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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W24
審判 全部申立て  登録を維持 W24
審判 全部申立て  登録を維持 W24
審判 全部申立て  登録を維持 W24
管理番号 1326103 
異議申立番号 異議2016-900339 
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-10-17 
確定日 2017-03-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5869663号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5869663号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5869663号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1に示すとおりの構成よりなり,平成28年2月1日に登録出願され,第24類「織物,綿織物,化学繊維織物,合成繊維織物,交織物,化学繊維交織物,毛綿交織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」を指定商品として,同年7月7日に登録査定,同月29日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するとして本件登録異議の申立ての理由として引用する登録第4294363号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2に示すとおりの構成よりなり,平成10年6月30日に登録出願され,第24類「織物(畳べり地を除く。),メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布」及び第26類「編みレース生地,刺しゅうレース生地,テープ,リボン,房類」を指定商品として,同11年7月16日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
申立人は,本件商標が引用商標の存在下においては商標法第4条第1項第11号に該当することは明白と思料する。
(1)指定商品間の類否
本件商標の指定商品における「織物,綿織物,化学繊維織物,合成繊維織物,交織物,化学繊維交織物,毛綿交織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布」は,引用商標の指定商品における「織物(畳べり地を除く。),メリヤス生地,フェルト及び不織布」と同一又は類似の商品である。
(2)商標間の類否
本件商標と引用商標との類否をその外観,称呼及び観念の各観点から考察すれば,次のとおりである。
ア 外観について
本件商標と引用商標とを対比的観察(甲3)を行う場合には,両商標の各構成間における差異が知得,認識できる。
しかしながら,商品流通市場における商取引の経験則に基づけば,商標間の外観類似判断に当っては対比的観察よりも時と処を異にして行う離隔的観察の方がはるかに重要とされているので,本件商標と引用商標との各外観について離隔的観察を行えば,両商標はいずれも青色地の中央に大きく一際目立つように金色ないし黄茶色の鍵と鐘が写実的手法によって描かれているので,看者に強い印象を与えると共に記憶されるのは鍵と鐘の絵であり,時と処を異にして両商標の一方の商標に接する看者が他方の商標と混同する可能性は非常に大きいと推定できるから,本件商標と引用商標とが外観上類似の商標であることは明らかである。
また,本件商標と引用商標の図形部分は共通の要素を含んでおり(甲4),本件商標の構成における図形部分が,引用商標の図形部分とモチーフや構図などの軌を同じくするものであることを如実に示しているから,本件商標と引用商標とが互いに相紛らわしい外観上類似の商標であることは明らかである。
なお,「鍵」,「鐘」,「バラ」の要素で検索をしたところ,ヒットしたものは本件商標と引用商標の2件のみであり(甲5),この事実は,それらをモチーフとした構成からなる本件商標と引用商標の特異性を示しており,当該特異性も本件商標と引用商標とが外観上互いに相紛らわしい要因の一つといえる。
イ 称呼について
本件商標は文字と図形との組み合せによって構成されており,本件商標の構成における「Key Bell」の文字部分と「鍵と鐘とが写実的手法によって描かれている」図形部分はそれぞれ独立して自他商品識別機能を発揮し得るといえるので,本件商標から生ずる称呼は該文字部分から生ずる「キーベル」及び該図形部分から生ずる「カギトカネ」と認められる。
一方,引用商標も文字と図形との組み合わせによって構成されており,引用商標の構成における「ROSE KEY BELL」の文字部分と「鍵と鐘とが写実的手法によって描かれている」図形部分はそれぞれ独立して自他商品識別機能を発揮し得るといえるので,引用商標から生ずる称呼は該文字部分から生ずる「ローズキーベル」及び該図形部分から生ずる「カギトカネ」と認められる。
したがって,本件商標と引用商標とが「カギトカネ」の称呼を同じくする称呼上類似の商標であることは明らかである。
ウ 観念について
