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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09
管理番号 1327126 
審判番号 取消2015-300619 
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-08-24 
確定日 2017-03-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第1908122号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1908122号商標(以下「本件商標」という。)は,「GRANDE」の欧文字を横書きしてなり,昭和57年10月27日に登録出願,第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,昭和61年10月28日に設定登録され,その後,指定商品については,平成18年12月13日,第9類「眼鏡」及び第14類「時計」に書換登録されたものである。
本件審判の請求の登録(予告登録)は,平成27年9月4日である。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品中,第9類「眼鏡」についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 通常使用権者について
(1)契約締結日の立証の必要性について
商標法第50条第2項では,審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者が審判請求に係る指定商品について登録商標の使用をしていることを被請求人が立証しなければならないとされているわけであるから,審判請求の登録前3年以内という要証期間内に,登録商標を使用していたということに加えて,登録商標を使用していた者が通常使用権者であったということを商標権者が立証しなければならないとされている。
そして,要証期間内に通常使用権者であったことを商標権者が立証するに際しては,登録商標を使用している第三者と商標権者との間で,後日,いかようにも,契約が成立していたかのように装って,当該第三者が通常使用権者であったかのようにすることは可能である。すなわち,契約書の日付をさかのぼって作成することで,登録商標を使用している第三者を通常使用権者であると,後日装うことは可能である。
よって,要証期間内に通常使用権者であったことを立証するには,当事者のみによって作成された契約書を提示するだけでは不十分であり,少なくとも確定日付が付された契約書を提示するなどして,要証期間内に契約されたものであることを客観的に立証しなければならない。
(2)セイコーオプティカルプロダクツ株式会社(以下「セイコーOP」という。)が通常使用権者であるか否かについて
被請求人は,商標使用許諾契約書(乙7。以下「本件使用許諾書1」という。)が,実際に,2014年1月31日に契約されたものであることを客観的に示す証拠を提示していない。
セイコーOPが,本件商標権者によって出資されてできた会社なのであれば,本件審判が請求された後に,本件使用許諾書1をさかのぼって作成することは極めて容易であり,本件使用許諾書1の信憑性を完全に払拭することができない。
実際,本件使用許諾書1の第1条においても,許諾期間をさかのぼって契約していることから,本件使用許諾書1が,本件審判請求後に,さかのぼって作成された契約書であるとの疑念を払拭することができない。
よって,本件使用許諾書1だけでは,セイコーOPが,本件審判の請求の登録前3年以内(以下「本件要証期間内」という。)に契約された本件商標の通常使用権者であるということはできない。
(3)株式会社メガネの和光(以下「メガネの和光」という。)が通常使用権者であるか否かについて
被請求人は,商標使用許諾契約書(乙4。以下「本件使用許諾書2」という。)が,実際に,2014年1月31日に契約されたものであることを客観的に示す証拠を提示していない。
実際,本件使用許諾書2の第1条においても,許諾期間をさかのぼって契約していることから,本件使用許諾書2が,本件審判請求後に,さかのぼって作成された契約書であるとの疑念を払拭することができない。
よって,本件使用許諾書2だけでは,メガネの和光が,本件要証期間内に契約された本件商標の通常使用権者であるということはできない。
2 使用行為について
(1)セイコーOPによる使用行為について
ア 乙第1及び2号証(枝番含む。)について
