負担いたしますので会員ご本人様の負担が一切ございません。また、さらに充実した補償をご希望の方には、『手頃な掛金で十分な補償が受けたい』・・というお声をもとに開発した『追加補償プラン』をご用意しました。このプランは月々920円からお手頃な掛金で、ケガによる入院や手術、万一の死亡補償までカバーし、入院については日帰り入院から180日まで補償します。・・なお、『無料プラン』の補償は3年後に終了しますが、自動的に『追加補償プラン』に切り換わることはございません。・・〔差出人〕株式会社コメリキャピタル」、「補償開始日のご案内/『無料プラン』の補償は、申込締切日までにご返送いただきますと、2017年1月10日より開始します。」、「お問い合わせは、チューリッヒ保険会社『コメリ保険プラン』係・・」などと記載されている(乙6の3、なお、シニアを対象とした案内状(乙6の7)の文面は、上記とほぼ同一であるが、「無料プラン」に関しては、補償の金額・期間等について、また、「追加補償プランS」に関しては、月々の掛金や補償の内容等について、それぞれ異なる。)。
ウ 前記イで認定した事実によれば、商標権者は、本件審判の請求の登録(平成28年9月16日)前3年以内である2015年(平成27年)7月15日に、「AQUA CARD」(使用標章)が表示された本件カードの発行を開始し、本件カード加入者に対し、同じく本件審判の請求の登録前3年以内である2015年(平成27年)11月27日頃に、損害保険の加入の案内状を送付し、保険引受会社がチューリッヒ保険会社である損害保険契約の締結の代理を行っていたと推認することができる。
そして、損害保険契約の締結の代理は、本件請求に係る指定役務に含まれる役務である。
また、本件カードに表示された使用標章は、構成中の「CARD」の欧文字部分が、単に本件カードの形状(カード状)を表す部分であることから、その要部を「AQUA」の欧文字部分とするものと認められ、当該要部と本件商標とは社会通念上同一と認められる商標ということができる。
してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定役務に含まれる役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。
一方、請求人は、前記3の被請求人の答弁に対し、何ら弁駁するところがない。
(2)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、その指定役務中の第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出」について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-03-06 
結審通知日 2017-03-09 
審決日 2017-03-22 
出願番号 商願2002-23595(T2002-23595) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y36)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 田中 幸一
大森 友子
登録日 2003-02-21 
登録番号 商標登録第4646218号(T4646218) 
商標の称呼 アクア 
代理人 近藤 彰 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