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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X25 |
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管理番号 | 1327129 |
審判番号 | 取消2014-300612 |
総通号数 | 209 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-05-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2014-08-12 |
確定日 | 2017-03-29 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5229646号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5229646号商標の指定商品中,第25類「被服(「和服」を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具・げた・草履類」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5229646号商標(以下「本件商標」という。)は,「GANADOR」の欧文字を横書きしてなり,平成20年10月8日に登録出願,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同21年5月15日に設定登録されたものである。 なお,本件審判の請求の登録日は,平成26年9月1日である。 第2 請求人の主張 1 請求の趣旨 請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出している。 2 請求の理由 本件商標は,その指定商品中,第25類「被服(「和服」を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具・げた・草履類」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴」について,継続して3年以上,日本国内おいて商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実が認められないので,商標法第50条の規定により取り消されるべきである。 (1)商品「Tシャツ」に係る使用について 被請求人は,「2014春夏シーズンから本件商標にてTシャツを作っているため。」としている。すなわち,被請求人は,Tシャツ(乙1,3)の正面に英大・小文字の「Ganador」を表示することで,本件商標「GANADOR」を使用していると主張する。 しかしながら,Tシャツの正面に表示されている「Ganador」は,被服の模様としての英文字が描かれているにすぎず,英大文字と英小文字との相互の変換使用が社会通念上同一であると認められているとしても,これは模様であるから,商品の出所を示す商標としての使用には該当しない。 また,このTシャツが,商標権者あるいは使用権者の商品であると示されていないばかりでなく,本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に存在していたとの証明もない。 さらに,乙第2号証を検討するに,これは納品書伝票であると認められても,その納品日(作成日)は平成26年9月11日であるから,要証期間内に本件商標が使用されていたことを立証するものではない。しかも,この納品書に表示されている「(株)マーキングハウス」あるいは「(有)gol japan」のいずれかが商標権者あるいは使用権者であるとも示されていない。 したがって,本件商標がTシャツに使用されているとの答弁は理由がないといわざるを得ない。 (2)商品「パーカー」に係る使用について まず,本件商標の使用者につき,要証期間内に,当時,商標権者であった芦澤氏自身によって使用されたのか,使用権者によって使用されたのかが明らかではない。 また,「gol.OFFICIAL ONLINE STORE」と題したウェブサイト(乙6)についても,これが要証期間内に公開されていたのか否かも明らかではない。しかも,このウェブサイト自体の運営者も明らかではない。 受注管理データのプリント(乙7)については,商品コード「G392-442」の商品名「Ganadorパーカー」が,「2012/12/12 18:19」の日時で発送されたこととして示され,販売されたとしても,要証期間内において継続して販売使用されていたか否かは明らかではない。すなわち,この1回限りの販売であれば形式的な使用であるといわざるを得ない。 第3 被請求人の主張 1 答弁の趣旨 被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出している(なお,平成27年11月9付け上申書に添付された証拠方法AないしDについては,それぞれ,乙第4号証ないし乙第7号証と読み替えた。)。 2 答弁の理由 (1)商品「Tシャツ」に係る使用について 2014春夏シーズンから本件商標にてTシャツを作っている。 乙第1号証は,本件商標を使用した商品「Tシャツ」の写真である。 