乙第1及び2号証(枝番含む。)は,セイコーOPがメガネの和光に対して発行したとされる納品書及び納品の際に使用される袋であるが,当該納品書及び袋(乙1,2)が,実際に,メガネの和光に渡され,メガネの和光が受領したことを示す証拠は,被請求人からは一切提出されていない。
このような納品書及び袋は,後日,いかようにでも発行することができるわけであるから,少なくとも,被請求人は,当該納品書及び袋(乙1,2)が,実際にメガネの和光に納品されて,メガネの和光が受領したことを示す証拠を提出すべきである。
このように,セイコーOPがメガネの和光向けに本件商標を使用した取引書類を発行したかのように,当該納品書及び袋(乙1,2)を本審判請求の後に,作成したかとの疑念を払拭することができない以上,これらの証拠によって,セイコーOPが,本件要証期間内に,本件商標を使用したとの立証とはならない。
イ 乙第3,8及び9号証について
被請求人は,乙第3及び9号証に示す各レンズガイドは,乙第8号証に示す「SEIKO/LENS/GUIDE BOOK」(以下「レンズガイドブック」という。)の一部である旨を主張しているが,レンズガイドブックは,リング式の冊子であり,後日,いかようにでも,とじられている書類を差し替えることが可能である。
しかも,レンズガイドブックについては,発行年月日が一切記載されておらず,本件要証期間内に,使用されていた書類であるか否かさえ確認することができない。
よって,乙第3,8及び9号証によって,セイコーOPが,本件要証期間内に,本件商標を使用したとの立証とはならない。
ウ 小括
したがって,仮に,セイコーOPが,通常使用権者であったとしても,乙第1及び2号証(枝番含む。)並びに乙第3,8及び9号証によっては,本件要証期間内に,本件商標が使用されていたとの立証とはならない。
(2)メガネの和光による使用行為について
ア 乙第5号証と乙第10号証との関係について
被請求人は,乙第10号証に示す「メガネの和光情報発信ブログ」の2014年6月の記事における「和光デスクトップグラス-ミッドアクティ」のリンク先が,乙第5号証であることを示すことで,乙第5号証が,本件要証期間内に,インターネット上で公開されたことの立証を試みているが,そもそも,乙第10号証の2014年6月のブログの記事においては,「グランデ」の文字は,一切存在しない。
仮に,乙第10号証が,公開後,一切改ざんされることがなかった記事であったとしたら,乙第10号証のリンク先であるところの「和光デスクトップグラス-ミッドアクティ」のURL(http://www.megane-no-wako.cojp/commodity/lens/desktop-ma.html)も,改ざんされていないということになるが,リンク先のURLの中身を本件審判請求後に改ざんして,あたかも本件商標を使用しているかのように装うことは可能である。
実際,ウェブサイトの制作においては,表示させたいウェブページへの被リンクが存在することを考慮して,URLを同一のままにして,ウェブページの内容を変更することは,日常的に行われていることである。
したがって,乙第10号証を示したところで,乙第5号証であるところのURL(http://www.megane-no-wako.co.jp/commodity/lens/desktop-ma.html)が,本件要証期間内にインターネット上に公開されたことの立証とはならない。
イ 使用態様について
乙第5号証においては,「ミッドアクティグランデII 1.6」(審決注:「II」はローマ数字の2を表す。以下同じ。)又は「ミッドアクティグランデ」との態様で使用されており,「ミッドアクティ」と「グランデ」とは,必ず一体として使用されている。
「II 1.6」については,品番等の品質表示であると考えられるが,「ミッドアクティ」については,ブランド名であって品質表示ではなく,特段,「ミッドアクティ」が著名なブランドであるとの事情も存在しないので,乙第5号証においては,「ミッドアクティグランデ」との一連の態様で商標が使用されているというほかない。
なお,「ミッドアクティ」と「グランデ」との間に,若干スペース表示が存在するため,「ミッドアクティ」と「グランデ」とは,分離して認識されるとの反論が予想されるところではあるが,当該スペースは,非常に狭く,「グランデ」のみで商標が使用されていると取引者及び需要者が認識することはできない。
ウ 小括
乙第5号証が本件要証期間内にインターネット上に公開されたことにつき,被請求人による立証は失当であり,乙第5号証が本件要証期間内に使用されていたということはできない。
