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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W091134 審判 全部申立て 登録を維持 W091134 審判 全部申立て 登録を維持 W091134 |
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管理番号 | 1326101 |
異議申立番号 | 異議2016-900323 |
総通号数 | 208 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-10-07 |
確定日 | 2017-03-24 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5865440号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5865440号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5865440号商標(以下「本件商標」という。)は、「HYBRID TOBACCO TECHNOLOGY」の欧文字を標準文字で表してなり、2015年(平成27年)7月21日にアンドラ公国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成28年1月21日に登録出願、第9類「たばこ加熱用電子装置のバッテリー,たばこ加熱用電子装置のバッテリーチャージャー,バッテリーチャージャー,たばこ加熱用電子装置のUSB充電器,たばこ加熱用電子装置の車用充電器,バッテリー」、第11類「家庭用電熱用品類」及び第34類「紙巻たばこ,たばこ,たばこ製品,ライター,マッチ,喫煙用具,たばこを加熱し、気化させることにより喫煙するための電子式・電気式手持型喫煙用具」を指定商品として、同28年5月30日に登録査定され、同年7月8日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、引用する登録第5226380号商標(以下「引用商標」という。)は、「HYBRID」の欧文字を標準文字で表してなり、平成20年5月27日に登録出願、第34類「たばこ,喫煙用具,マッチ」を指定商品として、同21年4月24日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)本件商標について 本件商標は、「HYBRID」、「TOBACCO」及び「TECHNOLOGY」の欧文字を単純に組み合わせた商標である。 (2)引用商標について 引用商標は、「HYBRID」の欧文字のみによって構成され、「ハイブリッド(すなわち二つの機能や動力などの要素をあわせもつもの)」の観念を生じる。 (3)本件商標と引用商標との類似性 ア 本件商標と引用商標とは、「HYBRID」の同一の文字が共通する。本件商標は、引用商標の全体を組み入れた商標である。一般に需要者は、商標の最初の言葉に着目しやすいため、本件商標の最初の言葉が引用商標と同一であることは、需要者に混同を生じるおそれを高めるものである。 イ 加えて、本件商標のその他の部分である「TOBACCO TECHNOLOGY」は、本件商標の指定商品に使用した場合、識別力が弱い。例えば、「たばこを加熱し、気化させることにより喫煙するための電子式・電気式手持型喫煙用具」や、「たばこ加熱用電子装置のバッテリー」等に使用した場合、その商品(電子たばこ)が異なる技術をあわせもった商品であること(商品の品質・特徴)を示すのみであり、したがって、識別力が欠如しているか又は比較的弱いといえる。こうした観察は、本件商標の商標公報(甲1)において、特許庁が【称呼(参考情報)】欄に、前記「HYBRID」の文字に相当する「ハイブリッド」の称呼を掲載していることからも裏付けられる。 ウ 実際、これまでの特許庁の異議決定等においても、本件商標の区分に含まれる第9類の商品の関係において、「TECHNOLOGY」の文言は識別力が弱い用語として判断されている例が多数確認され(甲3ないし甲6)、該文字は、科学技術が用いられる指定商品との関係で識別力がない又は弱いと判断されることを裏付けるものである。 エ したがって、同じく、科学技術が用いられる「たばこを加熱し、気化させることにより喫煙するための電子式・電気式手持型喫煙用具」(第34類)、「家庭用電熱用品類」(第11類)、あるいは「たばこ加熱用電子装置のバッテリー」(第9類)等の関係においては、「TECHNOLOGY」は識別力が弱いと判断されるべきである。 オ そうすると、本件商標は、識別力が欠如する(又は極めて弱い)「TOBACCO TECHNOLOGY」を除いた「HYBRID」だけで把握される商標であり、該文字部分が本件商標の要部といえる。よって、本件商標と引用商標は、それぞれの主要な部分である「HYBRID」の文字(外観)、「ハイブリッド」の称呼及び「ハイブリッド(すなわち、二つの機能や要素を組み合わせたもの)」の観念を共通にする、類似の商標に該当する。 したがって、需要者は本件商標が付された商品を申立人の商品と誤解する可能性又は申立人の「HYBRID」ブランドの延長であると誤解する可能性が否定できない。 カ さらに、申立人は、引用商標を、申立人のたばこブランドである「MARLBORO」及び「LARK」に関連して長年使用している取引の実情もある。すなわち、申立人は、2010年に「LARK」に関して、「HYBRID」をサブブランド名とする「LARK HYBRID」の販売を、また、2014年に「MARLBORO」に関して、「MARLBORO HYBRID」あるいは「MARLBORO CLEAR HYBRID」の販売をそれぞれ開始している(甲7、甲8)。これらの商品を販売するに際しては、コンビニエンスストアを含むたばこ販売店における広告や商品のキャンペーンなど大々的に広告を実施し(甲9、甲10)、これらの商品は現在も申立人の「MARLBORO」や「LARK」の人気商品として販売を継続している。 キ 申立人の「MARLBORO」と「LARK」ブランドは、日本を含めた世界各国で著名なブランドであることは顕著な事実である。したがって、そのような著名なたばこブランドのいずれにおいても、長年、サブブランド名として「HYBRID」商標が使用されてきたことによって、たばこの需要者、取引者において引用商標は、申立人に関連する商標として広く認識されていることは自明である。そのため、たばこの需要者が本件商標に接した場合、申立人の「HYBRID」ブランドのたばこ技術を表示するものとして、誤認混同を生じる可能性がある。 