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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W3541 審判 全部申立て 登録を維持 W3541 審判 全部申立て 登録を維持 W3541 審判 全部申立て 登録を維持 W3541 審判 全部申立て 登録を維持 W3541 |
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管理番号 | 1327175 |
異議申立番号 | 異議2016-900388 |
総通号数 | 209 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-05-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-12-05 |
確定日 | 2017-04-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5880567号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5880567号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5880567号商標(以下「本件商標」という。)は,「半島プラザアスクル」の文字を太字で横書きしてなり,平成27年11月30日に登録出願,第35類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,平成28年7月27日に登録査定,同年9月9日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は商標法第4条第1項第8号,同項第11号及び同項第15号に該当するとして本件登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は,以下の4件であり,いずれも現に有効に存続しているものである(以下,まとめていうときは「引用商標」という。)。 1 登録第4659230号商標(以下「引用商標1」という。)は,「ASKUL」の欧文字を標準文字で表してなり,平成13年6月14日に登録出願,第1類ないし第12類,第14類ないし第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成15年4月4日に設定登録されたものである。 2 登録第5183765号商標(以下「引用商標2」という。)は,「ASKUL」の欧文字を青色で横書きしてなり,平成19年4月1日に登録出願,第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,平成20年11月28日に設定登録されたものである。 3 登録第5327848号商標(以下「引用商標3」という。)は,「ASKUL」の欧文字を青色で横書きしてなり,平成21年4月6日に登録出願,第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,平成22年6月4日に設定登録されたものである。 4 登録第5860673号商標(以下「引用商標4」という。)は,「本商標は,男性の声で『アスクル』と聞こえる構成となっており,全体で約1秒間の長さである。」とする音商標であり,平成27年4月1日に登録出願,第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,平成28年6月24日に設定登録されたものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第8号,同項第11号及び同項第15号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。 1 本件商標について 本件商標は,「半島プラザアスクル」の文字からなるところ,その構成中,「半島」及び「プラザ」は辞書に掲載されている語であるが,「アスクル」の文字部分は造語であるから,本件商標に接する取引者・需要者は,「アスクル」の文字部分が強く印象に残り,この部分を要部と把握するとみるのが自然である。現に,本件商標の権利者も,その広報誌において「アスクル」を要部として捉えていることは明らかである(甲17)。 2 引用商標について 引用商標は,「ASKUL」の文字からなるものや,音声で「アスクル」と聞こえるものであるから,これらの商標からは「アスクル」の称呼が生じる。 3 引用商標の著名性について 申立人は,「アスクル」と略称されて著名である(甲13?16)。 申立人は,2016年調査では通信販売での売上は業界第2位(甲13),オフィス通販に関しては業界第1位であり,近年は個人向け通信販売業務も手がけ,様々な商品及び情報を提供している(甲14,21)。 また,全国紙や地方紙においても,本件商標の出願前から登録時までの間,申立人が「アスクル」と記載されている(甲15,16)。 4 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は,「半島プラザアスクル」の文字からなり,上記1のとおり,その要部は「アスクル」の文字部分である。一方,引用商標は,いずれも「アスクル」の称呼を生じる商標であるから,本件商標と引用商標は称呼において共通し,これを凌駕する外観上及び観念上の相違点が見いだせないため,称呼・外観・観念を総合的に判断した場合,互いに相紛らわしく,類似する商標である。 また,本件商標の指定役務は,引用商標の指定役務と類似する役務を含むものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 5 商標法第4条第1項第15号について 「アスクル」ないし「ASKUL」は,申立人が通信販売業務において提供する役務を示す商標として著名であり,通信販売の商品の配送時には,配達用段ボールや紙袋等に「ASKUL」の標章が表示されている。また,「アスクル」ないし「ASKUL」は,辞書に掲載されていない造語であって,申立人の営業標識として使用されるハウスマークである。そして,申立人は,オフィスを対象とした通信販売に限らず,個人向け,製造業向け,医療現場向けにも通信販売をしており,その他にも職場における各種業務の遂行を支援するサービスも提供している(甲21)。さらに,インターネット等において,これらのサービスに関する種々の情報を提供するほか,自動車の小売等役務や各種情報の提供等も行っている。 以上のとおり,申立人が様々な業種の法人から個人までを対象としてサービスを提供していることに鑑みると,「アスクル」の文字を含む本件商標を,申立人が提供するサービスの需要者と共通する役務に使用した場合には,これに接する需要者・取引者は,申立人あるいは申立人と何らかの関係にある者が提供するサービスと捉えられ,出所の混同を生じることは明らかである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。 6 商標法第4条第1項第8号について 「アスクル」は,申立人の略称を示すものとして,新聞記事等において繰り返し用いられており,一般に受け入れられていることは明らかである。 一方,本件商標は,申立人の著名な略称「アスクル」を含んでおり,本件商標の権利者は,本件商標の登録について申立人の同意を得ていない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当する。 7 むすび 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第8号,同項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから,取り消されるべきである。 