本件商標の構成における文字部分と図形部分はそれぞれ独立して自他商品識別機能を発揮し得るといえるので,本件商標から生ずる観念(意味合い)は,英語「key」と英語「bell」とがいずれも日常的に親しまれて使用されている外来語であることからして「Key Bell」の文字部分から生ずる「鍵と鐘」及び「鍵と鐘とが写実的手法によって描かれている」図形部分から生ずる「鍵と鐘」と認められ,引用商標の構成における文字部分と図形部分もそれぞれ独立して自他商品識別機能を発揮し得るといえるので,引用商標から生ずる観念(意味合い)は,英語「rose」が日常的に親しまれて使用されている外来語であることからして「ROSE KEY BELL」の文字部分から生ずる「薔薇と鍵と鐘」及び「鍵と鐘とが写実的手法によって描かれている」図形部分から生ずる「鍵と鐘」と認められる。
したがって,本件商標と引用商標とが「鍵と鐘」の観念(意味合い)を同じくする観念上類似の商標であることは明らかである。
申立人は,以上述べた理由により,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当することは明白と思料する。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人は,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当しないとしても,本件商標がその指定商品に含まれている織物の範躊に属する商品に使用されたときには,申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから,本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することは明白と思料する。
(1)引用商標の使用状況
申立人は,遅くとも平成10年6月30日から現在に至るまで引用商標を商品「織物」に使用している。
具体的には,現在,通称「ブラックガーゼ」と呼ばれている商品「黒色ガーゼ状織物」の包装に引用商標をラベルの形態にて付して中近東諸国(サウジアラビアやクウェートなど)に輸出しており,甲第11号証は当該商品を撮影した写真である。
申立人が中近東諸国に輸出している甲第11号証の写真に写っている商品「黒色ガーゼ状織物」は,仕向け地(サウジアラビアやクウェートなど)において主として婦女子のベール用に販売されており,その流通市場では商品の包装に付されているラベルの図形部分を目印として取引されている。
(2)引用商標に係る商標権者
本件商標に係る商標権者の千貫新造氏は,甲第12号証の証明書,写しに記載のとおり,申立人に昭和40年3月5日付にて入社し平成19年12月13日付けにて退職したが,引用商標の出願日である平成10年6月30日当時は,申立人における貿易部次長の職にあり,職務上,申立人が行っている商品「黒色ガーゼ状織物」の中近東諸国への輸出業務内容に通暁している人物であって,同氏は職務上,申立人が甲第11号証の写真に写っている商品「黒色ガーゼ状織物」をその包装に該写真の下方に写っている引用商標を使用したラベルを貼付して中近東諸国に輸出していたことを熟知しており,申立人が当該ラベルを使用する前には,「Key Bell」の文字部分と引用商標における図形部分のデザインとは異なる他のデザインの図形部分とからなる各種ラベルを商品「黒色ガーゼ状織物」に使用していたことも熟知していた。
(3)商品「黒色ガーゼ状織物」と商標
千貫新造氏が退職した後の平成22年9月頃,申立人が商品「黒色ガーゼ状織物」を輸出しているサウジアラビアにおいて申立人の商品「黒色ガーゼ状織物」に酷似した他人の商品「黒色ガーゼ状織物」が出回り,申立人の商品「黒色ガーゼ状織物」の流通経路に混乱が発生し,申立人は当該混乱の収拾に大変苦労したことがあり,特に,サウジアラビアやクウェートの流通市場では商品の包装に付されているラベルの図形部分を目印として商品「黒色ガーゼ状織物」が取引されているので,中近東諸国への商品「黒色ガーゼ状織物」の輸出に当っては仕向け地における商標管理に努力を重ねている。
かかる事情下において,商品「黒色ガーゼ状織物」に本件商標が使用されたときには,本件商標が使用されている他人の業務に係る商品「黒色ガーゼ状織物」と引用商標が使用されている申立人の業務に係る商品「黒色ガーゼ状織物」との間に混同が生ずるおそれがあることは明らかである。
何故なら,申立人の業務に係る商品「黒色ガーゼ状織物」の包装に引用商標をラベルの形態にて付して販売されている流通市場において,他人の業務に係る商品「黒色ガーゼ状織物」の包装に本件商標をラベルの形態にて付して販売されれば,甲第5号証中に示されているとおり,「鍵」,「鐘」,「バラ」をモチーフとして描かれている商標は特異であるため,当該両ラベルに接する取引者,需要者が「鍵」,「鐘」,「バラ」の各図形から受ける印象が非常に強いので,当該両商品間に混同が生ずる蓋然性は非常に大きいと推定できるからである。
申立人は,以上述べた理由により,本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することは明白と思料する。

第4 当審の判断
申立人は,本件商標が商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当すると主張しているので,以下,検討する。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
ア 本件商標は,別掲1のとおり,外周を細線で縁取りした赤茶色の縦長長方形の図形内部に,縁取りをした青色の縦長楕円図形を描き,当該楕円図形内上部に,「Key Bell」の欧文字を黄色の筆記体で表し,さらに,当該楕円図形の内部には,中央部に金色の「鍵」の図形を,その持ち手(頭部)を右上にして斜めに大きく描き,その鍵の持ち手に接する下部に,金色で大きな「鐘」とそれより小さな2個の「鐘」を配置し,その鍵及び鐘の図形の周囲には,ピンク色の「バラの花」を計5個配してなるものである。