乙第5号証における使用態様では,「ミッドアクティグランデ」との一連の態様で商標が使用されているだけであり,本件商標と社会通念上同一の商標が乙第5号証において使用されているということはできない。
3 商標の同一性について
被請求人は,セイコーOPが使用している商品名「グランデ」について,本件商標「GRANDE」と社会通念上同一の商標の使用であると主張しているが,失当である。
なぜなら,「GRANDE」は,日本人にとってなじみの少ないスペイン語であるため,日本人が,「グランデ」という片仮名表記を見た場合,一意的に,「GRANDE」のつづりを想起するとは限らないからである。例えば,ローマ字読みにとらえて「GURANDE」という表記であると理解する場合もあり,また,「ラ」の部分が「RA」であると理解するとは必ずしもいえないので,「LA」と理解して,「GLANDE」や「GULANDE」などと理解する場合もある。
よって,片仮名とアルファベットとが一意に対応しない以上,「グランデ」は,本件商標「GRANDE」と社会通念上同一の商標の使用であるとはならない。
4 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者によって,その登録に係る指定商品のうち,第9類「眼鏡」については,本件要証期間内に,日本国内において,使用されている事実がない。
したがって,本件商標は,商標法第50条第1項の規定により,前記商品についての登録を取り消されるべきものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 通常使用権者について
(1)被請求人の名称変更の事実
被請求人は,平成19年(2007年)7月1日をもって,セイコー株式会社から,現在の名称であるセイコーホールディングス株式会社に商号を変更した(乙15)。
よって,その商号変更がなされた後の商標使用許諾契約書等(乙7,12)においては,当然に,この変更後の商号を使用している。
他方,本件商標に関しては,平成27年(2015年)10月6日付けで,登録名義人の表示変更の申請を行っている。
このように,本件商標について,登録名義人の表示変更の申請が遅れたのは,被請求人は,1000件を超える商標権を保有している事情があり,更新時や商標権侵害に対する権利行使時など適宜,上記登録名義人の表示変更申請の手続を取っていることにより生じたためであって,かかる申請手続の遅れと,被請求人が本件商標を使用している事実とは,何らの法的関連性もなく,齟齬もない。
(2)セイコーOPが通常使用権者であること
セイコーOPは,本件商標権者が,HOYA株式会社とともに出資する事業会社であるところ,本件使用許諾書1(乙7)は,本件商標権者とセイコーOPとの間で締結された,2014年1月31日付け本件商標権に係る商標使用許諾契約書(写し)である。同契約は,2013年12月1日から2016年11月30日までの本件商標の使用を許諾するものであり,同期間は,本件要証期間内に入る(重なる)ものである。
この両者間による本件商標の使用許諾は,2001年より締結されており,上記契約は,その更新に係るものである。そこで,上記契約の直前の2010年12月1日付け両者間の商標使用許諾契約書(写し)(乙12)を提出する。この契約では,2010年12月1日から2013年11月30日までの本件商標の使用を許諾している。
このように,本件商標の使用許諾は,両者間で継続しているものであり,加えて,両者は関連会社間であるので,本件使用許諾書1の更新は,当然の前提として,口頭で合意し,たまたま契約書作成日が1か月程度遅れたものである。
このように,口頭で合意し,契約関係自体は成立しているにもかかわらず,押印等の都合上,後日契約書を作成し,作成期日以前に契約日を遡らせることはごく一般的なものである。
なお,請求人は,「確定日付が付された契約書を提示する」などと主張するが,種々契約書に,確定日付をとるなどという慣行は,我が国では一般的ではなく,請求人の主張は,契約実務を理解しないものである。
したがって,セイコーOPが,本件商標について,本件商標権者から使用許諾を受けて使用していたことに誤りはなく,請求人の主張は理由がない。
(3)メガネの和光が通常使用権者であること
メガネの和光が本件商標の使用権者でないとなれば,本件商標権者は本件商標権の侵害行為として,その使用を差し止めることになるはずであるが,本件商標権者はそのような差止行為を何らとっておらず,他方,メガネの和光は,商標「グランデII 1.6」の「レンズ」への使用を継続しており,かかる事実からも,本件商標権者がメガネの和光に対して,本件商標の使用について許諾を与えていることは明らかである。