したがって、上記の取引の実情を踏まえると、本件商標と引用商標が混同を生じるほど類似するものであることは、より裏付けられるものと考える。 (4)指定商品の類似性 本件商標の指定商品中第34類の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する。 また、本件商標のその他の指定商品は、「たばこ加熱用電子装置のバッテリー」等、電子たばこのたばこ加熱用の電子装置として使用されることを前提としたものであり、引用商標の指定商品と類似するものである。 すなわち、指定商品の類否は、「商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞がある認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互に誤認混同を生ずる虞がないものであっても、それらの商標[商品]は・・・類似の商品にあたると解するのが相当」との基準が確立されている(最判昭和36年6月27日〔橘正宗事件〕)。 本件商標の第34類以外の指定商品は、その記載から明らかなように、第34類に属する「電子式・電気式手持型喫煙用具」(電子たばこ)の付属品・部品として使用されるものであり、該商品は、第34類のたばこ・電子たばこの販売者と同一の製造又は販売にかかる商品と誤認されるおそれがあることは明白である。実際、申立人においても、電子たばこの部品・付属品としてバッテリチャージャー等(第9類、第11類)の販売をしているし(甲11)、同じく電子たばこを販売しようとしている本件商標の権利者も同様のはずである。 したがって、本件商標と引用商標の指定商品は、同一又は類似の商品に該当する。 (5)まとめ 以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、また、その指定商品も同一又は類似する。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 4 当審の判断 (1)本件商標について ア 本件商標は、上記1のとおり、「HYBRID TOBACCO TECHNOLOGY」の文字からなるところ、その構成文字は同書、同大でまとまりよく一体的に表されているものであって、これから生じる「ハイブリッドタバコテクノロジー」の称呼はやや冗長であるが、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、本件商標は、「HYBRID TOBACCO TECHNOLOGY」の文字からなり、「HYBRID」、「TOBACCO」及び「TECHNOLOGY」のそれぞれの文字は、「ハイブリッド(二つの機能や要素を組み合わせたもの)」、「たばこ」及び「技術」等の意味を有する語として我が国で親しまれた英語といえるものであるから、本件商標の構成全体として「ハイブリッドのたばこ技術」程の意味合いを想起させるものである。 そうすると、本件商標は、その構成文字である「HYBRID TOBACCO TECHNOLOGY」の全体をもって、「ハイブリッドタバコテクノロジー」の称呼のみを生じ、「ハイブリッドのたばこの技術」程の観念を生じるものとみるのが相当である。 イ なお、申立人は、本件商標の構成中「TOBACCO TECHNOLOGY」の文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を有していないか又は、極めて弱い部分であるから、「HYBRID」の文字部分が申立人に関連する商標として広く認識されているとして、本件商標はその構成中「HYBRID」の文字部分が要部であり、申立人の「HYBRID」ブランドの商品と混同するおそれがある旨を主張している。 しかしながら、申立人が「たばこ」に使用する「HYBRID」の文字は、同人が該文字を使用している商品の我が国における販売額、シェアなど販売実績、及び広告媒体、広告期間など広告の実績が確認できないから、「HYBRID」の文字が申立人の商標(ブランド)として我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 したがって、申立人のかかる主張は採用できない。 (2)引用商標について 引用商標は、上記2のとおり、「HYBRID」の文字からなるところ、該文字に相応して「ハイブリッド」の称呼及び「ハイブリッド(二つの機能や動力などの要素を組み合わせたもの)」の観念を生じるものである。 (3)本件商標と引用商標との類否 本件商標と引用商標とを比較すると、両商標は、上記1及び2のとおりであるから、外観においては、構成文字数が異なり、外観上、明確に区別できるものである。 また、称呼においては、「タバコテクノロジー」の音の有無により構成音数及び語調語感が明らかに異なり、称呼上、明瞭に聴別できるものである。 さらに、観念においては、本件商標は、「ハイブリッドのたばこ技術」程の観念を生じ、引用商標は、「ハイブリッド(二つの機能や動力などの要素を組み合わせたもの)」の観念を生じるものであるから、観念上、紛れるおそれはない。 したがって、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。 その他、両商標が類似するというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2017-03-16 |
出願番号 | 商願2016-6021(T2016-6021) |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W091134)
T 1 651・ 262- Y (W091134) T 1 651・ 263- Y (W091134) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大渕 敏雄 |
特許庁審判長 |
酒井 福造 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 榎本 政実 |
登録日 | 2016-07-08 |
登録番号 | 商標登録第5865440号(T5865440) |
権利者 | ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(ブランズ)リミテッド |
商標の称呼 | ハイブリッドタバコテクノロジー、ハイブリッドタバコ、ハイブリッド、タバコテクノロジー、テクノロジー |
代理人 | 達野 大輔 |
代理人 | 秋山 朋子 |
代理人 | 栃木 順子 |
代理人 | 竹中 陽輔 |
代理人 | 和田 信博 |
代理人 | 稲垣 朋子 |
代理人 | 中山 真理子 |