第4 当審の判断 1 「ASKUL」及び「アスクル」の周知・著名性について (1)申立人は,「ASKUL」及び「アスクル」の文字(以下「申立人商標」という。)は,申立人が通信販売業務において提供する役務を示す商標として周知・著名性を獲得していると主張して,甲第1号証ないし甲第22号証を提出している。 これらの証拠によれば,申立人は1993年に業務を開始した,法人向けのオフィス用品通信販売を主力事業とする企業であって,申立人商標を当該業務について使用していること(甲14,21),現在は70万点以上のオフィス用品全般を取り扱っており,2016年5月期の売上高は3150億円に達し,「業界ナンバー1の売上げを誇るオフィス通販」となっていること(甲14,15,21),日本経済新聞等において,申立人が「(文具・事務用品などの)オフィス用品の通信販売大手」として紹介されて,当該記事において「アスクル」の文字が申立人の略称を表すものとして使用されていること(甲14,15),申立人は,オフィス用品通信販売の主力事業のほか,2012年から申立人商標とは異なる「LOHACO(ロハコ)」の商標を使用して個人向け日用品通信販売サービス等を行っていること(甲14,21),などが認められる。 (2)以上の事実によれば,申立人商標に係る「ASKUL」又は「アスクル」の文字は,申立人に係る文具・事務用品を中心とするオフィス用品の通信販売業務において申立人又は申立人の業務を表示するものとして,その分野の取引者・需要者の間においては広く認識されていたものと認められる。 しかしながら,その他の申立人の提出した証拠によって,申立人商標が,オフィス用品の通信販売業務以外の分野の需要者にまで広く知られていると認めるに足る証拠を見いだすことはできない。 そうすると,申立人商標の周知・著名性は,オフィス用品の通信販売の分野にとどまるものというのが相当であり,その分野を超えて,広く知られているものとは認められない。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標は,前記第1のとおり「半島プラザアスクル」の文字を太字で横書きしてなるところ,その構成文字は,同じ大きさ,同じ書体で,同じ間隔によりまとまりよく表されているものであり,これより生じる「ハントープラザアスクル」の称呼も,よどみなく称呼し得るものである。 そして,本件商標を構成する「半島」,「プラザ」及び「アスクル」の各文字について識別力についての軽重の差を見いだせず,いずれかの文字部分が,本件商標の指定役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える,あるいは出所識別標識としての称呼,観念が生じないものと認めるに足る事情は見いだせない。 してみれば,本件商標はその構成全体をもって一体のものとして認識され,「ハントープラザアスクル」の一連の称呼を生じ,特定の観念は生じないというのが相当である。 (2)引用商標について ア 引用商標1ないし3について 引用商標1ないし3は,前記第2の1ないし3の構成よりなり,その構成文字に相応して,それぞれ「アスクル」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものと認められる。 イ 引用商標4について 引用商標4は,前記第2の4のとおり,「アスクル」と発音される言語的要素のみからなる音商標であって,これより「アスクル」の称呼を生じ,特定の意味合いを理解させるものではない。 (3)本件商標と引用商標との類否について ア 本件商標と引用商標1ないし3 本件商標と引用商標1ないし3とを比較すると,両者は,上記(1)及び(2)のとおり,その構成文字及び態様が相違することから,外観において,相紛れるおそれのないものであり,本件商標から生じる「ハントープラザアスクル」の称呼と引用商標1ないし3から生じる「アスクル」の称呼とは,語頭における「ハントープラザ」の音の有無という顕著な差異に加え,構成音数が明らかに相違するから,それぞれを一連に称呼するときは,全体の語感,語調が相違し,明瞭に聴別し得るものである。また,本件商標と引用商標1ないし3は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,両商標を比較することはできず,観念において相紛れるおそれのないものである。 したがって,本件商標と引用商標1ないし3とは,非類似の商標である。 イ 本件商標と引用商標4 本件商標と引用商標4とを比較すると,本件商標から生じる「ハントープラザアスクル」の称呼と引用商標4から生じる「アスクル」の称呼とは,上記アと同様に,語頭における「ハントープラザ」の音の有無及び構成音数において明らかに相違するから,それぞれを一連に称呼するときは,全体の語感,語調が相違し,明瞭に聴別し得るものであり,本件商標と引用商標4は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,両商標を比較することはできず,互いに紛れるおそれのないものである。 その他,本件商標と引用商標4とが類似するというべき特段の理由は見いだせない。 そうすると,本件商標と引用商標4とは,非類似の商標であるというのが相当である。 (4)小括 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号について 申立人商標は,上記1のとおり,申立人の業務に係る通信販売業務において提供する役務を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,オフィス用品の通信販売の分野においては広く知られているものである。 しかしながら,上記2のとおり,本件商標と申立人商標とは,非類似の商標であって,別異の商標というべきである。 そうすると,本件商標をその指定役務に使用しても,これに接する需要者・取引者が,申立人商標を想起・想起するものとはいえず,これが申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように,その出所について混同を生じるおそれがあるものということはできない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第8号について 本件商標は「半島プラザアスクル」の文字を横書きしてなるところ,上記1のとおり,申立人提出の証拠により,「アスクル」の文字は,オフィス用品の通信販売の分野においては,申立人の略称を表すものとして認識されているものと認められるが,該文字が申立人を指称するものとして一般に認識されるに至っていたものとは認めることができない。 してみれば,本件商標は,その構成中に他人の著名な略称を含むものということはできないから,商標法第4条第1項第8号に該当しない。 5 結論 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第8号,同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2017-03-27 |
出願番号 | 商願2015-117622(T2015-117622) |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W3541)
T 1 651・ 271- Y (W3541) T 1 651・ 262- Y (W3541) T 1 651・ 23- Y (W3541) T 1 651・ 263- Y (W3541) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 豊瀬 京太郎、佐藤 松江 |
特許庁審判長 |
堀内 仁子 |
特許庁審判官 |
小林 裕子 平澤 芳行 |
登録日 | 2016-09-09 |
登録番号 | 商標登録第5880567号(T5880567) |
権利者 | 今別町 |
商標の称呼 | ハントープラザアスクル、ハントープラザ、アスクル |
代理人 | 川口 嘉之 |
代理人 | 古井 かや子 |
代理人 | 土野 史隆 |