加えて,本件使用許諾書1の第7条は,「乙(すなわち,セイコーOP)は,甲(すなわち,本件商標権者)の指示に基づき,丙(すなわち,メガネの和光)と本商標に関する再許諾契約を締結する」と規定しており,よって,同条による本件商標権者の授権の下で,セイコーOPは,メガネの和光に対して,本件商標の使用許諾を行っており,本件使用許諾書2はそれを定めたものである。
このように,本件商標権者は,セイコーOPとメガネの和光との契約を介して,メガネの和光に対し本件商標について使用許諾を与えている。よって,メガネの和光は,本件商標の通常使用権者である。
2 使用行為について
(1)セイコーOPによる使用行為について
本件商標の通常使用権者であるセイコーOPは,以下のとおり,本件商標を本件審判請求に係る商品「眼鏡」に含まれる「レンズ」に使用している。
ア 乙第1及び2号証について
(ア)乙第1号証の1及び2は,セイコーOPが使用した納品書(受注日:2015年7月1日,出荷日:同年7月6日)の写し及び当該納品書に係る商品「レンズ」を納品する際に使用したレンズの袋の写しである。
乙第2号証の1及び2も,セイコーOPが使用した他の納品書(受注日:2015年7月6日,出荷日:同年7月8日)の写し及び当該納品書に係る商品「レンズ」を納品する際に使用したレンズの袋の写しである。
上記各納品書の右下には,「セイコーオプティカルプロダクツ株式会社」と表示されており,同納品書の発行者がセイコーOPであることが明らかである。
また,上記各レンズの袋には,「製造販売元 セイコーオプティカルプロダクツ株式会社」と表示されており,当該レンズが,セイコーOPによって製造・販売されていることが明らかである。
(イ)使用に係る商標及び商品
a 納品書(乙1の1,2の1)には,「販売名 Product name」として,それぞれ,「グランデ 2 160」,「グランデ 2 167」と表示されている。
b また,この「販売名 Product name」の隣に表示された「R」及び「L」は,商品「レンズ」のそれぞれ右及び左を指していることは明らかであり,また,それぞれのレンズの具体的な度数も「度数 Power」として,当該「販売名 Product name」の下に表示されており,当該商品が,「眼鏡のレンズ」であることも明らかである。
c 同納品書の右上には,「レンズ仕様 Descriptions」の欄も設けられており,「お客様のレンズが下記仕様であることを証明します。」との説明があり,そこにも,「商品名:グランデ 2 160」,「商品名:グランデ 2 167」の記載がある。
d また,レンズの納品袋(乙1の2,2の2)にも同様に,「販売名 Items」として,「グランデ 2 160」,「グランデ 2 167」と表示されており,このような記載から,商標「グランデ」が使用されていると容易に認識できるものである。
なお,「160」や「167」の数字は,当該レンズ素材の屈折率を表した付記的な数字である。
e 特許庁の類似商品及び役務審査基準において,本件審判請求に係る商品「眼鏡」の概念には,「眼鏡の部品及び附属品」が入り,さらにその中に「レンズ」が含まれていることが例示されている。
以上のとおり,本件商標は,本件審判請求に係る商品「眼鏡」の概念に含まれている「レンズ」に使用されていることは明らかである。
(ウ)使用時期
納品書(乙1の1)には,「受注日:2015年7月1日,出荷日:2015年7月6日」と明記されており,また,納品書(乙2の1)には,「受注日:2015年7月6日,出荷日:2015年7月8日」と明記されており,当該納品対象の商品「レンズ」が上記各時期に受注され,出荷されたことが明らかである。
これらの取引書類は,すべて,本件要証期間内に使用されていることは明らかである。
(エ)なお,これらの取引書類は,「(株)メガネの和光」宛てである。
上記レンズの納品書と納品袋は,一体的に作られており,すなわち,一枚紙として納品書の下に,レンズの納品袋が取り付けられており,かつ,同納品書とレンズの納品袋との間には切取り線が設けられ,納品先では,これら書面とレンズが分離できるようになっている。よって,当然のことながら,各納品書とレンズの納品袋の受注No.は,同じ番号が付されている。
(オ)以上のとおり,これらの取引書類(書証)をもって,本件商標権の通常使用権者であるセイコーOPから,メガネの和光に,商標「グランデ 2 167」及び「グランデ 2 160」が使用されたレンズが,本件要証期間内に納品され,同レンズの売買契約が成立していることは明らかであり,当該取引は十分に立証されている。
(カ)請求人の主張について