本件商標は,その図形部分において,上記のとおり,「鍵」,「鐘」及び「バラの花」の図形を,長方形及び楕円図形の中に,まとまりよく配置してなるため,視覚上,一体的に認識,把握され,上記図形要素を組み合わせてなる結合商標として,自他商品の識別標識としての機能を有するものである。
そして,本件商標の構成中,「Key Bell」の文字部分は,我が国で親しまれた英語を組み合わせてなるものの,全体としては親しまれた特定の意味を有しない造語であるとみるのが相当であり,図形部分とは直接的な観念上のつながりはなく,構成上,図形部分の内側に配置されているが,図形内側の「鍵」,「鐘」及び「バラの花」の図形要素とは離れて配置されていることから,必ずしも不可分一体に描かれているものでもない。そのため,本件商標に接する需要者,取引者は,上部に顕著に書された当該文字部分をもって取引にあたる場合も少なくないといえる。
したがって,本件商標の出所識別標識としての機能を有する要部は,上記の結合商標としてまとまりをもった図形部分,及び「Key Bell」の文字部分である。
イ 本件商標の図形部分は,上記アのとおり,「鍵」,「鐘」及び「バラの花」及びその他の図形要素を一体的に描いてなる結合商標であるところ,これらの要素を組み合わせた図形全体としては,特定の称呼及び観念が生じるものとはいえない。
ウ 本件商標は,「Key Bell」の文字部分の構成文字に相応して,「キーベル」の称呼が生じるものであり,当該文字部分は,上記アのとおり,特定の観念は生じないというべきである。
(2)引用商標について
ア 引用商標は,別掲2のとおり,外周を輪郭で囲んだ黄色の縦長長方形の内部に,青色の小判型の縦長楕円図形を描き,当該楕円図形内上部に,「ROSE KEY BELL」の欧文字を黄色の筆記体で表し,さらに,当該楕円図形の内部には,中央部に「鍵」の図形を,その持ち手(頭部)を左上にして斜めに大きく描き,その鍵の図形の背後に重なるように,金色で大きな「鐘」とそれよりわずかに小さい「鐘」を,ピンク色の蝶型のリボンで繋いで配置し,その「鍵」及び「鐘」の図形の下部の周囲を飾るように,緑色の葉を持つ赤及びピンク色の「バラの花」を計7個配し,さらに長方形図形の底部に「KYOTO NISHIKAWA CO.,LTD」の文字を,その右側には「MADE IN JAPAN」の文字を表してなるものである。
引用商標は,その図形部分において,上記のとおり,「鍵」,「鐘」及び「バラの花」の図形を,長方形及び楕円図形の中に,まとまりよく配置してなるため,視覚上,一体的に認識,把握され,上記図形要素を組み合わせてなる結合商標として,自他商品の識別標識としての機能を有するものである。
そして,引用商標の構成中「ROSE KEY BELL」の文字部分は,我が国で親しまれた英語を組み合わせてなるものの,全体としては特定の意味合いを有しない造語であるとみるのが相当であり,「KYOTO NISHIKAWA CO.,LTD」の文字部分は,会社名を欧文字表記したものと看取され,「MADE IN JAPAN」の文字部分は,製品が日本製であることを示す表記であり,自他商品の識別標識標識としての機能を有しないものである。そして,いずれの文字部分も,相互に比較的離れて配置されており,文字部分相互又は図形部分とは,観念上の直接的なつながりも有さないことからすれば,それぞれの文字部分は,視覚上及び観念上も分離して認識されるものである。そうすると,引用商標に接する需要者,取引者は,自他商品の識別標識としての機能を有さない「MADE IN JAPAN」の文字部分を除き,「ROSE KEY BELL」の及び「KYOTO NISHIKAWA CO.,LTD」文字部分から,出所識別標識としての印象を強く受けるということができる。
したがって,引用商標の出所識別標識としての機能を有する要部は,上記の結合商標としてまとまりをもった図形部分,並びに「ROSE KEY BELL」及び「KYOTO NISHIKAWA CO.,LTD」の文字部分である。
イ 引用商標の図形部分は,上記アのとおり,「鍵」,「鐘」,「バラの花」及びその他の図形要素を一体的に描いてなる結合商標であるところ,これらの要素を組み合わせた図形全体としては,特定の称呼及び観念が生じるものとはいえない。
ウ 引用商標の「ROSE KEY BELL」の文字部分は,その構成文字に相応して「ローズキーベル」の称呼が生じるものであり,当該文字部分は,上記アのとおり,特定の観念は生じないというべきである。
エ 引用商標の「KYOTO NISHIKAWA CO.,LTD」の文字部分は,上記アのとおり,会社名を欧文字表記したものと看取されるため,「キョートニシカワコーポレーションリミテッド」又は「キョートニシカワ」と称呼されるが,特定の観念は生じない。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 外観の比較