乙第2号証は,本件商標を使用した商品「Tシャツ」の納品伝票である。 乙第3号証は,本件商標を使用した商品「Tシャツ」のホームページでの販売画像である。 (2)商品「パーカー」に係る使用について 乙第1号証の写真の撮影日を確定できる資料が残っていないので,新たに別の商品「パーカー」(G392-442番)で本件商標の使用を証明する。乙第4号証は,当該パーカーの写真であり,撮影日は2012年11月1日,撮影場所は被請求人の住所,撮影者は被請求人代表者である。 乙第6号証は,本件商標を使用した当該パーカーのホームページでの販売画像であり,乙第7号証は,当該パーカーが販売されたことを証明する書類である。 乙第5号証は,被請求人の登記簿謄本である。これにより,被請求人代表者と「有限会社gol japan」等との関係を証明する。 第4 当審の判断 被請求人提出の証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。 1 商品「Tシャツ」に係る使用について (1)乙第1号証について 乙第1号証は,「本件商標を使用した商品『Tシャツ』の写真」とのことであるが,当該写真には,胸の部分に「Ganador」の標章(以下「使用標章」という。)が印刷されている商品「Tシャツ」が掲載されていることが確認できるものの,当該写真の撮影日時,撮影場所及び撮影者は不明である。 (2)乙第2号証について ア 乙第2号証は,「本件商標を使用した商品『Tシャツ』の納品伝票」とのことであるが,当該納品伝票の日付は「26年9月11日」であるから,これは要証期間内に使用されたものとは認められない。 イ 当該納品伝票の品名欄に記載されている表示からは,いずれの品名が商品「Tシャツ」に係るものなのか定かではなく,また,品名欄に記載の「全胸マーク DCS-白・黄」との表示の下にある「Gonador」の文字は,本件商標とは異なる。 (3)乙第3号証について ア 乙第3号証は,「本件商標を付した商品『Tシャツ』のホームページでの販売画像」とのことであるが,当該画像には,胸の部分に使用標章が印刷されている商品「Tシャツ」の写真が掲載され,また,下部右隅には「Copyright (c) 2008-2014 gol japan」)」(「(c)」は丸付きの「c」である。)の記載がされていることが認められるものの,通常,この種のホームページの印刷において認められるURLの表示及び印刷日付がないことからすると,当該画像だけでは,要証期間内において,これが実際にインターネット上で公開されていたとまでは直ちに認めることはできない。 イ なお,当該画像に掲載されている使用標章が印刷された商品「Tシャツ」の写真は,商品をハンガーなどでつり下げられたような状態で,袖は下がり,裾は波打っている状態で掲載されているが,当該画像に掲載されている他の商品「Tシャツ」の写真は,袖や裾を伸ばしてデザインや柄が明確な状態で掲載されていることから,これらのものとは明らかに異なる体裁で掲載されており,不自然な印象を与える。 (4)判断 上記(1)及び(3)よれば,商品「Tシャツ」の胸の部分に付された使用標章は,本件商標と,そのつづりを共通にするから,社会通念上同一の商標と認められ,かつ,商品「Tシャツ」が本件審判請求に係る指定商品「被服(「和服」を除く。)」に含まれるものと認められるが,当該商品が掲載された写真(乙1)及びホームページ(乙3)がそれぞれ要証期間内に撮影及び掲載されたかは明かではない。また,上記(2)によれば,「本件商標を使用した商品『Tシャツ』の納品伝票」(乙2)も明らかに要証期間内の使用とは認められない。 また,被請求人は,商品「Tシャツ」による本件商標の使用の立証を断念し,新たに後述の商品「パーカー」により立証する旨述べている。 したがって,乙第1号証ないし乙第3号証によっては,要証期間内に,日本国内において本件商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件審判の請求に係る指定商品について,商標法第2条第3項各号に該当する行為を行ったことを立証したとは認められない。 2 商品「パーカー」係る使用について (1)乙第4号証について 乙第4号証は,「商品『パーカー』の写真の撮影日記載の書類」とのことである。当該書類に掲載された写真には,胸の部分に使用標章が印刷されている商品「パーカー」が掲載されていることが確認できるものの,当該書類には,Macパソコンのプレビュー(アプリケーション)にて,商品「パーカー」を撮影したデジタル写真の画像(ファイル名は「IMG_74042.jpg」)を表示した大きな画面と,その右横に,TIFFファイル形式の画像データの情報表示と思われる「日時 2012/11/01 16:12:40」との記載がある小さな画面とが同時に表示されているが,両者のファイル形式は,前者がファイル名の拡張子からJPEGファイルと解されるのに対し,後者はTIFFファイルと解され,ファイル形式が一致しない。 (2)乙第6号証について 乙第6号証は,「ホームページでの掲載時期を立証する書類」とのことである。当該書類に表されたホームページの写しには,日付らしき表示は一切なく,また,当該ホームページのURLの表示もない。 当該ホームページの上部には「gol. OFFICIAL ONLINE STORE」及び下部には「(C)gran zurdo ALL RIGHTS RESERVED」との表示があるが,当該ホームページの管理・運営者が誰であるのか,当該者と本件商標権者(当時は,芦澤貴之)との関係については,何ら具体的に主張しておらず,かつ,本件商標権者との関係を裏付ける証拠の提出もない。 (3)乙第7号証について 乙第7号証は,「商品『パーカー』が販売されたことを立証する書類」とのことである。当該書類に表された受注管理画面プリントの写し(乙7)には,その画面のタイトル部に「受注履歴編集」の記載が,受注日の欄には「2012/12/10 11:54」の記載及び受注商品情報欄には商品コード及び商品名「Ganador パーカー」の記載がある。 しかしながら,提出された受注管理画面からは,本件商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれの使用に係るものなのか明らかではなく,しかも,当該受注管理画面は,その画面作成者に係る内部資料にすぎない。また,受注管理(受注履歴編集)画面であることから,受注履歴として画面上に表示されている項目の編集(修正)・登録も自由にできる機能を有する画面であると解され,当該受注管理画面によっては,商品「Ganador パーカー」の注文を,受注日(2012年12月10日)に受けたとする事実を客観的に裏付けるものとまではいえない。 (4)乙第5号証について 乙第5号証は,被請求人(商標権者)の履歴事項全部証明書である。これによれば,商標権者は,平成27年1月5日,「有限会社gol japan」を商号変更し,移行したことにより設立された会社であって,代表者は「芦澤貴之」であることが認められる。 (5)平成28年9月29日付け審尋 審判長は,上記(1)ないし(3)の点について,釈明するよう相当の期間を定めて審尋した。 これに対し被請求人は,何ら釈明することはなかった。 (6)判断 ア 乙第4号証によれば,商品「パーカー」の胸の部分に付された使用標章は,本件商標と,そのつづりを共通にするから,社会通念上同一の商標と認められ,かつ,商品「パーカー」が本件審判請求に係る指定商品「被服(「和服」を除く。)」に含まれるものと認められるが,乙第4号証に表された2つの画面のファイル形式が一致しないから,商品「パーカー」を撮影したデジタル写真の撮影日が2012年11月1日であると認められない。 イ 乙第6号証に表されたホームページの写しには,日付らしき表示は一切なく,また,当該ホームページのURLの表示もないことから,要証期間内にインターネット上で実際に公開されていたとまでは直ちに認めることはできない。なお,商品「パーカー」に係る写真(乙4)の撮影日が,被請求人の主張どおり,2012年11月1日であることが認められたとしても,そのことから直ちに要証期間内に当該ホームページがインターネット上で実際に公開されていたとはいえず,また,商品「パーカー」の販売を立証するとして提出された受注管理(受注履歴編集)画面プリントの写し(乙7)については,これが受注履歴の編集(修正)・登録ができる機能を有する画面であって,内部資料にすぎないことを踏まえれば,これだけでは商品の受発注があったことを客観的に裏付ける証拠とまではいえず,結局,これら提出に係る証拠を合わせても,当該ホームページが,要証期間内にインターネット上で実際に公開されていたと客観的に認めることができない。 ウ 小括 以上よりすると,乙第4号証ないし乙第7号証によっては,要証期間内に,日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品「パーカー」ついて,商標法第2条第3項各号に該当する行為を行ったことを立証したとは認められない。 3 まとめ 以上のとおりであるから,被請求人は,要証期間内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品について,本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。また,被請求人は,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって,本件商標は,その指定商品中「被服(「和服」を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具・げた・草履類」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴」について,商標法第50条の規定により,その登録を取り消すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-01-26 |
結審通知日 | 2017-01-30 |
審決日 | 2017-02-10 |
出願番号 | 商願2008-85406(T2008-85406) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(X25)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石戸 拓郎、金子 尚人 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
田村 正明 田中 幸一 |
登録日 | 2009-05-15 |
登録番号 | 商標登録第5229646号(T5229646) |
商標の称呼 | ガナドール、ガナドアー、ガナダー |
代理人 | 原田 寛 |
代理人 | 中村 政美 |