請求人は,「納品書及び袋(乙1,2)が,実際に,メガネの和光に渡され,メガネの和光が受領したことを示す証拠は,被請求人からは一切提出されていない。」及び「後日,このような納品書及び袋は,いかようにでも発行することができるわけであるから,少なくとも,被請求人は,当該納品書及び袋が,実際にメガネの和光に納品されて,メガネの和光が受領したことを示す証拠を提出すべきである。」と主張する。
まず,被請求人及びセイコーOPと,メガネの和光とは,取引関係があるのみであり,何ら資本関係はなく,無関係の会社間であり,上記納品書及び袋を,「後日いかようにでも発行させることができる」というような関係にあるものではない。
さらに,この取引は,メガネの和光から実際に注文があったからこそなされたものであるが,過去1年以上前の取引であり,その注文書等の電子データは既に存在しないが,競業レンズメーカーで共通のレンズ発注システムを通じて受注がなされており,被請求人及びセイコーOPの端末には,当時の受注内容を確認する記録が残されている。乙第13号証は,セイコーOPの担当職員のパソコン上において,その受注記録を印刷したものである。同号証中の上の受注記録は,乙第2号証の納品書に対応するものであり,下の受注記録は,乙第1号証の納品書に対応するものである。かかる受注に応じて,本件商標が使用されたレンズが製造され,その納品書とともに,これらレンズが納品袋に入れられ,本件要証期間内に,注文者に納品されたことは明らかというべきである。
以上のとおり,セイコーOPとメガネの和光との間において,本件要証期間内において,本件商標が使用されたレンズの取引(売買)があったことに相違はなく,請求人の主張には理由がない。
イ 乙第3,8及び9号証について
乙第3号証として提出した「MDグランデ 1.67」及び「MDグランデ 1.60」のレンズガイドは,「SEIKO/LENS/GUIDE BOOK」と呼ばれる加除形式のバインダー(「レンズガイドブック」)(乙8)にとじられている。レンズガイドブックには,その裏表紙に,その作成者として,セイコーOPの記載がある。
また,納品書(乙1の1,2の1)に記載のある「グランデ 2 160」及び「グランデ 2 167」(より正確には,それぞれ,グランデII 1.60,グランデII 1.67と表示される。)のレンズガイド(乙9)も存在し,当該レンズを扱う販売店,すなわち,メガネの和光では,同レンズガイドもレンズガイドブックにとじて使用する。
これらのレンズガイド及びレンズガイドブックは,それぞれのレンズの仕様・性能を詳細に説明するものであり,セイコーOPのレンズを取り扱う販売店,例えば,メガネの和光に配布され,そこで,その顧客に商品説明のために使用されるものであることは明らかである。
上記アのとおり,メガネの和光には,セイコーOPのレンズが本件要証期間内に納品されている以上,そのレンズガイド及びそれをとじたレンズガイドブックも,メガネの和光に配布され,本件要証期間内に使用されていることは容易に推認できるものである。
また,後述するようにメガネの和光によって,本件要証期間内の2014年6月10日時点において,商標「グランデII 1.6」が使用されているから,このレンズに関する上記レンズガイドもまた同時期にメガネの和光に配布され使用されていたことが明らかである。
(2)メガネの和光による使用行為について
本件商標の通常使用権者であるメガネの和光は,以下のとおり,本件商標を本件審判請求に係る商品「眼鏡」に含まれる「レンズ」に使用している。
ア メガネの和光のホームページ(http://www.megane-no-wako.co.jp/commodity/lens/desktop-ma.html)(乙5)には,「和光デスクトップグラス-ミッドアクティ(中近両用レンズ)」との記載があり,同社が,「ミッドアクティ」の商標の中近両用レンズを販売していることがわかる。さらに,同ホームページの下欄には,「内面累進設計(セイコー製)」として,「ミッドアクティ グランデII 1.6 和光オリジナル」と,「両面複合累進設計(HOYA製)」として,「ミッドアクティ ウイリッシュ 1.6 和光オリジナル」との眼鏡用レンズが紹介,広告されている。
上記記載からも明らかなように,「ミッドアクティ」のブランドの下,「セイコー製」の上記レンズについて,「グランデII 1.6」のサブ・ブランドを使用して,また,「HOYA製」のレンズについては,「ウイリツシュ 1.6」のサブ・ブランドが使用され,商品の種別が行われていることがわかる。