本件商標と引用商標の図形部分を比較すると,本件商標の構成中の縦長長方形は赤茶色で,引用商標のそれは黄色で描かれているものであり,また,内部の図形要素も,本件商標は中央に「鍵」と「鐘」の図形を並べているのに対し,引用商標は「鍵」の図形を前面にし,その背後にやや大きな「鐘」の図形に重ねて一体的に表していることから,一見して印象が大きく異なっている。さらに,本件商標では比較的大きな「バラの花」が5個あるため比較的目につきやすいのに対し,引用商標では小さい「バラの花」が7個あるが,装飾的に描かれているとの印象を与え,比較的印象に残りにくいため,本件商標の方がバラの花の印象を強く残すことになるなど,図形要素の配置やバランスから生じる印象も異なる。その細部についても,中央に配された「鍵」の図形の向きが互いに左右反対方向に配置されており,描かれている「鐘」の数が本件商標では大1個,小2個であるのに対して,引用商標のそれは大中2個であり,また,本件商標には引用商標に描かれているピンクの蝶型のリボンが描かれておらず,「バラの花」も数や大きさだけでなく,色彩の印象も異なる。そのため,両商標は「鍵」,「鐘」及び「バラの花」という図形要素が共通するとしても,全体の色彩や配置,バランスなどから生じる印象は異なるものであり,細部も相当程度差異があるため,両商標は,時と所を異にして観察するとしても,異なる商標であると看取されるというのが相当であり,外観において類似するということはできない。
本件商標の「Key Bell」の文字部分と引用商標の「ROSE KEY BELL」の文字部分の外観を比較すると,語頭における「ROSE」の語の有無により,異なる語を表記したものと容易に認識できるため,外観において類似するものではない。
また,上記以外の本件商標の図形部分と引用商標の文字部分,本件商標の文字部分と引用商標の図形部分については,それぞれの外観においていずれも共通する部分がなく,明らかに異なるものである。
したがって,本件商標と引用商標は,外観において類似するものではない。
イ 称呼の比較
本件商標の「Key Bell」の文字部分と引用商標の「ROSE KEY BELL」の文字部分から生じる称呼を比較すると,それぞれ「キーベル」,「ローズキーベル」の称呼が生ずるところ,語頭部における「ローズ」の音の有無により,明らかに区別できるものである。
本件商標及び引用商標の図形部分は,上記(1)イ及び(2)イのとおり,いずれも特定の称呼が生じるものではないため比較することができず,また,上記以外の本件商標と引用商標の要部の称呼の比較においては,いずれも共通する部分がなく明らかに異なるものである。
したがって,本件商標と引用商標とは称呼において類似するものではない。
ウ 観念の比較
本件商標からは,上記(1)イ及びウのとおり,引用商標からは,上記(2)イないしエのとおり,いずれも特定の観念が生じるものではないため,相互に比較することができない。
したがって,本件商標と引用商標とは,観念において類似するものではない。
類否判断のまとめ
以上,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相違するため,類似する商標ということはできない。
(4)小括
以上のとおり,本件商標は,引用商標とは類似する商標ではないため,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人は,平成10年6月30日から現在に至るまで引用商標を商品「織物」に使用していること,サウジアラビアやクウェートなどに,引用商標を付した商品「黒色ガーゼ状織物」を輸出していること(甲11),本件商標権者は申立人の元社員であったこと(甲12),サウジアラビアにおいて,申立人商品に類似した他人の商品が出回り混乱したことがあること,本件商標及び引用商標いずれも「鍵」,「鐘」,「バラ」をモチーフとする特異性から混同が生じる蓋然性が高いことなどを主張する。
しかし,これらの申立人の主張や提出された証拠からは,我が国における引用商標の周知著名性の程度は,直接的にも間接的にも把握できない。そして,本件商標と引用商標とは,上記1(3)エのとおり,外観,称呼及び観念のいずれからも類似する商標とはいえない。その他,本件商標が,他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれのある商標であることを示す証拠は何ら提出されていない。
したがって,本件商標は,他人の業務に係る商品との間で,混同を生ずるおそれのある商標ということはできず,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上,本件商標は,商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するとは認められないから,同法第43条の3第4項に基づき,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標(色彩については原本を参照。)



別掲2 引用商標(色彩については原本を参照。)



異議決定日 2017-03-06 
出願番号 商願2016-10715(T2016-10715) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W24)
T 1 651・ 262- Y (W24)
T 1 651・ 261- Y (W24)
T 1 651・ 263- Y (W24)
最終処分 維持  
前審関与審査官 波方 美奈子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 阿曾 裕樹
堀内 仁子
登録日 2016-07-29 
登録番号 商標登録第5869663号(T5869663) 
権利者 千貫 新造
商標の称呼 キーベル、キー、ケイイイワイ、ベル 
代理人 安藤 順一 
代理人 特許業務法人 小笠原特許事務所 
代理人 前川 真貴子 

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