このように,「グランデII 1.6」が,メガネの和光に係る「眼鏡用レンズ」のサブ・ブランド,つまり,商品商標として,使用されていることは明らかである。なお,「1.6」の数字は,レンズの屈折率を表示する記号であり,「II」は,商品の型番・品番の表示と容易に認識でき,当該商標(の要部)が,「グランデ」であることも容易に認識でき,言い換えれば,商標「グランデ」が使用されていることは明らかである。
なお,被請求人は,「インターネットアーカイブ」と称される第三者のソフトウェアを使用して,上記メガネの和光のウェブページの改定事実を確認した。本件要証期間内の2013年6月22日に,すでに,乙第5号証と実質同一(その左欄に掲示の広告リンク先などが若干異なるもの)であり,本件商標と実質同一の「グランデII」を使用したその中近両用レンズの広告ページが存在していたことが確認・証明できる(乙14の1)。また,乙第5号証と同一のページが,本件要証期間内の2015年5月4日に存在したことも確認でき(乙14の2)。このように,第三者の提供する「インターネットアーカイブ」のソフトウェアを利用して確かめても,乙第5号証として提出したメガネの和光のウェブサイト上のページが,本件要証期間内に存在したことは明らかというべきである。
以上のとおり,メガネの和光によってもまた,本件商標と社会通念上同一商標である商標「グランデ」が,商品「眼鏡用レンズ」について,少なくとも,本件要証期間内に,その商品の販売によって,使用されてきていることは明らかである。
イ 請求人の主張について
請求人は,「実際,ウェブサイトの制作においては,表示させたいページへの被リンクが存在することを考慮して,URLを同一のままにして,ページの内容を変更することは,日常的に行われていることである。」及び「したがって,乙第10号証を示したところで,乙第5号証であるところのURL(略)が,本件要証期間内にインターネット上に公開されたことの立証とはならない。」と主張する。
しかしながら,メガネの和光と,被請求人及びセイコーOPとは,本件商標の使用について使用許諾契約はあるものの,資本関係等は無関係の法人であり,そのような被請求人と全く関係のない法人が,その者自身のウェブサイトにおいて,そのアーカイブとして現在も保存し,かつ,広く公開しているページを,被請求人の指示等によって改ざんすることなどあり得ないというべきである。
請求人の上記主張は,あらゆる文書について,改ざんの可能性を指摘するのみであって,被請求人の提出している証拠を全体に観察すれば,メガネの和光が,被請求人及びその授権を受けたセイコーOPの使用許諾の下で,本件商標を使用したレンズを,本件要証期間内に販売してきたという事実,その一貫性が明らかに認められるものであって,請求人の上記主張はいいがかりにすぎない。なお,乙第5号証として提出したメガネの和光のウェブサイト上のページが,本件要証期間内に存在したことは,上記アのとおりである。
よって,メガネの和光が,その使用許諾の下,本件商標を使用したレンズを,その販売のために,電磁的方法によって,本件要証期間内に広告してきた事実は明らかであり,請求人の主張には理由がない。
3 本件商標と使用に係る商標との同一性
本件商標「GRANDE」は,人名や地名に使われる英語であり,「グランデ」と発音され,よって,「グランデ」の片仮名で表記されている言葉である(乙6)。
このように,使用に係る商標「グランデ」は,本件商標を片仮名表記したものであり,観念及び称呼においても全く同一のものであるから,本件商標と社会通念上の同一商標であることは明らかである。
4 結語
以上のとおり,本件商標は,本件要証期間内に日本国内において,本件商標の通常使用権者によって,少なくとも本件請求に係る指定商品「眼鏡」に含まれる「レンズ」について使用され,すなわち,商品の包装に付され,そして,譲渡され(商標法第2条第3項第1号及び同項第2号)及び商品に関する広告及び取引書類に付され,展示又は頒布され(同項第8号)ている。
よって,請求人の主張には理由がない。

第4 当審の判断
1 認定事実
証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)通常使用権者について
ア 本件使用許諾書1(乙7)によれば,本件商標権者とセイコーOPとは,平成26年(2014年)1月31日,本件商標に関する商標使用許諾契約を締結したことが認められる。そして,その許諾期間は,平成25年(2013年)12月1日から平成28年(2016年)11月30日までとなっている(第1条)ことから,当該契約は,平成22年(2010年)12月1日に上記当事者間で締結された前回契約(乙12。許諾期間は,契約締結日から3年間。)の継続契約に当たるものと認められる。
本件使用許諾書1には,その許諾商品について,セイコーOPがメガネの和光に対し供給する眼鏡レンズであることが記載されており(第1条),また,セイコーOPは,本件商標権者の指示に基づき,メガネの和光と本件商標に関する再許諾契約を締結する旨の記載もある(第7条)。
なお,本件商標の登録原簿の記載によれば,本件使用許諾書1の契約時である平成26年(2014年)1月31日における商標権者の名称は「セイコー株式会社」であったが,これは,本件商標権者の旧名称(「セイコー株式会社」は,平成19年7月1日に「セイコーホールディングス株式会社」に商号を変更した(乙15)。)であるから,本件使用許諾書1は,本件商標権者によるものといえる。
イ 本件使用許諾書2(乙4)によれば,メガネの和光とセイコーOPとは,平成26年(2014年)1月31日,本件商標に関する商標使用許諾契約を締結したことが認められる。当該契約は,その許諾商品及び許諾期間が本件使用許諾書1と同じであることから,本件使用許諾書1(第7条)に基づいてなされた本件商標に関する再許諾契約であると認められる。
ウ 上記ア及びイによれば,セイコーOP及びメガネの和光は,それぞれ,少なくとも平成25年(2013年)12月1日から平成28(2016年)11月30日までの間,本件審判請求に係る指定商品「眼鏡」に包含される商品「眼鏡用レンズ」につき,本件商標の通常使用権者であったと認めることができる。
(2)セイコーOPによる使用行為について
ア 証拠(乙1,13)及び被請求人の主張によれば,セイコーOPは,平成27年(2015年)7月1日,メガネの和光から,競業レンズメーカーで共通して使用するレンズ発注システムを通じて(乙13),「グランデ 2 160」と称する商品「眼鏡用レンズ(左右のレンズ各1点)」の発注を受け,同月6日,商品名(ないし販売名)欄に「グランデ 2 160」と記載した納品書(乙1の1)及び同レンズ納品袋(乙1の2)を使用して,メガネの和光に当該眼鏡用レンズを納品したものと認められる。
イ 証拠(乙2,13)及び被請求人の主張によれば,セイコーOPは,平成27年(2015年)7月6日,メガネの和光から,競業レンズメーカーで共通して使用するレンズ発注システムを通じて(乙13),「グランデ 2 167」と称する商品「眼鏡用レンズ(左右のレンズ各1点)」の発注を受け,同月8日,商品名(ないし販売名)欄に「グランデ 2 167」と記載した納品書(乙2の1)及び同レンズ納品袋(乙2の2)を使用して,メガネの和光に当該眼鏡用レンズを納品したものと認められる。
(3)メガネの和光による使用行為について
証拠(乙10,14の1)及び被請求人の主張によれば,メガネの和光は,同社のウェブページにおいて,少なくとも平成25年(2013年)6月22日時点では,「和光デスクトップグラス-ミッドアクティ(中近両用レンズ)」の見出しの下,「より快適に進歩したグランデII」との小見出しも付して,当該「ミッドアクティ」と称する商品「眼鏡用レンズ(中近両用レンズ)」について宣伝広告していたことが認められる。
2 判断
(1)上記1認定の事実によれば,〈a〉本件商標の通常使用権者と認められるセイコーOPは,本件要証期間内である平成27年(2015年)7月1日及び同月6日の両日に,メガネの和光から,競業レンズメーカーで共通して使用するレンズ発注システムを通じて,それぞれ,「グランデ 2 160」及び「グランデ 2 167」と称する商品「眼鏡用レンズ」の発注を受け,その後,同月6日及び同月8日,それぞれ,商品名(ないし販売名)欄に「グランデ 2 160」及び「グランデ 2 167」と記載した納品書(乙1の1,2の1)及び同レンズ納品袋(乙1の2,2の2)を使用して,メガネの和光に当該発注に係る商品「眼鏡用レンズ」を納品したこと,〈b〉同じく,本件商標の通常使用権者と認められるメガネの和光は,少なくとも,本件要証期間内である平成25年(2013年)6月22日に,同社のウェブページにおいて,「ミッドアクティ」と称する商品「眼鏡用レンズ(中近両用レンズ)」に属する個別商品の識別標識として標章「グランデ」を用いて,「グランデII」と称して,当該商品(眼鏡用レンズ(中近両用レンズ))を宣伝広告したことを,それぞれ認めることができる。
(2)本件商標と使用に係る商標との同一性について
本件商標は,「GRANDE」の欧文字を横書きしてなるところ,該文字は,「グランデ」と発音し,人名や地名表示にも使われる英語(乙6)と認められるが,そのような意味で使われていることが我が国で知られているとまではいえないことから,これより生じる自然な称呼は「グランデ」であるとは認められるものの,特定の観念を生じるとまではいえないものである。
他方,上記(1)における商品「眼鏡用レンズ」について使用されている商標は,「グランデ 2 160」,「グランデ 2 167」又は「グランデII」であるところ,それぞれ,後半の数字(ローマ数字を含む。)部分は,商品の規格,品番等を表示するための記号,符号を表示した部分と解されるものであるから,いずれも「グランデ」の文字部分を独立した要部とみることができる。そして,当該「グランデ」部分からは,「グランデ」の称呼が生じ,特定の観念を生じないものである。
そうすると,本件商標「GRANDE」と使用に係る商標「グランデ」とは,称呼が同一であり,いずれも特定の観念を生じないものであるところ,外観においては,書体が欧文字と片仮名とで異なるが,我が国においては,商取引上,欧文字商標を片仮名で代替的に表記することはごく一般的なことであって,かつ,片仮名で「グランデ」と表記することで観念の異同を生じさせるものでもないから,使用に係る商標「グランデ」は,本件商標とは社会通念上同一の商標と認めるのが相当である。
(3)使用に係る商品について
上記(1)で認定したセイコーOP及びメガネの和光の使用に係る商品「眼鏡用レンズ」は,眼鏡の部品に相当する商品であるから,本件審判請求に係る指定商品「眼鏡」に含まれる商品であると認められる。
(4)小括
以上によれば,本件商標の通常使用権者であるセイコーOPは,本件要証期間内に,本件審判請求に係る指定商品「眼鏡」に含まれる商品「眼鏡用レンズ」の包装(注文品を入れたレンズ納品袋)に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して(商標法第2条第3項第1号),メガネの和光にそれを納品(引き渡し)する(同項第2号)とともに,その取引書類(納品書)にも本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して,メガネの和光に頒布した(同項第8号)と認めることができる。
また,本件商標の通常使用権者であるメガネの和光は,本件要証期間内に,本件審判請求に係る指定商品「眼鏡」に含まれる商品「眼鏡用レンズ」に関する広告を内容とする情報に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して,同社のウェブページ上で提供した(商標法第2条第3項第8号)と認めることができる。
3 請求人の主張について
請求人は,本件使用契約書1及び2(乙4,7)が,2014年1月31日に実際に契約されたものであることを示す客観的な証拠はないから,これらの契約書は信憑性に欠ける旨,また,セイコーOPが発行した納品書及び袋(乙1,2)を実際にメガネの和光が受領したとする証拠はないから,当該納品書及び袋によって本件商標が使用されたことにならない旨主張する。
しかしながら,本件使用契約書1及び2の契約の経緯・事情,当該納品書及び袋(乙1,2)の記載内容と競業レンズメーカーで共通して使用するレンズ発注システムの記録内容(乙13)とが合致していること,さらに,メガネの和光が本件商標を使用して広告・宣伝している状況にも不自然な点はなく,これらの事実自体からは,被請求人において本件審判請求がされることを知って殊更に本件商標を要証期間内に使用した実績を作出したことはうかがわれない。
したがって,請求人の主張は採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件要証期間内に日本国内において,通常使用権者が,本件審判請求に係る指定商品「眼鏡」に含まれる商品「眼鏡用レンズ」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,本件審判請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-02-02 
結審通知日 2017-02-06 
審決日 2017-02-17 
出願番号 商願昭57-95073 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y09)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
小林 裕子
登録日 1986-10-28 
登録番号 商標登録第1908122号(T1908122) 
商標の称呼 グランデ、グランド 
代理人 東谷 幸浩 
復代理人 三浦 大 
代理人 ▲高▼山 嘉成 
復代理人 林 栄二 
復代理人 篠田 貴子 
代理人 正林 真之 

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